11歳児と16キロ歩いて食べに行く幻の鍋焼きうどん・鍋割山


- GPS
- 06:45
- 距離
- 16.4km
- 登り
- 1,123m
- 下り
- 1,122m
コースタイム
- 山行
- 6:05
- 休憩
- 0:36
- 合計
- 6:41
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
渡渉がやや水多めなくらいで異状なし |
その他周辺情報 | 名水はだの富士見の湯 地下100メートルから汲み上げた地下水(いちおう温泉の条件を満たす)を隣接するごみ処理場の熱で加熱。露天風呂から富士山と丹沢の山々が一望できるので丹沢トレッキングのあとにぴったり |
写真
感想
新年明けて、世の中は動き始めたけれど息子はまだ冬休み。そんな1月7日、火曜日。妻は仕事。
しかし息子の平日休み、それはふだん混んでいるところに行くチャンス! しかも天気もよさそう!
そこで思いついたのが、大人気の鍋割山。なんといってもここには名物・鍋割山荘の鍋焼きうどんがある。週末は大行列で1時間待ちもザラだという、だからこそこの平日に狙いたい。
でも、ここは行くのがちょっと大変。表丹沢県民の森が閉鎖中のいま、事実上アクセスルートが大倉駐車場か寄(やどりぎ)に限られる。
東京からアクセスするなら大倉がいいだろう、それでも片道6キロほど林道歩きをしなくてはいけない。そのあと急登で山頂を目指すのだという。
ヤマレコの登山計画で見ると、コースタイムは標準1.0で山頂まで5時間11分、ピストンでおりてきて8時間50分。休憩ナシでこれ、ってマジで!?
これでは相当早く登り始めないと、日が暮れてしまう。なにより、鍋焼きうどんの提供は13:00までらしい。うどんのためにも、早発は絶対必要なのだ。
大倉駐車場は8:00のオープン、でも7:00ぐらいには着いて登り始めたい。それでもコースタイム的にギリギリだ。
けど、息子ならきっとできるはず! 5:00に目覚ましをかけて眠りについた。
******
当時朝。目覚めて時計を見ると6:30。
6:30!?!?!??????
あわてて息子を起こし、車に飛び乗って出発。「まだ寝てるけどいいのかなーと思ったよー」と平日につき出勤の妻。いって!きます!
7時に東京を出発、コンビニで朝ごはんと飲み物を買ってなんとか8時過ぎに大倉駐車場に到着。駐車場のオープン時間なぞ気にする必要はなかった。
休日だとオープン即満車になる可能性があるという大倉駐車場も、この日はまだスカスカ。入口近くにとめてトイレをすませ、朝ごはんをいただく。
鍋焼きうどん代を持って、トレッキングポールを装備して、さあ出発! 時刻は8:25、って予定より1時間半近く遅いんだけど!! まあ最大限努力してみよう。
住宅と農地の混在する集落を通り、谷を越えて稜線へ。ここは2ルートあるようだが、稜線の道を選ぶ。
牛小屋の牛たちにあいさつをして進むと丹沢大山国定公園の碑、そして車止めゲート。すでになかなか歩いたけど、ようやく山登りスタートである。時間は8:40、なかなかよいペース。
ゲートを越えても舗装道が続く。ごくゆるい登りを、できるかぎりの早歩きで進む。冬の陽射しがあたたかく、、、と、息子が暑いという。冬山を想定してきたけれど、思ったよりあたたかい。息子は我慢できずにTシャツ1枚に、そして暑い暑い言いながら進んでいる。たまに耐えられなくなって立ち止まるので、あと少しで日陰だよ、なんて言ってせかす。なにしろ、時間が遅くなるとうどんロスの危険性が高まるのだ。
わっせ、わっせ、と歩いていると、速いハイカーさんが追い抜いていった。すごいなー、でも俺らは俺らのペースで急ごう。水たまり一面に杉の花芽カバー?が浮かんでいて茶色い池のようになっていた。
おじぞうさまに山行の無事をお願いし、小さな滝を見たり分岐を通り過ぎたりして、小さな広場に到着。尾関広氏の銅像、こんな山の中にひとりでぽつんとさみしそう。息子、氏とエールを交わして先に進む。
ここからわずかに下りの道、うどんを求める息子はいきなりダッシュ! 待て待て待て! いい感じの河原を横目に、二俣に到着。
急いだ甲斐があって、二俣の到着は1.0のコースタイムより1時間もの早着! ゲートから100分かかる予定のところ、50分で通過できたのが大きかった。と、うすうす思っていたことがはっきりしてきた。ここのコースタイム、かなり甘くゆっくりめにつけられているようだ。とすると、順調に行けばうどんタイムには間に合う。
二俣は塔ノ岳方面との分岐点ということらしい。沢が薄く広がっていて、今はあまり水のないところに木橋が架けられている。水に落ちないように気をつけて渡る。
わずかに斜度が増したけれど、依然として林道。南向きの斜面に小丸経由の登山道がある。小丸は見晴らしがよいというが、今回は初めての鍋割山なのでベーシックなルートで行こう。
もういちど渡渉のあと、すぐに林道終点に到着。オフロード用の大きな車が置いてある。息子がうらやましそうに見ているが、これはどう考えても関係者の車だ。
この林道終点の山に向かって左側、沢のそばに有名な「水置き場」がある。ペットボトルに汲み置かれた水を、水資源のない鍋割山荘にボッカするもので、やったからといって割引などがあるわけではない、純然たるボランティアである。ただそれでも、一種のチャレンジのような気分で実行する人がそれなりにいる。
人それぞれに合わせられるようにか、ペットボトルにはいくつか種類があるらしい。小さなもの、標準的な2L、そして大五郎などの4L。息子もチャレンジしたかった、でも初回だからやめておこうか。パパが2L持ってくからね。
荒々しく幅広な沢を渡渉したあと、しばらく沢に沿ってガレたところを進む。女性ハイカーさんがすごいスピードで追い越していった。
急角度で沢から上がると、わりとオーソドックスな登山道に。息子が土の上でものすごく長い線虫?を見つけて大喜びしていた。冷静に見ると興味深いけど、気を抜くと気色悪い。
ハシゴのような階段を登るとすぐ、後沢乗越に到着。峠のことノッコシっていうの面白いね、と息子。どうやらかなり暑いらしく水をぐいっと飲む。ぽかぽか陽のあたる峠、木々の向こうに寄集落方面の山が見えてなかなか気持ちいい。現在10:20、1.0のコースタイムより1時間20分の早着、残り1キロ強。あとはどうのんびり登っても13時には確実に間に合うね。
道はここから急登になるという。残る距離は片道距離の1/5、だけど上げる標高はおよそ1/2。気合い入れていこう。
鍋割山荘のWebサイトによれば、ここから何度かニセピークを越えていくことになるという。なるほど、急登のあとにゆるむ、そして急登、を繰り返していく。急登得意マンの息子もさすがにこう急登連発だと「ちょっと休ませて」という。坂の上の平らなところでおやつをいただく。
乗越の前にもあったけど、「登山道を破壊した人がいます」という看板が木にかけてあった。息子がぷんぷん憤慨している。なんてことするんだ、なにがおもしろいんだ。そのとおりだね。
このルートには道しるべのない分岐がときどき出てくる。この最後の稜線でも何回かあった。ひとつは寄大橋に抜ける道(実線破線はないけれどトレースは多い)、そして作業道あるいは作りかけの新しい道。どれもメインルートがまっすぐで太いので間違わずに済んだけれど、道しるべがほしいところだと思った。
急登とゆるむ、を何度かやったあと、道は笹の中ののんびりした木道に。そういえば塔ノ岳、表尾根最後の尾根がまさしくこんな感じだった。これが丹沢っぽさなのかもしれない。アシビがもう少しで咲きそう。
そして最後の急登。こういうとこいちばんキツいのよねー、と思っていたらスタスタ登っていく息子さん。ごめんちょっと待ってくれるかな? こうして息子に手加減してもらいながら坂を抜けると視界が開けて、鍋割山荘が見えた。到着時刻、11:35! やった、うどんに間に合った!!
山頂標で記念写真をとって、すぐに山荘へ。「マスクがないと受付しない」と書いてあってビクッとしたけれど、先に食べてたハイカーさんが「大丈夫でしたよ」と教えてくれた。でもマスクは持っていくべきだった、次回は必ず。
暗い室内に声をかけると「はーい」と奥から小屋主さんらしき男性が現れた。鍋焼きうどんふたつお願いします。外で待っててね、と小屋主さん。この方が、あの100キロを歩荷していたという有名な方なのだろう。うどんの注文や並び方を巡って怒鳴られた、というレビューを見ていたのでビクビクしていたが、接したかぎりではとても柔和だった。鍋焼きうどん正月価格で2000円(その後定価になったもよう)、先払いする。
小屋に向かって右が、うどん待ちスペース。休日は1時間待ちと聞いて心配したけれど、平日で12時前ということで待ちはゼロだった。これはうれしい。
小屋に向かって左が歩荷した水置き場。水を持ってきたら置いといてくれという方式、この歩荷ではありがとうどころか対面すらない。それはそれで清々しい、完全なるボランティア兼自主トレーニング。
待つこと数分、思ったより早く鍋焼きうどん到着! 完璧なビジュアル、山の上でこんな立派なうどんが出てくることにまず驚き。七味ボトルがついている。景色の見えるベンチに移動していただきます! って、雲で景色隠れちゃったけど!
