犬ヶ岳・英彦山《九州百名山》
福岡県
大分県
山キチどん
- GPS
- 09:11
- 距離
- 28.5km
- 登り
- 2,433m
- 下り
- 2,674m
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- 山行
- 5:49
- 休憩
- 1:13
- 合計
- 7:02
- 山行
- 7:42
- 休憩
- 1:51
- 合計
- 9:33
| 天候 | 1日目(11/23)：雨 2日目(11/24)：曇り |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2006年11月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 タクシー
下山口：JR日田彦山線彦山駅 |
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感想
1日目(11/23)： 雨
京都を出発する時はまだ曇り空だったが九州に着くと既に雨、日豊線宇島駅からタクシーに乗り、福岡・大分県境の山間部に分け入った。轟集落の奥、古峠への林道の行ける所まで行って貰うが、先ずはこの地名「とどろき」ではなく「とどろ」と読むそうで運転士に教えられた。集落を過ぎると林道は地道になり荒れだし、タクシーで進むには気の毒で、「もうこの辺りでいいよ」と早々と降りてしまった。ここまで3,680円、単独行は高くつく。
雨具を着て林道を歩き出し堰堤の下をひと曲がりするとゲートが現れ、歩行者だけの世界となった。福岡・大分県境の古峠までは標高差250mあるが30分余りで達した。峠の南に続く尾根にある雁股山(807m)へと導く指導標があり、気持ちをそそられるが、4�厖召蠅發△蟾圓辰討い觧�間はない。
今日1本目の経読岳へは峠から尾根通しにルートがある筈だったが通行止めの看板、少し入ってみるが踏み跡も薄れ藪漕ぎ状態で、峠手前にあった九州自然歩道の入口まで戻って登山道に入った。コースタイム1時間だが、岩場があり、それも凝灰角礫岩という火山灰が固まってできた岩でコンクリートの造形物のような一枚岩の馬の背を越えたりと、雨で滑るので慎重の上にも慎重に歩き時間が掛ってしまった。結果、峠から1時間15分を要して漸く経読岳(992m)の山頂に到着した。
3等三角点「経読岳」があり点標の上にちょこんと小さな山頂標識が顔を出しとても愛らしい。降り続く雨の中少し休んで先に進んだ。20分程歩くと小ピークに達した。ここは小屋ヶ岳への分岐点の筈だが踏み跡は見出せない。ピストンするつもりだったが、雨の中、藪漕ぎする気持ちも失せ、さっさと先に進んだ。500m程行くと4等三角点「地蔵窟」のある黒仁田山(971m)がある筈だったが、三角点が分からないまま過ぎてしまい茶臼岳(1,039m)へ迫った。山頂へは50mほど分岐し南に入る。開けた展望の良い山頂だが山頂を示すものは何もなく、ガスの中で景色も全く見ることはできなかった。
茶臼岳を後にし縦走路を進んだ。下り切った所は笈吊峠（950m）、犬ヶ岳に登る人達のメインルートの求菩提（くぼて）からの道が北から合流した。岩場を通過したがどれが笈吊岩か分からないまま大日岳(1,030m)に到った。いよいよ犬ヶ岳の領域で、三の岳とも呼ばれている。休憩することもなく通過し犬ヶ岳本峰を登った。3等三角点「犬ヶ岳」があり標高は1,131mある。コンクリート製の展望櫓を兼ねた避難小屋があるが、扉はなく雨から逃れるだけの機能しかない。このあたりはツクシシャクナゲの自生地で、結構登山道に張り出していて歩き辛い。
