安達太良山 烏川左俣


- GPS
- --:--
- 距離
- 13.9km
- 登り
- 983m
- 下り
- 968m
コースタイム
08:27 滝見橋(入渓)
09:00 鳥川橋
10:45 左俣の大滝
12:50 仙女平付近の登山道
13:30 安達太良山(乳首)
14:10 鉄山
15:10 勢至平
15:50 あだたら高原スキー場
遡行時間:4時間30分くらい
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
●烏川左俣 あだたら渓谷自然遊歩道へ進み、最初の橋(滝見橋)から入渓。 初級の易しい沢で、難しい滝は殆ど無い。 「魚止滝」だけが難しい滝だが、すぐ側に遊歩道があるので簡単に巻ける。 途中で幾つか二俣があるが、分岐は全て左。 基本的には水量の多い方を進めばOK 標高1190m付近で水量1:1の二俣となり、左俣へ進めば、 やがて「左俣の大滝」が見えてくる。 左俣の大滝(40m)は傾斜の付いた大滝で、下側は階段状になっている。 慣れた人であれば下側は足だけでも登れるが、上部は傾斜がきつく、 下側に比べて取っ掛かりが少ない。 難しくは無いが、絶対に落ちてはいけない箇所なので、 初心者を引率している場合はザイルでフォローした方が良いかと思う。 ヌメリがある箇所もあるので、足場にも注意。 大滝を過ぎると次第に沢は薮に覆われて行き、見所が無くなってくる。 見所は大滝までなので、早めに沢を出たいところだが、そう簡単には出られず、 しばらくは薮沢を進み、最後は薮漕ぎを経て登山道へ出なければならない。 標高1400m付近で、左側(右岸)に涸れた沢があるので、それを辿って沢を出る。 このまま涸れ沢を辿って登山道へ出る事も出来るが、この沢を辿ると、 登山道と平行に進む事になるので薮漕ぎ距離が長くなる。 あまり得策では無いので、標高1465m付近で涸れ沢を離れ、進路を左側へと取る。 その後は標高を上げずにトラバースして行けば、最短で登山道へ出られる。 巧くルートを取れば、仙女平(表登山口分岐)を安達太良山方面へ少し進んだ先の 登山道へ出られるだろう。 沢に雪渓は無かったが、水はまだ冷たく、沢登りには少し早いかもしれない。 だが、シャワークライムは無く、深くても膝位までしか浸からないので、 寒さは殆ど感じなかった。 ●市営あだたら高原野営場 山行とは関係ないが、今回の宿として利用したので紹介。 温泉施設の「スカイピアあだたら」向かいにあるキャンプ場で、無料で利用できる。 安達太良山登山口に近いので、登山のベースにオススメ。 ファミリーキャンパーも居れば、バイクツーリングのソロライダーも居るので、 一人でも居心地は良いかと思う。 キャンプ場の向かいにスカイピアがあり、岳温泉街からも近いので風呂環境も良い。 また、東北サファリパークが近くにあるので、朝は猛獣の鳴き声で目覚める、 というすがすがしい朝(?)を迎えられるかもしれない。 良いキャンプ場ではあるが・・・虫環境が辛いかも。 夏場は虫が多いので、虫対策は必須。 特に、ボットントイレは過酷な環境で、このキャンプ場での一番の難所。 汚物槽の中は地獄絵図なので、けっして覗きこんではいけない。 |
写真
タケノコぎっしり。
ザックは全体が汚れており、どうやら数日前から置いてあるようだ。
まさか、タケノコ取りに来て遭難したのでは…
しばらく周辺を捜索してみたが、ザックの持ち主は居ない。
