安朱尾根から紅葉の大文字山北斜面へ


- GPS
- 03:22
- 距離
- 9.4km
- 登り
- 556m
- 下り
- 535m
コースタイム
- 山行
- 3:16
- 休憩
- 0:07
- 合計
- 3:23
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
下山は北白川校前バス停へ |
コース状況/ 危険箇所等 |
大文字北斜面は一般登山道なし |
写真
感想
この日の午前中は予定外ではあったが京都バスから高島市営バスへの乗り継ぎに失敗して、蛇谷ヶ峰に登ることになった。下山した畑から近江高島の駅に向かうと、新快速に乗り近江高島からは丁度30分で山科に到着することが出来る。蛇谷ヶ峰からは最速で京都に帰り着く方法を選んだのは紅葉の山歩きを堪能するという他にもう一つ、理由があった。午後に大文字山に紅葉を訪ねるためである。
山科駅で家内と待ち合わせすると、山科駅の前は観光案内のボランティアの方達も大勢いらして、大変な賑わいである。まずはこの秋の季節限定で公開されている安祥寺を訪れる。境内の紅葉も真っ盛りである。重要文化財の十一面観音像の均整のとれた姿勢、深い瞑想を湛えた表情は圧巻の美しさだ。多くの十一面観音を見てきたつもりであるが、最上級の部類に入るように思われた。
安祥寺を後にすると疎水に沿って毘沙門堂の参道に出る。しかし毘沙門堂への参道は毘沙門堂の初詣もかくやと思うほどに大勢の人が歩いている。この参道からは先の疎水沿いは急にひと気も少なく、思わずそちらへと歩を進める。毘沙門堂から大文字に上がるコースを諦めて、安朱尾根を縦走して大文字山へ向かうことにする。
ところでこの安朱というJR山科よりも北側の一帯の地名であるが、北の安祥寺と南の朱雀の頭文字を合わせた典型的な複合地名らしい。疎水を辿り、東山自然公園にたどり着くと、山科の市街の南側には音羽山が美しい錦繍の斜面を見せている。音羽山も今頃は紅葉が綺麗なことだろう。
まずは公園からひとしきり急登を登る。十一月も下旬だというのに絶好の好天のこの日の気温は20度を超えるとの予報であったが、登り始めるとすぐにも汗ばむほどの陽気だ。樹林の間から背後に展望が開け、山科の市街を眺望することだ出来る。
まもなく上から下ってくる四人の男女のパーティーと擦れ違う。マニアックなところを好んで登る人がいるものだと思ったが、先方も柔和な微笑みを浮かべながら思っていた可能性があるだろう。
最初の小ピークは諸羽山だ。山頂はそれと認識しにくいような樹林の中の小さな広場であるが、山頂を越えると下に差し掛かるので、ピークを通過したことを認識する。尾根の西側に大きな岩がある箇所に来ると、樹間からわずかに展望が開け、疎水沿いに洛東高校とその向こうに先ほど訪れた安祥寺が見える。なぜか山中からピアノの伴奏付きで歌声が聞こえ始めた。こんな山中にまで何事かと思ったが、どうやら毘沙門堂のあたりから聞こえてくるようだ。
なだらかに尾根を辿り、柳山、陰山と小さなピークを越える。この安朱尾根はどうやら照葉樹が多く、残念ながら紅葉はほとんど見られない。尾根上には所々に杉の倒木があるが、通行に支障ないように鋸で処理してある。
先ほどから毘沙門堂のあたりから聞こえていた歌声に代って和太鼓の音が聞こえてくる。何かのイベントでもあるのだろうと思って、後でネットで調べてみると毘沙門堂もみじ祭りというのが開催されており、様々な音楽が奉納されていたらしい。道理で大勢の人が参道を往復していた訳だ。
送電線鉄塔を越えてp361から東に伸びる稜線の乗ると尾根上には途端に数多くの杉の倒木が現れる。倒木は一様に北向きに倒れている。東西に走る尾根は昨年の台風21号により南側から強い風を受けたからなのだろう。そういえば大文字山でも倒木がとりわけ酷かったのは南側斜面だったように思う。
登山道脇ではちょこまかと慌しく走り回っている灰色の小動物がいる。栗鼠だ。あまりにも動き回るのが早くてカメラを向けることすら出来ないうちに消えてしまった。上からはコツコツとゆっくり樹を叩く音が聞こえる。音のする方向に目を向けると梢に小さな鳥が目に入る。heheさんのレコでコゲラであることを知る。
P361の山頂にたどり着くと、山頂の南側にピークハンター氏のプレートを見出すことが出来た。尾根が北向きに転じるとやはり途端に倒木は少なくなり、しばらくは歩きやすい尾根が続く。しかし、如意ヶ嶽から大文字山へと東西に走る尾根に入ると夥しい数の倒木であり、台風の被害の凄まじさに唖然とする。
登山道を塞いでいた倒木には悉く鋸が入れられており、通りやすいようになっている。これだけの倒木を処理するのもただならぬ作業であっただろうと、登山道を整備して下さった方の努力に頭がさがる思いだ。
