奥久慈ハイキング 西金駅ー下野宮駅

- GPS
- 12:41
- 距離
- 23.0km
- 登り
- 2,116m
- 下り
- 2,053m
コースタイム
- 山行
- 10:19
- 休憩
- 2:21
- 合計
- 12:40
| 天候 | 曇りのち晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2025年11月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
電車 自家用車
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
下野宮駅からの水郡線は極端に本数が少ないので(2時間から5時間間隔とか)、事前に時刻に関する情報を収集して、列車に間に合い、なおかつ無理のない計画を立てます。 ちなみに水郡線沿線は集中豪雨の巣であり、時に大幅遅延や運転見合わせもあります。秋から春にかけてはそれほど気にする必要はないのですが頭の隅にはおきたいところです。 全体を通して、けものみちを含めて枝道が結構出ていると感じました。さらに落葉の影響でメインの登山道と枝道との区別がつきにくくなっています。ヤマレコの過去のトレースなどを使って、現在位置が標準的な登山道に乗っていることを確認すると安心です。 自分はGPSログに「山旅ロガー」をというアプリを使っていますが。このアプリには、過去に自分が歩いたルートを地形図上に読み出して、さらにその上に現在位置を表示することができます。今回の山行では昨年12月に本ルートをやったときのログを出しながら歩いて、道間違えを予防しました。昨年は油断して道間違えを繰り返したことの反省です。 以下、場所別のコースに関する感想を述べます: ・男体山一般コース 大円地山荘横の木道、登山道の崩落が進んでいて、何かの弾みに木道を踏み抜いたり、滑落したりするリスクがあります。一見問題なく見えるのが逆に気持ち悪く感じました。 一般コースに入ってから大円地越までは安全ですが、雨上がりなどは、赤土の露出斜面や登山靴で磨かれたガレ地の岩が滑るので気をつけます。 大円地越から山頂までは、難度はごく低いものの、絶壁の横を通ります。反対側も急斜面です。草や低木が生えていて恐怖感がないところが逆に油断を招くので気をつけます。 ・男体山から月居山まで たとえば序盤の男体山神社へ向かう下山路は直進、一方縦走路は右カーブでして、標識を見ずに歩いていると下山路へ進んでしまう危険があります。また標識のないかなりはっきりした分岐がいくつか出ているので、標識や地図アプリを見て道間違えしないように気をつけます。 白木山分岐から第二展望台までの区間は年間を通して濡れている箇所があり、これからの時期凍結する恐れがあります。アイゼンは不要だと思いますが、氷の上を歩けるコンパクトな滑り止めがあるとお守りになります。ただし今回に限って言えば、地面も比較的乾いていて最良でした。 ・月居山から生瀬富士南峰(通常生瀬富士はこちらを指します)まで 山王山から渡渉点に向けて階段を下りる際、現れる標識を「生瀬滝方面」(階段)へ降りてしまわないように気をつけます。この標識から階段を外れて「国道461号方面」の土斜面へ降ります。踏み跡はあります。 渡渉点は最近いかだの橋が架けられているので通過に問題ないと思いますが、豪雨の後などは橋が流されていることがありますので、天気予報と相談します。筆者はいつも靴脱ぎを想定してサンダルをザックに入れておきます。 渡渉点から生瀬富士までは急登が続いて体にかかる負担は大きいです。立神山、生瀬富士の山頂直下は岩場もありますが、補助ロープがあるので過渡におびえないようにします。 いわゆる茨城ジャンダルムは、生瀬富士「生瀬富士南峰」から右側(立神山から来たとき)へ踏み跡をたどると出てきます。まず正面に現れる大岩を巻いていきます。巻き道には固定ロープがあるのですが、ロープが緩んでいるときがあり、不用意にロープに体を預けると体を斜面下へ持っていかれることがあります。張り具合を確認してから使います。 ・大子アルプス21峰(生瀬富士下山ルートの鞍部から月居の滝まで) 厳しいアップダウンが続くサディスティックなルートです。21峰と言いますが、実際には30回以上のアップダウンがあると思います。 それでも常陸の国ロングトレイルの一部として再オープン(当時は県北ロングトレイルと命名されていました)してからは劇的に歩きやすくなりましたが、去年あたりから少しルートファインディングが難しくなったように感じます。理由は、多すぎるくらいについていた常陸国ロングトレイルの黄色テープが風化等でやや見つけにくくなったことと、枝道が増えてことによると思います。 確かに、思わず進んでしまいそうなわかりやすい踏み跡が、実ははずれだったという箇所がいくつもあります。