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Yamareco

記録ID: 199325
全員に公開
ハイキング
奥秩父

シャクナゲの甲武信〜西沢渓谷から十文字峠へ〜

2012年06月15日(金) [日帰り]
情報量の目安: S
都道府県 埼玉県 山梨県 長野県
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GPS
--:--
距離
19.1km
登り
1,819m
下り
1,593m

コースタイム

10:20西沢渓谷バス停-10:30近丸新道登山口-12:10徳ちゃん新道分岐-13:40木賊山-13:50甲武信小屋(昼食・小休止)-14:15甲武信ヶ岳山頂-14:45三宝山-15:40武信白岩山-16:00大山-16:30十文字小屋(シャクナゲ撮影・小休止)-16:45十文字峠-17:10水場-17:50毛木平
天候 雲が多いがおおむね晴れ。
過去天気図(気象庁) 2012年06月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス タクシー
往路:錦糸町から特急あずさにて山梨市駅へ。山梨市駅から市営バスで西沢渓谷。
市営バスhttp://www.city.yamanashi.yamanashi.jp/sight/traffic/bus.html
復路:信濃川上駅から小海線で佐久平駅。佐久平から長野新幹線で東京へ。
コース状況/
危険箇所等
西沢渓谷入口に登山ポスト、トイレあり。
近丸新道:序盤、小さな崩壊地いくつかあり、注意。大きな堰堤を横切り、すぐに尾根に取りつく。標識、見落とさずに。他、最後まで危険個所無。
残雪:木賊山付近、若干。あと一週間もすればすべて消えると思う。

注:早い時間に歩ければ、十分日帰り可能かと思いますが、ゆったり歩くなら
西沢渓谷側からなら甲武信小屋、毛木平側からなら十文字小屋泊まりがお勧めです。(念のため)