あたりを見回すと倒れていない樹がほとんどなく、本来は鬱蒼とした植林地出あったのがすっかり風景が変わってしまったようだ。南側の谷からは山科の市街を展望するが、これも樹々が倒れてしまったせいだからだろう。谷間を見下ろすと、多くの杉の倒木が散乱している。
上からトレラン姿の若者が下ってくる。今日、二組目の遭遇者である。こんにちわと挨拶を投げるも、こちらが避けるのが当然だといわんばかりに避けるそぶりを見せることもなく私の肩のすぐそばをフルスピードで通過していった。こういう人がいるからトレイル・ランナーは登山者から嫌われるんだろうな〜などと勝手なことを考える。
やがて登山道の正面から黄金色の光が溢れてくる。大文字山の山頂にたどり着いたようだ。雲一つない空の彼方で、西山の上に傾いた太陽が目に入る。南に目を向けると生駒山の左には金剛山のシルエットが浮かび上がっている。山頂は大勢のハイカーが夕方の光を浴びて、広大な景色を楽しんでおられるようだ。
時間はすでに16時過ぎ。我々は山頂でのんびりしている余裕はない。山頂を後にすると北尾根を下る。踏み跡を辿って左手の谷へと下ると景色は一変し、それまでの陽射しが差し込む明るい植林から黄葉の自然林に入る。山の陰に入ってしまってせいで紅葉に煌く透過光は見られない。それはそれで紅葉の発色が深く感じられる。
薄暗い谷を緩やかに下ると鮮やかな紅色も混じり、紅葉がひときわ賑やかに感じられる。見覚えのある紅葉の景色から幻の滝に到着したことを知る。右手の斜面に目を向けると見憶えのある苔むした石組みが目に入った。丁度一年前のこの季節、heheさんにご案内をいただき、この場所を訪れた時の情景を思い出す。
幻の滝を少し下ったところからは花崗岩の下から細い水流が出ている。水流を辿って下流に辿ると沢音が聞こえてくる。滝を巻いて左岸を下った先には小さな隆起がある。昨年と同様に、ここの紅葉も見事だ。
滝からは小さな切り通しを抜けて、斜面を登る。
家内は火床には行かなくてもいいと云うので、谷をトラバースして中尾の城跡に向かう。薄暮の中に他の色彩が沈んでゆく中で、谷間の紅葉の色彩のみがわずかに浮かび上がっているようだ。
城跡を過ぎて斜面の急下降を下ると少し樹林が開けるところがある。この振り返ると紅葉に残照が映えて、紅の色彩が深みを増しているようだ。中尾の城跡がある山の斜面でも錦繍が残照を映す。あとは銀閣寺の登山口を目指し、急速に暗くなりつつある斜面を黙々と下るばかりだ。西の空では残照の明かりが徐々に消えてゆく。
銀閣寺の登山口が近づくと、多くの人が通ってゆくのが見える。しかし今回は大文字の山頂以外では2組の登山客、そして一人のランナーとすれ違ったのみの静かな山行であった。また機会を改めて、陽光に煌く北斜面の紅葉を見に来たいものだ。
コメント
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yamanekoさん、yamaizuさん。
下界の混雑を忘れさせてくれるような静かな北斜面を楽しまれたようですね
あの日から、もう一年経ったとは〜、
歳を重ねると1年経つのが早くって
yamanekoさんの視点でのレコを拝見すると
また行きたくなっちゃいます(笑)。
北斜面はそんなところなんです。
もう落葉を迎えているかもしれませんが、
一面が落葉で埋め尽くされているのもまた良いですよね。
それにしても、
朝、高島市営バスに乗り継げなくて
蛇谷ヶ峰に登った方が、午後には大文字山に!
やっぱり、yamanekoさんのフットワークは軽い
heheさん コメント有難うございます。
大文字山を歩いている時は、直前のheheさんのレコを拝見していなかったので、heheさんいらっしゃらないかなと家内と話をしながら歩いておりました。他にも訪れたいところはありましたが、改めて、一年前にいかに効率よくheheさんが魅力的なスポットをご紹介して下さったことかと思うのでした。
すぐ近くには多くの人が往来する登山道がありながら、桃源郷のようなこの北斜面の静寂がいつまでも保たれることを願わずにはいられません。身近にそんな場所があることを教えてくれたheheさんには改めて深謝です。
>yamanekoさんの視点でのレコを拝見すると
また行きたくなっちゃいます(笑)。
誰もがheheさんの視点でレコを拝見すると・・・
>一面が落葉で埋め尽くされているのもまた良いですよね。
御意です。
>それにしても、
近江高島から山科まで30分と、私もこんなに近いとは知りませんでした。
もともと日曜日は朝に蛇谷ヶ峰、午後に大文字北斜面と考えていたので
またどこかの山でお目にかかれるか、あるいはご一緒させて頂く機会がありますことを家内共々楽しみにしております。
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