剱岳 北方稜線（室堂〜水平歩道・下り）
富山県
taksizm
体力度について
- GPS
- 23:31
- 距離
- 35.0km
- 登り
- 4,125m
- 下り
- 5,932m
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標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 3:19
- 休憩
- 1:19
- 合計
- 4:38
- 山行
- 11:21
- 休憩
- 2:30
- 合計
- 13:51
| 天候 | 8/27 快晴（予報◎）南から太平洋高気圧が優勢 8/28 西風ガス一時晴れ のち雨（予報✕） 黄海に発生した高気圧と太平洋高気圧の間に前線が発生し暖湿気が流入。8/29の予想天気図がそのまま1日前倒しになり予報外れ。富山平野は快晴。 https://tenki.jp/past/2021/08/28/chart/ 8/29 快晴（予報✕）本来ならガスだったと思う |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2021年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 自家用車
欅平に下山後、欅平〜立山間はトロッコ列車（黒部峡谷鉄道）とローカル線（富山地鉄）を乗り継いで4時間。計3910円。途中宇奈月と寺田で乗り換えあり。時刻表は下リンク https://transit.yahoo.co.jp/search/result?from=%E6%AC%85%E5%B9%B3&to=%E7%AB%8B%E5%B1%B1 黒部宇奈月温泉駅にも無料駐車場があり、朝一そちらに停めて新幹線を使う手もあります。 |
| コース状況／ 危険箇所等 |
全体を通して長次郎谷側が寝ていて池ノ谷側が立っているため、巻きはほぼ長次郎側についています。 ・室堂〜立山三山〜剱沢〜剱岳 一ノ越〜雄山はハイカー多く渋滞。ほかは快適。剱の別山尾根は夜明け前、行列のトップバッターになったらヘッデンでの岩場迷いに注意。日が昇れば問題ないです。 ・剱岳〜長次郎のコル ガスった時の下る方向には要注意。緩急を繰り返して高度を下げます。カニのタテバイのような箇所はなく段差も基本前向き姿勢、途中途中で登山道っぽい踏み跡もあります（崖に出たらルートミス）。一箇所残置トラロープもありますが三点支持で下れます。下の方は右手ガラガラの小ルンゼには入らず、池ノ谷との稜線上を意識して進みました。 ・長次郎のコル〜長次郎の頭直下〜モアイ像 3〜4本ルートがあり一番下の巻きを選択。コルから右手に注意しつつザレ場を十数メートル登るとすぐ巻き道のエントリーポイント。入ると2段のバンドになっていて上の段に乗るので、下の段（フィックスロープの残置支点が見える）に降りて進むと更に2手にルートが分かれます。一つは外傾した岩棚のへつり、もう一つはルンゼ直登ルートで後者へ。ルンゼは簡単に登れて下降での利用も可能。 登りきったルンゼ出口からは長次郎の頭には登らず、モアイ像そっくりのピークに向かって長次郎側を斜上していく感じでした。この長次郎の頭付近は浮石だらけで、滑落と落石の誘発に要注意。ホールドも気をつけないと岩ごと剥がれます。 ・モアイ像〜岩棚トラバース〜大広間 モアイ像ピークは長次郎側の基部を巻き、そのまま岩棚トラバースへ。難所と呼ばれ残置スリングが有名ですが写真で見るよりかは道幅が広く、跨ぐか飛び越すといわれてきた岩の溝にも足場があるので歩いて通過、危険は感じませんでした。逆にそこに至る手前の方が細いへつりムーブで浮石もあり、滑落に注意。 ・大広間〜池ノ谷ノ頭〜池ノ谷乗越 大広間は2枚岩に挟まれた天然の平地で緊急ビバーク可能。大広間から左手に岩を登るとすぐ池ノ谷ノ頭に出ます。小窓ノ王〜チンネ〜八ツ峰の針峰群と来し方を一望でき、北方稜線のハイライト。池ノ谷乗越へはスラブを下りますがホールド、スタンス豊富でロープの出番はないです。後半で右手にルンゼが出てきますが入らず、リッジに乗ったまま中央フェースを右斜め的に下降し続けて乗越に降りたちました。 ・池ノ谷乗越〜池ノ谷ガリー〜三ノ窓直下（池ノ谷側） 凄まじいガレの大下り。真ん中は脆いので左壁側（スキーヤーズレフト）の踏跡を忠実に踏んで下って行き、途中の大岩を回り込むと不明瞭となり再びキープレフト。浮石に乗ると落石どころか岩雪崩を起こすので、牛歩でそっと足を置いてソロリソロリ歩きました。登ってくる方がいる場合、落石を起こすと事故に繋がるので待機すること。標高差200mほど下ると右手に出口が見えたので、ガラガラを横断し脱出。 ・三ノ窓直下〜発射台〜小窓 三ノ窓は鞍部を通るルートと鞍部直下を通るルートがあり、本レコは後者なので三ノ窓の幕営スペースは未確認。発射台は池ノ谷ガリーから眺めて本当にあそこ登れるのかと思わされる地形ですが、近づくと割と普通のガレた登山道が延びており、フィックスロープもあって慎重に登れば大丈夫です。 発射台からは小窓尾根をわずかに進んだ後、ペンキ矢印に従って小窓側に下降開始します。見落としに注意。下降ルートは明瞭ですが、一部藪っぽかったり急に方向転換する箇所があります。写真に注釈を入れたので参照下さい。 途中、滑落すると止まらない急斜度の雪渓横断があるのですが、既に雪渓は完全に消えていました。ダブルウィペットと12本爪アイゼン持参したのですが出番なく、ウィペットは杖代わりに。