単に忘れただけ、だと良いが…
ザックのメーカーはノースフェイス。
場所は、鳥川橋からしばらく上流側へ進んだ先です。
ザックは見つけた場所に置いておきます。
感想
今年の沢始めに安達太良山へ出かけてみた。
計画では、14日(土)に日帰りで烏川を遡行し、下山後はあだたら高原野営場で一泊。
翌15日(日)には湯川を遡行する予定だった。
しかし、14日に登山口のあだたら高原スキー場に着くと、山の上は曇り空。
風は強くて小雨が降っており、肌寒い。
この環境での沢登りは気乗りせず、今日は中止。
麓は天気が良かったので、野営場へと向かいテントを張り、
その後は、福島方面へツーリングへ出かけて一日を過ごした。
あだたら高原野営場で一夜を過ごし、翌日の15日。
再びスキー場へ行くと、今度は快晴。風も弱い。
良い遡行日和になりそうだ。
久々の沢登り、そして今回はモンベルのアクアグリッパー初使用。
これまでフェルト底の沢靴を使ってきた私にとっては、初のラバーソールなので、
楽しみにしつつ、入渓点の滝見橋へと向かう。
滝見橋から沢登り開始であるが、すぐには遡行せず、
しばらく靴のフリクションを確かめてから沢登りを開始した。
沢の序盤は、あだたら渓谷自然遊歩道に沿って沢が続く。
小滝が続くが、簡単に登れる滝が殆どなので楽しめる。
沢水は冷たいが、この沢は大きく濡れる箇所が少ない。
シャツ2枚に、レインウェアを着て歩いたが、それほど寒さは気にならず、
日差しがあるので、沢から上がればすぐに体は温まる。
心地良い沢歩きが続いた。
鳥川橋を過ぎると小滝は少なくなり、やや沢は単調になる。
少し、沢歩きに飽きてくる頃だ。
しかし、水量1:1の二俣を左俣へと進めば、やがて前方に大きな滝が見えてきて、
再び気分は盛り上がる。
落差40m、左俣の大滝。
この沢一番の見物であり、思い出のある滝である。
今からもう何年も前。
初めてこの沢を訪れた時、私は沢の師匠と二人で訪れていた。
当時の私は全くの沢初心者で、数mの小滝に登るのすら、ビビりながら登っていた。
そんな私が、何も知らずにこの沢を訪れたのだが、遡行開始して間もなく、
師匠曰く「この沢では40mの滝登りがあるから気を付けろよ。」等と言い放つ。
ぇ・・・?
40m・・・、だと?
小滝登るのがやっとの私が、そんな大滝登れるワケないだろ><
この人、俺を殺す気かもしれん・・・
私は40mの直瀑を登る事を連想し、不安に思いながら師匠の後を付いていったものだった。
もちろん、そんな危険な滝を初心者に登らせるはずは無い。
大滝に到着し、それを見た途端、気が抜けた。
どんな滝かと思えば・・・これかよ(笑)
思わず笑ってしまった。
確かに大滝であるが、傾斜が付いており階段状になっているので
初心者の私でも簡単に登れそうな滝に見えた。
「これ、滝って言うよりも階段ですよね。」
失礼ながら、思わずそんな事を口にする私。
「ばかやろう、立派な大滝だろうが。甘く見ると死ぬぞ。」
と、師匠に怒られた。
実際、その言葉は正しかった。
下段は階段状で楽に登れた。
だが、最後の約5mは傾斜が立っている。
これまでのような階段状の歩き易い場所は無く、ホールドをしっかり見極め、
捉えながら登らなければならない箇所だった。
登ってきた滝を振り返ると、かなり高度感があって怖さを感じる。
もう下れないから、登るしかない。
でも、今の自分が登れるだろうか?
