ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる

Yamareco

記録ID: 8120568
全員に公開
ハイキング
奥多摩・高尾

朝日山(または赤鞍ヶ岳)と棚ノ入山(たんのいりやま)の山名板を再び付けに行く

2025年05月04日(日) [日帰り]
 - 拍手
体力度
2
日帰りが可能
GPS
09:46
距離
5.6km
登り
773m
下り
788m
歩くペース
ゆっくり
1.21.3
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
6:37
休憩
2:53
合計
9:30
距離 5.6km 登り 773m 下り 788m
11:32
12:12
32
12:44
13:14
14
13:28
13:29
105
15:14
16:47
55
17:42
17:43
55
18:46
ゴール地点
スタートからとんでもないルートを歩いた事になっているが、当然そんな訳もなく普通にゴール付近とほぼ同じ踏み跡(笑)
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2025年05月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
行き 中央道上野原インターチェンジで下りて(ETC車載器なし車両のための一般出口がサポートという名称に変わっていたが、通行券とETCカードで以前と同じく精算できた)左折し秋山トンネルに向かう。秋山トンネルを出て右折し、県道35号線を都留市方向にしばらく走る。無生野バス転回場を左折し、防獣ゲートを越えて、荒れた林道を走行し林道終点に到着。

帰り 中央道上野原インターチェンジは、全てETC専用入口に変わっていたので、ETC車載器を装備していない我バイクは、国道20号線をひたすら東へと走った。
コース状況/
危険箇所等
林道終点から棚ノ入(サンショ平)までは、上部の鹿柵を終えてから、尾根道の踏み跡が極端に薄くなるので道迷いに注意。所々に案内板とピンク▪黄色のテープを付けてあるので、多少は目安になると思う。

