晩秋の湖(うみ)の辺の道を歩く


- GPS
- 03:54
- 距離
- 12.9km
- 登り
- 763m
- 下り
- 717m
コースタイム
- 山行
- 4:07
- 休憩
- 0:07
- 合計
- 4:14
天候 | 晴れのち曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
|
コース状況/ 危険箇所等 |
整備された遊歩道 |
写真
感想
琵琶湖の西岸を北上すると、山裾では紅葉が広がっているが、中腹以上の高さでは樹々はすっかり落葉している。昨日は比良の山では降雪があったようで、美山の山から遠く冠雪した山々が見えていたが、山の上に見当たらない。この日は気温はかなり上昇し、うららかな小春日和になりそうだ。
車を木ノ本の駐車場に停めて、JRで河毛の駅に向かう。河毛からは水鳥ステーション行きのコミュニティー・バスのコハクチョウ号の乗り継ぐ筈であるが、バスの姿も停留所も見当たらない。駅舎がコミュニティー・ハウスとなっているので、そこの職員にバス停はどこですか?と聞くと、コミュニティー・バスはしばらく前に廃止になったとのこと。
駅前には一台のタクシーが停まっていたので乗ろうとすると、予約のタクシーであった。運転手が無線で近くを走っている他のタクシーを呼んでくれたので、10分もしないうちにタクシーが到着する。
山本山の登山口となる朝日山神社にたどり着く。境内は早速にも紅に染まったイロハモミジがお出迎えである。境内の左手の階段を登って行くと、すぐに常楽寺にたどり着く。こちらも境内は多数のモミジで彩られている。境内には多数の石仏がある。中には軍服姿のものやジャケットを羽織っているものもあり、かなり近代になって作られたもののようだ。多くの石仏が愛嬌のあるユニークな表情を見せており、微笑ましい気分になる。
寺の背後には大きな忠魂碑の石碑がある。左手には伊吹山、正面には霊仙山の展望が大きく広がる。山本山にかけて登山道よりは遊歩道といった感じの広い山道をジグザグに登っていく。途中には見頃を迎えた楓の紅葉が多く見られる。
山頂はかつての城跡であり、平地が広がっている。土塁の一角に幾つかの山名標が掛けられているのが目に入る。途中の追坂峠の道の駅で手に入れてきた鯖寿司や巻き寿司でランチ休憩をとる。
尾根の東側には随所に伊吹山地の眺望が開け、ブンゲン、金糞岳、横山岳を見ながら尾根を北上する。尾根には次々と古保利古墳と呼ばれる古墳の案内標が現れる。7世紀頃、尾根上には連綿と古墳が造成されたらしい。どう見ても自然の隆起にしか見えないのだが、果たして作られた当時は一般人の立ち入れの許されない神聖な場所だったのであろう。古代の豪族がこの場所を墓所に選んだのも琵琶湖と湖北の山々を同時に見晴らすこの好展望地ゆえのことであったか。
古墳の自然林の中に踏み込んでみると、鮮やかな黄色の樹々が多く見られる。いずれの樹々も特徴的な三出複葉を呈しており、タカノツメのようだ。
先ほどまでほとんど雲のない青空が広がっていたにも関わらず空には急速に雲が広がり、いつしか青空が消えている。西側の琵琶湖は乳白色の液体を流し込んだかのように湖面が白くなる。
左手の琵琶湖の湖周道路からはツーリングを楽しむバイクのものと思われる大きな音がきこえてくる。湖周道路がこの山の下の片山トンネルと通っているのだった。
西野山の登りに差しかかると樹間にわずかに展望が開けており、山本山から辿ってきた縦走路を振り返ることが出来る。山本山の手前には見事にほぼ相似形の山が等間隔に連なっているのが見える。偶然に出来た地形なのであろうが、絵になる風景である。
山頂直下に至ると樹高の高い樹々が多く、壮麗な森の雰囲気となる。タカノツメの他に、カツラや山椒の鮮やかな黄葉も目を惹く。
