山毛欅の大御影山-大日岳周回



- GPS
- 07:38
- 距離
- 13.9km
- 登り
- 1,018m
- 下り
- 1,009m
コースタイム
天候 | 晴れ後曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登りの白谷から大御影は薄い踏み跡だけ、600m前後はユズリハの藪があるのでルートファインデイングに注力が必要。 下りの大日岳からの巡視路は440mから下は沢沿いでコースが極めて不鮮明である。 大日岳及び巡視路尾根は新たな送電線・鉄塔が建設されて間もないが、その周辺の杉や山毛欅が無残にも多数伐採されている。それも何の必要性があって、伐採するのかが我々には全く判らない広い範囲で行われているのだ。 |
写真
感想
随分と気温が下がってきたが、まだ紅葉には早いだろうが、山毛欅林の連続する近江坂を見てみようと、美浜・能登又谷側から大御影山-大日岳を周回してきた。
何処から登って、何処に降りようか暫く悩んでいたのが実態だ。白谷と妙芽谷を考えたが、何れも簡単に登り降りが出来る谷ではなさそうだ。そこで、白谷は出来る限り末端から登るのと大日岳の北に延びる尾根には巡視路があることから、此処を下山口に決めた。記録を種々調べてみるのだが、白谷も随分谷から尾根に出るのに苦労をしているようだった。悩んでいてもしょうがないので、現地に行けば活路は見出せると考えて実行に移したのだ。白谷橋そば広場に駐車して、いざ行かんである。
能登又谷林道は舗装であったが、下山の林道を分けると程なく舗装は終わった。道脇にトリカブトの青紫の鮮明な色が見事であった。すると、妙芽谷出合近くの道脇に車があった。釣りの人だろうか?と言いながら、妙芽谷を右に分けているので、当初考えていた妙芽谷の登路を探すが、明確な踏み跡は判らないものの、人が分け入ったような気配はあるなと言いながら、先に進んだ。
すぐ先に大御影の看板があって、90分で大御影とある。嘘だろうと思いながら、何処から登るか?偵察をした。まずは白谷へは下るのは問題はないようだし、上流への踏み跡が見えた。そこで能登又本谷側も探索するべく右の林道を進むが、林道から沢までの段差が大きく下るのも中々難しそうだ。これなら、白谷に決めようと、出合に戻って白谷へ入った。白谷に入ると踏み跡はあるのでほんの少し上流に進んでから周囲を見渡した。すると右の尾根への傾斜は相当きついが、登れそうな場所はないかと様子を伺う。尾根末端の右方向へトラバース気味に登って上に進めば、何とか尾根に登れそうな気配を感じた。急斜面の弱点を狙って右に左に木の枝や根っこを掴んで標高差40mほど登ると尾根に達した。そこから少し登ると陽ざしのある小さな広場に出て早くも一服だ。標高差60m程であるが、当初の課題であった尾根に乗ることが出来てホッとした。これで後はシンドイ登りを耐えればいいだけだ。他には唯一ユズリハの藪こぎを我慢すればいいのだ。
結果的には、尾根に登り着くのが最大の課題で、ユズリハは何のことはなく薄い踏み跡を辿れば事なきを得られた。白谷の尾根には400mを越えると山毛欅が現れて、それもかなり大きな太い山毛欅もあって驚いた。山毛欅を愛でながら、大御影山北の展望台地へのすぐ手前の平坦地は湿地やヌタ場か池と悩むほどの水たまりがあって、踏み跡も不鮮明であったが、GPSさえあれば、難なく美浜トレイルと合流できた。展望の良い台地で予定通リにランチと相成った。
3年ほど前に、大御影山南尾根を登った時にこの展望台でランチをしたのだが、ここでもう一度展望を楽しもうと思っていたのだった。大御影の反射板はすぐそこだ。まずは大御影山にご挨拶したら、山頂には『Kitayama-walk』さんのプレートがあった。此処からは近江坂で、歴史的な古い道なので深い掘割道は歩きにくい。その上高度をかなり下げるので、傾斜も強く更に足元は草で覆われていて何度足を引っかけたことか。そんな中で、唯一目を和ませてくれたのが、林道にも咲いていたトリカブトの花達だ。稜線の人の通る場所近くばかりに咲いているような気がするほど、沢山瞼に残るほどのトリカブトの青紫だ。
