あれから3年。槍ヶ岳北鎌尾根。


- GPS
- 56:00
- 距離
- 38.5km
- 登り
- 3,285m
- 下り
- 3,333m
コースタイム
- 山行
- 10:10
- 休憩
- 0:30
- 合計
- 10:40
- 山行
- 10:50
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 11:10
天候 | 最終日のみ午後から雨。あとは晴れ! |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
復路:中房温泉より乗合タクシーにて穂高駅。穂高より松本駅。高速バスにて新宿。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
北鎌尾根については一度で把握できるようなものではありません。参考までに。 ≪水俣乗越から北鎌沢出合≫ 水俣乗越道標裏から急坂を下る。ザレていて何度も尻もちをつきそうになる。最後ははロープをつかんで河原に降りる。いい加減、嫌になるくらいに歩くと出合。 ≪出合からコルまで≫ 登り始めて10分ほどはっきりと二股に分かれているところで右へ。左に上がってしまうと3年前に私になります。途中、残置スリングがあるいやらしいところも。ガスが無ければコルが見えるはずなのでそこを目指せばよい。途中、有名なクライマーズホイホイには注意。右を意識し過ぎると迷い込む可能性あり。 ≪コルから独標≫ コルから独標付近までは一般ルート化されているかと思うくらい明瞭な道。ただ単純ではなく下ったり巻いたり、トラバースしたり。ここまでビバーク地が点在する。独標は一度千丈沢側に下りまた稜線に這い上がった。独標まで直登できるルートもあるようだが、はっきりとしたトレースがあったのでそちらを選んだ。稜線に這い上がると独標は後方に見え、独標に行きたければ一度稜線を戻るような形になる。 ≪独標から槍基部≫ ここからは基本尾根通しの直登ルートをとる。3年前ほどまでは千丈沢側にトラバースするほうが定番のようだったようだが、現在は直登の方がよいとされる。トラバースルートはザレて事故が絶えないようだ。ただ、直登ルートも易しくはない。しかし安易にピークを巻こうとすると逆に危険。大きな岩が簡単に剥がれたり動いたりする。足場はアリ地獄のように滑り落ちていく。 ≪槍基部≫ 北鎌平を越えガレ場を歩くと槍基部に。途中で天上沢側に巻き道がありそちらの方が簡単のようだが、有名なチムニーがある直登コースで登った。足を突っ張りバランスを維持してから右上の岩場へ重心を移動し突破した。ボルダリングで言えば初級だと思う。もちろん落ちる可能性もあるので注意。そこを登ればあとは簡単。祠の真裏にひょっこり登場というやや恥ずかしくもある瞬間が訪れる。 |
その他周辺情報 | 中房温泉。立ち寄り700円。捻挫した左手も痛みがひいた? |
予約できる山小屋 |
|
写真
感想
3年前、ただ北鎌に憧れて、挑戦して敗退した。大キレットもジャンダルムも難しくなかった。北鎌もそれと同じだと思っていた。
秋めいた9月下旬、予定していた右俣との分岐点の水場は涸れていた。水量の多い左俣からは水の音が聞こえる。水をとりに行こう。始めはそれだけのつもりだった。左俣にはその先も踏み跡はしっかりついている。どこかで合流するに違いない。しかし。その踏み跡は最上部の途中で消えた。そこから分岐点に戻りやり直すほど気力も時間もなかった。惨敗だった。西岳への下山中、途中で遭難者の声を聞き山小屋に急いだ。真新しい装備を身につけた男性は、聞けば北鎌へ行こうとしたと言う。自分もこうなるところだったんだと強く反省した。
あれから3年。山岳会に入った。今月だめ元で山岳会に北鎌の計画書を提出すると例会で先輩のアドバイスを聞き、許可が下りた。許可が下りるとやっぱりうれしかった。裏銀座を歩くという二股計画は捨て北鎌に集中し、詳細地図を作り調べた。siriusさんが前日に同じコースを歩くことが分かると自分の強運に感謝した。北鎌の女王?tamaoさんにもアドバイスを聞いた。毎年北鎌に行く二人がお友達でよかった。
コルから少し離れたところにビバークし、食事を作り焼酎を飲むと心が落ち着き良く眠れた。夜、目を覚ますとガスに塗れていた空は満天の星だった。途中でピークと場所を確認しながら独標まで来る。そこからはアドバイスをくれた皆がそろって言うように基本稜線上を歩いた。少しでも安易に巻くと岩が剥がれ簡単に落ちていく。槍基部まで緊張は続いた。急がないように休みながらひとつひとつピークを越えていくと岩塊が頭上に立ちはだかるように聳えている。
