天狗峠(滝谷左俣↑〜滝谷左岸尾根↓)☆深山幽谷の滝と大樹に遭いに


- GPS
- 08:15
- 距離
- 11.0km
- 登り
- 841m
- 下り
- 834m
コースタイム
天候 | 曇り時々雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登山口となる滝谷と岩屋谷の出合は車2台分の道路余地あり 滝谷は薄い踏み跡あり、一の滝、馬尾の滝はいずれも左岸に巻道あり 滝谷左俣にはすぐに5mの滝があるが、右岸に巻道あり 上流には薄い踏み跡はあるが多数の渡渉あり 滝谷左岸尾根は明瞭な登山道あり |
写真
感想
yamanekoさんが京都の山の中でも最も奥深く、そして魅力的だと仰る今回の山域。
私は以前に一度だけ訪れたことがあった。ちょうど2年前のコロナ第一波渦中で自粛モードが最高潮だったころ、人に出遭わないであろう山を目指して密かにやってきた。滝谷と岩屋谷の出合に車を停め、見後谷の右岸尾根を辿って経ヶ岳へ上り、三国岳から天狗岳への稜線を周回した。下山は滝谷の右岸尾根だった。
歩きごたえのある稜線散歩だったが周囲を取り囲む峰々は延々とした広がりをみせていた。谷と尾根のヒダヒダがどこまでも続いている。しかし比良山地の山々と百里ヶ岳ぐらいしか当時の私には山座同定出来なかった。
その日は目論見どおり誰にも人に出くわす事は無く、コロナ感染などこれっぽっちも心配することは無かったのだが、深い深い人知れないこの山には中々足を踏み入れ難いと感じていた。
その奥深い山域の中の未踏の滝谷には美しい滝があり、台杉をはじめ沢山の巨樹にも出逢えると、百戦錬磨のyamanekoさんから山行のお誘いを受ける。喜んで同行させていただく。
滝谷の渓は広く美しかった。苔むした岩々と新緑の世界に魅了される。サワグルミやトチノキの大樹も次々と現れる。
稜線が近づくと巨大な台杉が幾つも聳えている。その化け物級の圧倒的な存在感には度肝を抜かれるほどだ。自然界には凄いものがあるものだ。
天狗岳は天狗峠と言うのが本来の名称のようだ。この辺りは山の名前に峠と付くところが多いらしい。その呼び方はなんだか不思議だが却ってさまざまな想像を掻き立てられる。とりわけ広大な芦生演習林のエリア内は立ち入りが禁止されているが、恐らく見たことが無いような知られざる森が広がっているのは間違いなく、ますます羨ましく恨めしく思えてならない。
その天狗峠には初めて登頂した。前回はピークを踏むのを遠慮したのだが、稜線上の分岐からピークまでは一般的に踏み入れられているそうだ。山頂手前の杉の超巨大樹は見た瞬間に言葉を失った。樹の上によじ登って、写真を撮ってもらって大満足。
三国岳方向への稜線は2年前に歩いた時の印象が残ってる場所だった。特に開けた尾根上から南に好展望が得られるのはよく覚えていた。
しかしこの付近の北側に広がる源頭部の素晴らしさについてはyamanekoさんに教えてもらわなければ気が付かなかっただろう。緩やかな傾斜の斜面に美しい疎林が広がっていた。
下山路の尾根を岩屋谷へと降下すると府立大の小屋あたりの雰囲気も素晴らしい場所だ。この小屋を利用できる人たちが羨ましい。ここを拠点に訪れることが出来るであろう魅力溢れる谷や森が、まだまだ幾らでもあることを容易にイメージできるのである。
結局今回も序盤に林道終点でお会いした若い男性たち以外に山中では誰一人とも遭遇することの無い静かな登山だった。出逢ったものと言えば、森の妖精達と宙を舞う子猿。熊の気配は一杯。
是非これから何度も訪れてみたくなる深い深い、京都の山の奥深いエリアの、今回はほんの一部だけを知っただけなのだろうが、何とも魅力いっぱいの有意義な山行だった。導いていただいたyamanekoさんはもちろん、一緒に歩いてくださった皆さんに深謝。
今回もyamanekoさんプロデュースのお山です。
こちらの山域におじゃまするのは初めてです。
登山口で既に奥深い所まで来たなぁと感じます。
上りは谷を詰め滝を巡ります。
谷は苔むした岩と樹々の緑でとても雰囲気が良い♪しかしyamanekoさんプロデュースのコースなので当然登山道というものは無いに等しいです💦
そして今回のコースは大樹に出逢う旅でもありました。
ビックリするような大きな樹にちょくちょくというより、しょっちゅう出逢います。
台杉なんてお化けみたいに大きいんですから。
いったい何年あの場所で生きているのでしょうか?
