ワイルドな富良野西岳 沢コース


- GPS
- 07:40
- 距離
- 11.0km
- 登り
- 1,088m
- 下り
- 1,088m
コースタイム
過去天気図(気象庁) | 2025年09月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
■バランスの取れたハイカー
ゼロポの登山歴は長く、30年ぐらいになるかもしれない。小さい子供たちにも共同装備を担いでもらい、パーティのメンバーとして、一人の登山者として、逞しく育て上げた。小さなシルエットと共に綴られた記録の数々は誰の心もほっこりさせてくれたと思う。
子供たちは年頃の女性に成長し、あの頃のように山に登ることはなくなってきたけれど、これほど美しく完璧な世界が他にないことに気付いた頃、きっとまた戻ってくる。
今は好きなように夢を追いかけるのがいい。
願いは叶えられるし、何者にだってなれる。
人生の黄金期を迎えた私たちだって同じこと。
美味しそうな山メシとシビれる山のセレクト。
そして魂から紡ぎ出される言葉のひとつひとつ。
数えきれない登山者の中でも、これほどバランスの取れたハイカーは他にいないと思う。
特にあの大きな怪我から復活劇は、多くの人を勇気づけ、共に上へと引き上げてきた。
ハイカーにとって足の怪我は、翼を折られた鳥に等しい。
不安、焦燥、憤り。
言葉にできないほどの感情が、長く、重く、彼女の胸にのしかかっただろう。
人生に浮き沈みはつきものだ。
良いことがあれば、その影に必ず苦しみが潜む。
それが宇宙の法則なのだという。
神は時に大きな試練を与える。
それはあまりに高く、暗く、冷たく見えるかもしれない。
でも、その壁を超えたときに目にする世界は、以前とはまるで違う輝きを放つ。
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■登らず嫌いなゼロポ
ゼロポと歩く山旅は、私にとっても一年の大切な儀式のようなものだった。去年は私のアトリエの整備で終わってしまったので、今年は何としても歩きたい。
足の確かさと、感性の鋭さ、そしてほんの少し尖ったユーモア。彼女と一緒に歩く時間は、ただの登山以上のものを運んでくれる。
計画を立て、予定を重ね合わせても、最後に鍵を握るのは天気。
週末に狙いを定め、1泊2日の縦走を企てたものの、予報は刻一刻と悪化し、線状降水帯を伴う大雨になっていた。
好天予報の秋分の日、日帰りプランに切り替えることにした。
行き先を決めるのは私の役目になっていて、ゼロポの山行記録を眺めながら、さぁどこへ連れ出そうとニヤニヤしながら考えるのがこの上なく楽しい。
私に向いていることがあるとすれば、こうしたプランニングだと思う。
どのコースを歩き、何時に山頂へ辿り着いて、何を食べようか。
ゼロポが未踏の山で、喜びそうなトレイル。
行き先の候補は「西富良野岳」と「芦別岳」だった。
どちらも駐車場までは舗装で、近くにコンビニもある。
「富良野西岳」は過去に一度だけ登ったことがあり、スキー場のイメージを覆す好ルートだった。沢沿いの道を進むにつれ、人工の匂いは薄れ、自然の息吹が濃くなる。
「ただのスキー場の山だろう」と侮っていた自分を恥じ、良い意味で裏切られたのを覚えている。
冬にはロープウェイやリフトの恩恵を受けていながら、夏になると手つかずの自然を追い求める。大いに矛盾しているけれど、沢コースは日高山脈の入門としてもいいと思う。
稜線に出ると進行方向には堂々と「芦別岳」が聳え立っていて、その鋭い峰を歩く旧道コースも候補に挙げていたけれど、寝不足の女子会登山としてはハードルが高くなるし、翌日の仕事にも影響する。
今の私たちに「ちょうどいい」のは「富良野西岳」だと思った。
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■お揃いコーデ
私が登山を始めた2009年頃は「山ガール」という新ジャンルのハイカーが増えて、翌年には流行語大賞にノミネートされるほどの勢いがあった。カラフルなファッションに身を包んだ女子が野山に放たれ、私もその波に乗り、派手な色を全身にまとい、まるで花のように山を歩いていたと思う。
今でこそ装いは落ち着きを増し、控えめなベースカラーに差し色を添える程度になった。けれど、当時は驚くほどに華やかで、山肌に溶け込むよりも浮き立つことを楽しんでいたように思う。
実際、派手な色は山ではよく映える。
スキー場コースから現れた3人パーティのうちの女性が纏っていたショッキングピンクは、一瞬で景色を塗り替えるほどに鮮烈だった。
そんな経験を経た今、私がひそかに楽しんでいるのは、仲間との「お揃いコーデ」だ。
出発前にメンバーの装備を確認し、配色やブランドを合わせて、まるで舞台衣装を揃えるように仕立てていく。
同じ山を目指すパーティが、同じトーンを纏う。
それは単なる服装合わせではなく、心を一つに結ぶ儀式のようなもの。
私にとって登山は、自然と向き合うだけでなく、共に歩く仲間との物語を紡ぐ時間でもある。
お揃いコーデはその物語にリズムを与える小道具であり、私なりのパーティ登山のドレスコードなのだ。
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■正解は人それぞれ
登山を始めたばかりの頃、私にとって大切だったのは「いかに効率よく山頂へたどり着くか」だったと思う。
最短ルートこそが正解であり、余計な寄り道などは必要ないと思っていた。
やがて足が起伏に慣れ、体力がついてくると、私は強くなった気がしていた。
もっと速く、もっと遠くへ。
限界を押し広げることこそ、成長の証だと信じていたのだ。
あの頃の私にとって、一番のご褒美は「山頂からの景色」だった。
そこで初めて登山は報われると、単純に思い込んでいた。
けれど、今は違っていて「スキー場コースを選んで正解だった」と誰かが言っても、私たちにとっては、沢コースが正解だったし、十勝連峰を見ながら周回できるスキー場コースも下山で使うには悪くなかった。
沢の魅力は歩きやすそうなポイントを自分で探し、迷い、つまずき、引き返し、また歩き出す――その繰り返しこそが面白いのだ。
気づけば、人生も同じだった。
人生の折り返しを過ぎた今、私たちはこれまで歩いてきた道と人生の軌跡を自然と重ねてしまう。
まっすぐな一本道よりも、迷い、立ち止まり、やり直す道こそがずっと心に残る。
こういう歩き方が、私は好きなのだと、あらためて思う。
正解は一つじゃない。
人の数だけ、歩き方がある。
だからこそ、人生も登山も奥深く、面白いのだ。
そして、その歩みはこれからも続いていく。
最高の時間をありがとう。
スキー場の山と知っていて
全く興味が湧かなかったこの山
最近、沢コースの記録を見て
行くなら沢コースだなと思っていた
先週は2人で山旅計画の予定が雨で中止
この日はお互いに休みだったので
ドミノンおすすめの沢コース
ほんとに最高に良かった
食わず嫌いならぬ登らず嫌いな所が私にはある
山は行ってみなくちゃわからないと
再認識した山歩きとなった
どうもありがとう!!
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