大キレット・北穂高岳→涸沢岳・奥西縦走テント2泊(上高地→南岳→北穂高岳→涸沢岳→奥穂高岳→ジャンダルム→西穂高岳→上高地)


- GPS
- 25:13
- 距離
- 37.2km
- 登り
- 3,495m
- 下り
- 3,505m
コースタイム
- 山行
- 6:57
- 休憩
- 1:26
- 合計
- 8:23
- 山行
- 5:14
- 休憩
- 3:40
- 合計
- 8:54
- 山行
- 5:58
- 休憩
- 2:10
- 合計
- 8:08
天候 | 1日目:晴れのち曇り 2日目:晴れたり曇ったり一時小雨 3日目:曇り時々晴れ 三日間とも風は弱かった。 朝晩は寒い。日中も停滞すれば涼しく、風の無いところで動けば暑い。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
(都庁→上高地/上高地→新宿) |
コース状況/ 危険箇所等 |
【主な水場】 上高地バスターミナル、河童橋、徳沢、横尾、槍沢ロッヂ、ババ平、宝水 ※ババ平は出ていないこともあるらしい。 【稜線上の宿泊施設】 南岳小屋、北穂高小屋、穂高岳山荘、西穂山荘 【各区間の状況】 <稜線に上がるまで> 上高地バスターミナル→横尾:ほぼ平坦な遊歩道。河童橋から明神橋までは右岸通行となるため左岸通行時よりも30分程度時間がかかる。 横尾→槍沢・天狗原分岐:道幅の狭い登山道に入る。7月豪雨により損壊した区間も復旧が進んだ模様。確実な水場は槍沢ロッヂを最後にしばらく無い。大曲がりを過ぎると傾斜が増してキツくなってくる。 槍沢・天狗原分岐→南岳小屋:天気がよければ途中の天狗池で逆さ槍を見ることができる。道は傾斜がキツく、稜線に近づくと鎖やハシゴが現れる。 <大キレット>山のグレーディングE 南岳小屋→最低鞍部:大キレットの始まり。南岳小屋から獅子鼻へ上がったのち、一気に下降する。浮石などに注意したい。 最低鞍部→長谷川ピーク:比較的印象が薄いが、油断せず浮石などに注意したい。 長谷川ピーク→A沢のコル:ナイフリッジに近い区間もあるが、設置された足場や鎖など人工物が目印となるので見逃さないように進む。 A沢のコル→北穂高小屋:岩を手掴みする場面も多い。とにかくペンキや鎖などの人工物を見逃さないようにしたい。難所とされる「飛騨泣き」と呼ばれる地点があるが、取るべき動きははっきりしている。 北穂高小屋まで上がれば大キレットと呼ばれる区間も終わる。 <北穂高岳→涸沢岳>山のグレーディングE 北穂高小屋→涸沢岳:大キレットの影に隠れがちだが、こちらも高難度とされる区間。狭く滑りやすそうな岩のトラバースや岩登りが続く。 とにかくペンキや鎖などの人工物を見逃さないにしたい。 <少し落ち着く穂高岳山荘の前後> 涸沢岳→穂高岳山荘:基本的にガレ場だが、比較的平和な道を歩ける。 穂高岳山荘→奥穂高岳:登り始めにハシゴや岩を手掴みする場面があるが、頂上に向かって比較的穏やかに歩ける。 <ジャンダルム>山のグレーディング外の難易度 奥穂高岳→馬の背:看板によると一般登山道ではない区間の始まり。少し歩くと、難所として有名な馬の背の下りとなる。慎重に足の置き場を考えたい。 馬の背→ロバの耳:馬の背から急斜面を下るが、浮石が多いので特に注意したい。 鞍部からはロバの耳の上りとなる。ペンキや鎖を見逃さずに進みたいが、「次のペンキ」が見えない箇所がある。どうにか上へ進むと、先へ繋がるペンキが見えてくる。 ロバの耳→ジャンダルム:引き続き鎖やペンキを見失わずに進むが、道が狭く滑ったら終わりなので慎重に手足の位置を考えたい。 一度ジャンダルムの基部を通過しそうな地点に頂上への分岐があり、分岐からは比較的楽に登頂できる。 ジャンダルム→天狗のコル:大きな岩の上を歩くところから始まり、下り坂となっていく。こちらもペンキを見逃すと道を間違える。やはり浮石も多い。 天狗のコル→天狗の頭:垂直に近い岩登りから始まる。これまで同様に進路や浮石に注意したい。 