西沢渓谷。ここだけのハイキングもいいと思う。一周4時間あまりとのこと。いい滝ありそう。
2012年06月17日 04:52撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/17 4:52
西沢渓谷。ここだけのハイキングもいいと思う。一周4時間あまりとのこと。いい滝ありそう。
トチの木にシダ類が着生している。
2012年06月17日 04:50撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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トチの木にシダ類が着生している。
ここが渓谷入口。この先に近丸新道、徳ちゃん新道がある。今回は近丸新道から。
2011年06月15日 10:28撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/15 10:28
ここが渓谷入口。この先に近丸新道、徳ちゃん新道がある。今回は近丸新道から。
トロッコ道が旧跡のように残る。この山の歴史、文化に触れたような思いになる。
2012年06月17日 04:50撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/17 4:50
トロッコ道が旧跡のように残る。この山の歴史、文化に触れたような思いになる。
小さな滝もあり。新緑がきれい。
2012年06月17日 04:50撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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小さな滝もあり。新緑がきれい。
大きな堰堤が。ここを左に横切り、
2012年06月17日 04:50撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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大きな堰堤が。ここを左に横切り、
すぐに尾根へと取りつき、ひたすら登る。
2012年06月17日 04:50撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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すぐに尾根へと取りつき、ひたすら登る。
きれいな白い石が。ひとつ持って帰ろうとしたがやめた。植物と同じ山の資源だ。
2011年06月15日 11:45撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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きれいな白い石が。ひとつ持って帰ろうとしたがやめた。植物と同じ山の資源だ。
第一シャクナゲトンネル発見。ピークは過ぎたようだが、
2012年06月17日 04:50撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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第一シャクナゲトンネル発見。ピークは過ぎたようだが、
咲いていた。アズマシャクナゲ(ツツジ科)だ。この山に彩りを与える。
2012年06月17日 04:50撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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咲いていた。アズマシャクナゲ(ツツジ科)だ。この山に彩りを与える。
ミツバツツジもきれいだ。
2011年06月15日 11:57撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/15 11:57
ミツバツツジもきれいだ。
徳ちゃん新道との分岐。ここまでのシャクナゲは若干ピークを過ぎていたようだ。
2011年06月15日 12:08撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
6/15 12:08
徳ちゃん新道との分岐。ここまでのシャクナゲは若干ピークを過ぎていたようだ。
ただ、永遠に続くようなシャクナゲロード。ここはシャクナゲの山だ。
2012年06月17日 04:50撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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ただ、永遠に続くようなシャクナゲロード。ここはシャクナゲの山だ。
いったん、姿が消えても。
2012年06月17日 04:50撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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いったん、姿が消えても。
また、現れる。
2011年06月15日 12:17撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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また、現れる。
わずかな標高の違いや環境で花期にずれがある。1700m付近では終わっていても、1800m付近では、まだ蕾が出てくる。
2012年06月17日 04:50撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
6/17 4:50
わずかな標高の違いや環境で花期にずれがある。1700m付近では終わっていても、1800m付近では、まだ蕾が出てくる。
1800m付近からは見頃だった。
2012年06月17日 04:50撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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1800m付近からは見頃だった。
このようなシャクナゲのトンネルがいたるところにある。
2011年06月15日 12:33撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
6/15 12:33
このようなシャクナゲのトンネルがいたるところにある。
樹林帯も良い。
2012年06月17日 04:50撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
6/17 4:50
樹林帯も良い。
シラビソの原生林が気持ち良い。
2011年06月15日 12:58撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/15 12:58
シラビソの原生林が気持ち良い。
クモイコザクラ(サクラソウ科)だろうか。岩場に咲いていた。感動。
2012年06月17日 04:50撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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クモイコザクラ(サクラソウ科)だろうか。岩場に咲いていた。感動。
木賊山頂。展望はない。ただ通過する。ごめんね。
2012年06月17日 04:50撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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木賊山頂。展望はない。ただ通過する。ごめんね。
見えた。あれが甲武信だ。拳に見える?
2012年06月17日 04:50撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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見えた。あれが甲武信だ。拳に見える?
山頂手前にある甲武信小屋。何度も写真で見た小屋。木の香りがいい。ちょっと感動。
2011年06月15日 13:51撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/15 13:51
山頂手前にある甲武信小屋。何度も写真で見た小屋。木の香りがいい。ちょっと感動。
さて、頂上、行きますか。
2011年06月15日 14:14撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/15 14:14
さて、頂上、行きますか。
頂上。青空も少し見え、感動。ただ、思ったより時間かかったな。
2012年06月17日 04:51撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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頂上。青空も少し見え、感動。ただ、思ったより時間かかったな。
金峰、瑞垣と続く稜線。奥多摩から踏破する日が来るだろうか。3日はほしい。
2011年06月15日 14:18撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/15 14:18
金峰、瑞垣と続く稜線。奥多摩から踏破する日が来るだろうか。3日はほしい。
日が射し、梅雨の晴れ間を楽しむ。
2012年06月17日 04:51撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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日が射し、梅雨の晴れ間を楽しむ。
