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Yamareco

記録ID: 8122281
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
奥秩父

萌ゆる新緑の雲取山と飛龍山。 奥多摩石尾根から奥秩父主脈縦走路を行く、五十人平野営場と将監小屋のテント泊・3 DAYS

2025年05月03日(土) 〜 2025年05月05日(月)
情報量の目安: S
都道府県 埼玉県 東京都 山梨県
 - 拍手
体力度
6
1〜2泊以上が適当
GPS
18:44
距離
28.0km
登り
2,330m
下り
1,593m
歩くペース
標準
1.01.1
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
5:22
休憩
1:15
合計
6:37
距離 9.8km 登り 1,366m 下り 156m
9:03
2
スタート地点
9:05
9:08
40
11:22
44
12:06
47
12:53
13:01
6
13:07
14:07
3
14:10
14:12
2
14:14
14:15
10
14:25
14:26
5
14:31
6
14:37
16
14:53
47
2日目
山行
8:59
休憩
1:20
合計
10:19
距離 13.7km 登り 915m 下り 925m
5:39
35
6:14
23
6:37
6:40
2
6:42
6:45
3
6:48
6:58
32
7:30
56
8:26
54
9:20
9:21
87
10:48
11:24
29
11:53
12:03
9
12:12
12:16
3
12:19
12:20
28
12:48
12:55
3
12:58
13:02
42
13:44
13:45
133
15:58
3日目
山行
1:28
休憩
0:04
合計
1:32
距離 4.6km 登り 49m 下り 511m
7:37
39
8:16
23
8:39
8:43
24
9:09
ゴール地点
天候 晴れ 風 小雨
過去天気図(気象庁) 2025年05月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス タクシー
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2025年05月04日 13:00撮影 by  iPhone 16 Pro Max, Apple
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装備

個人装備
防寒着 雨具 グローブ チェーンスパイク ストック 火器セット 昼ご飯・行動食(予備入れて3日分) 水(1日あたり2L) 地図(地形図) コンパス 計画書 ヘッドランプ2つ 乾電池・携帯充電池 筆記用具 着替えとお風呂セット(ダウン・長袖・靴下・下着・手ぬぐい等) 現金 保険証コピー 携帯 時計 眼鏡 カメラ 常備薬・ファーストエイド 浄水器 携帯トイレ トイレットペーパー(持ち帰り) テント(ペグ・ポール) グラウンドシート シュラフ テントマット

感想

今年のGWのカレンダーはあまりよく無い。それに加えてGW前はいつも仕事がバタバタで目が回る。飛び石の休みを潰して、後半の4連休を何とか気持ちよく休むために頑張って休みに突入。

たったの4連休だけど、普段出来ない山歩きをジョンコナー隊長と計画する。2泊3日のテント泊、奥多摩〜奥秩父縦走を企てる。
去年のGWも隊長とは前日に鴨沢で前ノリして、早朝から雲取山山荘でテント泊、その後は秩父は三峰神社へわ下山した。お天気が良すぎて暑くて長い山行だった。



五十人平野営場。
七ツ石と小雲取の間に、老朽化のため2019年に営業を終えた奥多摩小屋の跡地に、五十人平野営場として新たにテント場が2025年のGWに合わせてオープンした。

ネットでの予約開始時間に隊長がクリックを連打し、争奪戦に打ち勝ち予約成功。
定員70名、当面は30名定員という運用のようで、GWのカレンダーはあっという間に埋まっていた。

オープンの4月29日を過ぎると、ぼちぼちとレポートが上がって来ていて、事前に様子を伺うことが出来た。本当に便利な世の中である。



今回の計画。
五十人平野営場を足掛かりに、雲取山を経て飛龍山、笠取山へ縦走し雁峠へ下山する計画である。予定だった。

結果から言うと、2日目の五十人平野営場から雲取山を経て、奥秩父主脈縦走路を西へ、飛龍山を越えて将監小屋へ達したところでギブアップして、笠取山を諦めて下山することにした。




日本百名山、雲取山。2013m。
東京都の最高峰であり、東京、埼玉、山梨を跨ぐ名峰である。去年のGWから1年。再びその山頂を望む。


雲取山より高い飛龍山。2077m。
雲取山の西側の主稜線にある山で雲取山より標高が高い割には山頂を訪れる人も少ないという。甲斐と武蔵の境に鎮座する深山。眺望が無いためか、秩父主脈縦走路は飛竜山山頂の南側を巻くように付けられている。



1日目。
奥多摩駅で集合し、そのままバスで雲取山への登山口の鴨沢へ。行楽日和のGWでとても人手が多く、沢山の登山者がバスに乗んでいった。
鴨沢バス停に着いて、この時期やはり身軽なハイカーさんも多いのか、登山口では注意を促す人が立っていた。