500m先にある二の岳(約1,120m)を越え大竿峠(1,045m)へと下った。縦走路を進みピークを一つ越え一の岳(1,121m)に達した。雨は弱いながらも降り続き足元を気にしながら唯只管歩くだけだが、上への注意が散漫になり、時折枝に頭をぶつけてしまった。一の岳の後は名のあるピークがないまま3.6�卍�歩き徐々に野峠(725m)へと下って行った。ずっと県境尾根を通っていた九州自然歩道は北の福岡側の林道に下りてしまった。時刻は16時、雨ですでに薄暗くなってきてた。予定では鷹ノ巣山を越えてしまえるかと目論んでいたが、もう無理そろそろテントを張る時刻だ。
峠から先は不明瞭な踏み跡を辿り県境尾根を進んだ。地形図にも登山道の記載はなく、県境に沿って進むのだろうが随分南にずれているようだ。修正を試みながら進むと平坦で水はけの良い場所があり今夜のテント場とした。濡れた靴や雨具を脱いでテントに潜り込んで寛ろいだ。それにしても雨のテントは侘しい。
2日目(11/24)： 曇り
雨は昨夜のうちにあがったようだ。明るさを増してくると周りの稜線がハッキリしてきた。テントを撤収し県境尾根を西へと進み鷹ノ巣山を目指した。木の葉や笹にはたっぷり水を含み今日も雨具は脱げない。アップダウンを繰り返して進むと目の前に三ノ鷹巣の岩壁が立ちはだかった。垂直に聳え立ち東側から取り付ける所はないようだ。さて踏み跡はと探すと北の方に向っているようだ。辿って行くとどうも下っていて違うようだ。引き返して岩壁の一寸した切れ目に踏み跡を発見し岸壁直下まで来ると、一枚岩の上方に固定ロープの跡、下の方は千切れてなくなっていた。他にルートはなく、ここを登るしかないようだ。滑る岩の僅かばかりの隙間に足場を求め辛うじてロープまで這い登った。踏み跡とも言えない木と岩の急斜面を這い上がり漸く稜線に達すると何処からともなくしっかりした踏み跡が現れた。そして右に進んで三ノ鷹巣(980m)山頂に達した。危険度は相当高い山だった。
山頂前後にそれなりの展望があり達成感を得られるのだろうが。天候回復したのは下界だけで、900mを超える山の上は相変わらず雲の中。テン場からここまで僅か1.7�劼靴�ないのに1時間半も要してしまった。暫く休憩し西に続く踏み跡を進むと10mほどで踏み跡は途絶え、先に進めなくなった。元来た道を引き返して稜線の東端まで来ると下って行く道が見えた。固定ロープのお世話になり50mほど下ると野峠への道が分かれていた。さては正規ルートでないところを登ってしまったのか? 三ノ鷹巣の岩壁南側を巻いて通過。こちら側は昭文社の登山地図にも赤点線道で記載されており、険しいが一般道のようだ。
三ノ鷹巣と二ノ鷹巣の鞍部で巻道が左に分岐するが勿論山頂ルートを取って二ノ鷹巣に（950m）登った。ここも危険度が高く濡れた岩にヒヤヒヤしながら登頂だった。雲の切れ目から三ノ鷹巣の厳しい山容が顔を覗かせた。最後に一ノ鷹巣に登った。鷹ノ巣山(979m)主峰で3等三角点「鷹巣」が設置されていた。他の2峰に比べ険しさは幾分マシなようだ。激闘によりお腹が空いたので、パンで空腹を癒した。
南の急斜面を進み薬師峠(845m)へと下った。峠からは荒れた地道の林道から鷹ノ巣山の北を走って来た通称“天狗ライン”に合流した。アスファルト道で時折車が走る。振り返ると鷹ノ巣山の山容が現れた。天気は漸く回復するようだ。前方に広い駐車場が現れると豊前坊BS。高住神社の鳥居を潜り石段を上ると岩の壁に寄り添うように社殿が建てられていた。神職が晩秋の落ち葉を掃き集めていたが雨に濡れて大変そうだった。無事鷹ノ巣山を通過できたことに感謝し、お賽銭に100円奮発し心を込めて二礼二拍手一礼の拝礼を行った。高住神社からは英彦山の領域、少し登ると、なんとも不自然に聳え立つ逆鉾岩や屏風岩、見上げるとよく倒れないものだと感心させられた。主に自然石を組合せた石段が続き整備が行き届いていて、信仰の生きた山であることを物語っていた。この日は山頂近くで登山道整備の工事が行われていた。全体的には岩山で一般道とは言え険しい箇所があった。