三宝山?三角点あります。通過。展望できる場所が近くにあったらしい。
2011年06月15日 14:48撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
6/15 14:48
三宝山?三角点あります。通過。展望できる場所が近くにあったらしい。
尻岩?うーん。じっと眺めてみる。
2012年06月17日 04:51撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/17 4:51
尻岩?うーん。じっと眺めてみる。
武信白岩山。なんとあれ、登れるんです。怖そう。今回はパスする。
2012年06月17日 04:51撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/17 4:51
武信白岩山。なんとあれ、登れるんです。怖そう。今回はパスする。
秩父、奥多摩方向は雲海が渦巻く。
2011年06月15日 15:36撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
6/15 15:36
秩父、奥多摩方向は雲海が渦巻く。
この付近で大腿筋裏、左右同時に攣る。谷川で経験していたため冷静に対応できた。
2011年06月15日 15:38撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
6/15 15:38
この付近で大腿筋裏、左右同時に攣る。谷川で経験していたため冷静に対応できた。
シャクナゲと展望のきく場所が。シャクナゲの生殖範囲、広いです。
2011年06月15日 16:05撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/15 16:05
シャクナゲと展望のきく場所が。シャクナゲの生殖範囲、広いです。
山間の谷間に霧が川のように流れていく。
2011年06月15日 16:06撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/15 16:06
山間の谷間に霧が川のように流れていく。
十文字峠へ下る。いきなり霧に包まれ、世界が変わった。十文字小屋、ほんとにあるの?
2011年06月15日 16:20撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/15 16:20
十文字峠へ下る。いきなり霧に包まれ、世界が変わった。十文字小屋、ほんとにあるの?
霧の中から十文字小屋が現れた。小屋のおかみさんと目が合い、両方、びっくり。それより!
2011年06月15日 16:42撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
6/15 16:42
霧の中から十文字小屋が現れた。小屋のおかみさんと目が合い、両方、びっくり。それより!
興奮のあまりストック、ザックをその場に放り投げ、カメラを取り出す。
2011年06月15日 16:32撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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興奮のあまりストック、ザックをその場に放り投げ、カメラを取り出す。
アズマシャクナゲの群生。この霧は用意されたもの?良いです!
2012年06月17日 04:51撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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アズマシャクナゲの群生。この霧は用意されたもの?良いです!
ここまでの行程と毛木平まで予定時間に到着できる目途もつき、なんだかジーンとしてきた。
2011年06月15日 16:38撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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ここまでの行程と毛木平まで予定時間に到着できる目途もつき、なんだかジーンとしてきた。
シャクナゲは、お疲れさんと言っているような。
2011年06月15日 16:40撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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シャクナゲは、お疲れさんと言っているような。
祝福してくれているような。
2011年06月15日 16:40撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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祝福してくれているような。
また、来いよ、と言っているような。
2012年06月17日 04:51撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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また、来いよ、と言っているような。
花はただ、生命を表現している。見る者は自分の気持ちを花に表す。また、来ます。
2011年06月15日 16:32撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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花はただ、生命を表現している。見る者は自分の気持ちを花に表す。また、来ます。
十文字峠、意外に地味だった。
2011年06月15日 16:44撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
6/15 16:44
十文字峠、意外に地味だった。
小さな花も精いっぱいに。(ミヤマカタバミ)
2012年06月17日 04:51撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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小さな花も精いっぱいに。(ミヤマカタバミ)
水場。絶対うまいでしょ。持ち帰り、ウィスキー、焼酎用の氷(ロック)と姿を変える。
2012年06月17日 04:51撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/17 4:51
水場。絶対うまいでしょ。持ち帰り、ウィスキー、焼酎用の氷(ロック)と姿を変える。
源流の山としても有名。信濃川や荒川の源流でもあるんですよね。
2012年06月17日 04:51撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/17 4:51
源流の山としても有名。信濃川や荒川の源流でもあるんですよね。
この山がどれだけの人間に水を与えてくれるのか。当たり前に水道の水を飲んでいると大事なことを忘れてしまう。
2011年06月15日 17:33撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/15 17:33
この山がどれだけの人間に水を与えてくれるのか。当たり前に水道の水を飲んでいると大事なことを忘れてしまう。
ゴールが近いぞ。
2011年06月15日 17:41撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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ゴールが近いぞ。
着いたよ。毛木平。巨大な駐車場。ここからタクシーもと思ったが、まだ、余力がある。
2011年06月15日 17:49撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
6/15 17:49
着いたよ。毛木平。巨大な駐車場。ここからタクシーもと思ったが、まだ、余力がある。
少し歩くと、ありました。大群落!すごい!
2011年06月15日 18:02撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/15 18:02
少し歩くと、ありました。大群落!すごい!
ベニバナイチヤクソウ(イチヤクソウ科)かわいい花です。
2012年06月17日 04:51撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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ベニバナイチヤクソウ(イチヤクソウ科)かわいい花です。
一面です。怖いくらいに咲いてます。やばい発狂しそう。これだけ群生する花とは知らなかった。
2011年06月15日 18:09撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/15 18:09
一面です。怖いくらいに咲いてます。やばい発狂しそう。これだけ群生する花とは知らなかった。
バス停まで歩こう。広大な畑は全てレタス。好きです。原産地に来て、より感謝して食してます。
おしまい。
2011年06月15日 18:15撮影 by  NIKON D3100, NIKON CORPORATION
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6/15 18:15
バス停まで歩こう。広大な畑は全てレタス。好きです。原産地に来て、より感謝して食してます。
おしまい。
撮影機器:

