富士登山2010 吉田ルート弾丸登山


- GPS
- 10:54
- 距離
- 17.9km
- 登り
- 1,793m
- 下り
- 1,788m
コースタイム
- 山行
- 1:59
- 休憩
- 0:15
- 合計
- 2:14
- 山行
- 6:21
- 休憩
- 2:56
- 合計
- 9:17
写真の撮影日時も手入力、地図上の表示箇所は正確ではないことに留意
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
全編よく整備されている |
予約できる山小屋 |
頂上富士館
江戸屋
胸突江戸屋
日の出館
本七合目鳥居荘
白雲荘
|
写真
河口湖から小一時間バスに揺られ五合目へ。売店の明かりは煌々と辺りを照らし、観光客の喧騒でまるで下界のよう。ここで仮眠して高度順応をする予定だったがとんでもない。寝ることは諦めて歩き始める。
ひんやりとした空気に高山の雰囲気を感じながら幅広の道を歩いていく。一旦下り、ゆるゆると登っていくと安全指導センターの前を通過する。真夜中だというのに職員の方がひっきりなしに注意喚起していて驚く。
鳥居荘の直下に来るとさらに道が混雑。
やっぱりこの時間に登るのは間違いだったかと後悔するものの、どこかで休むのも勿体ない気がするしと牛歩の列に続く。周りは喧しく、小屋番も負けじと食事ができると声を上げている。とにかく人が多くて芋洗い状態。ストレスが半端じゃない。
九合目を前にして体が怠くなってきたし、いい加減この渋滞にもうんざりしたので道の脇に逃げて不貞寝を決め込んだ。
登り始めから6時間、ようやくお鉢に立てた。ここもとにかく人が多く、山頂の混雑にただただ当惑するばかり。どこか落ち着いて息を整えるような所もなく、登頂の余韻もそこそこにお鉢巡りを開始。
伊豆ヶ岳を下り、荒巻を抜けた先の広場に出る。休憩するのに適するだけでなくここも眺望が利くため登山客がたくさんいる。もう、全員が手を繋いだらお鉢を一周するんじゃないかと思うくらいに。
装備
MYアイテム |
![]() 重量:0.18kg
![]() |
---|---|
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
ゲイター
日よけ帽子
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
針金
常備薬
時計
タオル
|
感想
【総評】
富士山は一般登山道である。装備をしっかりとし、気負う事さえなければ誰にでも開かれている山だという事はよく解った。
多少知識は仕入れていたつもりだったが、兎に角未経験というか未知の世界との遭遇、といった感覚が大きかった。
弾丸登山は観光地であり人だらけである。混雑している所では歩いているというよりは歩かされているという感覚が大きく、普通の登山の間隔でいると度肝を抜かれる。これを許容できるかどうかで弾丸登山の成否が分かれるように思う。個人的には二度と御免であったが。
それでも御来光、逆さ富士に影富士、真っ赤に染まった火山岩、残雪と、どれをとっても忘れ難い経験であり、初めて訪れる富士山頂としては成功で贅沢に過ぎるものだった。ナイトハイクをしなければこれらの経験はなかったが、同時に、強く日中帯での富士登山を意識した。途中ダウンした事も含め、これは翌年以降に活かされることになった。
確かにこの山行を繰り返すのであれば『富士に二度登る馬鹿』になるであろう。
【日記】
ここのところ地元の同期から富士登山について教えてほしいと立て続けに相談を受けていたのだが、『偉大なる通俗』とも評される富士山のこと、あまり食指が働かない。ましてや御来光登山なんてイベント的なものは今の登山スタイルとかけ離れている。
それでも地元の連中の間ではちょっとしたブームになっているらしく、やたら登頂報告を聞かされ、あまつさえ「誰々でも登っているのに何故関東にいるお前は登らないのか」というような事さえ言われる始末だ。
そんなやりとりが繰り返されるので段々とその気になってきてしまう。地図からガイド本、その他必要な装備を揃え、緊張とともに駅のホームに立っていた。なにせ登山を再開して森林限界を超えるのはこれが初めて。他は精々グループで登った四国剣くらいのものだった。
