トムラウシ山 ワセダ沢



- GPS
- 34:56
- 距離
- 30.0km
- 登り
- 1,698m
- 下り
- 1,736m
コースタイム
- 山行
- 4:15
- 休憩
- 0:05
- 合計
- 4:20
- 山行
- 13:50
- 休憩
- 1:06
- 合計
- 14:56
天候 | 1日目 晴れ 2日目 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
この記録を残すかどうかは随分と迷った。迷った挙句に2ヶ月以上経ってからのアップである。所属山岳会で問題になった山行であり会としての見解がいまいち理解できない中で感想を出すには躊躇があった。
地獄谷を起点にトムラウシ付近で遊ぶのが夢であったが、今回は新人さんがお付き合いしてくれそうなので、一番簡単であるとされているワセダ沢を選んだ。
新人さんは体力的には問題ない女性である。
天気予報ではあまり降雨が予想され中止を通告したが、前日に少しづつ好転したので、最終的に前々日の晩に決行を判断。
一台を短縮ルートの登山口にデポ。
さすが百名山。ほぼ満車。
カムイサンケナイ林道の終点の雨量計にたどり着くが、藪蚊の多さにみるみる腫れて人相が変わるほど刺されて準備するに閉口した。
西沢遡行〜ヒサゴ沢下降の時よりも比較にできないほど雑草が繁茂し、林道の面影が薄れてきている感じだ。
入渓地点までしっかりとしていた林道は途中で崩れて斜面の藪を漕いで入渓地点にたどり着く始末である。
前回の記憶を元に徹底的に巻道・鹿道をたどる。
女性が割りと大きな川の渡渉に抱く恐怖心は男の俺には分からいほどのものであることを痛感していたからだ。
地獄谷にたどり着くと奥のボコボコから一帯のボコボコを楽しむ。
足湯はなんかあずましくなかった。
昔の河原のテン場は流されて無く、草原にテントを張る。
来た方向を見るとトムラ東峰が飛び込んできて興奮する。
ここまでは極めて順調な一日目は満天の星空のもとで静かに終わった。
翌日も晴れである。
昨日、地獄谷入り口のトムラウシ川の流れが随分と多いのが気になっていたのだが、やはり今日も増水しているようだ。
この流れを嫌って巻道をとろうとしたのだが、藪が多く、逆に新人さんには不慣れな中で体力を奪われていったのかもしれない。
次第に不慣れな全装での沢歩きもあって新人さんの元気が無いのにきがついてはいた。
ヒサゴ沢への流れに入り、まるで小川の如きワセダ沢に入る。
極めて明るい沢で軽い雪渓は巻いてやりすごす。
目の前に大きな滝が見える頃にはどうも歩みがおかしいなと思い始めた。
滝は特に難しいところもないし、新人さんは登坂能力には問題はないはずだが、慣れていない沢での滝登りはやはり怖かったらしい。
「とにかく体力を温存してゆっくりと行きましょう。時間はあまり気にしないでとにかく体と相談しながら」と焦らないでと励ます。
途中から斜度が出てくる場所から谷を埋め尽くす大雪渓が現れ、本当におもちゃみたいな簡易アイゼンを貸す。私はそのまま沢靴で進む。
この雪渓歩きも不慣れで体力を奪っていったようだ。
北沼への縦走路に出るのだが、そこへの上りの雪渓は万年雪らしいぐずぐずの足元で体力を奪い、更に新人さん。雪渓でバランスを崩して滑落してしまい、岩に足を打って痛みを訴えた。
縦走路に出て山頂に行くかを彼女に問うが「問題ない」というので山頂に行った。
既に相当に時間は押していたので携帯で下山連絡先に連絡を試みるがAUのは私は繋がらず、新人さんのドコモが繋がったので救助体制が発動される午後7時には下山できない旨、連絡する。
その後、トムラウシ公園以降、明らかにエネルギー切れがはっきりしてきて、最初は焦らないようにムチを振るう。
私は緊急連絡先と妻に自身の携帯から連絡を前トムラで試みるが繋がらず、妻がかけ直してきたものがなぜかつながり、下山中ながら相当の遅れるかビバークするかもしれないと連絡する。
前トムラでビバークするかそうとう悩んだが歩をすすめることにする。
コマドリ沢とカムイサンケナイ川の出合いで、この調子だと短縮道には4時間後に到着予定と見込んで、「下山連絡先のNに少しでも安心してもらおう」と檄をとばした。
これ以降、彼女は相当頑張りを見せ、順調に進む。
新道上で音声通話で1回。カムイ天上でラインで下山連絡先に現在位置を教える。
しかし、基本的には電波の繋がらないエリアがほとんどだった。
休憩はいれつつも、いつつぶれるかも知れないと思いつつも暗くなる山道上で先を急ぎ、短縮道分岐では一本入れずに下山を急いだ。
うめき声を抑えつつあえぐ彼女の肩が上下に揺れているのを気の毒な思いで見つめるしかなかった。
やっとの思いで下山口にたどり着く。
真っ暗な短縮道駐車場では大学の山岳部OB会とおぼしき団体が宴会中であった。
カムイサンケナイ林道終点にデポした車を取りに行き東大雪荘で最終的に下山連絡先に電話できたのは10時近くになってしまった。
顧みると下山連絡先が冷静沈着に対応してくれたおかげでメンバーもせき立てられるように急がされることもなかったし、パーティが落ち着いて行動できたのである。
下山遅れは遭難であるというのが所属山岳会の見解であり、現場で安全を第一に考えなければならないリーダーという立場からはそうは言ってもという思いはある。
しかし、下山連絡先には他人の携帯であってもリーダーである私が直接会話をするべきだったと思う。
様々な今回の反省を今後に活かして参りたい。
最後に、最後まで弱音を吐かず、疲れ切った体に自らむち打って歩ききった新人女性のがんばりと人柄に敬意と感謝を捧げたいと思う。
これに懲りずに機会があれば私とまた沢に山につきあってください。
素晴らしい満足のできる体験を積み重ねるお手伝いが出来ればと心から思っています。
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