感想

シャクナゲの甲武信へ行きたい。

公共交通機関を使い行くとなると西沢渓谷から登れば現実的だが、始発のバスでも、登山口への到着は10時を過ぎる。
日帰り登山となると、あまりに遅いスタートになる。しかし休日は一日しかない。
最近、登山のために車を買おうと思ったが、ピストン登山にも縛られたくない。

やはり、どこから登り、どこに降りるか、それを考えるのが楽しい。

シャクナゲを堪能するなら西沢渓谷から、十文字峠まで一気に行きたい。
十文字小屋に咲くというシャクナゲの群落はきっと今が見ごろなはず。
毛木平に6時までに降りられれば、東京になんとか帰ってこれるようだ。
まったり登山はできそうにないが可能性はある。決めた。

平日は山梨市駅から西沢渓谷行きのバスがある。(塩山駅からは土日だけのようだ)
大きなザックを背負った学生さんの団体と一緒に市営バスに乗る。
どうやら、3日かけて、甲武信から瑞垣まで行くようだ。

西沢渓谷に降りると新鮮な空気を感じる。新緑と渓谷のせせらぎの音が心地よい。
ここだけをハイキングするだけでも気持ち良いだろう。
立派な渓谷入口からすこし入ると登山口があった。今回は近丸新道から登ることにする。
徳ちゃん新道へ向かう学生さんを避け、静かな登山を楽しみたかった。

尾根に取りつき、標高を上げていくと、すぐにシャクナゲが現れた。
ピークは少し過ぎたようだが、淡い色のシャクナゲは華麗に花を咲かせている。
品があり、よそいきの雰囲気のなのに、妙に親しみやすい。山に入る登山者に微笑んでいるようだ。

シャクナゲは標高の違いでずいぶん花の開きに差があるようだ。
尾根の下部の方では終わりかけていたシャクナゲは僅か200mほど上がると蕾がまだ出てくる。
花自体はすぐに傷んでしまい、落ちてしまうようだが、次々と開くため、登山者の目を飽きさせない。
シャクナゲの山だ。そう思った。

5時間あまりの尾根を3時間で登りたかったが、かなり時間がかかった。(写真を撮りすぎたか)甲武信小屋に着いたのは2時近かった。
木の香りのする良い小屋だ。少し前に出会った単独の男性はここでテントを張るとのこと。
コンビニのカレーパンを食べ、すぐに頂上を目指す。

頂上からは金峰、瑞垣へと続く稜線が見えた。雲取から瑞垣の縦走に思いを巡らす。
2日でやるヤマレコさんもいる(すご過ぎです!)が、最低3日は必要だ。それだけに、この山脈の大きさを感じる。
奥多摩、秩父の方は雲海が出てきている。山の谷間へ霧が川のように流れていく。
巨大な川だ。日本画に描かれる竜のごとく、畝っている。
明日からまた雨。あの学生さん達は雨の登山となってしまいそうだ。

三宝山を降り、尻岩から再び登り、小さなアップダウンが続く。
突然、太腿の両側の筋肉が同時に攣ってしまった。
痛烈な痛み。あせらず、痛みの引くのを待って、再び登る。

白岩山を越え大山から十文字峠へと下る。
突然、霧の中に包まれた。別の世界に入ってしまったかのようだ。
十文字小屋、5時までに到着したい。霧は濃くなっていく。
まだか、と思った時、少し開けた場所に出た。
エプロンをつけた女性が薪の整理をしていた。着いた。十文字小屋だ。

これはすごい。つい声が漏れる。

十文字小屋はシャクナゲに包まれていた。まるでシャクナゲの中に小屋があるかのようだ。時間は4時半を少し回っていた。
毛木平までの予定時間をクリアできそうだという安心感と
楽ではなかった行程もあってか、満開のシャクナゲを見てじーんと胸が詰まった。

ストックとザックを放り投げカメラを取り出す。ほとんど、構図も考えず、がむしゃらにシャッターを押した。
シャクナゲのために用意されたかのような霧は薄紅色の花を際立たせ、ほどよく溶け込んでいる。ここが特別の場所のようにさえ思える。
展望台の方へ行くと群生地もあるそうだが、なんだか、不思議と満足してしまった。今考えると惜しいことをしたと思う。
でも満たされたのだと思う。

小屋のおかみさんは西沢渓谷から来たというと驚いていたようだが、また、会いたくなるような気さくな方だった。あいさつを交わし、毛木平へと降りる。

余力はまだあった。毛木平からバス停まで歩けそうだ。少し歩くとベニバナイチヤクソウで斜面が埋め尽くされている。
これまた、すごい。時間がないはずなのにカメラを取り出す。これだから、いつもギリギリの登山になる。
案の定、時間に不安を感じ、広大なレタス畑の中でタクシーを呼ぶことになる。(実はこの時、バス停のすぐ近くまで来ていたようだ。)