それにしても今回もyamanekoさんに案内していただかなければ普通の人?ではなかなか歩く事が出来ない秘境。
とても素敵な山歩きでした。
そしてこちらの山域はとても渋くていい所です。気に入っちゃいました🤗
京都の久多川の源流域を取り巻く稜線は京都市の中では間違いなく最も奥深いところにある山だろう。そもそも左京区がここまで広がっているということ自体が信じ難い。この一帯は山の奥深さがそのまま山の魅力となっている。京都で最も好きな山域は?と聞かれれば躊躇なくここを一番に挙げるのだが、その理由はまさに山の奥深さだ。
hanaさんがこのあたりの山にいらしたことがないというので、天狗峠をご案内させて頂くことにする。ところで国土地理院の地図では天狗岳と記されているが、天狗峠が本来の名称だ。この界隈では山が峠と呼称されることが多い。一般登山道が通じておらず、わずかに芦生演習林に踏み込むことになるこ天狗峠は京都の山でも最も登り難い山かもしれない。家内とと共に2年前のこの時期に歩いたコースを再び辿る計画とする。
この日は早朝に雨の音で目が醒める。坊村に到着する頃には雨も上がる。天気が悪いせいだろうか、坊村の市民センターの駐車場は普段よりも明らかに車が少ない。ここからは私達とuriさんの車で久多川の上流を目指す。
今回の山行の出発地点となる岩屋谷と滝谷の出合は車が2台ほどの道路余地がある。車を停めるとすぐにももう一台車が到来するが、車は私達の横を素通りして滝谷林道の奥へと入っていった。登山準備を整えているうちにすぐにもhanaさんの靴にヒルが取り付いている。残念なことに岩屋谷も滝谷もヒルの多発地帯だ。
林道を入ると少し先に進んだところで先程の車が停められており、男性3人が出発されるところだった。そのすぐ先で倒木が林道を塞いでいる。youtoushaさんの昨年の秋のレコによると林道の終点まで入れたらしいが、この滝谷への林道は倒木により通行出来なくなっていることが多い。
林道終点まで至ると先を行く男性達に追いつく。山行の目的地は同じであったが、こんな渋い山に若い男性達がと思うほどに若い人達だった。ここまで来ると当然、滝谷の上流にある二つの滝を目指すものと思っていたが、驚いたことに天狗峠と三国岳のほぼ中間のピークp936から滝谷に向かって南に延びる尾根から国境尾根に登り、天狗峠を目指すという。
私達のコース取りをお話しすると、2年前に滝谷の右俣から天狗峠を目指したが、谷が急峻だったのですぐに谷を離脱して右岸の尾根から稜線に上がったが、その尾根の登攀もかなり大変であったとのお話をお伺いする。私も天狗峠に右俣経由で二度ほど登っているの人のことはいえないが、そのマニアックなコース取りと目の前の若者達から受ける印象は大きく乖離しているように思えるのだった。
男性達にご挨拶して私達はいよいよ滝谷に入渓する。広々とした谷に平流が続く。谷の苔むした岩のせいで深い緑の世界が続く。大きな岩が現れるようになると右岸を巻いて進むようになる。やがて谷の正面に扇状の大きな分岐瀑が現れる。一の滝だ。
右岸に滝を高巻く道が続いている。滝の落ち口を過ぎるとすぐにも上流に二段の直瀑が現れる。こちらは馬尾の滝だ。滝の下段はわずかに跳ね上がって落ちるので、少し横から眺めると確かにポニーテールのように見えるのだ。
この滝を訪れるのは4回目であるが、過去に訪れたのはいずれも晴天の時であったことを思い出す。晴天の日は滝壺が木陰になり鬱蒼とした雰囲気になるのだが、曇天のせいか却って鬱蒼とした雰囲気が薄れ、むしろ明るい雰囲気に感じられた。いずれにせよ深い緑色の滝壺に向かって静かに流れ落ちる一筋の滝の神秘的な雰囲気には変わりはない。
馬尾の滝を巻くと再び谷は平流となり、広々とした二俣に出る。この出合には多くのトチノキの大樹が聳え、壮麗な雰囲気だ。hanaさんも「とても森の奥深いところに来た感じがする」と仰るが、まさに同感である。林床には数多くの小さな妖精のような花が散乱している。トチノキの小さな花だ。
左俣に入るとすぐに5mほどの小滝が現れるが、この滝は右岸から高巻く。谷の周囲は植林となり、単調な谷歩きが続く。小さな滑滝を越えて、上流の二俣に至る。