9時過ぎ、やっぱり2泊3日分の荷物は重たい。のっすのっすと、ゆっくりと、坂道を上がっていく。身体が慣れるまで辛い時間が過ぎる。

艶々とした新緑に覆われた山々は、空の青空に映えて、切れ込む谷々のグラデーションも美しく、前日の雨のおかげか、とても爽やかで涼やかな風が谷を通り抜ける。


とはいえ、衣食住を全て詰め込んだ夢のある荷物は重い。1時間毎にザックを下ろして休憩するというルールを決めて、疲れ過ぎない様に気を使う。
3日間この荷物を担いで歩かなければならない。と、思うとなるべく体力を温存したくなる。



13時前に七ツ石小屋に到着。
お腹が空いた。お天気が良く暑いが、すでに富士は雲に隠れてしまっていた。
すぐにでもビールを飲みたいところだけど、飲んでから山を歩く、というのを推奨しておらず、小屋の宿泊者以外には提供していない、ということで諦める。

平野営場では売店はなく、夜飲みたい場合は持ち上がるか、雲取山山荘までお使いに出なければならない、というとちょっと遠いコンビニである。


七ツ石小屋の小屋番のネコちゃんが、広場の真ん中でドテッと寝っ転がって、テントを張るのを拒絶するかの様になかなか動かない。普段は広々と歩き回っているのだろう、今日はよそ者が多いなぁ、といった感じである。

ご飯を食べて、出発。ここから今日の宿泊地の五十人平はもう少し。


今晩の天気は風が強まり、少し雨が降るかもしれない、という予報で少しそのことが気に掛かり始める。
七ツ石山を過ぎた辺りから西の方から雲が出始めていて、時折青空を覆っては、少し風は冷たくなってきた。




祝・五十人平野営場オープン。1758m。
獣避けのフェンスが南北に新設されていて、そこを潜るとヘリポートと、その先にテント場が広がっていた。
すでにもう何張もテントが張られて、噂通りのこんもりとした丘陵地帯で、平坦なところはすでに埋まっていた。

なんとか、まだ平そうなところを見つけてテントを張る。
あぁ 今日の山歩きは終わった。と解き放たれた気分になった。そして辺りは雲に包まれつつあった。

ただ人数を絞っているからか、お隣さんとの距離も十分にあり、とても静かで、テントを張ってしまえば長閑な時間を過ごすことが出来た。

ホッと一息ついたところで、もう時間は17時になろうとしていた。そろそろ晩ごはんの準備。持ち上がった缶ビールが美味い。こんな物を背負っているから荷物が重いのだけど、こればかりは止められません。



日暮れと共に随分と冷え込んできた。
ヴィヴィのエマージェンシーカバーを寝袋に被せる。ご飯を食べてテントの中にゴロっとしていると、ついに風が出てきた。
最初はテント場より上空で吹いている感じだったが、徐々に降りてくるのを感じた。強い風がテント幕を揺らし、パチパチと雨なのかみぞれなのか、テント幕を打っていた。

テントの窓から外を覗ってみると、辺りは雲に覆われ月の光が拡散されて、テント幕越しでも異様に明るかった。

最後にブォンと大きなひと吹きがあって、強い風は去っていった。
窓から空を見てみると満天の星空になっていたけど、寒くて外に出る気は起きなかった。



寒すぎて寝られないけど。
ふと、眠りに落ちたときゾクゾクっとした寒さで目が覚めた。色々着込んだ。ダウンパンツを持ってこなかったことを後悔した。ずっと持ち運んでいたレインパンツに初めて足を通した。
化繊ダウンも着込んで、暖かくなってくるとまた眠りに落ちて、またゾクゾクっとして目が覚める。

暑いのはまだ何とか凌げるが、寒いのだけは、どうしようもない。時々来るガタガタっとした震えに、明日の夜のことを考えると少し憂鬱になった。起きているとまだ暖かくなってくるのだが、寝ると寒さで目が覚める。

隣の隊長のテントからもゴソゴソと聞こえる。
何回も寝返りを打って、早く朝にならないかなと思いながらも、結局は寝ていた。




2日目。
3時に起きて、とりあえず身の回りの物から片付ける。寒くてお布団、ではなく寝袋から出たくなかったけど、諦めて片付けていく。
まだ朝靄が立ち込める中をトイレに向かう。隊長とすれ違った。元気そうだ。昨晩少し具合が悪そうで、もしアレだったらそのまま鴨沢へ下りても良いですからね、と声を掛けてあった。