運転手さんは親切な方で川上町のことをいろいろ教えてくれた。今はレタスの収穫のためにたくさんの研修生がアジア各国からきているとのこと。
良く見ると、歩いているのは日本人よりアジアから来た方のほうが多い。
運転手さんは東京に帰ると言うと、登り電車の最短時刻まで調べてくれた。
佐久平から新幹線に乗れば、予定より早く帰れることがわかった。

少し、疲れたが、本当に密度の濃い良い一日だった。
タクシーの中からまだ、前方に八ヶ岳がうっすらと見えていた。

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コメント

すばらしい!
makasioさん、はじめまして、こんにちは。

写真、写真へのコメント、各種レポート、歩かれたルート、
どれもこれもすばらしいレコでした。
makasioさんの山と自然への愛情がいっぱいで引き込まれ
ちゃいました。

甲武信ヶ岳はうちのチームの憧れで今年の目標の一座です。
同じルートを踏破する自信はありませんが、わたしたちも山の
懐と歴史を愛でながら必ず挑戦しようと決めました!
2012/6/17 12:33
mmg さん、こんにちは。
うれしいコメント、ありがとうございます。

正直、全力でした。疲れました。
タイトルを「本気の甲武信」と始めはつけたほどです。
ただ、それだけに十文字峠のシャクナゲに感動しました。
最後のベニバナイチヤクソウも何かの御褒美かと。

山に咲く花に魅せられ、山の世界そのものに
引き込まれて行きました。
甲武信ヶ岳、素晴らしい山でした。是非、登られてください。
これからもお互い、いい山を。
2012/6/17 14:37
歩くの速すぎです!
makasioさん、こんにちは。

西沢渓谷から川上村まで、朝早くから登ったのかな、なんて思ってたら、10:30からって!!
歩くの速すぎですよ
すごいな〜

シャクナゲは霧と相性がいいですね
霧の立ち込める針葉樹の下に満開のシャクナゲ、写真を拝見しながら鳥肌が立ちました
makasioさんの興奮が伝わってきて、なんだか嬉しくなりました。

ベニヤクイチヤクソウもすごいですね。
「発狂」、分かる気がします

個人的な話になるのですが、今から10年ほど前、僕も川上村でレタスを作ってました。
住み込みのバイトでしたが。
makasioさんのレコを見ながら、ふとあの過酷ながらも楽しかった日々がフィードバックしました
ありがとうございました
2012/6/17 17:27
makasioさん、おはようございます。
「makasio 山行記」

じっくり拝読しました。

一つの山行にも、流れがありますね。源流から始まり支流を集めて、流れとなる。

makasioさんのレコには、それを感じます。

「石楠花、ザックを投げて、構えるカメラ」
2012/6/18 7:42
あそこで働いていたんですか!
momoさん、コメントありがとう。

あそこでレタス、作っていたんですか
霧に包まれた、高原のレタス畑。周囲の山容。
忘れられません。川上村、良いところでした。

サラダ好きの聖地と呼ばせてください。

いつか、ツツジは雨の日がきれいだと言っていましたよね。
その時は、ふむふむと思っていたんだけど。分かりましたよ。
ツツジは雨が似合う。 今回は霧でしたが。
深山の霧の中のシャクナゲ。良かったなー。
2012/6/18 17:56
ricalojpさん、ありがとうございます。
もったいないお言葉、ありがとうございます。
レコは深夜から朝方にかけ、(時には飲みながら)書いています。(だから、間違いも多い?)
読まれた方に一人でも感動が伝わればと思い、
気がついたら何時間も経っています。
だから、レコを読んで、良かったと言われると
本当にうれしく思います。

ルートに関しても、レコを参考にしながらも、地図を眺め、
自分のラインが見えてくるまで、模索します。
人の真似が嫌いなようです。
山行にも無意識に流れや思いが入っていることもあるかもしれません。
それだけに終わった時の達成感て半端ないですよ。
2012/6/18 18:10
日帰りの奥秩父越え
makasioさん、こんにちは。

あの重厚な山並みを日帰りで、
西沢渓谷から梓山に抜けるのは相当勇気要りますね。
しかも十文字経由とは…

普通の人はどちらから登っても車でピストンですね。
10時台着の市営バス使って、あちら側に抜けるとは、さすがmakasioさんですわ。

車は便利なんですが、やはりピストンは単調ですよね。
私の体験から言うと、車を使い出すと、山登りが雑になってしまうんですね。

山登り再開してからは、可能な限り駅からスタートするようにしたいと思っています。

写真のしゃくなげすごいですね。
梅雨の晴れ間を狙って行きたい気分ですが、
これからの時期、奥秩父はブヨがすごいんですよね。
2012/6/19 13:42
勇気、そうですね。
yamaheroさん、コメントありがとうございます。
地図上の参考時間を計算し、今の自分のスピードと体力を考慮しても、
いろいろな意味で、(東京に帰る時間など)ぎりぎりの登山になると思いました。