最後のチムニーを直登し山頂の登山者の表情まで見えてくるようになると緩みそうになる気持ちを引き締めた。時間をかけて一歩一歩、這い上がる。終わりだ。祠の裏から飛び出すと山頂には10名ほどの登山者がいた。何人かの人が私の顔を見て少し驚いたあと、笑顔で「北鎌おめでとうー」と拍手して迎えてくれた。「ありがとーございます!」山頂から数枚写真を撮った後、祠にお賽銭を入れた。ほんとうにありがとうございました。歩いてきた北鎌尾根にはガスが懸ろうとしていた。遠くにはまだ鷲羽岳、水晶岳が見えた。ガスばっかりだった槍ヶ岳の山頂で見たはじめての青空だった。
単独の許可を頂き、アドバイスを頂いた会の先輩のみなさん、そしてtamaoさん、siriusさん、大変ご心配をかけました。本当にみなさんのおかげです。ありがとうございました。
コメント
この記録に関連する登山ルート

24日〜25日と晴れたんだね。
少し心配してたけどよかった。
晴れ男健在
23日は会うのは難しいとは思っていたけど。
だいぶ先まで行ってたんだね。
お互いに無事に北鎌をやれてよかったね。
siriusさん、お疲れ様でした。
そしてありがとうございました♪
北鎌が決まったとき、まさに自分の前日にsiriusさんが行くと分かって自分の強運に驚きました。コルに人は居たようでしたが実際は貸し切り状態。心の支えはsiriusさんのtrace。支えになりました。まだより良いコース取りがあると思います。独標は直登していません。また行かなければなりません。 はじめての北鎌踏破、最高でした♪今年も北アルプス全山縦走、楽しんで来てくださいね♪
makasioさん、こんばんは。
おめでとうございます。
北鎌単独か〜、すごいな〜。
やってみたいけれど、技術的に無理かな。
うらやましい!!
ともあれ、おめでとうございます! おめでとうございます! おめでとうございます!
最大の称賛をこめて!!
seizanryoさん、どーも。ありがとうございます!!夢を叶えることができました。
ただ、私の考えはバリエーション単独は大変危険だと思います。seizanryoさんなら行けるとは簡単には言えません。たくさんのベテラン登山者がここで行方不明になっているからです。ここは自分には特別。条件が揃うのに3年も待ちました。次はpartnerを見つけてやりたいと思います。でもあの瞬間は人生最高の瞬間でしたよ!
makasioさん、
またガッツリと北鎌行っちゃいましたか
もはや突き抜けて雲上人のように思えます。
ご無沙汰ですが足の調子もすっかり良くなられたみたいですね。
あれから3年ですか、早いものですね。ついこないだのような気もします。
ただこの間makasioさんは岩をされたりかなり幅を拡げられましたね。
私なんぞいつまでも地を這う部隊です
また素晴らしいレコ読ませて下さい
ShuMaeさん、今晩は。
なんか久しぶりですよね、レコはいつも拝見していますよ。北鎌はそうです。あれから3年が経っていました。実はどうしてもやりたいとう気持ちはありませんでした。
でも、ずっと心の奥底で引っかかって離れません。このままやらないといつか後悔するな。
そんなとき、天から降ってきたようにチャンスが来ました。3年、待ちました、このチャンスを。もう、やるしかないですよね。
ShuMaeさんの山魂は私以上かと思いますけど。
お互い、これからも自分にとってよい山をやりましょうね。
makasioさんこんにちは\(^o^)/
昨日、職場の人からmakasioさんが山で怪我をしたみたいだよと聞きドキドキしながらレコ見ました。
北鎌尾根初め知りましたがすごいとこですね(/。\)ヒエ〜
私が知ってる槍ヶ岳ではありませんでしたw
かっこいいです!(*´・ω・`)b
天気も安定の晴れでしたね♪
怪我も大事に至らず無事に帰って来られて何よりです(*^^*)
yukariさん、お疲れ様です。あら。聞いちゃいました?笑
北鎌というのは槍ヶ岳の有名なバリエーションルート。バリエーションというのは、つまり一般コース以外のこと。一般の地図には載っていません。
俺は3年前に敗退してずっとチャンスを狙っていたんだよ。そのルートを成功して浮かれて下山中の一般ルートで転倒。左手首を捻挫してしまいました。
結局、成功の喜びよりこの怪我で反省しながら降りてきた。でもこれでよかったのかもね。
俺は成功よりも失敗の方が多いんだよ。怪我はもう大丈夫です。
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