もう大丈夫。とのことで、お互いテントの中で朝ごはんを食べて準備をした。テントの前室でトマトスープパスタを温めて、パンと一緒に食べた。

フライシートの内側は結露がなく、外側に少し雨の雫が残っていただけで、拭き取るだけで済んだ。昨晩の強い風で飛ばされていったのかな。
全ての物をザックに収めて、今日の山歩きが始まる。



朝焼けの名残り。
5時半。まずは東京都の最高峰、雲取山を目指す。五十人平野営場の1758mから2013mまで標高255mを上がる。お天気は快晴。朝焼けの名残りで少し辺りはオレンジ色に染まっていて、眼下に広がる丹波山の谷々が雲海が立ち込めていた。

雲取山へのアプローチは避難小屋の直下からで、富士山が顔を出し始めているのが見えた。今日は良い富士を見れそうな予感がした。割と多くの登山者がその眺めを楽しんでいた。



雲取山山頂はあっさりと。
避難小屋にザックを置いて、雲取山山頂をウロウロしながら写真を撮った。昨晩の風で空気がより澄んでいた。
昨日の七ツ石山もそうだったけど、一度訪れた事のある山頂では、隊長は意外とスーンとした表情で過ぎていく。

ささっ、早く行こうと、促せられる。そうだ、今日は昨日よりも沢山歩かなければならない。先は長い。
雲取山の山頂から奥秩父主脈縦走路は西へ向かって続く。
三条ダルミまで急角度な登山道を下っていると、雰囲気は急にひっそりとしてくる。



奥秩父主脈縦走路。
奥秩父、という感じの静かで、案内票もまばらになり、登山道も野生味が出てくる。三ツ山と、飛龍山が見え始めると、よりその野生味は強くなって、三ツ山をトラバースするルートは切り立った崖に沿って、空中に木道が敷かれていて、より一層インディジョーンズ感が増してきた。

オヤツを摘みながら、騙し騙し歩いて来たけれど、歩き始めて5時間が経ったところで、お腹が減って我慢できなくなった。

北天のタルという、飛龍山に取り掛かる手前の分岐の平な岩場でお昼ごはんとすることにした。
山歩きの途中の岩場に腰をかけて、お湯を沸かしてごはんを食べるなんて言う、心の余裕は、この日もまた下山しなくても良い、という心の余裕は、とても贅沢な時間に感じる。
とは言えまだ先は長いのだけど、それは仕方がない。
ひとしきり休んで、今日の山頂、飛龍山を目指す。



眺望はない飛龍山だけど。
標高が上がるにつれて、少し緊張を強いられる箇所も現れる。昨晩の雨と日陰の細い木道の桟橋を滑らない様に確実に歩く。
山頂への道標が現れ、巻道から離れて山頂への道へ入る。両脇の背丈以上ある木々が張り出して、道はさらに細くなってストックで避けながら登っていく。

山頂付近になると広々し始めた。苔むした雰囲気となって、ついに現れた山頂標は木漏れ日のスポットライトに照らされていた。その名に恥じない、神々しさを感じた。

着いた! と、樹林帯の眺望は全くない、それでもこの達成感はなんだろう。山頂標の側にある三等三角点をうやうやしくタッチする。

隊長も流石に感慨深そうだ。たぶんもう、二度と来ないだろう。たぶん一生に一度だろう。という、この遥かなる丹波山の奥地の、大きな地味山にたどり着いた事をちょっと誇りに思った。



飛龍山の山頂から登山道へ復帰する。
これまた、野性味溢れる道を、ナタでも持っていれば斬り払って進む様な道を下る。下った先に飛龍権現があり、その少し向こうにこの山歩き最高のご褒美が待っていた。



禿岩と書いて、かむろいわと読む。
登山道を少し外れて、藪を掻き分けながら出た先には、飛龍山の山頂下の中腹から突き出した岩場で、丹波山が一望出来る場所に出た。

眼下に広がる山々が、向こうから迫ってくる様な景色の迫力で、真ん中にはドーンと富士山が新狩りを務める、この山歩き1番の眺望である。
16mmの広角レンズを持ってしても、とても入りきらない広い眺望に吸い込まれそうだった。予感通り、良い富士が見れた。



そろそろ、くたびれて来たよ。
さて、今日の宿泊地将監小屋を目指すのだが、ここからが長かった。大常木山、竜喰山といったピークは巻きながら、熊笹の隙間を細く傾いたトラバースルートを歩いていると身体の調子も狂いそうだった。

谷では時々崖崩れがあり、桟橋が落ちていたりしていた。高巻きをしたり、景色も変わらず、歩けど歩けど、いつまで経っても辿り着かない感覚に囚われた。

将監峠手前の将監小屋への分岐点が現れた時は、痺れるくらい嬉しかった。下って行くと小屋とその周りにテントが見えてきた。朝出発してから10時間、時間はすでに16時前になっていた。