河口湖駅からバスに揺られスバルライン五合目に着くと想像だにしない世界が広がっていた。人、人、人、明らかに登山の出で立ちではない団体から自衛官や在日米軍と思しき集団まで多種多様な人がひしめいている。売店も煌々と明かりがついていて夜の10時を過ぎているのにまるで繁華街の様相を呈している。ここで仮眠を取ってから山頂を目指そうと思ったのは間違いだったようだ。
仕方ないので高所順応もそこそこにそのまま山頂を目指す。ナイトハイクなんて何年ぶりの事だろう。既に森林限界を超え、眼下には河口湖の街明かり、見上げれば満天の星空、そして頂上を目指すハイカーのヘッドライトが連なる。自分もその一団に加わるのだと胸が高鳴ったのは最初のうちだけだった。
吉田ルートは小屋の前後で道が急になる事が多く、おまけにちょっとした岩場まである。そうした場所が現れると途端に渋滞が発生する。トモエ館を過ぎた辺りからはラッシュ時の新宿駅よりもひどい混雑で、冗談ではなく一歩進んだら1分休止するほどだった。歩いても全く身体が暖まらない。汗もかかず息も切れない、それでも後ろからせっつかれるようにして歩かざるを得ない。山を登っている感覚はなかった。
金剛杖が後ろの人を打ち、団体リーダーの怒号が響き、不用意なヘッドライトの光に目を眩まされる。周囲は騒然とし、中には歩き煙草をしている人までいる。雑音に辟易し音楽を聴きながら牛歩する。日本一の名峰に来てまで何をしているんだろうと思った。
病は気からというが、大混雑の中不貞腐れながら歩いていると次第に体調が悪くなってきた。初めての富士山という事もあり緊張したのかもしれない。時折空いた所があったので他の人を抜いていくのに無理にペースを上げたのも良くなかった。寒さと眠気からか、九合目手前で高山病のような症状が出て気怠くなってしまった。
最早ご来光などどうでも良い、やっぱりこういう山は人がいない時に登るのが一番、などと思い、着込んで道脇で寝る事にした。
少し寝ると色々とすっきりした。
体が疲れてたというよりは神経的に参ってたらしく、ひとしきり物を考えるのをやめると急に体調も良くなった。そこから先は無心でひたすら登り、夜が明ける直前にお鉢に辿り着いた。ここでも人が多く、頂上に立てたという感慨に浸る余裕はあまりなかった。
雑踏を掻き分けるようにしてお鉢巡りをする。人の少ない区間に差し掛かった時、太陽が雲海の向こうからご来光を迎えた。山の上での夜明けなど何度も経験していたはずだったが、この時ばかりはさすがに感動を覚えた。あちこちで沸き起こる歓声も気分を盛り上げたというのもある。厳かではなかったが、イベント的な登山のよさの片理を味わう事が出来た。
そこからは無我夢中だった。空いているお鉢のピークを踏みながら剣ヶ峰へ向かう。雲海はどこまでも広がり、雪が残る火口は途方もなく深い。とにかくどこを見ても大きく、比して自分はとても小さな存在だと感じた。馬の背は砂礫のとんでもない坂道に思え、柵の下は崖で恐ろしかったが、何故か小気味良さすらあった。最高峰はこれまた人の列で日本の頂に立ったという気分にはなかなかなれなかったが、そこから見る景色はいずれも絶景で、改めて富士山というもののスケール感には圧倒されるばかりだった。
また一般ルートを外れ白山岳を直登する。剣ヶ峰よりもこちらの方が感動が強かった。直下の岩登りは緊張こそしたが他に誰もいない、日本最高所のフリークライミングだった。ゆっくりとお茶を飲み、8時間振りに静かな時間が過ごせた。
下りの辛さはまた想像だにしないものだった。ちょっとした砂礫の層を踏んで下りるのだが、ガイド本にあった爪先から着地する方法で歩くと危なくて仕方がない。砂の中のどこに岩が潜んでいるか知れたものでないからだ。砂礫の深い所では踵から着地し、探るように爪先を置いていくようにするとスムーズに下れた。しかし足裏の痛みもどんどん強くなってくる。最後は根競べのような状態だった。周りはタウンユースのスニーカーの人が多かったが果たして無事(?)に下山できたのだろうか。登山靴を履いている自分でも這う這うの体だった。
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