笑 ・小窓〜鉱山道〜池ノ平小屋 小窓氷河の雪渓下り。この時期でもまだ厚みがある感じで、クラックも少なく広かったです。斜度は緩いのでツボ足でも可。鉱山道の取り付きは左側（スキーヤーズレフト）の地形に注意していないと通り過ぎると思います。右手にある1本目の大きな滝を過ぎ、2本目に気づいたら行き過ぎの可能性あり。 鉱山道はザレの通過が脆く注意。ザレの後に外傾した岩棚が出てきますが、写真で見るよりも傾いてなくて安心でした。 ・池ノ平小屋〜仙人池〜阿曽原温泉〜欅平 一般登山道ですが上級向き。仙人谷沿いに下る仙人池〜仙人温泉は、雨での増水と残雪状況に注意。8月末時点では雪渓の横断が複数あります。仙人温泉小屋の先にラストの大きな雪渓横断がありますが、大きな穴が開いてる上に雪渓の縁と岸の間にギャップが生じており、ジャンプが必要でした。水平歩道は問題なかったです。 <ロープの有無> ルートを外さなければザイル不要の北方稜線ですが、わずかでも逸れると崖に出たりザレ地獄で身動き取れなくなるリスクが高いです。ルーファイが難しく、いざという時には短い懸垂下降も余儀なくされる前提でのパッキングが無難。 <登りか下りか> どっちもどっちかなあ、と思いました。個人的には長次郎のコル〜大広間が不安定な印象で、あの浮石斜面を逆方向でルーファイしながら、、というのは気が引けます。一方クライムダウンが苦手な方は池ノ谷ノ頭〜乗越、剱岳〜長次郎のコルは手こずるかも知れません（池ノ谷ガリーは両方向とも牛歩）。体力的には下りの方が圧倒的に楽で、逆コースは疲れた身体で核心部を越えるリスクもあります。 |
| その他周辺情報 | 一部の写真にイラレでコメントを入れました。拡大した画像がピンぼけしてしまう場合は、お手数ですが元サイズをクリックしてご覧下さいmm |
| 予約できる山小屋 |
|
写真
拍手
装備
| 個人装備 |
ザック38L
ULテント
シュラフ
マット
食料
コッヘル
バーナー
着替え
7mm20mロープ
Edelridマイクロジュル
EdelridカラビナHMS型
240cmスリング
他スリングx4
他カラビナx5
プルージック
5mm3mm細引き
Petzlアルパインハーネス
ヘルメット
BlackDiamondウィペット
12本爪アルミアイゼン
EzyShoes
ローカットシューズ
|
|---|---|
| 備考 | EzyShoesは池ノ谷ガリーと小窓氷河の下りに着用。ロープやスリング、アイゼンは未使用。 |
感想
密かに伊藤新道を狙っていたのですが、8月長雨の影響を憂慮して北方稜線に転進。調べると岩稜の剱〜池ノ谷乗越間はあまり下らず小さなアップダウンで、ガリーと小窓で大きく標高を下げる感じ。下りでも技術的には大差ないと思ったので、欅平へ縦走することにしました。
平日ということもあり、立山駅の整理券待ちは8:20便に乗れて9時半に室堂着。1日快晴なのと久々標高に身体を慣らすため、雷鳥沢ではなく立山三山へ。雄山を越えると人も少なくなり快適なハイキングが続きます。富士ノ折立では写真撮っていただきありがとうございましたmm 別山でのんびりランチして14時剱沢にて設営。
翌朝は3時半に出発。ヘッデンでの岩場は結構分かりづらい。後続も大体ついて来るので集団の先頭になったら迷わないようにしましょう。6時半に剱岳登頂。期待したモルゲンと雲海は見えず真っ白け、しかも少し西風びゅうびゅうで寒い。5分休憩して北方稜線へ。ガスの中ルートは予習通りの展開で、道迷いもなく長次郎ノ頭を巻きました。
岩棚トラバースを過ぎて大広間からようやくガスが晴れて、八ツ峰や小窓の険しく切り立った稜線が顔を出します。池ノ谷ノ頭からの展望は凄い。15年前ガイドに連れられて登ったシャモニのAiguilles Rougesこと赤い針峰群そっくり。束の間ですが本場アルプスに行った感覚を味わいました。周囲の山々にチンネやクレオパトラ・ニードルといった名が冠されてるのも納得です。北方稜線、これはホントに行って良かった^^
快適なスラブ状を下って池ノ谷乗越へ。池ノ平小屋スタッフが偵察に来れていてしばし談笑。ここからの三ノ窓への下りは有名ですが浮石が一面に転がり重なっているガリーで、踏み入れると一歩々々が岩雪崩を起こす寸前。牛歩でたっぷり時間をかけて下りました。発射台はこれまたミサイル発射角度に見える巨大バンドで、遠目では到底登れそうにないものの近づくと登山道があり、難なく通過。小窓の下りで池平山が時折見えたものの、時間が経つにつれてガスが多く流れてきてショーは終わりました。大満足。
急斜度の雪渓横断箇所も雪は消えていて12爪の出番はなく、小窓氷河はEzyShoesで下って鉱山道も無事通過。お昼に池ノ平小屋に着きましたが、翌日の長い行程と車回収を考えると阿曽原まで下っておきたい。やがて本降りの雨となり、頭の中で温泉とビール描きながら小走りで仙人谷ダムへ。ここで突然線路を横断します。高熱隧道のほんの入口ですが地熱ポカポカで、カメラレンズが曇る。その昔、中島みゆきが紅白生中継で歌った所からも近く、こんな感じだったのかと思いました。
阿曽原温泉は今の時期は人が少なくテント4張り。露天風呂は貸し切りでした。翌朝はジリジリ気温が上がる中の水平歩道。スリルがあるお陰で飽きることなく欅平へ。トロッコとローカル線に揺られて車に戻り、下道でのんびり帰宅しました。
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