明るい緩斜面がはずれで、「ここは降りないだろう」という陰気な急斜面が正解というのは序の口で、方向感覚的にはこっちではないだろうという方向にルートが折れ曲がる場合もあります。たいがいテープマークがあるので、よく注意していれば正しいルートを見つけることができますが、確実なのは過去のヤマレコのトレースの一番太い部分などを使って現在位置が正しいことを随時確認することだと思います。 登はん要素はありませんが著しい急斜面は四つんばいで登り降りしたほうが転倒の危険もなく、木の根などをホールドに取れるので安定していてペースも上がると感じました。筆者の脚力の弱さのせいもありますが。 ・21峰登山口から下野宮駅 車道なのでハイキングとしての危険度はゼロですが、歩道のない路肩を歩くので反射板つきの衣類、ヘッドランプの活用などにより歩行者がいることをドライバーにアピールします。 |
| その他周辺情報 | 21峰登山口を出てすぐにりんご園と、月待ちの滝と、お蕎麦屋さん「もみじ苑」があります。もみじ苑のラストオーダーは16時だそうです。 |
写真
装備
| 備考 | ヘッドライト(日没が早いので必携です)、スマホGPS、ゴム引き軍手(商品名「タフレッド」)、タオル、キャップ、雨具兼防寒具、ミトン、目出し帽、フリース、渡渉用サンダル(今回は出番なし)、水2L+ペットボトルコーヒー1L、行動食(塩ようかん、あんぱん、リンゴ) 鍵をズボンのポッケに入れると汗で傷むのでビニール袋に入れてザックのポケットにしまっています。 |
|---|
感想
今年は紅葉不発か。今年は落葉が早くから始まっているように感じられる。イロハモミジは今日明日の急激な冷え込みで次の週末は良くなりそうな予感。
下は筆者の2023年11月26日に同コースを歩いた山行記録。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-6227910.html
大子アルプスの紅葉を満喫するつもりであったが期待はずれであった。部分的には美しい場所はあったが、このとき感じたように縦走中ずっと紅葉の中を歩いていたという感動を得ることはできなかった。
ーーー以下自分のためのメモーーー
今年はこれ(西金ー下野宮)をやっていなかった。昨年は紅葉の時期を見誤ってしまったので、何とか2023年の感動を味わいたいという意気込みで様子をヤマレコで確認しつつ、今回のハイキングを敢行した。
ロングハイキングに限らず、今年の山行における最大の難関は布団を出ることと家を出ることだった。特に布団を出てから荷造りしようという段階でだんだん家を出ることが億劫になってしまい、山行中止ということを2025年には何度も繰り返された。それでは12時間コースのこのハイキングを歩ききることはできない。
歩き飽きた行程でも、とにかく山を歩ける脚を作っておこうとコンスタントに歩きだしたおかげで、竜神ダムの底を歩くというアイデアにたどり着いた。歩き出してしまえば盛夏であっても肌寒くても、それなりに山の空気を感じて(虫も感じるのだが)行ってよかったなと感じるのだが。
それでもこのハイキングは本数が極端に少ない水郡線を使うので汽車の時刻を考えると長早出が必要だ。頭の中では3時台の汽車とその次の5時台の汽車が西金まで乗り換え無しにいけるということがインプットされている、12時間コースなので3時スタートまたは5時スタートだ。
起床後に心が折れないようにパッキングは前日に完了し早寝した。5時台の汽車に確実に乗れればいいから、歩き出しが4時であればゆとりある山歩きができるだろう。ということはアパートを3時過ぎに出発だから、起床は2時と逆算できる。寝たのは8時過ぎ、これなら起きられるだろう。実際2時過ぎに床を抜け、身支度をして予定通りに家を出た。まずはこれだけで大成功だろう。
天気予報は晴れのはずが、西金駅に到着すると地面が濡れている。雨が降ったのだろうか?クマザサを掻き分ける箇所があることを思い出し、服がびしょぬれになることを考えると少し気がめいった。
南西に三日月は出ているが、雲がちで天の川を見るほどの星空は楽しめなかった。が、夜の林道を奥久慈の盟主男体山へ向けて歩くことは気分が高揚する。
途中、散歩の地元の方に会う。「お早いですね」とお互いに挨拶する。
一般コースは途中がさがさと草むらが動く音が聞こえたような気がしてぞっとした。自分のザックの動く音だった。登山靴がざくざく動く音とザックがすれる音がする闇の中を、ヘッドライト頼りでじっくり歩いていく。歩きなれているはずなのに進むべき踏み跡を見失いかけたりして、夜特有のルートファインディングの難しさがあるけれど、それが楽しいと思う余裕も持てる。
