シャクナゲの甲武信〜西沢渓谷から十文字峠へ〜


- GPS
- --:--
- 距離
- 19.1km
- 登り
- 1,819m
- 下り
- 1,593m
コースタイム
天候 | 雲が多いがおおむね晴れ。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
市営バスhttp://www.city.yamanashi.yamanashi.jp/sight/traffic/bus.html 復路:信濃川上駅から小海線で佐久平駅。佐久平から長野新幹線で東京へ。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
西沢渓谷入口に登山ポスト、トイレあり。 近丸新道:序盤、小さな崩壊地いくつかあり、注意。大きな堰堤を横切り、すぐに尾根に取りつく。標識、見落とさずに。他、最後まで危険個所無。 残雪:木賊山付近、若干。あと一週間もすればすべて消えると思う。 注:早い時間に歩ければ、十分日帰り可能かと思いますが、ゆったり歩くなら 西沢渓谷側からなら甲武信小屋、毛木平側からなら十文字小屋泊まりがお勧めです。(念のため) |
写真
感想
シャクナゲの甲武信へ行きたい。
公共交通機関を使い行くとなると西沢渓谷から登れば現実的だが、始発のバスでも、登山口への到着は10時を過ぎる。
日帰り登山となると、あまりに遅いスタートになる。しかし休日は一日しかない。
最近、登山のために車を買おうと思ったが、ピストン登山にも縛られたくない。
やはり、どこから登り、どこに降りるか、それを考えるのが楽しい。
シャクナゲを堪能するなら西沢渓谷から、十文字峠まで一気に行きたい。
十文字小屋に咲くというシャクナゲの群落はきっと今が見ごろなはず。
毛木平に6時までに降りられれば、東京になんとか帰ってこれるようだ。
まったり登山はできそうにないが可能性はある。決めた。
平日は山梨市駅から西沢渓谷行きのバスがある。(塩山駅からは土日だけのようだ)
大きなザックを背負った学生さんの団体と一緒に市営バスに乗る。
どうやら、3日かけて、甲武信から瑞垣まで行くようだ。
西沢渓谷に降りると新鮮な空気を感じる。新緑と渓谷のせせらぎの音が心地よい。
ここだけをハイキングするだけでも気持ち良いだろう。
立派な渓谷入口からすこし入ると登山口があった。今回は近丸新道から登ることにする。
徳ちゃん新道へ向かう学生さんを避け、静かな登山を楽しみたかった。
尾根に取りつき、標高を上げていくと、すぐにシャクナゲが現れた。
ピークは少し過ぎたようだが、淡い色のシャクナゲは華麗に花を咲かせている。
品があり、よそいきの雰囲気のなのに、妙に親しみやすい。山に入る登山者に微笑んでいるようだ。
シャクナゲは標高の違いでずいぶん花の開きに差があるようだ。
尾根の下部の方では終わりかけていたシャクナゲは僅か200mほど上がると蕾がまだ出てくる。
花自体はすぐに傷んでしまい、落ちてしまうようだが、次々と開くため、登山者の目を飽きさせない。
シャクナゲの山だ。そう思った。
5時間あまりの尾根を3時間で登りたかったが、かなり時間がかかった。(写真を撮りすぎたか)甲武信小屋に着いたのは2時近かった。
木の香りのする良い小屋だ。少し前に出会った単独の男性はここでテントを張るとのこと。
コンビニのカレーパンを食べ、すぐに頂上を目指す。
頂上からは金峰、瑞垣へと続く稜線が見えた。雲取から瑞垣の縦走に思いを巡らす。
2日でやるヤマレコさんもいる(すご過ぎです!)が、最低3日は必要だ。それだけに、この山脈の大きさを感じる。
奥多摩、秩父の方は雲海が出てきている。山の谷間へ霧が川のように流れていく。
巨大な川だ。日本画に描かれる竜のごとく、畝っている。
明日からまた雨。あの学生さん達は雨の登山となってしまいそうだ。
三宝山を降り、尻岩から再び登り、小さなアップダウンが続く。
突然、太腿の両側の筋肉が同時に攣ってしまった。
痛烈な痛み。あせらず、痛みの引くのを待って、再び登る。
白岩山を越え大山から十文字峠へと下る。
突然、霧の中に包まれた。別の世界に入ってしまったかのようだ。
十文字小屋、5時までに到着したい。霧は濃くなっていく。
まだか、と思った時、少し開けた場所に出た。
エプロンをつけた女性が薪の整理をしていた。着いた。十文字小屋だ。
これはすごい。つい声が漏れる。
十文字小屋はシャクナゲに包まれていた。まるでシャクナゲの中に小屋があるかのようだ。時間は4時半を少し回っていた。
毛木平までの予定時間をクリアできそうだという安心感と
楽ではなかった行程もあってか、満開のシャクナゲを見てじーんと胸が詰まった。
ストックとザックを放り投げカメラを取り出す。ほとんど、構図も考えず、がむしゃらにシャッターを押した。
シャクナゲのために用意されたかのような霧は薄紅色の花を際立たせ、ほどよく溶け込んでいる。ここが特別の場所のようにさえ思える。
展望台の方へ行くと群生地もあるそうだが、なんだか、不思議と満足してしまった。今考えると惜しいことをしたと思う。
でも満たされたのだと思う。
小屋のおかみさんは西沢渓谷から来たというと驚いていたようだが、また、会いたくなるような気さくな方だった。あいさつを交わし、毛木平へと降りる。
余力はまだあった。毛木平からバス停まで歩けそうだ。少し歩くとベニバナイチヤクソウで斜面が埋め尽くされている。
これまた、すごい。時間がないはずなのにカメラを取り出す。これだから、いつもギリギリの登山になる。
案の定、時間に不安を感じ、広大なレタス畑の中でタクシーを呼ぶことになる。(実はこの時、バス停のすぐ近くまで来ていたようだ。)
運転手さんは親切な方で川上町のことをいろいろ教えてくれた。今はレタスの収穫のためにたくさんの研修生がアジア各国からきているとのこと。
良く見ると、歩いているのは日本人よりアジアから来た方のほうが多い。
運転手さんは東京に帰ると言うと、登り電車の最短時刻まで調べてくれた。
佐久平から新幹線に乗れば、予定より早く帰れることがわかった。
少し、疲れたが、本当に密度の濃い良い一日だった。
タクシーの中からまだ、前方に八ヶ岳がうっすらと見えていた。
makasioさん、はじめまして、こんにちは。
写真、写真へのコメント、各種レポート、歩かれたルート、
どれもこれもすばらしいレコでした。
makasioさんの山と自然への愛情がいっぱいで引き込まれ
ちゃいました。
甲武信ヶ岳はうちのチームの憧れで今年の目標の一座です。
同じルートを踏破する自信はありませんが、わたしたちも山の
懐と歴史を愛でながら必ず挑戦しようと決めました!
うれしいコメント、ありがとうございます。
正直、全力でした。疲れました。
タイトルを「本気の甲武信」と始めはつけたほどです。
ただ、それだけに十文字峠のシャクナゲに感動しました。
最後のベニバナイチヤクソウも何かの御褒美かと。
山に咲く花に魅せられ、山の世界そのものに
引き込まれて行きました。
甲武信ヶ岳、素晴らしい山でした。是非、登られてください。
これからもお互い、いい山を。
makasioさん、こんにちは。
西沢渓谷から川上村まで、朝早くから登ったのかな、なんて思ってたら、10:30からって!!
歩くの速すぎですよ
すごいな〜
シャクナゲは霧と相性がいいですね
霧の立ち込める針葉樹の下に満開のシャクナゲ、写真を拝見しながら鳥肌が立ちました
makasioさんの興奮が伝わってきて、なんだか嬉しくなりました。
ベニヤクイチヤクソウもすごいですね。
「発狂」、分かる気がします
個人的な話になるのですが、今から10年ほど前、僕も川上村でレタスを作ってました。
住み込みのバイトでしたが。
makasioさんのレコを見ながら、ふとあの過酷ながらも楽しかった日々がフィードバックしました
ありがとうございました
「makasio 山行記」
じっくり拝読しました。
一つの山行にも、流れがありますね。源流から始まり支流を集めて、流れとなる。
makasioさんのレコには、それを感じます。
「石楠花、ザックを投げて、構えるカメラ」
momoさん、コメントありがとう。
あそこでレタス、作っていたんですか
霧に包まれた、高原のレタス畑。周囲の山容。
忘れられません。川上村、良いところでした。
サラダ好きの聖地と呼ばせてください。
いつか、ツツジは雨の日がきれいだと言っていましたよね。
その時は、ふむふむと思っていたんだけど。分かりましたよ。
ツツジは雨が似合う。
深山の霧の中のシャクナゲ。良かったなー。
もったいないお言葉、ありがとうございます。
レコは深夜から朝方にかけ、(時には飲みながら)書いています。(だから、間違いも多い?)
読まれた方に一人でも感動が伝わればと思い、
気がついたら何時間も経っています。
だから、レコを読んで、良かったと言われると
本当にうれしく思います。
ルートに関しても、レコを参考にしながらも、地図を眺め、
自分のラインが見えてくるまで、模索します。
人の真似が嫌いなようです。
山行にも無意識に流れや思いが入っていることもあるかもしれません。
それだけに終わった時の達成感て半端ないですよ。
makasioさん、こんにちは。
あの重厚な山並みを日帰りで、
西沢渓谷から梓山に抜けるのは相当勇気要りますね。
しかも十文字経由とは…
普通の人はどちらから登っても車でピストンですね。
10時台着の市営バス使って、あちら側に抜けるとは、さすがmakasioさんですわ。
車は便利なんですが、やはりピストンは単調ですよね。
私の体験から言うと、車を使い出すと、山登りが雑になってしまうんですね。
山登り再開してからは、可能な限り駅からスタートするようにしたいと思っています。
写真のしゃくなげすごいですね。
梅雨の晴れ間を狙って行きたい気分ですが、
これからの時期、奥秩父はブヨがすごいんですよね。
yamaheroさん、コメントありがとうございます。
地図上の参考時間を計算し、今の自分のスピードと体力を考慮しても、
いろいろな意味で、(東京に帰る時間など)ぎりぎりの登山になると思いました。
それでも十文字峠を越えるルートを見つけた時、
チャレンジしたいという考えは変わらなかったです。
勇気は必要でした。
でも、自信がなければやりませんよ。
車は便利ですが、自分のやりたいこととは、ずれてしまいます。
可能な限り、駅からですね。
富士もそうでしたし。
makasioさんこんにちはhoribata2です
今PCで見てビックリ日帰りだったんですね
makasioさんの過去のレコ見ていたら、写真オベリスクだったんですね!凄いですね
僕もオベリスク2回行きましたが、いつも日帰りで着くとヘロヘロ状態、落ちると困るから登らなかったんですが、まあ50歳越えてますから・・・
昨年は甲武信小屋に泊まって十文字峠越えも歩いたんですがシャクナゲ時の十文字小屋来年は行ってみます
では、また何処かでお会いできる事を楽しみにしています。
コメント、こちらの方にもありがとうございます。
偶然ですが、やはりヤマレコさんと会うと
嬉しいものですね。(その時は分からなくても)
また、どこかでお会いしましょうね。
素晴らしい石楠花を見られて良かったですね。
電車・バスを利用して行くとどうしても時間の制限があって辛いですよね。
でも、その為だけに車を購入しても縦走となると車の回収も結構大変です。
makasioさんのスピードで歩くと結構簡単にこのルートを抜けたように感じますが、
これってとんでもない勘違いです。
山頂まで思ったより時間がかかった・・・とありますが、
とんでもないですよ、結構いいペースで登ってるじゃないですか。
そう云えば makasioさん、後ろから見てるとかなりバランスの良い歩き方してたなぁ〜。
でも、それなのに、なんで両足の太腿が攣ってしまうのでしょうか?
水分の摂取不足? カリウムが足りない? なんだろう?
毛木平とり甲武信は翌日 yokowvさんも歩かれてますが、
石楠花は十文字小屋側と近丸新道・徳ちゃん新道上部、いずれが多かったでしょうか?
この辺り、石楠花の時期に歩いた事がないので良く分かりませんが、
徳ちゃん新道の上の方に構石楠花の木が沢山あったような気がして・・・
こちらの方にコメントありがとうございます。
あこがれの人からのコメント、まじ嬉しいですよ。
両足の太もも、攣りました。振り返ると、
休憩も水分も足りなかったように思います。
時間との戦いだったので・・・。
また、小さなアップダウンの繰り返しで、筋肉に披露が生じ、急に攣ってしまったのかと。
良くない登山ですよね。次の日、仕事だし・・。
まだ、身体作りができていないのでしょう。
へなちょこですね。
でも、川上村に降りたときは本当に達成感ありました。
シャクナゲですが、見どころは十文字小屋です。
また、僕は行かなかったんですが、その展望台上部の
乙女の森というところが素晴らしいと聞きました。
次回、訪れるときは、こちらも行きたいと思います。
今回、近丸新道を歩きましたが、シャクナゲ、いたるところにありました。
徳ちゃん新道も、同じくらい、それ以上にあるのでしょうか。
次回、調査したいと思います。
どうも僕です!(笑)
いや〜見事な山行でしたね
なんだか一緒に登ったような感覚になりましたです!