天狗の頭→間ノ岳:逆層スラブの下りが恐ろしい。傾斜した平らな岩に鎖が垂れ下がる。ときどき頼りになる足場や掴めそうな岩があるが、繋ぎ通せない。しっかり鎖と岩の面にグリップさせて慎重に進む。濡れていたら下りたくない。 逆層スラブを下り終えた地点から間ノ岳への上りで浮石が更に目立つようになる。 間ノ岳→西穂高岳:引き続き浮石やペンキに注意しながら上り下りを繰り返す。赤岩岳を過ぎ、P1で、反対側へ向けての「一般道ではありません。」の看板が現れ、まもなく西穂高岳山頂へ辿り着く。 西穂高岳山頂で一気に人が増える。 <西穂高岳の一般登山道> 西穂高岳→西穂独標:ジャンダルムと比べれば易しいが、難易度は山のグレーディングDなので安心し切ってはいけない。 足場の見つけにくいところや鎖、浮石など引き続き注意したい。 西穂独標で更に人が増えて安心感がある。 西穂独標→西穂山荘:下り始めは急な岩場や鎖だが、徐々に単調なガレ場、ハイマツ帯へと変わっていく。 西穂山荘でようやく水や食料を補給できる。 西穂山荘→西穂高岳登山口・田代橋:よく整備されて歩きやすい。途中に宝水という水場がある。 田代橋→上高地バスターミナル:安全な遊歩道だが、最近も熊が出たとの警告が貼られていた。 |
その他周辺情報 | 小梨平キャンプ場:テント持参なら1張1500円で泊まれる。クマ対策で食料品はコンテナに収納する必要がある(テント内保管は禁止)が、食堂や銭湯があるほか、河童橋から近いのは利点。 上高地温泉ホテル:日帰り入浴は12:30-15:00/1000円。朝の時間帯もやっているらしい。 |
予約できる山小屋 |
横尾山荘
|
写真
装備
個人装備 |
ソフトシェル
タイツ
ズボン
靴下
防寒着
雨具
ゲイター
サンバイザー
着替え
靴
ザック
アルファ米7食分
行動食
飲料
固形燃料
コンロ
コッヘル
ライター
ヘッドランプ
予備電池
ファーストエイドキット
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ストック
テント
クローズドセルマット
シェラフ
シュラフカバー
ヘルメット
|
---|
感想
昨年10月に降雪を理由に、今年7月に悪天候を理由に断念した槍ヶ岳から西穂高岳までの縦走に再挑戦です。予備日含めて3泊4日の行程です。
前回の続き、南岳小屋から始めます。
(前回記録)https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-7077488.html
【三日間の動き】
<1日目:上高地→南岳小屋>
バスの予約の都合もあり、今回は上高地から入ります。
テント泊装備で重いため、槍沢ロッヂまで水は持ちません。(途中で飲んではいます)
ベースウェイト約7.5kg、槍沢ロッヂで水を汲んでの最大重量は12-13kgと思います。一気に重くなってペースダウンです。
これまで荷物が重いと肩が痛くて仕方なかったのですが、今回は肩よりも脚への負担を感じました。
天狗池で逆さ槍が見えたのはよかったのですが、槍沢ロッヂから南岳小屋まで約4時間半。
かなり疲れた気がします。
そしてテント場は完全に霧の中。
前回と同じような天気で先が思いやられます。
<2日目:南岳小屋→穂高岳山荘(⇔ジャンダルム)>
起きてみると高曇りで、雨も降っていないし風もほとんど無し。
北穂高岳には雲がかかって北穂高小屋は見えませんが、大キレットはよく見える。
いよいよ三大キレット最後の一つへ挑戦です。
よく整備されて歩きやすいと聞いていた通りで、安心安全とは言わないまでも、取るべき動作ははっきりしているので恐れ過ぎることもありません。
ただ、全般に道を間違えないことが大事だし、区間も短くはなく、体力勝負という面もあると思いました。
その面では、槍ヶ岳山荘ではなく南岳小屋スタートというのは有利に働いている気がします。