もし失敗したら、無事では済まない。
再び不安が湧きあがる。
下からこの滝を眺めた時は簡単な滝に思えて、この危険さに気が付かず甘く見た。
そして、安易に滝に足を踏み入れた。
まだまだ初心者だったのだな。
そんな私の顔色を見て、師匠は「ちょっと待ってろ」と言い残すとスルスルと登って行き、
上部からザイルを落とす。
ザイルのお陰で、その場は安全に通過出来き、なんとか上部まで登れた。
上部に到達した私を見て、
「ひひひ、どうだ怖かったか(笑)」
と、子供のように笑う師匠。
「はぁ・・・ありがとうございます。」
と、すっかり委縮し、お礼を言う私。
師の有難味を実感したものだった。
でも・・・
事前に、滝の説明してくれても良いよなぁ^^;
今よりもネット情報が少ない時代の話なので、沢の情報は師匠の話が全て。
にも拘らず沢の説明はせず、いきなり連れて行って「ほれ、これ登ってみろ。」
と突き放すようなスパルタ教師だった。
お陰で、スリリングな沢経験を随分とさせて貰ったものだったよ。
だが、危険な箇所では必ず先行し、ザイルフォローをしてくれる面倒見のよい人であり、
多くを学ばさせて頂いた。
今、こうして沢に登れるのも、師匠のお陰である。
残念ながら、もう師匠と一緒に沢へ行く事は無い。
だが、この滝を見ると、当時の思い出が偲ばれる。
あの頃は一人では登れない滝だったが、今では一人でも充分登れる。
滝の上部に差し掛かり、上を見上げても全く不安は感じない。
下を見下ろしても怖さは感じず、心穏やかである。
あの頃に比べると、少しは成長したんだなぁ。
今の私の姿を師匠に見てもらいたいものだ、と少し得意になる。
あ、いや・・・
「甘く見ると死ぬぞ。」
はい、師匠、そうでした。
今回は初のラバーソールなので甘く見てはいけない。
大滝にはヌメりの付いた場所があるので、足場は慎重に選ばないと…
どんな滝だろうと、甘く見たら死ぬ。
師の言葉と初心を思い出し、慎重に登り詰めた。
大滝を通過後は、薮沢と薮漕ぎを経て登山道に出た。
これで沢登りは終わり。
あとは下山しても良いのだが、空は快晴で絶好の山日和。
もう少し、アクアグリッパーの性能を確かめたかったので、安達太良山の山頂へ向かう。
安達太良山の山頂で鉄山を眺めていたら、そちらへも行きたくなったので、
鉄山まで足を伸ばして目一杯歩いてみた後で下山する。
下山するまで快晴は続き、安達太良山の素晴らしい沢と山景色、
そして、少し懐かしい気分にもなれた充実した山行の一日。
最後の薮漕ぎが大変だったけど、久しぶりに訪れた鳥川は変わらず良い沢だった。
夏の時期も良いが、この沢は、紅葉の時期が特に素晴らしい。
またその頃にでも訪れてみようか、と思いながら帰路についた。
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余談ではあるが、今回使用した沢靴 モンベルのアクアグリッパーについて、
感想を記載しておこうかと。
まず、濡れた岩。
普通に歩く上では若干滑るように感じる事もあったが、靴底を岩に押し付けるような感じで歩くと強い。
点では無く、面で岩を捉えるような感じ。
そのようにして歩けば、濡れた岩ではフェルト靴以上に安定するような感じがした。
次に、苔。
これが沢靴の評価において重要になってくるかと思うが、緑色の普通の苔では充分いけると感じた。
だが、黒色のヌメリのある苔については・・・かなり滑る^^;
まぁ、ヌメリ苔はフェルトでも滑るので、普段から避けながら歩くようにはしてるが、
ラバーソールにおいては、今まで以上に気を付けて歩く必要があるかと思う。
ヌメリの多い沢では使い物にならなくなるかもしれないので、その辺は沢に合わせて
靴を変える必要があるかもしれない。
レコで歩いた鳥川左俣は、今回はヌメリ苔は少なかった。
だが、渇水が続くとヌメリが多くなる沢でもあるので、その辺の情報収集も重要になって来るだろう。
(今回は念の為、ワラジも持参した。)
オールラウンドでは使えないので、沢ではどういう場所・状況が滑るのか、
という事を知った上で使用しないと危ない。
沢初心者にはあまりオススメは出来ない靴かな、という感想を持った。
恐らくこれは、アクアグリッパーに限らず、ラバーソールの沢靴全般に言える事だろう。
だが、それらを把握した上で使うには良い沢靴だと思う。
今回、沢で使用した上では充分満足行く性能であり、一般登山道においても良い感じだ。
フェルトよりも土に対するグリップ力が強いので、一般登山道歩きも充分こなせる。
濡れた岩に強いので、雨の日に岩場を歩く状況であれば、普通の登山靴よりも安定しそうだ。
飯豊連峰のダイグラ尾根や剣ヶ峰のような雨で濡れたら危険な岩場がある登山道も、
これがあれば安心して通過出来そうであり、一度検証してみたいところである。
靴底が薄いので足へのダメージが大きく、ロングルートには適さないかもしれないけど、
アクアグリッパーにはズックタイプもあるので、濡れた岩場や渡渉用にサブシューズとして持参する、
なんてのも良いかもしれない。
今回、私が購入したのはハイカットタイプだが、そう考えるとズックタイプも欲しくなってくる。
これまでサブシューズにはワラジを携帯していたが、それに変わるサブシューズとして、
ズックタイプのアクアグリッパーも買ってしまおうか、と現在検討中。
靴を買ったばかりなのに、また欲しい山道具が出てきてしまった。
だが、一点だけ、不満がある。
この靴、ものすごーく、履きにくい。
ネオプレンの靴下と靴が一体になったような構造をしており、足の入口が狭いので、
足をねじ込むのにえらく苦労する。
こんな履きにくい靴は初めてだぞ・・・
ネオプレンの正面をマジックテープやチャックにして開けるようにすれば、
着脱性が良くなると思うのだが…
モンベルさん、その辺検討してもらえませんかね?