大円地越に着いた。ここでケヤキの木立を見上げると、木々のシルエットが見て取れる。薄明が始まったようだ。もうすぐヘッドライト頼りの登山が終わる。超早出の最も楽しい瞬間のひとつ。ご機嫌な頂上稜線ではあいにくヘッドライト頼りで回廊の景色を楽しむことはできなかったが、ブナの巨木(そういえば小さいカミキリムシが張り付いていたぞ)のある鞍部の先にある、男体山の定点観察点では、正面岩壁が薄明にその姿を現し、写真に撮れる程度の日が射してきた。そろそろヘッドライトはしまおう。
山頂で無事を祈った後に、月居山への縦走に入った。ここで思いがけずもご来光を拝むことができた。紅葉は、ところどころ美しい木はあるものの全体的に地味だった。ここは寝泊りしたいと思うくらいに紅葉がきれいなところだったし、実際にキャンプ目的で来ているパーティーに出会ったこともあるが、今日の具合では一日寝転んで紅葉を見ていたいというほどの豪華さはないだろう。そのある種の物足りなさは曇り空も手伝い、月居山山頂まで続いた。月居山山頂のイロハモミジはさすがに赤かったが、本格的に色づくのはまだ少し先だ。ただ、緑も黄も混じっている紅葉は赤一色よりも複雑で良いところも有るだろう。山頂では一部の好事家には知られている6灰皿が、落ち葉のじゅうたんの中にたたずむ様子を写真に収めた。
次のチェックポイントは渡渉点か。いやその前に月居山の本当のジャンダルム(前衛峰)というべき山王山を越えていかなければならない。筆者の残存体力のチェックポイントだ。山王山には心を折り、脚をけいれんさせる長い階段がある。ここで脚がつらなければ、体力は割りと残っている。なお同様のチェックポイントとして、月居山へ取り付く前の長い急登をすでに歩いてきていてそこも快調であるから、今日は大丈夫だろうとそのときは思っていた。
山王山の眺望点から、生瀬富士と立神山の雄姿、そして袋田の滝を見下ろす断崖の景色を楽しんで渡渉点へと下った。今はいかだの橋が架けられていて、大雨の後でもない限りは靴脱ぎは必要ないのだが、最後に右岸に移る部分の水量が多い。橋がなくてもぎりぎりいけるのではないかと少し様子を見たが、苔で滑りそうなことがわかり、今日は無事に歩くことを優先しようということで橋を使わせていただくことにした。渡渉点の上流の水は静かで、ここはピクニックには良い場所だろう。小休止して次の急登に備えた。
ここから立神山までは、いくつかの偽ピークを踏みながら急に高度を上げていく。筆者にとっての残存体力チェックポイントの一つだ。さいわいここでも足のけいれんを免れた。紅葉シーズンで、昼近くなってきたので登山者もぐっと増えてきた。名瀑袋田の滝を見下ろすスポットでは、今までそこで筆者が遭遇したこともないほどの人だかりで、接触して人を崖から突き落とさないように気を使った。ここはさっと退散しよう。
赤い紅葉を楽しむのであれば、登りは極端にきついがかずまへ登ってくることだろう。今回もかずまの紅葉は見事だった。紅葉目的で下から登ってくる登山者の声が聞こえる。ここを登って渡渉点、生瀬の滝で回るのがコンパクトで景観を楽しめるハイキングではないか。
かずまを過ぎると、早く立神山について欲しいのだが、この登りを歩ききれば山頂だろうという期待を三回くらい裏切られる。これ初回ではかなり精神的なダメージが大きいだろう。筆者はさすがに心の準備をして歩くので、もうだまされないもんね、と思いながらじりじり山頂を目指していった。その最後の偽ピークで、筆者が大キレットミニチュアモデルと呼んでいる小さなナイフリッジが最近は好きだ。別に客観的に見てすごいわけでもないし、眺望はあるけれども、一応男体山ー月居山縦走路や白木山を望めるというだけで、一般受けもマニア受けもしないような景色なのだけれども、つい歩いて遠望したくなってしまう。
立神山から望む生瀬富士はまだ果てしなく長く感じるのだけれども、立神山への登りのきつさを耐えてくると、見た目の距離の割にはあっという間に登頂してしまう感覚が強い。さっと山頂(南峰)に登頂して、北峰を目指す。途中に筆者のお気に入りのプチボルダリングがある。ここをどれだけ怖がらずに往復できるかで、筆者の劣化具合をチェックできる。今回はやや劣化を感じたが、合格だろう。
その北峰方面の岩稜で新発見。岩稜の中腹に小さな祠があった。ペットボトルのようなものが落ちているので、回収するために降りて行ったところにあった。ゴミ集めは筆者の遭難避けのおまじないなのだが、ご利益が出たのだろうか。この先の本番の無事を祈って手を合わせた。
南峰から大子アルプスの取り付きまでは、序盤はちょっと危ない岩のクライムダウンがある。それは覚悟の上で突っ込むのであるが今回は何か変だ。確かに難しめなことは知っているけれども、逃げ道もあるはず。ここにはその逃げ道がないと思ったら、降り口を間違えていた。序盤に明瞭な踏み跡が会ったので見事にだまされてしまった。無理して突っ込んでいたら結構危険にさらされていたかもしれないと思うと余り良い気分にはならない。あんな踏み跡これまであっただろうか?