最低鞍部を過ぎて登り返しにウンザリしていると、上から単独の人が来た。いやワンちゃんがいたので真の単独ではなかった。何処から?と聞くと妙芽谷を登って来たとのことだ。すると妙芽谷出合近くに止めていた車の方か?と聞くと、そうだった。これから我々の来たコースを下るととのこなので、我々の登った尾根末端まで下るのを推奨した。その方も白谷をウロウロしないといけないのに悩んでいたらしいのでお気をつけてと別れた。ワンちゃんは愛想がよかったが、少し長話になったからか、ワンワンと吠え出して機嫌が悪くなったようなので、双方に分かれたのだ。
この近江坂も山毛欅が連続して実に気持ちがいいが、三重嶽と大日岳の分岐周辺も山毛欅の最高な場所のような気がする。また、山毛欅は風雪に耐えたからか、ものの見事に曲がりくねった異様な形状の枝が多いのだ。メンバーがこのような山毛欅を『あばれ山毛欅』と呼んで写真によく撮ったと言っている。
大日に近づくと送電線の鉄塔が次々と現れるが、その最高なのが大日岳山頂標識を真下に従えた150m以上はあるのではと思わせる真新しい鉄塔だ。この周囲には鹿除けネットに包まれた、山毛欅の苗木が優に百本は越えた苗が植えられてあった。周囲には資材も沢山だし、モノレールが延々と続いているようだ。ここから巡視路を林道迄快適にいけるものだと思っていた。それも山のアプリには大日から林道迄1時間とあるからだ。少し古い地図では1時間50分と約2倍なのだ。これはてっきり、巡視路のお陰で道が良くなったものと、すっかり信じ込んでいた。
巡視路を進むとモノレールが延々と先に進んでいて、木々の一切無い場所には切株と倒された木々で一杯だ。杉の植林を伐採したようであるが、中には山毛欅の大木もある。送電線の周囲になるから伐採したのだろうか?何故この木々をこんなにも伐採するのか?我々には判らない。そういえば、庄部谷山周辺に行った時も無残にも山毛欅が多数伐採された場所を目にした。三十三間山周辺もそのようだが、風力発電機で伐採されるそうだ。風衝地域は皆そうなるかも知れない。音波山や部子山もそうらしい。嫌なものを見たような感覚で、そこを後にした。
昔からの送電線鉄塔を一つ一つ辿って徐々に高度を下げると、いつの間にか鉄塔と離れて、谷に降りだした。小沢であるが大きな石で渡渉が難しい感じもしたが、それなりにクリアできて、大日から1時間30分を過ぎても林道に出そうにはないのに気持ちの上でイライラとしていたら、斜面の傾斜が少し緩やかになって、下に舗装された林道を目にしてやっと着いたかと大きく安堵した。今回の計画では登りに梃子ずったら、松屋大権現を経て下ると決めていて、かなりの確率と覚悟していたので、当初計画を全う出来て本当に一安心したのだ。
送電線は無くては我々の生活は成り立たないので必要だろう。だが、自然を破壊してまですべきものか?もっと自然に優しい方法はないものか?と不満を禁じ得ない。今回は自然の素晴らしさ(花や山毛欅など)とその反面の人工物、電力にかかわる設備が自然との調和をする方法などを、深く考えさせられるきっかけになることだろう。
”八”、”永”、”竹”
コメント
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おかげさまで、迷うことなく沢へ降り立つことができました(暗くて少し手前で下ってしまったようです)。また、いつか違う尾根(三重嶽方面)、谷も歩いてみたいと思います。ありがとうございました。
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