それでも十文字峠を越えるルートを見つけた時、
チャレンジしたいという考えは変わらなかったです。
勇気は必要でした。

でも、自信がなければやりませんよ。

車は便利ですが、自分のやりたいこととは、ずれてしまいます。
可能な限り、駅からですね。
富士もそうでしたし。
2012/6/19 14:01
ゲスト
こんにちは
makasioさんこんにちはhoribata2です
今PCで見てビックリ日帰りだったんですね

makasioさんの過去のレコ見ていたら、写真オベリスクだったんですね!凄いですね
僕もオベリスク2回行きましたが、いつも日帰りで着くとヘロヘロ状態、落ちると困るから登らなかったんですが、まあ50歳越えてますから・・・
昨年は甲武信小屋に泊まって十文字峠越えも歩いたんですがシャクナゲ時の十文字小屋来年は行ってみます
では、また何処かでお会いできる事を楽しみにしています。
2012/6/19 18:30
horibata2さん、また、どこかで。
コメント、こちらの方にもありがとうございます。

偶然ですが、やはりヤマレコさんと会うと
嬉しいものですね。(その時は分からなくても)

また、どこかでお会いしましょうね。
2012/6/19 23:57
makasioさん、こんにちは
素晴らしい石楠花を見られて良かったですね。

電車・バスを利用して行くとどうしても時間の制限があって辛いですよね。
でも、その為だけに車を購入しても縦走となると車の回収も結構大変です。

makasioさんのスピードで歩くと結構簡単にこのルートを抜けたように感じますが、
これってとんでもない勘違いです。

山頂まで思ったより時間がかかった・・・とありますが、
とんでもないですよ、結構いいペースで登ってるじゃないですか。

そう云えば makasioさん、後ろから見てるとかなりバランスの良い歩き方してたなぁ〜。

でも、それなのに、なんで両足の太腿が攣ってしまうのでしょうか?

水分の摂取不足? カリウムが足りない? なんだろう?

毛木平とり甲武信は翌日 yokowvさんも歩かれてますが、
石楠花は十文字小屋側と近丸新道・徳ちゃん新道上部、いずれが多かったでしょうか?

この辺り、石楠花の時期に歩いた事がないので良く分かりませんが、
徳ちゃん新道の上の方に構石楠花の木が沢山あったような気がして・・・
2012/6/25 19:57
noboさん、御無沙汰です!
こちらの方にコメントありがとうございます。
あこがれの人からのコメント、まじ嬉しいですよ。
両足の太もも、攣りました。振り返ると、
休憩も水分も足りなかったように思います。
時間との戦いだったので・・・。
また、小さなアップダウンの繰り返しで、筋肉に披露が生じ、急に攣ってしまったのかと。

良くない登山ですよね。次の日、仕事だし・・。
まだ、身体作りができていないのでしょう。
へなちょこですね。
でも、川上村に降りたときは本当に達成感ありました。

シャクナゲですが、見どころは十文字小屋です。
また、僕は行かなかったんですが、その展望台上部の
乙女の森というところが素晴らしいと聞きました。

次回、訪れるときは、こちらも行きたいと思います。
今回、近丸新道を歩きましたが、シャクナゲ、いたるところにありました。
徳ちゃん新道も、同じくらい、それ以上にあるのでしょうか。
次回、調査したいと思います。
2012/6/26 1:04
ご無沙汰しております!
どうも僕です!(笑)

いや〜見事な山行でしたね
なんだか一緒に登ったような感覚になりましたです!
西沢渓谷や東沢渓谷はちょこちょこ行っていたんですが、シャクナゲの季節は何故か行った事がなく、これほど見事だとは思いませんでした
来年行ってみたいな〜〜っと本気で思いましたです!