その他の道は一般登山道なので、注意して歩けば道迷いの心配はほぼないと思われる。

※林道終点から棚ノ入(サンショ平)手前200mぐらいの所に、新しい熊の糞が落ちていたので要注意。

富士急バスの無生野バス転回場を左折して林道に向かう。この手前にも左折してショートカットできる道はあるが目印がないので分かりづらい。
2025年05月04日 07:58撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
16
5/4 7:58
富士急バスの無生野バス転回場を左折して林道に向かう。この手前にも左折してショートカットできる道はあるが目印がないので分かりづらい。
防獣ゲートを開けて入る。ここの前後スペースに車やバイクを止めて歩いた方が無難。オフロード用の車両でなければ走行はかなり難しい。
2025年05月04日 08:00撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
14
5/4 8:00
防獣ゲートを開けて入る。ここの前後スペースに車やバイクを止めて歩いた方が無難。オフロード用の車両でなければ走行はかなり難しい。
とりあえず、なんとか転ばずに林道終点まで辿り着いた。約2年半ぶりだ。相変わらず、鋭利な石があちこちに転がっていて、タイヤが裂けないかとヒヤヒヤした。
2025年05月04日 08:12撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
31
5/4 8:12
とりあえず、なんとか転ばずに林道終点まで辿り着いた。約2年半ぶりだ。相変わらず、鋭利な石があちこちに転がっていて、タイヤが裂けないかとヒヤヒヤした。
周りを見渡せば、ブナの新緑が眩しい。
2025年05月04日 08:50撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
27
5/4 8:50
周りを見渡せば、ブナの新緑が眩しい。
ふと足下を見ると、ライフルの薬莢が転がっている。そう言えば、林道を上がって来た時に2頭の鹿が前を走って行って消えた。
2025年05月04日 08:51撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
23
5/4 8:51
ふと足下を見ると、ライフルの薬莢が転がっている。そう言えば、林道を上がって来た時に2頭の鹿が前を走って行って消えた。
林道終点から右岸に渡渉する。
2025年05月04日 09:03撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
16
5/4 9:03
林道終点から右岸に渡渉する。
ここから始めは九十九折だが、その後は脇のしっかりした作業道は無視して、ひたすら直登する。要所要所で爆竹や電子ホイッスルを鳴らし、熊に接近している事を知らせながら歩く。
2025年05月04日 09:09撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
16
5/4 9:09
ここから始めは九十九折だが、その後は脇のしっかりした作業道は無視して、ひたすら直登する。要所要所で爆竹や電子ホイッスルを鳴らし、熊に接近している事を知らせながら歩く。
途中から鹿柵に沿って登るが、鹿柵沿い最後の50mぐらいがかなりきついので、今回トラロープを設置した。トラロープの尻尾は、雨で泥まみれにならないように、十字に枝を結んで置いた。
2025年05月04日 10:20撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
24
5/4 10:20
途中から鹿柵に沿って登るが、鹿柵沿い最後の50mぐらいがかなりきついので、今回トラロープを設置した。トラロープの尻尾は、雨で泥まみれにならないように、十字に枝を結んで置いた。
トラロープの長さは約30mぐらいあるが、滑り止めの結び目をだいたい1m間隔ごとに付けた。
25
トラロープの長さは約30mぐらいあるが、滑り止めの結び目をだいたい1m間隔ごとに付けた。
令和元年5月に設置した案内標識は、ほとんど残っているので、道迷い防止の一助になる。それと、2年半前に付けたピンクテープもそこそこ残っていて、今回付けた黄色テープと合わせるとほぼ迷う事はないと思うが、初心者は要注意。
2025年05月04日 10:29撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
22
5/4 10:29
令和元年5月に設置した案内標識は、ほとんど残っているので、道迷い防止の一助になる。それと、2年半前に付けたピンクテープもそこそこ残っていて、今回付けた黄色テープと合わせるとほぼ迷う事はないと思うが、初心者は要注意。
ひたすら尾根を直登する。踏み跡は薄く、ほぼないように見える所も多い。
2025年05月04日 10:32撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
22
5/4 10:32
ひたすら尾根を直登する。踏み跡は薄く、ほぼないように見える所も多い。
けっこうな急勾配の所もある。
2025年05月04日 10:49撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
13
5/4 10:49
けっこうな急勾配の所もある。
新緑を見上げて一休み。
2025年05月04日 10:52撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
33
5/4 10:52
新緑を見上げて一休み。
ハウチワカエデ
2025年05月04日 10:54撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
29
5/4 10:54
ハウチワカエデ
棚ノ入(サンショ平)はもう少し。
2025年05月04日 11:13撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
16
5/4 11:13
棚ノ入(サンショ平)はもう少し。
オオモミジ
2025年05月04日 11:15撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
23
5/4 11:15
オオモミジ
やっと棚ノ入(サンショ平)に到着。
2025年05月04日 11:22撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
21
5/4 11:22
やっと棚ノ入(サンショ平)に到着。
剥がれているパウチ板を付け、剥がれかけているパウチ板を付け直した。
2025年05月04日 12:11撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
23
5/4 12:11
剥がれているパウチ板を付け、剥がれかけているパウチ板を付け直した。
「火気に注意」看板が見えない所に転がっていたので、表舞台に復帰させた。
2025年05月04日 12:11撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
19
5/4 12:11
「火気に注意」看板が見えない所に転がっていたので、表舞台に復帰させた。
棚ノ入山に向かう途中で、倒木を片付けた。その他に、とび出している枝を処理しながら進んだ。
20
