白峰南嶺縦走 遥かなる笊ヶ岳(広河原~老平)


- GPS
- 44:21
- 距離
- 56.0km
- 登り
- 4,999m
- 下り
- 6,051m
コースタイム
- 山行
- 9:06
- 休憩
- 1:28
- 合計
- 10:34
- 山行
- 11:48
- 休憩
- 0:44
- 合計
- 12:32
- 山行
- 10:15
- 休憩
- 2:11
- 合計
- 12:26
天候 | 11:雨(稜線は暴風)、12:雨(午前中は風が残る)後晴、13:晴、14:曇後雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
京都21:50-(willer,11400円)-4:00甲府4:35-(山交バス,2400円)-6:28広河原 ※山梨交通バス 南アルプス登山バス ・運行日 7/13~7/15及び7/20~8/25の毎日、8/26~11/4の土休日運行 ・平日は、便減(甲府発4:35は平日は無し) 復路: 馬場14:10-(乗合タクシー[3便],200円)-14:22大島14:30-(乗合バス,600円)-14:59下部温泉(温泉4.5h)19:46-(JR,210円)-21:01甲府21:30-(クリスタルライナー(willerで予約可),8900円)-5:59京都 ※予約制乗合タクシー(大島~雨畑間) https://www.town.hayakawa.yamanashi.jp/people/images/amehataoosimasen.pdf ・前日の午後7時までに予約のこと ・連絡先0556-45-2062(角瀬[すみせ]タクシー) ※はやかわ乗合バス(身延駅~奈良田温泉間) https://www.town.hayakawa.yamanashi.jp/people/taffic.html ・1日4便 ・予約不要 |
コース状況/ 危険箇所等 |
テン場: ※以下、◯は今回利用 北岳肩の小屋 ・営業2025/6/27~10/26 ・2,000円/泊(予約不要)(水1ℓ200円) 北岳山荘 ・営業2025/6/27~11/2 ・1100円/泊(要予約) ○農鳥小屋 ・営業2025/7/1~9/30 ※10/1以降は冬季小屋のみ利用可(水場利用不可) ・1500円(予約不要) ・水場:片道20分 ◯奈良田越から広場間の水場入口付近 ・水場:林道脇から100mほど急坂を下る。結構危険。スリップ注意! 伝付峠 ・水場有 ○笊ヶ岳山頂直下 ・山頂南側に1張、山頂まで徒歩20秒 ※山頂北側(3分ほど下る)にも2、3張 ・最寄りの水場:這松尾西の水場 布引山 ・山頂北側に広場。3張程度。 下山後の温泉: ◯日帰り温泉しもべの湯 ・10:00~22:00(最終入館21:00) ・1080円 ・レストラン併設 石和健康ランド ・会員料金1940円+1100円(深夜割増[3:00以降]) 日の出:5:53 日の入:17:12(2025/10/15,笊ヶ岳) |
写真
感想
今年最後の遠征は南アルプスの笊ヶ岳へ。夢と希望をザックに詰め込んで白峰南嶺の稜線を目指します。以下、道中記録です。
◆1日目 広河原-北岳ー間ノ岳-農鳥小屋(小屋泊)
京都から夜行バスで甲府へ。甲府から山梨交通バスで広河原に向かう。登山バス乗り場には夜明け前から大勢の登山者の列が並びバス4台での運行となった。広河原インフォメーションセンターで登山道の状況を確認後、準備を整え出発。この時点ですでに雨が降り始めており最初から雨具を着て出発する。案の定、草すべりの急登で汗だくとなる。全然、体の熱交換が追い付かずスピードも上がらない。この日は、草すべりの途中で出会った休憩中の登山者と道中を共にした。神奈川から来られた方で普段は丹沢などに登られている、今回北岳山荘でテン泊デビュー、普段と違って荷物が重くて全然ペースが上がらないとのこと。ここからは私がペースメーカとなって引っ張らせて頂いた。
