無名沢コイカク南西面~23南面~コイボク本流


- GPS
- 152:00
- 距離
- 81.5km
- 登り
- 5,109m
- 下り
- 4,718m
天候 | 毎日晴れ、午後から夜のはじめにパラリ。最終日は雨。 |
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過去天気図(気象庁) | 2025年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
その他周辺情報 | 帯広はげ天、ラーメン大将、らくよう |
写真
装備
共同装備 |
ザイル48m
キャメ#0.2
0.3
0.4
トライカム
ナッツ
ハーケン8枚
タープ
のこ
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感想
仕事を早退して車を飛ばしていると、後ろから赤色灯が。あひ。帯広で水野を回収し、元更別の山小屋でC0。
Day1:静内ダムゲート(7:15)西川尾根末端の小屋(17:45)=C1
晴れ時々雨 林道歩きの日。元浦川林道が昨冬から通行止めの為、道道111号静内ダムゲートからの入山。約6kmを1ピッチにしてひたすら歩く。足も腰も痛く辛い。0.5kmおきに設置されたキロポストだけが楽しみ。不安定な天気なので屋根があるところの方が良いだろうと、2km程余計に奥まで歩いて小屋でC1。アプローチの運動靴がよく燃えた。
Day2:C1(5:45)無名沢入渓(6:45)23南面出合(10:45)奥二股(13:30)=C2
晴れ ナナシ下部の日。来た林道を少し戻り、作りかけの橋を渡ってコイボク左岸へ。コルから尾根のっこして7年ぶりにナナシに降り立つ。しばらくは河原。Co520の函は右岸空身で一段のっこしてザック吊り上げ。そこからは函と河原が交互に出てくる。この水量ならどこでも泊まれそう。Co700の函は水野が泳いで突破、カナヅチの飯田は紐で引っ張ってもらう。23南面出合に中盤以降の食料をデポ。Co780チョックストーンの滝は前回同様左岸側壁のチムニーを登りザック吊り上げ。あとはスタスタ歩いて奥二股へ。薪が非常に少ないテンバ。夕立がパラリと降ったがすぐに止んだ。
Day3:C2(5:45)コイカク夏尾根頭(11:05-11:45)無名沢23南面出合(15:30)=C3
晴れ コイカク南西面の日。テンバ出てすぐの滝は右岸を簡単に直登、全然記載するほどでない。次のゴルジュ内の3mFは水圧が強く登れないので左岸側壁を空身で登ってザック吊り上げ。そのままザイル引っ張ってトラバースで沢に復帰、やや悪いが高度感はない。Co930二股の滝も別に。Co980の滝は左岸を一段登ってザイル結ぶ。水野リードで3mの悪いトラバースから左岸直登。水流を右岸に跨いで落ち口のリッジを10mほど登り、その先に3つ連続する函滝をまとめて小さく巻く。ザイルの出しようがなくここが一番悪かった。核心部は3時間位で終わり、以後これと言った難所はなく藪漕ぎ30分で夏尾根頭へ。天気予報を見ると良い日が数日続くようなので、明日は停滞することに決める。しばらくほげほげ。
再びナナシへ。藪漕ぎ1時間、特に何もない沢下り2時間でナナシのCo700に降り立つ。熊か人か分からないが滝を巻くたびに草が倒れた跡があった。本流を23南面出合まで戻ってC3。まずは1本。
Day4:C3(9:00)・822手前の河原(10:00)=C4
晴れ 移動停滞日。ゆっくり起床。函滝が2、3あるが別に。他はただのガレた河原。・822を右に折れて最初の2段滝を見に行き、手前の広い河原でC4。太陽びかびかで暑い暑い。寝まくり食べまくる。さあ明日が勝負。
Day5:C4(5:15)1823峰(11:30-12:00)コイボクCo880付近(15:30)=C5