ようやくたどり着いた将監小屋。1736m。
到着が少し遅れてしまったため、テント場は埋まってしまっていて、林道へ続く場所に張って良いことなった。
林道だけに地面は平らだった。

お待ちかねのビール。飲みながらテントを張っていると、まだ後続がいる様で、次々と林道にテントが張られていった。
ビールも2本目に手が掛かる頃には、寒くなってきた。やっぱり、今夜も寒そうだ。最後の晩餐でアルファ米ドライカレーと野菜カレースープで、カレーを重ねる。
気がついたら、ビールは3本目になっていた。



流石に今日は疲れ過ぎた。
明日の予定は取りやめて、このまま将監登山道入口に下山する事にした。とはいえ、バスはそこまで来ていなかった。小屋の方が気を利かせて、将監登山道入口の前にある、民宿みはらしというところへ、翌朝タクシーを呼んでくれるよう手配をしてくれた。

明日はゆっくり出来そうだと思うと、ようやく少し気が楽になって、ぼーっと出来るようになった。



やっぱり冷え込んできた。
安心して寝袋に潜り込む。昨晩の五十人平野営場より少し標高が低かったが、やはり寒くて夜中に何回も目が覚めた。上向きに寝ると地面に接する面積が多くなり、地面からの冷たさが伝わってくる。横向きに寝ると身体が痛くなって何度も寝返りを打っていた。



3日目。
風はなかったけど、寝た様な、寝られなかった様な、空が明るんで来たのがテント幕越しでも分かって目が覚めた。
寒かったけど外に出て、起き抜けに一杯のコーヒーを沸かして、夜が明ける景色を眺めながらゆっくり飲んだ。

やりたい、と思っていてもいつもバタバタしていて、山の中でもなかなか出来ない、こんなドラマかアニメの様な事が出来る心の余裕が嬉しかった。今日は下山だけにして良かった。


ぼちぼち下山。
テントを干したりしながら、ゆっくりと片付けを始める。全てをザックに戻し、小屋の方にお礼を言って出発した。
下山道の林道は車も通れるくらいの、もう気楽な道で、隊長とたわいの無い話をしながら、しみじみと下っていく。

1時間半くらいで将監登山道入口に出た。10時のタクシーの時間までまだ小一時間くらいあった。



民宿みはらしの看板娘。御年90才。
ヘトヘトで下山してきた登山者を、気さくにおもてなししてくれるお母さん。

宿の軒先に冷蔵庫やテーブルやベンチがあって、すぐにビールにありつけた。大豆の煮物や蕗のとうの煮物を出してくれて、タクシーが来るのを待つまで色々と、この集落のことや、嫁いだ当時、山に入って仕事をしていたなどお話しをしてくれて、界隈の山道にとても精通していて聞いていて楽しかった。

バスも通らない奥秩父の集落で、迎えに来てくれたタクシーの運転手さんも馴染みの様で、ちょっと休憩していけし。と、山梨の方言が耳に心地良い。
運転手さんも栄養ドリンクを頂いていた。ひとしきり休憩休憩して、お母さんにお礼をいって、タクシーは出発した。


待望の温泉。頭を洗いたい。
タクシーは奥秩父主脈を下り、また大菩薩連嶺を越えて、中央本線の塩山駅近くの日帰り温泉まで送ってくれた。
2日ぶりのお風呂。シャンプーの泡がなかなか立たなかった。湯船に浸かっていると全てが解けていった。

この日は朝から眠たくて眠たくて、白目になりながら林道を下ってきていた。隊長がお風呂から出てくるのを待つまで、外のベンチでビールを飲んでいると、ポカポカとした陽気と、ポカポカの身体と、疲れた身体にアルコールで、いよいよ眠さが本格的になり始めていた。



おつかれ生です。
塩山の駅前で中華屋さんを見つけて、お疲れの乾杯。お昼ごはんをおつまみに、結局、生ビールを3杯も飲んでいた。

あずさ、かいじなどのあらゆる特急はすでに満席で、ただまだ時間も早いので鈍行でブラブラと帰ることにしたけど、18時前には自宅に着いた。



今回の山歩き。
初めてのテント泊で2泊を、衣食住全てを背負って縦走する山歩きを体験してみた。荷物はやっぱり重たい。食料も現地調達が出来ない場合はさらにその重量も増える。
何回もカップ麺を食べる訳にはいかない。ごはんシステムを考え直す良いきっかけになった。

そして自分の体力の限界点を知る事が出来た。何となく、この夏の山歩きの指標となる山歩きでした。



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