前回は左俣を進んだのだが、中間の尾根を進むことにする。しかし、この尾根はp927のすぐ北側のca910mから東に延びる尾根で、上部ではかなりの急斜面になっていることに気がつく。左手の谷は水は少ないものの滝があるので、少し尾根を登ったところで斜面をトラバースして谷のなだらかな源頭に入る。
対岸の尾根には大きな台杉のシルエットが見える。最後は尾根をわずかに登ってp927のすぐ北側に出る。時間も程よい頃なのでp927の西側の平坦地でランチを調理する。この日は鴨肉とマッシュルーム、ズッキーニ、パプリカのアヒージョを調理する。
尾根を北上すると、すぐにも小雨が降り始めた。p921のピークが近づくとここだけは更紗満点星(サラサドウダン)が咲いている。昨年に比べて花つきが明らかに悪いようだ。
天狗峠への分岐には真新しい木製のプレートが掛けられている。尾根の中間部にある三俣のシンボリックな台杉の裏側に回り込むと、真新しい花が添えられていた。林道の終点でお遭いした先程の若い男性達がお供えされたのだろう。台杉の周りは雨の森の匂いに混じって線香の残り香と思われる微かな香気が漂っていた。
天狗峠のピークの手前では展望が大きく開ける箇所がある。光砥山から小野村割岳を経て佐々里峠へと向かう稜線は
p936の手前からca900mの手前では伐採の跡なのだろうか、尾根上には草原が広がり好展望が広がる。先程までの小雨もいつしか止んだようだ。尾根の北側は鬱蒼とした雰囲気に思えるが、樹林の中に踏み込むとなだらかな源頭にブナの大樹の疎林が広がっている。この稜線の中でも林相の美しさに関しては随一の場所だろう。
ca900mからは滝谷の左岸尾根を下降する。尾根は最初こそ急下降ではあるが、すぐにも緩やかになる。ca740mからは岩屋谷の出合に向かって北に下降する尾根を西側斜面をトラバースしながら下降する。登山道は良好に整備されており、歩きやすい道が続く。
府立大学の小屋の裏手に着地すると最後は林道歩きである。この林道もヒルに要注意だ。歩き始めると早速にもuriuriさんの靴によじ登ってきたものがいる。花盛りのタニウツギが緑の景色の中に華やかなピンク色を提供してくれる。歓談しながら歩くと車を停めた林道の入口までは短く感じられるのだった。
車に乗り込み久多川に沿って南下すると本降りの雨が降り始める。天気予報では夕方から雨の予報だったので、予報通りだ。今回の山行では多少の小雨に降られることはあったものの、それほどの雨に祟られることもなく、予定通りのコースを歩くことが出来たのが有難かった。
後になって調べると天狗峠で単独行の男性が三本杉の近くで遭難されたのは3年前のこの時期のことだった。改めて亡くなられた方のご冥福をお祈りしたい。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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なんて素敵な渓谷と豊かな森でしょう!
まるでジブリの世界みたいです。
感動してしまいました。
自分も歩いてみたいと思いましたが
ヒルがいるのですね😂。。。
山の上にはヒルはいないのですが、この界隈の山麓の谷沿いは確かにヒルの多発地帯です。
そういえばなぜか、兵庫や岡山の山はヒルが出没するという話はあまり聞きませんね。こちらの方が鹿が多いからかな。若狭に入るとヒルは途端にいなくなるのですが。
yamanekoさんもレコ中で仰ってるようにこの山域の魅力は何といっても山の奥深さと森の静けさだと思います。
新緑・深緑の谷は岩や樹々が苔むしていて、妖精でもひょっこり顔を現しそうな、まさにジブリ映画のような幽境な世界でした。
ヤマビルは…顔を見るのもイヤですね。
忘れた頃の返事でゴメンナサイ💦
今回のお山は正に秘境でした。
おいそれと足を踏み入れる事が出来ない世界に感じました。
ヒルはね、ダンスして獲物が来るのを待ってます😅
冒頭に書いた通り、私の最も好きな山域です。
例の花はまさに見頃でした。昨年以上に咲いていたかと思います。
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