稜線に出ると強い西風に吹かれる。こりゃきつい。一歩一歩確実に進んで、ヘトヘトになって北岳肩の小屋に到着。食堂が営業しており、ここで昼食とする。温かい鍋焼きラーメンは最高でした。荒天の日の小屋有難さを知る。北岳山頂を越え、北岳小屋へ到着。ここまで一緒に歩いて頂いたお礼を言って別れた。事前に大門沢小屋の管理人さんに、農鳥小屋の営業は終了したが冬季避難小屋が空いていること、ただし水場は使えないこと等を確認していたので、北岳山荘でこの日の水を汲んで最大荷重ボッカで間ノ岳を目指す。霧雨の強風の稜線歩きはなかなかにハードでした。荒天時、間ノ岳からの下山は気を使う。黄色のペイントマーク、ケルン等に眼を凝らしながら登山道を外さぬよう慎重に歩を進めた。
日没ギリギリで小屋に到着。すっかり濡れ鼠状態となり、湯を沸かしてコーヒーを淹れるもなかなか震えが止まらない。アルファ米も食べて体にエネルギーを補給しR2ジャケットを着て暖かい寝袋に潜り込んだ。
この日、避難小屋の利用は私を含めて2名。明日、稜線上の風が止まないなら大門沢へ下りる他無い。一縷の望みに掛けて眠りに就いた。
◆2日目 農鳥小屋-農鳥岳-広河原岳-笹山-奈良田越→広場手前(水場入口)(テン泊)
4時起床で準備を整え、5時過ぎに小屋を出発。同宿の方は一足先に出発された。夜の間に雨は止むも強風は治まらない。やはり台風の影響か?出発前、天気図を確認すると、日本列島に前線が接近中。折しも南洋で発生した台風23号に挟まれる形となり、どう考えても天気は良くなさそう。天気予報サイトの予報は直前にコロコロと変わり信用できない。やっぱり今回は駄目か?と半ば諦め気味になる。
ただし、農鳥岳で周囲のガスが切れ始める。青空が顔を出し、富士山もお目見え。こりゃ嬉しい。スマホで天気予報を確認すると、天気は回復傾向で風も弱まるとのこと。計画通り白峰南嶺を歩けることに安堵する。エスケープ判断の大門沢下降点を直進して広河内岳へ向かう。いよいよ白峰南嶺だ。
広河内岳から眺める素晴らしい稜線。遥か彼方に目指す笊ヶ岳を確認。待ってろよー!まだ風が残ってはいるが、気分アゲアゲで先へと進む。
白峰南嶺は南アルプスの展望台でもある。イケメンが次々と顔を出すので飽きない。いくらでも眺めていられるのだが、今日の目的地、伝付峠はかなり遠いのでゆっくりもしていられない。休憩は極力少なめに先へと進む。
笹山手前で風を避けられる場所を見つけて一休み。湯を沸かしてパンとスープを頂く。正面には蝙蝠岳が格好良い。南アルプスはどこまでも山深いなぁ。更に歩いて笹山へ、もう疲れた。靴も靴下も脱ぎ捨てて地面に大の字になる。そこに3人組パーティがやって来て、笹山登頂を喜びあう。登頂記念写真を撮らせて頂く。あまりに嬉しそうなのでこっちまで笑顔をもらった。今日は北岳山荘から来たとのことでかなり足が長い人たちでした。今日はダイレクト尾根を下って奈良田に下りるとのことで、そこでお別れした。(笊ケ岳も鋸岳も日帰りですでに歩かれていた。ここを歩く人は健脚揃いだ)
さぁ、ここから奈良田越までは一気に2000mまで高度を下げる。気合を入れて長い稜線を下りた。奈良田越到着は16時前。もう日没が近い。この時点で伝付峠は諦めて広場付近でテン泊を決めた。広場手前の水場入口付近にテント適地を見つけて今日の宿とする。この水場が結構大変でした。北ア一危険な水場が船窪なら、南ア一危険な水場はここだろうなぁ、と思った。暗くなってからテントを設営。明日も無事歩けることを願って眠りに就いた。
◆3日目 広場手前-伝付峠-笊ヶ岳-小笊ヶ岳(ピストン)-笊ヶ岳(テン泊)
3時半起床で準備を整え5時過ぎに出発。難所の林道崩落地点のザレ場通過時には、もう日が昇って明るくなっていた。踏んだ石の塊はガラガラと音を立ててどこまでも落ちてゆく。ここは慎重に進んだ。美しい白樺の森を抜けて伝付峠へ。ここはいい場所だ。ちょうどリニア工事の基地になっている二軒小屋の真上に当たる。オシャレな二軒小屋にもいつか泊まってみたいと思った。ここを過ぎると、いよいよ標識に「笊ヶ岳」の名前が出てくる。いよいよ本丸の登場だ。足は結構疲れてなかなか前に出ないが、ここは緩やかな登りなので助かった。偃松尾山(はいまつおやま)のピークも踏んでおく。最初は中央突破を試みたが分厚いハイマツに阻まれ元にもどる。地面には誰かのサーモスボトルが落ちていた。ここは結構手強いぞ。稜線の右脇にピンテを見つけてそれを追う。距離は近いのだが結構大変でした。でも途中見える周囲の絶景に心癒される。この稜線は南アの展望台。やっぱり気持ちいい!
