南八甲田 逆川岳雪洞掘

- GPS
- --:--
- 距離
- 4.5km
- 登り
- 461m
- 下り
- 461m
コースタイム
| 過去天気図(気象庁) | 2008年02月の天気図 |
|---|---|
| アクセス |
写真
感想
昨年の12月16日に成田さんや山崎さんと逆川岳に登った際、昼食時のツェルトの中で雪洞の話となり、山崎さんが、雪洞を掘るのに3時間を要したことがあるとの体験談に、3時間もあれば帰った方が早いですねと間の抜けた相槌をうち、帰れないから雪洞を掘るのでしょ!と山崎さんに笑われた。確かにそうである。緊急避難的に身の安全を図るために雪洞を掘るのであり、帰れるのであれば、何もわざわざ雪洞を掘る必要はない。
30年前、初めて自炊を始めた頃、味噌汁を作るのに、お湯を沸かして味噌と具を入れたところ、どうも味がおかしい。その旨、実家に伝えたところ、「おまえ、だしはとったか」との質問。だし? 味噌汁には「だし」が必要であることを初めて知った。「お湯が沸いたら煮干を入れてだしをとり、云々」と教わり、結婚するまで、私の味噌汁のだしは常に煮干であった。
このように、「やろうと思えばできる(と思っている)」と「やったことがある」では雲泥の差がある。備えあれば憂いなし。いざという場合に備え、ここは一つ、数人で宿泊できる程度の雪洞掘りの体験が必要である。というわけで、早速、成田さんに雪洞掘りの指導をお願いした。
冬山を歩き始めた頃、成田さんに、単独で歩くのであれば常にツェルトとシャベルを持参しなさいと教えてもらい、利用方法も考えないで、早速登山用具カタログから最も軽そうという選択基準のみで、MIZOのモールとモールシャフトを購入し、ザックに括り付けていた。ある時、雑誌で、緊急避難時に雪洞を掘り身の安全を図るとの記事を読み、大岳環状No.30付近の斜面で、このシャベルで身を隠す程度の穴を掘ったところ30分を要した。このシャベルは、軽くて(470g)携行には大変都合が良いのであるが、雪洞掘りには適さないようである。
昨年12月のテント泊の際、テント泊では大型のシャベルが必須であると痛感した。テントも購入したことだし、大型のシャベルが必要だ。雑誌記事によれば、大量に雪を掘る場合にはシャフトの長いものが効率は良いが、雪洞の中ではシャフトの短いものが使いやすい、とある。なるほど。当然、ブレードは大きいほど効率は良いが、重量は重くなる。この際、作業効率優先で、購入したシャベルはブラックダイヤモンドのトランスファー7(770g)、シャフトが伸び縮みする。(「山と渓谷」2008年3月号にスノーシャベル特集があります。)
さて、雪洞体験の場所は逆川岳の東、横沼を見下ろす斜面である。8時半に城ケ倉大橋駐車場を発ち、大鰐の古川さんパーティと代わる代わるラッセルし、逆川岳頂上に11時着。頂上から東に移動し、横沼を眺め下ろす斜面の上にツェルトを設営して昼食を取り、12時半、雪洞掘りの開始。成田さんから事前に雪洞の資料が届いた。それによれば、雪洞に適した場所は、雪崩や雪庇崩壊の危険がない所、斜面の勾配は、急すぎると雪崩や滑落の危険があり、ゆる過ぎると排雪の効率が悪いので、30度から45度の間が適当とのこと。
最初に挑戦した場所は、横沼に降りる急斜面。見たところ、雪庇は張り出していない。まさに、上述した雪洞に適した場所に見える。下は急斜面になっているため、排雪の効率も良さそう。ここに雪洞を掘るため、A1面に足場を確保しようと踏み固めたところ、足の下に大きな空洞が現れた。雪庇が巻き込んだ空洞らしい。これは危険とただちに退避。
止むを得ず、排雪の効率は悪いが、安全性を考慮して、Bの位置に雪洞を掘ることにする。成田さん、山崎さんと3人で斜面をB1面まで掘り下げる。成田さんが斜面端に立ち、山崎さんと私が掘った雪を成田さんが斜面下に捨てる。1.5mほど掘り下げたところで、雪洞入口となる垂直面に0.9m四方の検討をつけ、掘り進む。山崎さんと私が交替で横方向に掘り進み、掘り出した雪は成田さんが斜面下に捨てる。
シャベルの長さ程度(0.9m)掘り進むと、雪が硬くなり、とたんに掘削効率が悪くなった。また、作業範囲が狭く窮屈なため、シャベルのシャフトを短くして、立ち膝状態で作業をしなければならない。成田さんがスノーソーを差し出してくれた。スノーソーで縦横0.3m程度の刻みを入れ、雪のブロックを切り出す要領で掘り進むと作業効率が上がる。
雪洞の中に身が入る程度掘り進んだ後、上下左右に掘削幅を広げ、最終的に、幅1.8m、高さ1.5m、奥行1.5mと、大人2人がゆったりと横になれる程度の空間を掘り上げたのが、13時20分。本来は、雪洞Aのように、B1面をB2面より掘り下げるべきであるが、今回は練習のため手を抜いて、B1面から掘り下げて、雪洞内の高さを確保した。
成田さんから頂いた資料によれば、雪洞を掘る場合の「服装」は、「作業中は雪にまみれて全身ずぶ濡れになるのが普通であるから、完全防水の上下雨具と農作業用ゴム手袋で身を固め、云々」とあるが、なるほど、頭からつま先までゴアテックスで身を固めているものの、雪にまみれて、ずぶ濡れである。最後に成田さんがスノーソーで入口近くの天井に換気孔を空け、作業完了。3人で雪洞の中に入り、しばしの休憩。入口をツェルトなどで塞がなくても、外の風の音は全く聞こえず、静寂な世界であった。
再度、ツェルトで休憩後、13時40分、帰路に着いた。頂上付近は強風のため、登りのラッセル跡が埋まってしまい、成田さんが固く締まったラッセル跡をスキーの足裏で確認しながら進み、15時に城ケ倉大橋駐車場に帰還した。古川さんパーティも余りの深雪のため、帰路もほとんどスキーにならず、往路をたどって帰ったようだ。
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