棚ノ入山に向かう途中で、倒木を片付けた。その他に、とび出している枝を処理しながら進んだ。
数箇月前から、他の人のレコ写真に載らないと思っていたら、やはり山名板が消えていた。
2025年05月04日 12:29撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
14
5/4 12:29
数箇月前から、他の人のレコ写真に載らないと思っていたら、やはり山名板が消えていた。
新しい山名板を設置し、下の板にはマジックペンで、両方向にある山名を書いた。
2025年05月04日 13:07撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
19
5/4 13:07
新しい山名板を設置し、下の板にはマジックペンで、両方向にある山名を書いた。
山名板下のパウチ板はボロボロだったが、とりあえず補修しておいた。
2025年05月04日 13:07撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
32
5/4 13:07
山名板下のパウチ板はボロボロだったが、とりあえず補修しておいた。
崩落地の少し上にある倒木を処理した。崩落地に張ったトラロープが一部落ちていたので、張り直した。
19
崩落地の少し上にある倒木を処理した。崩落地に張ったトラロープが一部落ちていたので、張り直した。
あれやこれやで、ようやっと朝日山に到着。他の人のレコで分かってはいたが、やはり山名板がのっぺらぼうになっていた。
2025年05月04日 15:15撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
21
5/4 15:15
あれやこれやで、ようやっと朝日山に到着。他の人のレコで分かってはいたが、やはり山名板がのっぺらぼうになっていた。
直してからかなり経つが、こっちの山名板は健在。
2025年05月04日 15:15撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
19
5/4 15:15
直してからかなり経つが、こっちの山名板は健在。
下書きの後だけ残して、上に塗ったアクリル塗料は全部剥がれ落ちている。
2025年05月04日 15:22撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
11
5/4 15:22
下書きの後だけ残して、上に塗ったアクリル塗料は全部剥がれ落ちている。
はじめは残った板の上に新しい山名板を木ネジで固定するつもりだったが、反りと腐食が進んでいるので、四隅を針金で固定した。
2025年05月04日 16:45撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
37
5/4 16:45
はじめは残った板の上に新しい山名板を木ネジで固定するつもりだったが、反りと腐食が進んでいるので、四隅を針金で固定した。
無機質なゴシック体の文字にしようと思ったが、なんだかおもしろくないので、オリジナルの行書体の文字にした。今度は長く保ってもらいたいものだ。設置するだけでもかなりの時間を要してしまったが、ぼちぼち下山しなければだ。
2025年05月04日 16:46撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
32
5/4 16:46
無機質なゴシック体の文字にしようと思ったが、なんだかおもしろくないので、オリジナルの行書体の文字にした。今度は長く保ってもらいたいものだ。設置するだけでもかなりの時間を要してしまったが、ぼちぼち下山しなければだ。
行きは気付かなかったが、足下に桜の花びらが落ちていたので見上げると、ヤマザクラが咲いていた。かなりの樹高がある。
2025年05月04日 17:04撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
16
5/4 17:04
行きは気付かなかったが、足下に桜の花びらが落ちていたので見上げると、ヤマザクラが咲いていた。かなりの樹高がある。
ヤマザクラの向こうには上弦の月。
2025年05月04日 17:06撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
37
5/4 17:06
ヤマザクラの向こうには上弦の月。
落ちていたプラ板を再利用して、マジックペンで文字を書き、樹木用コイルで固定した。棚ノ入山から来て、左折せずに通り過ぎる登山者が減る事を願う。
2025年05月04日 17:40撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
20
5/4 17:40
落ちていたプラ板を再利用して、マジックペンで文字を書き、樹木用コイルで固定した。棚ノ入山から来て、左折せずに通り過ぎる登山者が減る事を願う。
棚ノ入(サンショ平)を経由して無生野方面に下る。
2025年05月04日 17:52撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
12
5/4 17:52
棚ノ入(サンショ平)を経由して無生野方面に下る。
夕日が木の幹を茜色に染める。
2025年05月04日 18:04撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
22
5/4 18:04
夕日が木の幹を茜色に染める。
イヌブナの葉も茜色に。
2025年05月04日 18:05撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
29
5/4 18:05
イヌブナの葉も茜色に。
赤い太陽の色は、コンデジでは難しいか?
2025年05月04日 18:17撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
32
5/4 18:17
赤い太陽の色は、コンデジでは難しいか?
暗くなる前に下りなければと思いつつも、夕焼けを最後まで見ていたいという思いとのいつもの葛藤。
2025年05月04日 18:18撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
36
5/4 18:18
暗くなる前に下りなければと思いつつも、夕焼けを最後まで見ていたいという思いとのいつもの葛藤。
日は暮れたが、ライトを出さずになんとか林道終点に到着できた。到着してから、作業灯 ▪ハンドライト▪ヘッドランプを取り出して、バイク用の身支度を整えている間に真っ暗になった。ライト類を全部消すと、星空の明かりしかない暗闇だ。都会では夜でも明るいので、久しぶりの深い闇に少し恐怖を感じた。しかし、そんな事を言ってられない事態にこの後なろうとは、想像もしていなかった。続きは感想にて。
2025年05月04日 18:45撮影 by  Canon PowerShot SX420 IS, Canon
26
5/4 18:45
日は暮れたが、ライトを出さずになんとか林道終点に到着できた。到着してから、作業灯 ▪ハンドライト▪ヘッドランプを取り出して、バイク用の身支度を整えている間に真っ暗になった。ライト類を全部消すと、星空の明かりしかない暗闇だ。都会では夜でも明るいので、久しぶりの深い闇に少し恐怖を感じた。しかし、そんな事を言ってられない事態にこの後なろうとは、想像もしていなかった。続きは感想にて。