私もいつか、奥多摩から瑞垣までノンビリ縦走してみたいと考えてますが、如何せんお金と時間が有りません
貧乏暇無しって奴ですね

今後のレポを楽しみにしております
でも、無理だけはしないようにね!
2012/6/26 21:57
想いのこもったレコですね
makasioさん、こんばんは。
満開のシャクナゲ、見事ですね!次から次へと現れて、興奮がおさまらなかったことでしょう。

お花も健脚ぷりも素晴らしいですが、makasioさんの志に一番感動しました。

私は社会人になってからはマイカー登山しかしなくなりました。
公共交通機関は始発や最終に縛られるし、やっぱりマイカーは便利で楽ちん(そもそも田舎は車無しでは最寄り駅に行くのも一苦労)。

でもそうか、そうやって自分は車に縛られていたんだなとこのレコを読んで気付きました。

学生時代は専ら鈍行列車+バス(かタクシー)。
ここから、あそこへ。まさに「縦走」を楽しんでいました。

時刻表とコースタイムとをにらめっこしながら、
一日目はここまで行かないと翌日厳しいぞ、とか、
そっちに下りるのとあっちに下りるのはどっちがオイシイかな、と計画を練るのに夢中になったものでした。
電車が好きで移動そのものも楽しんでいました。
行きはドキドキワクワクしながら車窓から風景を眺め、帰りは心地よい揺れに爆睡する・・・。

そういう山行は時間がたっぷりある学生だからできたんだと決めつけていたかもしれません。
休みが一日しか無くたって。無いからこそ。制約のある中でいかに自由度を高めるか。

忘れていたことを色々と思い出しました。
よいレコをありがとうございます。
2012/6/27 1:59
おかえり、acchi!
ヤマレコにおかえりなさい。
引っ越し、無事、終わりましたか?

一緒に登ったような感じになっていただけたら、
頑張ってレコ、書いた甲斐があるもんです。

ありがとう。

奥多摩〜瑞垣、やってみたいよね。
俺も貧乏暇なしだよ。

acchiは、滝好きなんですよね。
また、滝レコ、楽しみにしてるよ。
2012/6/27 17:34
yokowvさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

yokowvさんはワンダーフォーゲル部、出身なんですよね。
今の住まいも山好きが高じてなんですか?
だったら、素晴らしいと思います。

車があったら便利だなーと思います。
ピストン登山、良いと思います。
ただ、自分はやはり、縦走が好きなんですよ。
どこから登り、どこへ降りるか。

>制約のある中でいかに自由度を高めるか

ここに僕は登山の魅力を感じています。
登山そのものを旅として捉えています。
一回一回の山が、本当に、
素晴らしい思い出として昇華されます。

自分の方法で最高に楽しむこと。
それが、大切ですね。

これからもよろしくです。

追伸:
あっ、俺もくるり大好きです。くるり、最高
2012/6/27 17:53
こちらこそ。
お察しの通り、山に呼ばれて信州にきました。
伊那は母親の実家があるところなのでなじみの地でもありましたし。
田舎暮らし、最高です。

縦走ご一緒してみたいです。くるりでも歌いながら(笑)
2012/6/27 22:43
ゲスト
遅ればせながら・・・
十文字小屋がシャクナゲの時期にどうなるのか、わくわくしながら拝見しました。
でも、シャクナゲより、ベニバナイチヤクソウに発狂しそうになりました(笑)。
いいなぁ・・こんな群生見られるなんて。

しかし、この距離を、10時過ぎの出発でこなすmakasioさんに、いちばんびっくりしました
ものすごい健脚だったのですね!!
これだけ写真撮ってるのに、どんなスピードで歩いているのかしら・・・想像もできません。

また次のレコも、お花の写真を楽しみにしてますよ
2012/7/4 23:28
hariさん、コメントありがとうございます。
実はhariさんの反応、楽しみにしてたんですよ。

どうですか!このシャクナゲ。そして、
ベニバナイチヤクソウを!

ベニバナイチヤクソウ、これだけ、群生するんですね。
発狂を抑えるのに難儀しました。

これだけ、歩けば、数週間は山、我慢できます。
毎回、本気です。
2012/7/5 0:38
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この記録に関連する登山ルート

ハイキング 奥秩父 [日帰り]
甲武信ヶ岳(徳ちゃん新道〜近丸新道)
利用交通機関: 車・バイク
技術レベル
2/5
体力レベル
3/5
トレイルラン 奥秩父 [日帰り]
技術レベル
2/5
体力レベル
3/5

この記録で登った山/行った場所

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