この降り間違えで体力を消耗したのか、一気に左太ももがけいれんした。21峰取り付きのコルで小休止してから歩き始めたにもかかわらず、最初の急登でまた脚がつって小休止せざるを得なくなってしまった。
だがここからは絶景紅葉が延々と続く。足が止まってもいいし、足が止まるから体力の消耗はないだろうと思っていたが、当てが外れてしまった。紅葉がぱっとしないのだ。ここからはかずまで見たような紅葉を見飽きるまで堪能することができると思った。日差しも出てきて光線の加減も十分なはずだったのに、誰も歩かない紅葉の道をただただ歩き続けるという感動は得られなかった。
したがって、大子アルプスはいつものように急登を登り、信じられないような急斜面を下り、下りきったとたん次の急登が待つということを延々と続けるいつものメンタルトレーニングとなった。大生瀬トンネル上の藪こぎを過ぎた当たりで筆者を颯爽と抜いていった若い登山者が「ここ修行みたいですね」とおっしゃっていたのが印象的だ。そう、ここは修行なのだ。ここを歩いていればたいていのロングハイクで辛いと思うことはないだろう。今、裏高尾の徹夜ハイキングをやったらどんなになるだろう。
太もものけいれんはけいれんというよりも定常的な筋肉痛に変わっていった。縦走の中ほどで右ひざにピシッと刺すような痛みが走った。これはまずいな。けいれんや筋肉痛はだましだまし歩ければ良いのだけれども、このての膝痛が出てしまったら歩くこと自体がきつくなる。なんとか同じ刺す痛みが出ないようにだましだまし歩いた。
縦走の後半には靴下の変な締め付けが出てきたのか足爪にも痛みがでてきた。この調子だと両脚の薬指の爪がまたはがれてしまうのではないか。今年の春左足人差し指をうちの中でぶつけてやっと生え変わったばかりなのに。靴紐を解き、かかとをとんとんして、強く靴紐を締めなおしてつま先に力がかかりにくくした。農免農道を渡り、いよいよ後半だ。
後半はとどめの三角点「釜田」の偽ピークがある。ちょうど4峰に相当するのだが、5峰から偽ピークがいくつも出てくるのだ。それまでのアップダウンに比べると少しは緩斜面なのだが、体力が限界に近いところでいくつも偽ピークが出てくると精神的なダメージが大きい。今回は偽ピークの数を数えてやることにした。結局大小あわせて6個の偽ピークがあった。
でもこの区間、悪いことばかりではない。紅葉は美しい。イロハモミジの赤とダンコウバイの黄色、そして杉を肇とする常緑樹の緑が混ざり合って豪華な回廊を作っている。紅葉狩りを兼ねて休み休み歩いても良いだろう。
そういえばもう今のペースでは3時台の汽車には間に合わない。どうせ下野宮駅では2時間近い待ち時間になるのだから、歩くペースを考える必要はないのだ。そう考えると気持ちは楽になった。
三角点「釜田」を過ぎると激しいアップダウンは終わる。3峰へ向けての激しい下りがあるだけだ。枯葉と乾燥の影響で滑りやすく、体力も落ちてきているので積極的に三点支持、要するに四つんばいで降りることにした。ここで本日2個目の後方からの熊ベルが聞こえてきた。結構なペースなのでトレランかと思ったら、ハイキング姿のお嬢さんが、筆者が這い降りていた急斜面を駆け下り、あっという間に抜き去っていった。どのような足腰をしているのだろう。
その3峰への道にちょっとしたごほうびがあった。杉林が伐採されていて、新しい眺望点ができていたのだ。大子アルプスの別尾根を望むことができる。枝尾根越しに青空が見えてすがすがしい。
3峰は杉林の縁に立つ陰気なもろい小岩塔だが、片側が開けたおかげで少し小さく見える。巻くこともできるのだがお約束で、がたがたの脚で攀じてピークを踏んだ。これであとは1峰の絶壁から久慈川を見下ろして、登山部分は終了する。