しっかり、本当にしっかりダシのきいた純関東風鍋焼き。山菜にきのこに卵と、具がこれでもかと入っていて最高にうれしい。正月エディションなので紅白かまぼこに「寿」と入っている。この1杯ために8キロ登ってきた、その味、もう最高!!!!
息子も夢中で食らいついている。
ところで、1.0でコースタイムを調べると、8:25に大倉から出発→13:35山頂到着と示される。それゆえ我々はめちゃくちゃ焦りながら急いで登ってきたが、結果ちょうど2時間の早着である。これは我々が速いというより、コースタイムがかなり遅く見積もられているのだと思う。当初の予定どおり7:30なんかに出発していたら10:30についてたね、うどん食べられなかったよねと息子。そうだね、結果的には寝坊してよかった!
しこたま七味をふった鍋焼きうどんを息子が平らげたので、鍋と七味とお盆を山荘に返す。トイレしたいというので山荘で飲み物を買い100円玉を作った。
山頂のスペースはふたつあって、ひとつはたぶん富士山向き、ひとつは江ノ島向き。朝あんなに晴れてたのに雲がこの山にひっかかったようで、どちらもあまり遠くが見えない。ただ地上と雲のすきまから小田原の街や真鶴半島がなんとか見えた。
さて、おりよう。温泉に入って、晩ごはんに間に合うように東京に帰りたい。
くだる道としては斜度もそこそこで整備は完璧、スピードが出せる。笹の木道のあたりからは下界がなかなかよく見渡せた。
女性ハイカーさんたちが息子を呼び止めて、これ見てごらん、という。ツチグリがたくさんあって、開いていないもの・半分開いたもの・開ききっているものなどがさまざまなあった。もううどんを食べておりてきたところです、というと早いねー!と驚かれた。
後沢乗越まではあっという間。その下からハシゴのような階段、息子は滑り落ちそうでこわいという。確かに怖い。登りのときは気づかなかったけれど、急角度のハシゴは前にスベると落ちる。慎重を期しておりる。
早足でくだり、河原におりる。こんなとこあったっけ?と息子。そうね、登りはめちゃくちゃ急いでたから景色をいまいち見てなかったね。小さな滝があることも、このとき気づいた。
石だらけの河原を渡って、林道に到着。オフロードカーはまだ停まっている。山荘のおやじさんの車なのかもしれない。
さあ、あとはひたすら林道を歩いて駐車場を目指すだけだ。温泉にゆっくり浸かりたいから急ごう。
ゆるやかな下り坂、トレッキングポールの力を最大限に利用して勢いをつけながらどんどん進む。二俣を過ぎ、広くん銅像広場を過ぎてどんどん行く。長いけれど、快適に進むのでちょっと楽しい。林道終点から1時間ちょっとでゲートに帰ってきた。
あとはのんびり行こう。牛小屋のうしさんにごあいさつする息子。色褪せたカラスウリがやぶに残っている。
道はいちど沢に向かってくだり、また登る。16キロ歩いたあとの最後のこの登りがつらい!
坂を登りきると、住宅と畑の広がる眺めのよい場所に出る。頂上では真っ白だったのに、青空が広がって海がきらきらしている。
みかんやレモンがすずなりの家の横を通って、大倉駐車場に到着。15時ちょっと過ぎぐらい、なかなかいい時間におりてくることができた。息子にはおつかれさまのソフトクリームをプレゼント。
さて温泉、なんだけど大倉は純粋な温泉からは遠い。スーパー銭湯的なところを含めて探して、名水はだの富士見の湯に決定。ここは地下水をごみ処理場の熱であたためているので温泉を名乗っていないけれど、それなりに温泉成分が入っているらしい。
到着。駐車場から、見事な富士山がどかーん。さすが富士見の湯というだけある、が、んー、これ山頂で見たかったやつだ。
そして、露天風呂からは富士山と、丹沢の山々を眺めることができる。山名がわかるように図が置いてあるので、あれが鍋割山、あれが去年登った塔ノ岳と三ノ塔、なんてじっくり見られてとてもよかった。丹沢トレッキングの後にふさわしい湯だ。
汗と疲れを流して、東京へ。妻よりも先に帰宅することができた。1日のアクティビティとしては上出来だ。
そんなわけで、鍋割山。コースタイムに脅かされていたけれど、実際は余裕をもって行ってくることができた。林道をなるべく早く通り抜ける、そうすれば山登り自体はさほどきつくない。今度は小丸経由で行ってみよう。次回は晴れだといいな。
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