西沢渓谷や東沢渓谷はちょこちょこ行っていたんですが、シャクナゲの季節は何故か行った事がなく、これほど見事だとは思いませんでした
来年行ってみたいな〜〜っと本気で思いましたです!
私もいつか、奥多摩から瑞垣までノンビリ縦走してみたいと考えてますが、如何せんお金と時間が有りません
貧乏暇無しって奴ですね
今後のレポを楽しみにしております
でも、無理だけはしないようにね!
makasioさん、こんばんは。
満開のシャクナゲ、見事ですね!次から次へと現れて、興奮がおさまらなかったことでしょう。
お花も健脚ぷりも素晴らしいですが、makasioさんの志に一番感動しました。
私は社会人になってからはマイカー登山しかしなくなりました。
公共交通機関は始発や最終に縛られるし、やっぱりマイカーは便利で楽ちん(そもそも田舎は車無しでは最寄り駅に行くのも一苦労)。
でもそうか、そうやって自分は車に縛られていたんだなとこのレコを読んで気付きました。
学生時代は専ら鈍行列車+バス(かタクシー)。
ここから、あそこへ。まさに「縦走」を楽しんでいました。
時刻表とコースタイムとをにらめっこしながら、
一日目はここまで行かないと翌日厳しいぞ、とか、
そっちに下りるのとあっちに下りるのはどっちがオイシイかな、と計画を練るのに夢中になったものでした。
電車が好きで移動そのものも楽しんでいました。
行きはドキドキワクワクしながら車窓から風景を眺め、帰りは心地よい揺れに爆睡する・・・。
そういう山行は時間がたっぷりある学生だからできたんだと決めつけていたかもしれません。
休みが一日しか無くたって。無いからこそ。制約のある中でいかに自由度を高めるか。
忘れていたことを色々と思い出しました。
よいレコをありがとうございます。
ヤマレコにおかえりなさい。
引っ越し、無事、終わりましたか?
一緒に登ったような感じになっていただけたら、
頑張ってレコ、書いた甲斐があるもんです。
ありがとう。
奥多摩〜瑞垣、やってみたいよね。
俺も貧乏暇なしだよ。
acchiは、滝好きなんですよね。
また、滝レコ、楽しみにしてるよ。
コメントありがとうございます。
yokowvさんはワンダーフォーゲル部、出身なんですよね。
今の住まいも山好きが高じてなんですか?
だったら、素晴らしいと思います。
車があったら便利だなーと思います。
ピストン登山、良いと思います。
ただ、自分はやはり、縦走が好きなんですよ。
どこから登り、どこへ降りるか。
>制約のある中でいかに自由度を高めるか
ここに僕は登山の魅力を感じています。
登山そのものを旅として捉えています。
一回一回の山が、本当に、
素晴らしい思い出として昇華されます。
自分の方法で最高に楽しむこと。
それが、大切ですね。
これからもよろしくです。
追伸:
あっ、俺もくるり大好きです。くるり、最高
お察しの通り、山に呼ばれて信州にきました。
伊那は母親の実家があるところなのでなじみの地でもありましたし。
田舎暮らし、最高です。
縦走ご一緒してみたいです。くるりでも歌いながら(笑)
十文字小屋がシャクナゲの時期にどうなるのか、わくわくしながら拝見しました。
でも、シャクナゲより、ベニバナイチヤクソウに発狂しそうになりました(笑)。
いいなぁ・・こんな群生見られるなんて。
しかし、この距離を、10時過ぎの出発でこなすmakasioさんに、いちばんびっくりしました
ものすごい健脚だったのですね!!
これだけ写真撮ってるのに、どんなスピードで歩いているのかしら・・・想像もできません。
また次のレコも、お花の写真を楽しみにしてますよ
実はhariさんの反応、楽しみにしてたんですよ。
どうですか!このシャクナゲ。そして、
ベニバナイチヤクソウを!
ベニバナイチヤクソウ、これだけ、群生するんですね。
発狂を抑えるのに難儀しました。
これだけ、歩けば、数週間は山、我慢できます。
毎回、本気です。
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