装備

個人装備
ハイキング装備 ビバーク用装備 虫除け用品 熊除け用品 十分な食糧 飲料2.25L 浄水ボトル 救急医療セット 整備道具 トラロープ 山名板

感想

バイクのチョークボタンを引っ張ってエンジンを掛けて暫く暖気してから、二段階でチョークボタンを戻して、アイドリングが安定したのを確認してから、ようやくサイドスタンドを足で納め、ギアを一速に落としてアクセルを少し開けつつ、クラッチレバーを少しづつ放し帰路に就こうと動き出した。

歩くぐらいのスピードでゆっくりと荒れた林道を下りはじめてさっそく、上向きで先が尖っている石が走行ライン上に転がっているのを発見した。その石を避けるべく、ハンドル操作と前後のブレーキとかで、なんとか石をかわそうとしたが、上手くいかずバランスを崩して右側に倒れてしまった。

はじめは簡単に起こせると思い、ザックを背負ったまま、ヘルメットも被ったままだったが、しだいに、「そうは問屋が卸さない」という事に気付いて焦り始めた。なんとかバイクを起こそうとして四苦八苦していると顔から汗が噴き出してきた。これはいかんと思い、ヘルメットを脱ぎ、ザックを下ろしてジャケットの前を開けて一休みし、とりあえずは冷静になって現状を把握する事にした。

一息入れて落ち着くと、ガソリンの匂いが鼻を突いた。これはヤバいと燃料コックをオフにして、ハンドルを地面と垂直にして、タンクの給油口からの漏れをとりあえず止めた。タバコを辞めて二十数年になるが、まずは一服なんてやっていたら偉い目に会っていたところだ。ほんと想像するだに恐ろしい。

しかし、今までバイクを起こすのにこんな苦労をした事がなかったので、どうした事かと考えてみた。数年前にバイクを倒した時には、何も考えずにサッと起こしたのだが、やはり加齢に寄る筋力の低下と、下山したばかりで足腰の筋肉が疲労しきっている事が大きな要因なのだろうと思われた。

リアキャリアが付いていないので、タンデムグリップもなく、リアをがっしりホールドして持ち上げる事もできない。少し休んでから、腰を屈めてなんとか手がかりを掴んで、一気に持ち上げようとしたが、ここで本腰を入れると、腰が砕けて動けなくなるなと察したので、チカラワザではなく頭を使って乗り切らなければと悟った。

相変わらず周りは真っ暗闇なのだが、もうそんな事を恐がっている暇もない感じになっている。現在地では携帯電話の電波は届かないので、誰とも通信する事ができない。「コンパスの下山届け」と、家人にいつも出している「無事下山メール」をそろそろ送らなければとの考えが頭をよぎった。