次モデルでは、期待しております。
いずれにせよ、だいぶ靴の特性は掴めてきたとは言え、一回の遡行だけでは
判らない部分も多いだろう。
もうしばらくは易しい沢で様子見しつつ、使って行こうかと思う。
Luskeさん
こんにちわ。
沢のレコも、師匠とのエピソードも、アクアグリッパーのレビューも大変参考になりました。
先日いったクライミングの講習で丹沢の沢を歩きまくっている講師に同じことを言われました。自分は丹沢の優しい沢で試してみようと思っています。
レベルの高い東北の沢に行けるように、悪場に対応できるようにクライミングをはじめました。どの程度効果があるかわかりませんが実感できる時を楽しみにしたいと思います。
Luskeさんの今シーズンの沢レコしっかりチェックさせていただきます
metaさんのレコで紹介されていたアクアグリッパー、
今回が初使用でしたが、とても使い勝手が良かったです。
まだ未知数な部分もありますので、今後も検証していきたいと思っております。
東北もようやく沢シーズンになってきました。
今週からはまた梅雨に戻るみたいなので、次回はしばらく先ですが、
今年もいろんな沢を巡りたいと思います
最近、私の方はすっかり御無沙汰ですが、
近くの山にクライミング用の岩場がありますので、
そこでよく練習してました。
私が行くのは、殆どが初級レベルの沢なので、
実際にクライミングレベルの登攀をする事はありませんが、
やはり、練習しておくと役立ちますよね。
土曜日の朝5時に稜線北側の野地温泉登山口に居たんです
Luskeさんに一言連絡入れれば良かったですね。
例年、今時期はお仕事が忙しだろうと勝手に思いこんでいました
それにしてもこの安達太良山、土曜は風の強い日でした。
おまけに視界不良
翌日はさすがに晴れそうでしたが、丸一日車の中でぼーっと過ごすのも嫌だなと思い、磐越使って新潟方面へドライブに出かけたのでした
そろそろ、沢の次期ですね。
僕はピンソールなる物を装備に加えました。
http://www.syoei-pro.co.jp/keiryu.html
まだ一度も試していません。
Luske師匠、近いうちどこかご一緒しましょうぜ
6月上旬は忙しかったですが、今は一段落したところです
土曜日、野地温泉に居たのですか
なんだ、一言いってくれればよかったのに。
夜はキャンプ場で暇してたので、ぜひお越し頂きたいところでした。
土曜は風も強かったですが、野地温泉の方は雨ではありませんでしたか?
最初、猪苗代湖までツーリングに行こうとしましたが、
土湯周辺で雨に降られて撤退。
天気の良さそうな福島方面に変更しました。
東北も、ようやく沢の時期ですね。
ピンソール、どんなものなのか拝見させて頂きましたが、
なるほど、コレは高巻きの時に良さそうですね。
フェルト靴だと高巻きの時に不安を感じるので、
ラバーソールを選んでみましたが、コレがあればフェルトでも安定しそう。
うーん、ズックのアクアグリッパーも欲しいけど、ピンソールも欲しい。
またも欲しいものが出てきてしまいました^^;
また梅雨に戻りそうなので、しばらく沢は我慢ですが、梅雨明けが楽しみです。
今年もどこかの沢に御一緒したいですね!
行きたいと思っていたところです。
レポ助かります。参考にさせてくださいませ。
拙い記録ですが、参考になれば幸いです。
少し水が冷たかったですが、雪渓は無いので沢登りに良い状態でした。
鳥川左俣は、最後の薮漕ぎが大変ですが、大滝のような見所があり良い沢です。
kawamasaさんが訪れた際は、楽しい遡行になるよう、祈っております。
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