今までのパターンだと、ここでどこにそんな体力が残っていたのだろうという具合にペースが上がるのだが、両太ももの筋肉痛と両足爪の痛みではペースを上げることもできず、できれば乗りたかった3時台の汽車の汽笛を聞きながらゆっくりと登山口を目指した。冷えてきたな。
庚申塚に無事を感謝して約3時半。月待ちの滝に寄った。この周辺のイロハモミジは美しかったが、月待ちの滝とついになっている大きなイロハモミジはまだ青かった。たにまで気温が下がりそうな場所なのだが。
出汁の良い香りが鼻腔をくすぐった。いつも見送っていたもみじ苑でおそばを頂こう。これまで何回も月待ちの滝に来ながら、汗まみれで悪臭を放ったり泥だらけだったりではお店に迷惑をかけるだろうし、西金へ戻る汽車の時刻が気になってゆっくり腰をすえる余裕が無かったしと、素通りばかりしていたのだ。最近テレビにも紹介されたという屋外の席でおいしいざるそばをいただきながらぼんやりと滝を眺めるのは贅沢だった。
後は夕闇迫る車道を下野宮駅へ向かってこつこつ歩く。久慈川にかかる橋を渡りながら、自分が歩いてきた大子アルプスが夕日に輝く様子を眺めて余韻を楽しんだ。
最後のお楽しみは、無人駅でじっと夜汽車がくるのを待つこと。待合室を出て、さびしいホームにたたずんでいると、やがて踏み切りの音が鳴り始め遠くに見えたヘッドライトがどんどん輝きを増してくると、つかの間の夜汽車の旅が始まる。普段は西金からはドライブだが、いっそ全部鉄道を使う山行をやってみるのもよさそうだと、今ふと考えた。
登山から3日たってようやく階段を手すりを使わずに歩けるまで筋肉痛が回復してきた。まだこのくらいのペースで痛みが回復することに感謝したい。
ところで大子アルプスの始まりと終わりの時刻を過去3回の同ルートで比較すると、実は今回苦しんだとは言っても、驚いたことに極端に足が止まっていたわけではないようだ。むしろ昨年11月の合計時間の短さは、西金から生瀬富士の間で稼いでいた。
年月日 はじめ おわり 合計時間 備考
2023.11.26 − 10:31 − 14:44 − 12時間33分 写真撮影で足が止まった。
2024.12.08 − 11:43 − 15:58 − 11時間37分
2025.11.15 − 11:12 − 15:38 ー 12時間41分 今回。痛みで足が止まった。
(番外編)山行の翌日はキャンプ場でのミニ焚き火実験を計画していたのだが、筋肉痛がひどくて椅子へ座るのも椅子から立つのも辛く、焚き火実験はキッチンで実行した。煙がたくさん出たり、大きな炎が出たりしたら即中止する予定だった。道具は先日デビューした手のひらサイズのネイチャーストーブ(SOTO Tetra ST-941)。燃料は部屋のガラクタから発掘した(?)一発着火炭だ。このおがくずを固めて作った人工炭はなかなかの優れもので、バーナーライターで何秒かあぶったら、ぱちぱちと線香花火のように火が回ったと思ったらあっという間に熾火になってしまった。火が90分近く持続し、燃え残りは完全に灰になる。小さい焚き火でコーヒーを淹れて、軽く本を読んだりするのにはちょうど良い。このネイチャーストーブ。断熱性も結構高く、焚き火台代わりに使ったおせんべいの空き缶の塗装が燃えなかった。登山の熱源としては使えないが、ソロ焚き火ごっこの心強い友を得た。
takahashisun











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