そして次の難所が北穂高岳から涸沢岳までです。距離こそ大キレットより遥かに短いものの、こちらの方が険しいという感想も時々聞かれる区間です。
自分にとっても同様の感想で、滑りやすそうな斜めがかった平らな岩のトラバースだとか、垂直に近い岩登りだとか、技術的にはこちらが難しいように思えます。
涸沢岳山頂が近づくと道も穏やかになり、午前中のうちに穂高岳山荘へ着くことができました。
ここでテントやシュラフを下ろしてのんびり過ごすでもよいのですが、とりあえず奥穂高岳へ足を伸ばします。
それでもまだ余裕はあるし、天気予報次第では西穂高岳への縦走を諦めてそのまま下山しないといけないかもしれない…テントとシュラフ以外はザックに積んであるし、ジャンダルムまでは往復してしまうことにしました。
奥穂高岳山頂から休憩無しで往復2時間といったところです。
これまでと違う難易度であることは言うまでもありませんが、どうにか無事に往復することができました。
<3日目:穂高岳山荘→上高地>
天気予報も好転し、どうやら雨は降らないらしい。
テントもシュラフも全て持って西穂高岳を目指すことにします。
重量はそれでも9kg-10kgぐらいにはなって、前日より明らかに重さを感じます。
これで馬の背に挑むのは怖さがあります。
順調に馬の背、ロバの耳を通過し、ジャンダルムへ無事に登頂します。
この後も天狗のコル、天狗の頭、逆層スラブ、間ノ岳、赤岩岳と進み、P1、西穂高岳へ着く頃にはさすがに疲れが目立つようになりました。
西穂高岳から先は登山者も多く安心ではあるのですが、疲れを考えると難所を早めに通過できる奥穂→西穂のコースにしておいてよかったなと思います。
【全体を通しての感想と備忘録】
たびたび「一般登山道最難関」として紹介されるジャンダルム。
一方で縦走路の両端には「一般登山道ではありません」という看板があり、どっちなんだい!と思ってしまうのですが、クライミングロープを使わない一般的な登山の範疇としては最難関…ということなのかなと解釈しています。
ただし、最難関といっても、これまで歩いた道と次元が異なるというわけではありません。
高難度とされる道では三大キレットや剱岳などを歩きましたが、確実にその延長線上にあると感じます。
・転倒しない、なるべく外付けしない、三点支持を守る、浮石に注意する、道を間違えない等、とにかく基本が大事。
・ペンキや鎖などの人工物を見失わない。もし見えなくなったら慎重に周囲を見回して正しい進路を見つける。
・わかりやすい危険箇所こそ馬の背や逆層スラブなど限定的だが、全体的に体力・集中力を要する岩稜帯が続く。
・行程が長く、途中に小屋や水場などは無いので、体力的には楽ではない。
・疲労が注意散漫に繋がり、ミスが命取りになる。
・直前に大キレットや北穂高岳→涸沢岳を通過したことでよい予行演習になった。難易度が順番に上がっていった点もよかった。
・奥穂高岳とジャンダルムの間(馬の背・ロバの耳など)については両方向を歩くことができたが、この区間は馬の背・ロバの耳とも奥穂高岳→ジャンダルムの方が難易度が高いと感じた。これについては逆層スラブも同様と思われる。
・今回は奥穂高岳→西穂高岳としたが、西穂高岳へ着く頃には疲れも目立ったので、終盤が比較的易しい道となった点はよかった。
はじめてジャンダルムの存在を知った時、あまりに険しい見た目に自分の生涯で目指すことは無いだろうと思ったのですが、わからないものです。
趣味で登山をするようになり、はじめて奥穂高岳に登頂したとき、山頂から見えるジャンダルムを見て、「いつかあそこまで登ってみたい。上手く上達できれば1年後、そうではなくても2年後には…」と思ったのでした。
このときは背伸びしすぎた気持ちでもあったのですが、無事に2年後に縦走を果たすことができました。
これにて自分の山登りも一区切りと感じるような達成感です。(登山をやめるわけではありません)
自分にも行けた!
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する