遠見山〜八ヶ峰(塩飽本島)☆ノスタルジックなしま山へ


- GPS
- 03:40
- 距離
- 9.7km
- 登り
- 364m
- 下り
- 367m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
船
本島 14:15〜丸亀 14:35 |
コース状況/ 危険箇所等 |
遠見山、八ヶ峰はいずれも良好に整備された登山道あり |
写真
感想
塩飽本島はその名の通り塩飽諸島の中でも最も栄えた島であり、現在は島の住民は240名ほどらしい。ところで塩飽は「しわく」と読む。知らなければ読めない難読地名だろう。本島も通常は「ほんとう」と読むが、ここは「ほんじま」である。
この島に渡るには岡山県の児島と香川県の丸亀から船があるが、児島からの船は朝10時に島に到着した後は16時に出航する船まで便がない。丸亀行きは14時15分発の船があるのでこの船で四国を経由して帰るのが良さそうだ。
次の問題はランチである。島で唯一のcafeである本島スタンドに電話で確認をすると、この日は丸亀城の桜祭りに出店するので臨時休業とのこと。「やかた船が開いているでしょう」ともう一軒を紹介されるが、ここは明らかに高級な雰囲気で、五人以上でないと駄目ですとすげなく断られる。仕方ないので現地でのランチは諦める他ないようだ。
児島のホテルから児島港への道すがらの大きなスーパーでお弁当を買うことが出来るかと期待していたが、朝に?崎で時間を費やしてしまったせいか児島港への時間が乗船時間ギリギリとなり、食材を買う時間的余裕がなくなってしまう。ホテルの朝食で私も家内も満腹となったのでなんとかなるだろう。
児島港から船に乗ると他に数人の乗客がいる。1組のご夫婦と思しき男女は明らかに観光客に思われるが、その他は島の人々に思われた。
児島港からの船が先ほど歩いたばかりの?崎を回り込むと、瀬戸大橋と塩飽諸島の島々の景色が大きく広がるようになる。船は瀬戸大橋の下を潜って本島へと向かう。よくよく考えると瀬戸大橋の下を潜る機会はなかなかないだろう。
船が島に到着すると、港の船の切符売り場はレンタサイクルを兼ねているらしい。船でご一緒だったご夫婦はレンタサイクルで自転車を借りると自転車に乗って出かけて行かれた。やはり他には他には観光客はいないのだろう、途端にあたりは閑散となる。建物の中には土産物売り場もあるらしいがシャッターが閉まっていた。土曜日であるにも関わらず店を閉めているというのは店を開くことはないのだろう。
天理教の大きな教会が否応なく視線を惹くが、その物々しい建物はこのこじんまりした島にはどうも不似合いなように思えてならない。まずは笠島地区を目指して歩き始める。すぐに小学校と中学校が一緒になった学校が現れるが、その門は囲いが覆われている。イノシシの侵入を防ぐためのものらしく、学校に入るためにはその囲いを開けて入ることになるようだ。学校を通り過ぎると古い建物がある。塩飽の勤番所跡らしい。
島々を訪れるといつも時間が止まったような感覚を味わうが、その理由の一つに車が走っていないということがあるかもしれない。島から近くの海の上では瀬戸大橋の上を車が慌ただしく行き交うが、それが島からすