記録ID: 107628
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積雪期ピークハント／縦走
尾瀬・奥利根
景鶴山(300名山)
2011年04月30日(土) [日帰り]
群馬県
新潟県
Junjapa
その他1人 - GPS
- 10:00
- 距離
- 20.4km
- 登り
- 806m
- 下り
- 811m
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4/29 東京(南大塚駅)10:00=14:30鳩待峠
4/30 1:30起床 鳩待峠駐車場3:00-3:05鳩待峠[通過]-4:00山ノ鼻[通過]-4:40牛首分岐[通過]-5:30ヨッピ吊橋[通過]-5:55ケイズル沢標高1475m地点6:00-7:05ケイズル尾根[仮称]上標高1815m地点7:20-8:00景鶴山8:25-9:30ヨッピ吊橋[通過]-11:05山ノ鼻11:35-12:55鳩待峠[通過]-13:00鳩待峠駐車場
4/30 1:30起床 鳩待峠駐車場3:00-3:05鳩待峠[通過]-4:00山ノ鼻[通過]-4:40牛首分岐[通過]-5:30ヨッピ吊橋[通過]-5:55ケイズル沢標高1475m地点6:00-7:05ケイズル尾根[仮称]上標高1815m地点7:20-8:00景鶴山8:25-9:30ヨッピ吊橋[通過]-11:05山ノ鼻11:35-12:55鳩待峠[通過]-13:00鳩待峠駐車場
| 天候 | 曇り〜晴れ〜雨 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2011年04月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
・すぐそばにある川越ICにて関越自動車道に入り沼田ICへ。沼田ICを下り国道120号線を尾瀬方面。椎坂峠を越え、戸倉経由で鳩待峠駐車場(2500円/日) |
| コース状況／ 危険箇所等 |
H2O氏が心中あたためてきた300名山、景鶴山の登山を実行に移す時がやってきた。事前調査をしたところ、二つの問題点があがってきた。 �，修里劼箸弔�「ヨッピ川吊橋が通行止め」という情報であった。 ************************************************************************* ■ヨッピ吊橋修繕工事に伴う一時通行止めのお知らせ■ 東京電力・尾瀬林業では、尾瀬ヶ原地区に設置しているヨッピ吊橋の老朽化に伴い、緊急修繕工事および吊橋全体の精密点検を行います。 これに伴い、ヨッピ分岐〜東電小屋間につきまして下記の期間、通行止めとさせていただきます。大変ご迷惑をお掛けしますが、ご理解のほどお願い致します。 ◆通行止区間:ヨッピ吊橋〜東電小屋間 ◆通行止期間:平成23年4月28日(木)〜5月20日(金) ◆通行可能日:平成23年5月21日(土) ※迂回路について 尾瀬ヶ原から東電小屋・三条の滝方面に向かわれる方は大変恐れ入りますが、竜宮〜見晴(十字路)〜東電尾瀬橋を経由してのご通行をお願い致し ます ************************************************************************** これについては、鉄製の吊橋が撤去されることではないだろう、工事中とはいっても作業は9時くらいからだろうからそれ以前に通過するのは問題ない(笑)、どうしても行けなかったら東電小屋を迂回するしかないと考えた。結論から言うと工事は何も行われていなかった。それならこんな表示は出すな!と言いたい(笑) (板は外されていたが冬季では通常の状態である) �△發Δ劼箸弔賄佻�の問題。景鶴山のルート(積雪期)は(a)東電小屋の裏にある笹山尾根(笹山[△1537.9m]〜与作岳)を経由するもの(b)ケイズル沢を詰め途中から景鶴尾根[景鶴山から南東に派生するケイズル沢と上ヨサク沢に挟まれた尾根]を経由するもの、の2ルートがある。(山スキーで頂上西側からアクセスするルートは除外) 前者は雪崩のリスクに対して安全だが時間と労力がかかる。後者はその逆。どちらを選択するか現地に行くまで迷っていた。計画段階では雪崩のリスクを重視し前者を採るべきと考えていたが(地形図のこの尾根の等高線の密集度を見るとちとやばいよね!?)、現地に行き笹山尾根をみたときの長さと、ケイズル沢の雪面が結構しっかりしていることから後者とした。実際に雪面は堅く雪崩のリスクが高いとは思われなかった。(そうは言ってもケイズル沢をそのまま詰めてニュー岩の肩まで行くのは止めた方がいい。竜宮小屋でも沢のツメは雪崩が発生するので早めに景鶴尾根に上がることをアドバイスしているという記事も読んだ) 4/29(金)10:00 南大塚駅でH2O氏と待ち合わせ。すぐそばの川越ICより関越自動車道に載るが、そこにはクルマの列、列、列。しかし震災の影響で人出は例年に比べて少なく大渋滞にならずに済んだ。15:00前には鳩待峠に到着。鳩待峠の駐車場には管理人がおりしっかり2500円を取られる。2日分なら3500円になるらしい。高すぎる! 地元の評判のためにも値段は少し自粛した方がいいのでは?と言っておこう。結局、鳩待峠は地面がグチャグチャだったので一段下の駐車場のヘリポートでテントを張って快適な夜を過ごした。 4/30(土)1:30起床。暖かく良く眠れた。空を見上げると曇り空。昨日鳩待峠で会ったスノーシューの若者は「スノーシューがなくても行けると思うが、途中ツボ足でスノーブリッジを踏み抜いたあとがありその下は2mほど中空になっていて恐ろしかった。その周辺には踏み抜いた人を助けようとしてもがいた跡がたくさんあった!」と云う。ちょっと待て! そんなんか?! ちと逡巡したが過去GWプランではスノーシューなして済んだので置いていくこととした。 3:00発。駐車場から3分で鳩待峠。草木も眠る丑三つ時、小屋の灯火以外は漆黒の闇と完全な静寂に支配されている。鳩待峠の名は現代的な雰囲気があるけれど、貧しかった片品の人々がこの峠に留まり冬仕事に従事したことに由来する。春になって里から鳩が上がってきてポッ、ポッと鳴くと「やれやれ木工仕事もそろそろ終わりだ、妻子が待つ里に戻ろう」と峠を下っていった。遠い春を待ち続けた人々の思いが詰まった鳩待峠なのだ。 峠からは雪道となる。ツボ足だったが雪道の表面はカリカリで早速アイゼンをつける。やがて川上川の沢音を左に聞きながらの雪道だ。ヨッピ川の上流にあることから名づけられた川上川。ヨセ沢、テンマ沢などの支流を合わせ最後は雪の乗った川上川橋で右岸から左岸に登山道を従えながら山ノ鼻まで導く。一時間ほどで遠くにぽつんと明かりが見えてきた。 4:00いくつかの電球が灯る静かな山ノ鼻を通る。山ノ鼻の名の通り至仏山からの鼻のようになった尾根が左手に見えるはずだが、この時間では確かめるすべもない。雪道についたフミアトをヘッドランプで浮かびあがらせながら上田代に踏み出す。少しずつ夜が明けてきて牛首や燧ケ岳がうっすらと闇に浮かび上がってくる。空はどんよりと垂れ込めており気分ももう一つ盛り上がらない。ひたすら平らで真っ白なフミアトを東へと進む。ふたたび原ノ川上橋で川上上を渡る。後ろを振り向くと薄明にヘッドランプが2つ3つ動いている。我々と同じくすでに行動を開始している人もいる。もしかしたら景鶴山が目的? 牛首の真横で大堀川を上ノ大堀橋で渡る。 4:40 牛首分岐[標高・1404]。ここから左手に道を取る。かなり明るくなってきた。木道と思われるわずかな盛り上がりの上を行く。あまりフミアトはハッキリしていない。やがてヤチダモの拠水林に守られた下ノ大堀川に行く手を阻まれる。橋があるはずだと探すとかなり左手に橋脚が見えた。ルートがずいぶん右にそれてしまっていた。尾瀬の木道は並行した2本の木道でできているが雪がそれを覆い隠し一本の通り道にしてしまう。当然木道と木道の間は何もなく橋などでこの間を踏み抜くと大変なことになる。この下ノ大堀橋も同じだ。ところどころ真ん中に踏み抜きがある。中をのぞくと2〜3m下に流れが見える。うえーやべぇ!(笑) 一歩一歩慎重に行く。 5:30 ヨッピ吊橋に到着。特に工事をしている様子はないが踏み板は外されている。ヨッピ吊橋は昭和の初期に架けられた由緒ある橋だが、たびたびの水害で流されて以来、鉄製に架け替えられている。ちなみにヨッピという面白い名前はアイヌ語の転訛で、川が集積する場所のことを指す。アイゼンのまま慎重に真ん中のレールの上を行く。それほどの不安もなく渡れた。登路に関しては観察の結果、景鶴尾根の左側の樹林帯を上がり景鶴尾根の上に出てピークを狙うことにした。 吊橋の対岸に渡るとそこはヨシッ堀田代の一角。名前のとおり葦(あし・よし)が繁茂する場所であり同時に尾瀬の中でも頻繁にクマが出る場所だ。景鶴尾根を目指し林の中を北西に進む。上ヨサク沢は雪に埋もれていて適当なところを渡っていける。このあたりブナ林が素晴らしい! 後ろを振り向くと、我々だけだと思っていたのに単独行者が来る・・・と思ったら2人連れの登山者が・・・と思ったらそのあとから10人ほどのツアー客がものすごいスピードで登ってくる。ありゃりゃ、マイナーと思っていたのにずいぶんとメジャー! 「ここのところ人に絶対に会わない山ばかり登ってたから山の中に人がいるだけで妙に新鮮だね!」とH2O氏とふたりで大笑いする。 5:55ケイズル沢1485mで初めての休憩。このあたりから右折して尾根に上ろうと思っていたもののツアー客たちはそのまま沢を上がっていく。それじゃぁ(笑)と我々もそのままもう少し沢を詰めることにした。6:00発。 少しずつ傾斜が強まる。ケイヅル沢標高1580mあたりで左(右岸)枝沢からのデブリがある。そこからさらにケイズル沢を詰めると1610m地点で右(左岸)から顕著な枝沢が合流してくるのでその南側の小尾根の北側斜面を急登する。雪面は堅く締まっており特に問題は感じない。息が切れるので休み休み直上する。相前後していたツアー客もこの我々が登った小尾根の南側斜面から取り付いて登り景鶴尾根上で合流する形となった。 7:05景鶴尾根上1815m地点に到着。休憩。眼下に尾瀬が原が広がっている。早朝はどんよりと曇っていたが、どんどん雲が取れてきた! いいぞ! いつの間にかブナ林はオオシラビソの林になっている。尾根上は傾斜が緩みそのまま与作岳と景鶴山を結ぶ上越国境稜線へと導かれた。 目の前には景鶴山の岩峰、ニュー岩(またはヌー岩)が威風堂々と屹立している。ニューまたはヌーとは藁(わら)や薪(まき)を積み上げたものを呼ぶがこの岩峰の存在が景鶴山を300名山にしていると思う。ニュー岩の直下から頂上までは標高差80mがナイフエッジとなる。しかしこの時期、多くの登山者のためにステップが刻まれておりそれほどの不安はない。 岩峰への最初はエッジ沿いだが傾斜もゆるく問題はない。一旦登りきり樹木をからみながらトラバース気味に10mほど進むと左手頭上に現われる顕著な岩に向かってナイフエッジが急斜面となっている。そこを10歩ほど斜上することになる。先行者の足ツボに助けられるが雪面が降雪直後の軟雪やザラメ雪であれば緊張が強いられるかも知れない。(その場合は20mほどの軽ザイルを持参すれば確保用の支点は樹木に求められる。過去の記録によれば雪が少ない場合は頭上の顕著な岩に直接からんで登るようだが今回は岩へのコンタクトはなかった) 顕著な岩からは平坦なナイフエッジが続き最後に3mほどの登りで10人も立っていられない狭い頂上に到着した。 8:00頂上着。ツアー客の到着もほぼ同時であり、生徒たち(と言ってもオバサンが多いが・・・失礼!)はプロガイドに口々に「ありがとうございました」を言っている。天気は晴れ。朝の重く垂れ込めた雲がウソみたいだ。燧ケ岳や至仏山はさすがに尾瀬の盟主らしく泰然と居座り、その間にあるアヤメ平は日光白根山を借景にして低くわだかまっている。北に目を転じれば平ヶ岳が近い。東には会津駒ケ岳の航空母艦のような躯体。眼下には尾瀬の原。沼尻川が拠水林を縁取りにしてなまめかしくうねっている。頂上からは与作岳(初代燧小屋主人平野与作に因んで命名された)からもトレースがあるのが確認できる。景鶴山ーーーニュー岩を這いずって横切ることを土地の言葉で”ヘエズル”(這いずるの意)と言ったのを調査に来た陸地測量部の役人が”景鶴”の文字を当てたと云われている。しかし「”景”色のよい”鶴”のような山」と考えてもいい気がする。無名だったこの山に奇しくもお役人がぴったりの芸名を与えくれた。 頂上に20分ほど滞在したあと下山にかかる。。最初の岩峰までくるとその下り10歩は登りより高度感が出るので要注意。2003年には登山者がケイヅル沢を滑落、口を開けた沢の流れの中に落ちるといった遭難騒ぎがあったらしい。今年も他の記録を読むとツアー客のひとりが数mを滑落している。相前後していたツアーではガイドがザイルをセットして登山客の安全を確保していた。我々はザイルは持っていたが出さずピッケルを刺しながら慎重に下った。 下りきると与作岳ルートからはさらに別のツアー客が10人ほどやってきた。ほんとうに人が多い! ここは秘境ではなかったか?(笑) 夏は登山禁止だし登ろうにもヤブばかりで困難だ。植生が隠れ雪面の状態もよい5月GWだけが胸襟を開いて登山者を受け入れている。いわばGWだけ店を開けている超こだわりの料理屋みたいなものだ。(そんな店あるか?(笑)) さて相前後していたプロガイドツアーは、ニュー岩基部からそのままそこから直接ケイズル沢を下っていく。アイゼンがダンゴになって滑落したら下まで行きそうだし雪崩が起きたらどうするんだろ?と思った。我々は来たルートをそのまま戻ることにして景鶴尾根をたどる。アイゼンにプレートがなく柔かくなった雪がダンゴとなってしまうのがもどかしい。ときおり尻セードをしながらやがてケイズル沢に下りヨッピ吊橋へと向かう。この間にも5〜6人の登山者が登ってくるのに出会う。 吊橋の手前でアイゼンを外しそのまま牛首分岐を経ずに直接上ノ大堀橋に向かうフミアトがあったのでそれに従った。平坦な道なのに意外に疲れる。同行のH2O氏は、両手にストックを持てば雪の上のツボ足の微妙なズレ(滑り)が支えられ長時間歩行になればなるほどストックが楽という。山ノ鼻で大休止してH2O氏に作ってもらった抹茶オーレを飲んでいるとポツリポツリときた。さぁ! 出発だ。そこから1時間半弱の鳩待峠までの登りは疲れた身にはこたえた。戻ってきた駐車場で至仏山を見ながらH2O氏とラーメンを食べる・・・これが至福(笑)。帰り支度をしていたら雨がさーっとやってきて至仏山を白いベールで隠した。 |
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尾瀬ヶ原から景鶴山を望む。頂上にニュー岩。右に景鶴尾根が伸びている。
景鶴沢の下部はブナの自然林が広がっている。溜息が出るほど美しい。
撮影機器：
感想
・300名山行脚を続けているH2O氏より前よりお誘いを受けていたこの景鶴山。夏場は道がなく冬はアクセス悪く雪も深く・・・となかなか登山の条件が揃いません。文中にも書きましたがまさにこの5月GW連休だけがそっとその門戸を開くときでした。
・燧ケ岳・至仏山のジャイアントに囲まれてみてくれはあまり目立ちませんが300名山だけあって頂上部の岩峰は登高欲をそそられましたね。与作岳からの写真が特にカッコイイ!ですね。
・頂上の展望がこんなに良いとは思いませんでした。360度! 多くの山に登り展望はあまり気にしないのが自分の山登りと考えてましたがやっぱり展望がいいに越したことはない!(笑)と思ってしまいましたね。
・300名山行脚の人しか来ない山だと思いますが多くの人が訪問していることが驚きでした。300名山が秘かなブームとなっているということでしょうし深田百名山はもう終わった?人が多いということなんでしょうか。(私は百名山も中途半端ですが(苦笑))
・帰りの温泉ですが、尾瀬戸倉、尾瀬第一駐車場の脇にある尾瀬ぶらり館にある「戸倉の湯」に行きました。泉温43.2度、PH9.82。源泉掛け流しの硫黄の匂いのするよい温泉で、入浴後も硫黄の香りがほんのり体に残ってましたよ。(500円/人)
■あまりメジャーな山ではないと考え少しでも行きたい人のためにと一所懸命この記録を書きましたが、ヤマレコでも記録をUPされている方々が結構いらっしゃるんですね。ヤマレコはすごい!
■同行したプロ写真家H2O氏の写真館がPicasaにあります。
是非訪問してみてください。「実物を包む雰囲気まで作品に閉じ込める!がモットーの写真家の腕が光っていますよ→https://picasaweb.google.com/hankhogawa
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自分も、ほぼ同じ時間（４：００）に山ノ鼻の小屋を出て燧ケ岳に向けて歩いておりました。
景鶴山方面に向かう方を見かけたので、お二人だったのかもしれませんね。
コメントありがとうございます。そうですね！きっと！
t-kinjouさんも同じヤマレコに投稿される方だったとはまったく奇遇です。あの時間は雲が重く垂れ込んでいて至仏山の山の上は真っ黒な雲でしたが晴れてよかった〜！
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