焦ってはだめだと自分に言い聞かせ、ちょっと立ち止まって考えてみた。そうしたら、ふとアイデアが浮かんだ。それは、リアタイヤを踏みつけて揺らし、反動をつけた勢いで起こすというものだったが、実行してみると簡単にできてしまった。マフラーがテコの支点の代わりになったからだろうが、あまりにも呆気なくできたので拍子抜けだった。

損傷箇所がないか、落とし物はないかを確認してから、燃料コックをオンにしてチョークボタンを引っ張ってからセルボタンを押した。心配をよそに一発でエンジンに火が入ったのでホッとした。そして再び荒れた林道を慎重に下った。

走り始めてから少しして、前輪に違和感を覚えた。100mぐらい下った所に橋があったので、ギアをニュートラルに入れて止まった。そして、エンジンを切らずに、ニュートラルに入れたままバイクを降りようとしたら、バイクが前にずれて左側に倒れてしまった。下り坂では、バイクが動かないようにギアを一速に入れたままで、エンジンを切って降りるという基本を守らずに、またやらかしてしまった。しばし呆然としたが、自分のアホさ加減に自分が嫌になった。

今度倒れたのはマフラーとは反対側で、倒れ方がより深い。ちょっと様子を見たが、長期戦になる事が確実だったので、燃料コックを再度オフにし、その辺に転がっていた木をグリップエンドにかましてハンドル位置を高くして、給油口からのガソリン漏れを防いだ。

とりあえず、「コンパスの下山届け」と「無事下山メール」を出してしまえば、遭難騒ぎにはならないので、電波が届く所まで下山して連絡を完了し、再びバイクの所に戻ってゆっくり時間をかけて対処する計画を立てた。

さっそく、作業ライトをバイクの傍に置いたままで、飲食や休憩は後回しにして一時下山を開始した。獣除けのためと、万が一にも車や人がぶつからないようにという配慮で作業ライトを点灯させたまま置いてきた。自分はというと、ヘッドランプを頭に付けて、ハンドライトを左手にスマホを右手に持って、電波状況を見ながらゆっくり下った。盗む輩がいる筈もないとは思っていたが、いちおう貴重品はポケットに入れて持ってきた。

結局電波は、防獣ゲートを越えるまで届かなかった。防獣ゲートを越えて集落に寄って30mぐらいしたら、いきなりメールの着信が始まった。「コンパス」からと家人からとが届いていたので、それぞれにメールをした。家人には、バイクが倒れて起こすのに苦労しているだけで、怪我をして動けないわけではないので心配しないようにというメールを送った。ツェルトやカイロのビバーク装備もあるし、パン・アルファ米・ビスコ・柿の種・氷砂糖・塩・粉末コーヒー・粉末スポドリなどの十分な食料と浄水ボトルもあるので、飢えと渇きの心配もないからとメールに書いた。やはり食べ物の事を心配していたので、大丈夫だという事を伝えた。疲れて動けなくなったら山中で寝て、翌朝ぼちぼちやるので寝ててくれとも書いた。

電波の届かない所に戻る旨のメールを最後に送って、林道を再び戻った。しかし、帰りは、行けども行けどもなかなかバイクの所まで辿り着けなくて閉口した。下る時の倍以上の時間が掛かった気がする。とりあえず、大騒ぎの心配から解放されて気が緩んだのと、晩飯を食っていないのでエネルギーが切れかかっているのと、バイクでは分からなかったが林道の傾斜もけっこうあったりするのと等いろいろあってそう感じたのかもしれない。

バイクの所にやっと戻ってから、何はともあれ晩飯にした。まずは30cmぐらいの細いバゲットをインスタントコーヒーに浸し柔らかくして食べた。それからブドウ糖菓子と柿の種を食べ、スポドリを飲んだ。太腿の筋肉がピクピクしていたので、ツムラの68番薬も飲んだ。食事を終えて地べたに足を放り出し、しばらく休んでいたら鵺(ぬえ)が鳴いている事に気が付いた。今年の1月に鵺の本体(トラツグミ)と遊んでいるので、あの鳴き声が不気味に感じなくなった。ヒィーヒョーと物悲しくはあるが、可愛らしい姿の鳥である。食事の後にすぐ動くと胃もたれを起こすので、もう少しゆっくりしようと思い周りのライトを消してみた。東京では見られない綺麗な星空が見られて、少し心が洗われるような気がした。