晴れ 23南面の日。2段滝はいずれも左岸から。その次すぐ出てくるチョックストーン滝は左岸のゴツゴツした所を直登。次を右岸から巻くと15mF。飯田リードで左岸水流際を空身で登りザイルfixして登り返し。Co940で右に折れる斜爆は右岸から。続く釜持ち滝は左岸から取り付き水流横切って右岸へ抜ける。いずれもフリーで快適に登れる。次かその次の函滝は左岸から巻いた。Co1050「ビンの底」で黙祷。左岸をザイル出して直登。簡単そうに見えたが思ったよりスケールがあったのでザイル出しておいてよかった。クライミング自体は中間も終了点もしっかり取れ、非常に快適。コイカクから見える30m滑滝は滑らなかったので大丈夫。その上にちび雪渓。Co1350から沢はガレてさらに細くなるが水量がそんなに無いので悲壮感はない。チョックストーンの滝は左岸側壁を小さく巻く。次は左岸水流際を直登。その次がシャワークライム。水量多いと大変そうだが無問題。次第に開けてきて、デカい滑滝を左岸からフリーで越えるとお終い。結局ザイルは2回だけ。簡単な小滝とガレを詰め、クマ道に導かれ23へ。しばらく色々なことに思いを。
コイボクへ。稜線を北に1時間弱歩いて1737から沢に降りる。はじめはチョロ川。何もないまま終わるかと思ったらCo1100位でするどい滑滝が現れ、巻き切れず懸垂一発20m。そこから下はガレ沢。疲れた足を引きずりながらコイボク本流を少し上げてC5。へろへろ。
(まだコイボクが残っていながら書くのもアレだが、23南面は拍子抜けとも言えるほど快調だった。昨年の西沢程度にはヤラれるだろうと覚悟していたし、今年は二人とも大した沢に行っていないなど不安はいっぱいあったのに。「スケールの点でナナシの本質は今回降りに採った本流のコイカクシュサツナイ岳南西面直登沢にこそある、と言いたい。勿論本流を下から遡行しての、という意味でだが」(AACHOB松原・乾1998年の記録より引用)とは正にそのとおりだ。)
Day6:C5(5:45)カムエク(10:15-10:45)8の沢出合(13:45)=C6
晴れ コイボクの日。Co900二股を右に入るとすぐにガレたV字状の沢に変わる。Co1000手前の3条の滝は水量少ないため2条しかなく、中央を直登できた。3段滝は1,2段目はそれと気づかないほど簡単。3段目は巻けそうでもあったが定石通りショルダーにした。ジャン勝ち水野が土台となる。V字がだんだんキツくなるとシャワークライムが増えるがどれも気持ちいい程度。函滝もあるが必ずしも泳いで取り付かなければならないようなものはなく、だいたいきわどいへつりから突っ張りに持っていける。15m程の滝を右岸から巻き気味に登ると核心の滝、ここは水野に花を持たせる。右岸の屋根の下から取り付いて強い水圧を受けながら上部で左岸に横断して越える。ザックは左岸から吊り上げ。Co1200を左に入ると4つ程簡単な小滝とそれに続いて20mF。右岸のルンゼからグイグイ巻く。沢に復帰するとどうやら源頭の雰囲気。水量1:1の二股を左に入りコイボクカールへ。憧憬の地、獣の楽園。ガレたルンゼをひいこら登って最後の頂へ。夏道下って8の沢へ。河原を歩いていると後輩の宮下と見城に遭遇。ルームを出てもなんだかんだ山が好きなやつらを見て、なんだかとてもうれしい気持ち。足が痛すぎてうまく歩けなくなってきたので出合のちょい先でC6。
Day7:C6(6:45)ゲート(9:00)
雨 静かな雨に降られながら、一歩一歩踏みしめるようにして山を降りた。
僕らは最高の相棒で、僕らは最高の夏を過ごした。山行を終えてもそれしか分からなかった。だがそれが全てだ。
夢こそ一時、あっという間の9年間だった。これでひと区切り。でも、ありがとうございました、とはまだ言いませんよ。
我々のこれまでの全てが、この美しいラインに繋がったと言えるだろう。天気に恵まれてたとはいえ、この規模の計画をスムーズに完徹できたのがその証だ。
最高の相棒と最高のフィールドで登り続けた9年間(10年間)、第一章完といったところでしょうか。
やっぱ北海道はスケールが違いますね。
技術力も凄いですが、体力も必要ですね。
コメントありがとうございます。これもひとえに日高の懐の深さのおかげです。
これからも、フィールドらしさを捉えた芯をくった山行をしていきたいです。
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