森山岳〜蓬莱山☆鉄塔尾根↑サカ谷道↓


- GPS
- 05:59
- 距離
- 15.3km
- 登り
- 1,071m
- 下り
- 1,080m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
中村集落〜蓬莱山は一般登山道なし。 長沼から森山岳は踏み跡(トレース)は不明瞭。二重山稜で極めて複雑な地形なので、悪天候時にはGPSに頼らざろうえないだろう。 森山岳から蓬莱山は踏み跡は明瞭だが、テープはほとんどなし。 小女郎行けからのサカ谷道は登山道は一般コースなので明瞭だが、倒木多し。 |
写真
感想
久しぶりの比良山系である。とはいえ、2月にこの山を訪れたばかりではある。この森山岳のあたりは比良山系の中にあって、ここだけblack boxのように一般ルートから離れ、秘境のような趣きである。この森山岳の北側に散在する池は、果たして雪の無い季節にどのような表情を見せるのかという興味を抑えることは困難であった。
地図にはルートか全く記載されていない鉄塔尾根からの登行、果たして無積雪期にこのルートをたどることが可能なのかという一抹の不安はあるものの、稜線上の長沼のあたりから送電線に沿って、いわゆる関電ルートがつけられている以上、この鉄塔尾根を登るルートが絶対にあるはずだという確信を抱いていた。鉄塔尾根まで登ることが出来さえすれば。前回二月の山行では最初の伐採地とその後の沢の渡渉点から鉄塔尾根の取り付きで散々苦労したのだった。
R367の東側のスペースに車を停めて山に入っていくと、早速、路傍にはミヤマエンゴサク、ムラサキケマンソウ、ヒメオドリコソウ、金瘡小草(キランソウ)と、多くの花々が我々をお見送りして下さる。朝露にしとどに濡れた花々は朝陽を浴びて宝石のようにキラキラと輝いている。
早速、伐採地に入るとやはり作業道は明瞭だ。急登ではあるが、あっという間に高度を稼ぐ。冬にはこの伐採地の上で夏道をなんとか探りあてて、そこからはオシロ谷沢の渡渉点までは楽にたどり着けたのだが、この作業道に乗るか乗らないかで雪の斜面の難易度はまるで異なるだろう。雪で道がわからなければ斜面の上部に聳える鉄塔を目指し、その裏手から右に進むといいだろう。
伐採地を難なくクリアーするが、杉の植林地に入ると途端に倒木が目立つ。渡渉点に辿り着く。沢を渡ると、ふと足元をみると袋状の臙脂色の小さな花が落ちているが、花をつけた草は見当たらない。足元の草の葉の裏側を覗き込むと、あたり一面の草が悉く葉の裏に花を吊り下げているではないか。ハシリドコロの花だ。その名は食すると走り出すという有毒成分に由来するという。ニリンソウも咲いている。
やはりここから踏み跡が不明瞭だ。二月にはここから非常に苦労するのだが、対岸に踏み跡があるのに気づき、渡りかえす。すぐに森林作業の看板があるのだが、実際、植林地はここで終わり、対岸は落葉樹林帯だ。ここからはやはり道はない。再度、渡渉して尾根を上がる。小さな尾根筋は登りやすいのだが、数多くの倒木が行く手を阻む。倒木を迂回しつつ斜面を上がってゆくと、まもなく樹間に広い空間が見えてくる。
鉄塔尾根の下端の広場に飛び出すと、あたりは馬酔木の群落だ。上をみると、やはりあった。送電線巡視路特有のあの黒いプラスチックの階段が連綿と続いているではないか。巡視路に沿って登っていくと、エスカレーターのごとく、高度が上がってゆく。足元にはかなりの数のスミレが咲き乱れる中、随所にカタクリが華麗な花を咲かせている。振り返ると、対岸の稜線の上に峰床山が見事な三角錐の山を突き出す。
鉄塔尾根の上部に辿り着くと、送電線は尾根から南に逸れていく。道はブナの林に入くかと思うと、まもなく不明瞭となる。しかし、下草はほとんどなく、歩行は容易であり、かつ2ヶ月前に歩いたルートの記憶もさほど薄らいではいない。オシロ谷右俣の源頭を詰めてスギヤ池に辿り着く。
前回の山行の記憶を頼りに南に向かうと、ほどなく長池の畔に出る。この辺りで最大の池である。池の東側は水草や苔で覆われている。西側に周回してみると、水面に映る空の蒼さが池の神秘性を際立たせる。空の小鳥の囀りの他は静寂が支配する世界だ。2月の山行の記憶を頼りに可能な限り、池を次々と訪れてみる。
複雑な二重山稜の地形のために、森山岳へのルートを辿るのは非常に難しい。GPSに頼らざろうえない。勿論、踏み跡を辿ることはこの辺りでは期待出来ない。地図を慎重に読んで、森山岳の手前、北側のピークを目指す。三角点はないものの、このピークはほぼ360度の好展望である。ここで持参したガスストーブで湯を沸かし、パスタと焼き豚丼を調理し、昼食を楽しむ。
昼食の後はいよいよ森山岳である。このピークからは谷沿い、谷の右岸、森山岳の西峰を目指し左岸に登るコースと三通りのルートが考えられるが、迷わず好展望の後者のルートを採る。この森山岳西峰がこのコースのハイライトである。正面には白滝山と武奈ヶ岳、そして白倉三山の彼方に高島トレイルの名峰、百里ヶ岳を遠望する。南には蓬莱山が間近に聳えるが、生憎、蓬莱山の写真を撮ることをすっかり失念。
森山岳から蓬莱山へは尾根筋が明瞭であるせいか、赤テープの類いはほとんどないものの踏み跡を辿るのは容易であり、半時間もかからずに蓬莱山山頂に立つ。最後に訪れたは昨年の台風21号の後で金毘羅峠から山麓駅までのコースが荒廃した直後であったことを思い出す。打見山のスカイテラスの営業が4月の下旬からなので、ひと気がないことを期待していたのだが、新たな展望テラスが建設されており、登山客の代わりに多くの工事の人々で賑わって(?)いた。
下山路は関電の鉄塔巡視路を辿り、鉄塔尾根を戻ることを考えていたが、蓬莱山の山頂から小女郎峠へと至る雄大で長閑な光景を目にすると小女郎峠からサカ谷道を辿り坂下へ下るルートを選択するのに時間はかからなかった。坂下から中村まで車道を歩かねばならないのだが。
蓬莱山までのルートが踏み跡程度であったのに対して、蓬莱山山頂から南下するルートはさすがに武奈ヶ岳西南稜に次ぐメジャー・ルートだ。平日であるにも関わらず、少なからぬ数の登山客と擦れ違う。小女郎峠の手前では柔和な表情の石仏達がお出迎えして下さる。峠を右折すると辺り一面に広がる熊笹が非現実的な光景を醸し出す。小女郎池にたどり着くと、妖しい伝説の池の水面は、春の微風をうけて静かに漣立っている。この池はど湧き水を湛えているのだろうか。池から溢れた水がヘク谷の源頭に滾々と流れ出ている。
小女郎池からはサカ谷道のノン・ストップの下りである。下るにつれて新緑の色合いが増してゆく。同時に比較的、真新しい倒木が多数、目立つ。多くは昨年の台風21号によるものだろう。坂下に近づくと沢沿いにカタバミの花々が出迎えでくれる。坂下では安曇川にかかる橋を満開の八重桜が彩る。中村集落へと戻る車道歩きは林縁を賑わす無数の黄華鬘草、紫華鬘草が目を愉しませてくれると同時に道程の長さを忘れさせてくれた。
コメント
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閑かな山歩きいいですね。
山中に取り残されたように散在する池もいいですね〜
ここは雪の時期も素晴らしかったですが、もう少し緑が出てきたら、それはそれで美しいのだと思います。別天地感が半端ない気がします。また地図を頼りに気儘に森の中を逍遥するという山行を堪能出来る場所です。でもdoiご夫妻がレコにアップしたら、人が押しかけるようになってしまうかもしれませんね😅
うぐぐっ😱
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