さて、いつまでも星空を見上げて現実逃避していたいところだが、バイクを起こさなければならないという課題があるので、重い腰を上げた。バイク引き起こし計画は、直径5cmぐらいの木をたくさん集めてきて片側に積んでいき、徐々に起こすというものだ。気の長い話だが、腰に爆弾を抱えているので無理は出来ない。さっそくヘッドランプを頭に付け、右手にノコギリを持って柴刈りに出かけバイクの周りに十数本を集めて置いた。この時、重要な事にやっと気付いた。バイクを起こす者は坂の上側に立ち、起こされるバイクは、両輪を坂の下側に向けるという事を。

それでさっそくハンドルを少しづつ引っ張って、道に対してバイクを十字の位置に置いた。これで起こすべき角度がかなり浅くなったので、集めてきた中で一番太くて堅い木をフレームのヘッドパイプの下に入れ、肩に載せてゆっくり立ち上がってみた。要は単純なテコの原理なのだが、これがまた拍子抜けするほど簡単に、腰の負担もさほどなく起き上がってしまった。調子に乗って反対側に倒してはアホすぎるので、早めにハンドルの右グリップを掴みブレーキレバーをしっかり握ってサイドスタンドを立てた。

今までの苦労は何だったんだろうと思うほど、あっけなくバイクを起こしてしまったので、一瞬ポカンとしてしまったが、三度バイクを倒さないようにギアを入れたままにしてさっそく損傷箇所の点検をした。結果は、チェンジペダル曲がり・サイドスタンドアシストバー曲がり・グリップエンド曲がりが両方・バックミラー曲がりが両方・左側サイドカバーのひび割れ程度で済んだ。そして、肝心のエンジンが掛かるかが不安だったが、タンクの燃料コックをオンにしてチョークボタンを引っ張ってセルを回したら、一発で掛かったのでホッとした。各パーツの曲がり等は、17番のコンビネーションレンチとプラスドライバーを持っていたので、簡単に直す事ができた。

二度もバイクを倒すという間抜けな案件がやっとこさ解決して、腕時計を見ると0時になろうとしている。このままここでビバークする事も考えたが、家人にメールだけでも送って安心させてからまた考えようと思い、身支度を整えて落とし物がないかよく確認してから、今度は本当に帰路に就いた。

秋山の東西を走る県道35号線は、夜間走行がかなり怖い。道幅が急に細くなってカーブしている箇所に、中央線や道端の白線が引いていないからだ。街路灯も少ないので、夜目の利かない自分は、夜間は走りたくない。真夜中過ぎて、前後にはほとんど車が走っていなかったのが、不幸中の幸いだ。

事故だけは起こさないようにと慎重に走行して、桂川新田地区近隣公園に到着した。家人にメールをしたりトイレを借りたりして休憩しながらも、この後ここでビバークするか考えたが、車の少ない深夜に動いた方がいいと判断して、また走り出した。上野原インターチェンジは、いつの間にか「ETC専用入口」になっていたので、中央道に乗りたくても乗れなかった。上野原から中央道に乗れないなら、途中から乗るのも馬鹿馬鹿しいので、全て下道で帰る事にした。

国道20号線の脇にある気温計は、10度と表示されている。アウタージャケットとオーバーパンツで防寒対策をしているので我慢できなくはないが、少し寒く感じた。大垂水峠を越えて高尾山口駅近くまで来ると、少し暖かくなったような気がする。二度の転倒で燃料の残量が心配だったが、八王子駅近くまでは、開いているガソリンスタンドを見かけなかった。やっと開いているセルフのガソリンスタンドがあったので給油したら、その後はあちこちでガソリンスタンドを見かけた。