次のピーク、丸山にかけては植林の中の単調な道が多いが、丸山のピークを越えると、送電線の伐採斜面からはいよいよ正面に賤ヶ岳が姿を見せる。賤ヶ岳ロープウェイからは山頂まで多くの人が往復しており、それまでの人にすれ違うことのなかった静かな縦走路から雰囲気は一変する。
賤ヶ岳山頂に到達すると360度の好展望であり、西側には錦繍の斜面の向こう側に先日、縦走した乗鞍岳から岩籠山への稜線が見える。北側には余呉湖の姿が目に入る。南側の琵琶湖は傾いた陽光お反射が眩しいほどだが、湖北のあたりは曇天が広がり、余呉湖は鉛色の水を湛えており、右手の横山岳には雲が影を落とす。山頂にたどり着いた人々は次々と「来てよかった〜」という歓声が聞こえてくる。
風もほとんどなく、山頂は師走とは思えぬほど暖かい空気に覆われている。余呉湖を前にして地元のボランティアと思しき人が賤ヶ岳の戦の講釈されるのを若いカップルが聞き入っている。面白そうではあるが、余呉から木ノ本に戻るのに16時過ぎには駅に到着する必要があるので、あまりのんびりしている訳にもいかない。
賤ヶ岳からの下りに入ると人影はなく、再び静かな遊歩道となる。遊歩道はほとんどは展望のない植林の中をなだらかに下ってゆく。紅葉の自然林が現れたのは下山路の終盤、余呉駅にかなり近づいてからであった。
登山口に降り立つと余呉駅の電車の時間まで少しの余裕があるので、余呉湖に立ち寄る。いつしか夕陽は雲の陰に隠れ、湖面は薄墨を流し込んだような空の雲を反射して、鈍く輝いているのだった。余呉駅から電車に乗り込むと賤ヶ岳の陰から一瞬、明るい夕陽が差し込んだかと思うと、瞬く間に山の陰に光が消えていった。
木ノ本では七本槍の吟吹雪による純米酒を手に入れる。しばらく前までは店員に「吟吹雪ありますか」と云って初めて奥の冷蔵庫から出してきてくれたものだが、今回は店頭に並べられていた。
京都に向かって車を走らせると飯浦にさしかかったところで湖面には残照が映えている。天候にも恵まれ、展望や紅葉に恵まれた遊歩道を歩くには格好の一日であった。
豪雪のイメージがある余呉ですが、まったく雪らしきものが写ってないですね。
土曜日の朝は、あちらこちら積雪の便りもあり、阪急電車の神戸線では寒さによるものかレールの亀裂が原因で乗っていた電車が運転見合わせになっちゃいました。
この辺りは未だ踏めていない領域ですが、海苔メーカーの名前みたいなお山もあり、散策レベルで歩けるようでメモ書きしているお山です。
コミュニティーバスが無くなっちゃったのですね。
「湖北野鳥センター」で検索すると、駅からの「公共交通機関はありません」と赤文字で明記してありますが、「こはくちょうバス」で検索すると時刻表などの案内も出てきますから、ネット検索は注意も必要ですね。
地図では近そうに見えましたが、HPの案内で駅から「徒歩で100分」には少々驚きでした。
10/14にコハクチョウ初渡来とありまして。次の日曜日にはオオワシの観察会も模様されるとか。山本山でオオワシが見られるみたいですね。このルートに行ってみようかな?? 雪になるかもしれませんね。
帰りの足をググると余呉駅から新快速で直接京都へ帰って来られるんですね。1時間おきですけどね。
ののさん コメント有難うございます。
土曜日の雪はすぐに消えたようですね。運転見合わせになった阪急電車にののさんが乗っておられたんですか? だどすると、どうやってリカバリーされたんでしょう?
この湖の辺の道のPDFでも登山口まで「こはくちょうバ」と案内が載せられているので、他にも勘違いする人もいるかもしれません。
ののさんならお得意の自転車をデポするという方法が考えられるのではないでしょうか。その場合は賤ケ岳の登山口か山本山の登山口にデポという方法も考えられるかと思いますよ。
このルートは珍しく家内も「人におすすめしたいルート」と申しておりました。
しかし、山本山で簡単にオオワシが見られるものかどうかはわかりませんが
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