ここからは一旦、激下る。水場入口からさらに水を取りに激下り。水を汲むのも楽ではない。
水で更に重くなったザックを背負い、気合を入れて笊ヶ岳の稜線に取り付く。ついに笊ヶ岳に到着。ここでガスが晴れていく。小笊越しに富士山も見えた。嬉しい。小笊も往復すると日が落ちた。暗くなってからテントを設営。今日も一日よく歩いた。テントに入って夕食後、爆睡。ZZZzzz...
◆4日目 笊ヶ岳-布引山-老平登山口-馬場BS
朝、3時半起床。テントから顔を出すと周囲はガスが濃く星も見えない。昨夜は星空が見えていたのに残念だ。笊ヶ岳山頂からの日の出を眺めることを楽しみにしていたのだか、これも山。準備を整え下山開始。この日は標高差2200m弱を下る。ここで気合を入れる。
布引山を過ぎたあたりで道が不明瞭になる。まだまだ先は長い。こんなところで迷っている場合ではない。ヤマレコのスマホを頼りに慎重に先へと進んだ。この稜線は歩く人も少ない。熊対策として持ち歩いているホイッスルを時折吹き鳴らしながら進んだ。
途中、スライドするソロの登山者と出会う。誰も居ないと思っていたところで人に出会えるとホッとする。ここで道の状況を情報交換。今日は渡渉点の水量は少なくて問題ない、と聞いて安心した。貴重な情報をありがとうございます。次第に天気は崩れ、山の神まで下りたところで本降りの雨となった。長ーい激下りに全然ペースを上げられず予約していた乗り合いタクシーの時間に間に合いそうにない。タクシー会社に電話を入れ、事情を説明して3便から4便への変更を申し入れる。受付の女性は「しょーがないねぇ、分かった」と快く了承してくれた。どうもありがとう。
山の神より下はジグザグが切ってあってとっても歩き易くなる。よく整備された登山道に感謝です。広河原まで下りて、渡渉して左岸の道を進む。人工の手すりも出てきてもう安心かと思いきや、この道は大人のアスレチックコースでした。道中はアトラクションが次から次へと登場。最後まで気が抜けない。へとへとに疲れているのに、メマトイがつきまとい休憩もできず。ようやく老大ゲートを過ぎて雨畑集落を進んでいると、車の人に声を掛けられた。「◯◯さん、あら間に合ったじゃない。」なんとタクシー会社の受付の方でした。聞けば、たまたま雨畑集落に用事があって通りがかったのだとか。結局、その方のご厚意で乗り継ぎのバス停まで運んでもらえることになった。どうもありがとうございました。
今回は新しいテントで縦走に臨んだ。新たな相棒はArata AX-79 Version3。最近勢いのある和製の最新ULテントで4シーズン対応のダブルウォール。前室はもちろん後室まで付くギミック満載の面白いテントだ。実戦投入して素性の良さを体感した。これからよろしくね。私の相棒!
白峰南嶺は南アルプスの展望台、永らく恋い焦がれた念願の稜線をようやく歩くことができた。歩く人も少ない静かな南アルプスの秋を堪能しました。無事歩き通せたことに感謝です。今日も良い山でした。
(初期荷重:17kg[水込]、1日の消費量 水2L、アルファ米 6/10食)
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次は安倍奥までの南進ですかね!
また、長駆縦走充実レポ楽しみにしてます😃
雨の中、駆け込んだ農鳥の冬季避難小屋。ガス欠しないようにエネルギー補給しながら動き続けている限りは低体温症にはならない。ただし立ち止まると一気に危険な状態になりますね。こんなときに限ってファイントラックのスキンメッシュドライレイヤーを持ってきていない。これは素直に反省点。3000m級の山々が連なる天空の稜線は甘くはないですね。
この時は流石に、翌日は撤退かも、と覚悟しました。翌日、農鳥岳で天候が回復したときは本当に嬉しかった。山の神様に感謝です。
タンタン山歩さんは、谷川馬蹄形だったんですね。私も狙っていますがなかなか順番が回ってこない。谷川主脈と合わせていつか歩いてみたいと思います。お疲れ様でした〜
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