吉野駅から大普賢岳→弥山→狼平避難小屋→栃尾山→天河大辨財天社禊殿


- GPS
- 26:15
- 距離
- 56.8km
- 登り
- 4,128m
- 下り
- 3,728m
コースタイム
- 山行
- 9:04
- 休憩
- 0:41
- 合計
- 9:45
- 山行
- 8:36
- 休憩
- 0:53
- 合計
- 9:29
- 山行
- 5:09
- 休憩
- 0:33
- 合計
- 5:42
天候 | 曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
近鉄下市口 |
コース状況/ 危険箇所等 |
栃尾山から天河大辨財天社禊殿のルートはお勧めできません。最後の方で道が無くなる。読図力が求められます。夜間に突破を図ると、最後の大崩落の斜面に気づかず滑落の恐れ大です。 |
写真
感想
【敗走の山旅】吉野から熊野へ、届かなかった縦走路
「山は逃げない」。そう言い聞かせながら、私は三日間の山行を終え、天川川合バス停に立っていた。
本来なら、ここは通過点のはずだった。目的地は熊野本宮大社。昨年達成した五日間・100kmの縦走をなぞる形で、今年はさらに快適に、より軽やかに踏破する計画だった。だが現実は、その期待とは裏腹に、予想以上に厳しいものとなった。
■1日目:背負ったのは「軽量化」という名の慢心だった
出発は2025年5月18日、日曜日。近鉄吉野駅を8時04分に出発。荷物はおよそ10kg。昨年使ったMammutの50Lリュックではなく、軽量化を目指して30Lに変更した。だがこれがすべての綻びの始まりだった。
防寒具を省き、荷物を無理やり詰め込んだリュックはパンパンで、背負いにくさがすぐに表れた。湿度の高い吉野駅周辺で早くも汗まみれになり、12時過ぎ、薊岳付近でついに全荷物を出してパッキングをやり直す。テントはリュックの外側に固定し、ようやく歩きやすくなったが、すでに体力は大きく削られていた。
16時過ぎ、洞辻茶屋は閉店。喜蔵院でジュースを買わせてもらえたのは幸運だった。昨年、他の宿坊で冷たくあしらわれた記憶があるだけに、僧の温かい対応が心に沁みた。
17時52分、小笹ノ宿に到着。なんとか日没前に辿り着いたが、疲労と軽い脱水症状からか倒れこんでしまう。夕食も喉を通らず、体調の異変を感じながら夜を迎える。ユクリズムを服用し、うつらうつらと眠るが、夜中の暴風に安眠は得られなかった。
■2日目:山と体と心が分離していく
4時30分起床。夜の寒さに震えながら、計画変更を決断。熊野本宮大社への縦走は断念し、天川川合方面へ進路を取る。
明王ヶ岳から大普賢岳を経て七曜岳、行者還小屋へ。濃霧の尾根道は幻想的というより、亡者の道だった。全身が疲弊し、足の指は痛みで痺れ、集中力も切れかけていた。
それでも歩を進めたのは、弥山での休息と温かい飲み物が待っていると信じていたからだ。14時ちょうどに弥山小屋に到着。カレースープヌードルとコーラでエネルギーを補給。昨年より値段が100円上がっていたのも、妙に現実感があった。
狼平避難小屋に着いたのは15時。ここでさらに体調が戻ったことに安堵し、この日は無理をせず小屋に宿泊。川の水で炊いた餅入りの味噌汁は、旅で初めて「美味い」と思える食事だった。
■3日目:撤退の朝、危険な下山
翌朝、5時に出発。栃尾山を越え、天河大辨財天社を目指す。だが禊殿手前の200mで道が完全に消える。斜面を転げ落ちるように下り、ようやく人工物が視界に入ったときは、心底安堵した。10時42分、天川川合バス停に到着。
これが、私の「未完の縦走」の終着点となった。
■総括:敗因は山のせいではない
失敗の理由は明らかだ。
防寒具を持たず、夜間の寒さに対応できなかった
リュック変更によるパッキングのミス
十分な睡眠を取らずに出発し、初日から体調を崩した
去年の成功体験が慢心を生み、準備を軽視した
すべては、山を甘く見た自分自身の責任である。山は何も変わらない。ただ、こちらの姿勢と準備が不足していただけだ。
■それでも、また山に戻る
今回の旅は、体調も判断力も削られる「敗走」だった。だが、この敗走の中には多くの学びと感情が詰まっていた。人の温かさ、自然の厳しさ、そして自分の弱さ。
登山とは、常に「次はどうするか」を考える行為だ。だから私はまた、リチウム50に荷物を詰め直し、改めて熊野本宮を目指すだろう。
今度こそ、山に対して誠実でありたい。
コメント
この記録に関連する登山ルート

30リットルで10キロだと難しいようですね。
軽量化のためにザックを新しくしようと、軽いザックに重りを入れていくつか試しましたが、難しいと思いました。
大峰を分割して歩く計画で、12キロの荷物をいれるのに、1.8キロから1キロのザックに買い替えたところ、全体の重さは軽くなりましたが、疲れてくると肩への重さを感じ、中身の軽量化が宿題となりました。
吉野から熊野本宮まで軽やかに!計画が楽しみですね
無事の下山、お疲れ様でした
おっしゃる通りですね。軽いザックに変えると、一見して全体が軽くなったように感じるのですが……実際に長時間歩いてみると、身体のほうがはっきりと「失敗だった」と教えてくれるのを実感しました。
容量の小さいザックに無理やり詰め込むと、荷重のバランスが崩れやすく、重心もズレてくるようです。キャパシティを超えてしまうと、ザックと身体との一体感、いわば“フィット感の均衡”も崩れてしまうのだと気づきました。
結果として、ザックはむしろ少し大きめの方が、荷物の重心も下げられて安定し、背負いやすくなるように感じました。揺れも抑えられて、肩への負担が不思議と軽くなるんですね。
荷物は12kg以内、水は1.5リットル程度が限界と見て、水場での現地調達を前提にしつつ、食糧は喜蔵院、弥山(14時以降)、行仙宿、玉置神社付近の売店などをうまく利用する形で調整していこうと思っています。
吉野から熊野本宮まで軽やかに!
kayoさんの計画もとても楽しみですね。
次の山旅でまたお互い良い発見がありますように!
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