高住神社から1時間弱で英彦山北岳(1,192m)に到った。しかしまたガスの中に突入してしまった。山頂は霊域で祠の後ろは注連縄が張られ立ち入ることができない神聖な場所とされているようだ。日本三彦山の一つであり標高も一番高く名実ともに盟主である。因みに他の二つはと言うと、新潟の弥彦山、兵庫の雪彦山だ。ピークは3つあり北岳の他、英彦山神社のある中岳(1,180m)、1等三角点「英彦山」のある最高峰南岳(1,200m)がある。
中岳は、英彦山の中心の山で山頂の英彦山神社は山頂にしては比較的大きな社殿があるが扉が閉ざされ参拝することはできなかった。山頂の手前の広場には屋根のある休憩施設もあり20人位のツアーが休憩中。この人達がこの山行で初めて出会った登山者だった。主峰の南岳に進むとまた静かになった。ここにも小さな祠があり三つのピークそれぞれが信仰の対象となっていた。時刻はすでに12時を回った。ここまで思った以上に時間がかかった。あわよくば更に西に続く岳滅鬼山、釈迦ヶ岳に行きたかったが、もう無理だ。英彦山神社奉幣殿を通って彦山駅へ下山することにした。表参道を下りては面白くないので鬼杉、玉屋神社を経て下ることにした。
南西に伸びる稜線の端に展望地があり雲の領域を脱し、岳滅鬼山（がくめきやま）や釈迦ヶ岳がよく見えている。男性が一人食事中。さらに下ると材木岩と言われる安山岩の柱状節理、マグマが急速に冷えて固まったとかで角材を積み重ねたような特異な景観を呈していた。奉幣殿への近道の分岐を右に見て少し行くと岩壁を穿ったのか天然の洞なのか分からないが大南神社の社殿が岩に潜り込むように建てられていた。この辺りから杉の巨木が目立ち始め、極めつけは“鬼杉”という樹齢1,200年、周囲12.4mという巨木が鎮座していた。1,200年前と言うと平安時代の初期、桓武天皇の頃に芽生えた杉なのだ。屋久杉には及ばないが九州最古の杉で天然記念物に指定されている。
ここで汐井川の林道に下る道が左に分岐し駅へは近道だが、英彦山の中腹を通り玉屋神社へと向う道に入った。張り出した尾根を越えるたびにアップダウンがあった。途中の沢で給水していると展望地で食事をしていた男性に追い越された。玉屋神社は標高690m、名残の紅葉と登山道を埋めた落葉に心が和む。社殿背後は直立する大岩で迚写真には入りきらなかった。トラバース道を更に進み観光客の屯する英彦山神社奉幣殿に着いた。中岳から直接下れば45分で済むところ大きく迂回したので3時間近くかかった。
銅の鳥居（かねのとりい）へと続く長い石段を下り両側には何々坊と書かれた標識が立ち、今も残る宿坊やかつてあった宿坊を示していた。石畳の道に真っ赤に色づいた楓が輝き素晴らしい。銅の鳥居から下は嘗ての参道だが、車で来る時代になると殆ど歩く人もなくひっそりとしていた。後は只管車道を歩きJR彦山駅に着いたのは16時を少し回った頃だった。駅前の食堂で山菜うどんを食べ列車を待っていたが嘗ては賑ったであろう立派な駅舎に訪れる人もなく、日田行の普通列車に乗り込んだのは私一人だった。日田からは観光特急の“ゆふいんの森号”に乗り久留米に向った。レンタカーを借りて明日の釈迦ヶ岳登山口の椿ヶ鼻に向かい風力発電の風車の下で仮眠した。
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