どこかでラーメンでも食べようかと思ったが、ファミレスや他の飲食店も開いている店舗をほぼ見かけなかった。そういえば、ラーメン店の倒産が2024年は過去2位だったなんて記事をネットニュースで見た記憶がある。人口減少と高齢化で人手不足が常態化しているところに加えて、食材が高騰しているから、外食産業はかなり厳しいのだろう。コロナ禍以降は、いろんな事が変わってしまったのだろうと、深夜の街をバイクで走りながら考えた。

結局、無生野を出発してから、休憩を1回取り給油を1回しただけで、自宅に到着してしまった。腕時計を見ると深夜3時を過ぎていた。ここ数年は、定期的にいろいろと問題を起こしているが、それでもなんとか生きている。これからもいろいろあるだろうが、挫けずにやっていければいいなと思う。

以上、鈍臭い男の長々とした独白を最後まで読んで頂き、ありがとうございます。何か困った時の参考になれば幸いです。



 

お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:645人

コメント

あきやまさんぽさん、遅いコメントで失礼します。
いつも登山道整備有難うございます。
7年半程前にサンショ平まで歩いたときに、朝日山を宿題に残した感があるのですが、公共交通機関利用で私の体力では、中々実行に移せていません。^^;
それにしても、帰路が大変でしたね。私はバイクに乗りませんが、色々と参考になる点がありました。詳細な記録有難うございました。
2025/5/14 10:52
ハイクさん、こんにちは。

そして、コメントありがとうございます。

登山道整備は人のためというより、自分の趣味になってます。

結果として、遭難を無くせればいい、何かの助けになればいいなとは思いますが。

自分の好きな山で、事故の報せを見聞きしたくないという、ある意味手前勝手な気持ちもあるので、そんなに立派な事でもないです。

今回付けたトラロープで、登りも下りもかなり楽になったと思うので、どうぞ皆さん歩いてみて下さい。
2025/5/14 12:05
いいねいいね
2
あきやまさんぽさん、大変な登山道メンテと貴重な体験ありがとうございます。

我が身のように読ませていただきました。無事でよかったと思います。それにヘッドランプ、ハンドライトやビバーク道具まで持ち歩いておられるということに共感しました。

私は和歌山にいた頃、オフロードバイクで林道に出かけて遭難あるいは遭難寸前になったことがあって、山でのバイクの操作が難しいことを肌身で感じました。

私は数日前にバイクを売却しましたが、あきやまさん、バイクは本当に気を付けて乗ってください。
2025/5/14 12:07
bajauhさん、ご心配ありがとうございます。

未だに腰痛とあちこちの痛みが残っています。

老いを認めて自重せねばとは思いますが、ムリとバカを未だにやってしまいます。

本当に気をつけねば死にますね(笑)

コメントありがとうございました。
2025/5/14 15:12
あきやまさんぽさん、こんにちは。
赤鞍ケ岳・棚ノ入山 整備登山&顛末記を読みあきやまさんぽさんの
人物像が浮かび上がって来ます。くれぐれもお身体を大切にしてください。
本コースは未だ未踏なので早速山リストに登録しておきます。
 本日、あきやまさんぽさんのテリトリーをお散歩してきました。昨年登る予定が
伸び伸びになってまして、甚之函山山頂標識を確認してきました。
自然が残っており素敵なコースでした。
2025/5/14 18:03
tokamoさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

甚之函山の無機質な山名板は色気がないですよね。まあしかし、よく剥がれもせずに保ってるなと思います。

風で飛ばされたら、もっと風情のある山名板を付けようと思います。

三本杉山に付けた山名板は朽ちてボロボロになったので、いつかまた付けたいなと思っています。
2025/5/14 21:49
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この記録に関連する登山ルート

この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。

ルートを登録する

この記録で登った山/行った場所

関連する山の用語

この記録は登山者向けのシステム ヤマレコ の記録です。
どなたでも、記録を簡単に残して整理できます。ぜひご利用ください!
詳しくはこちら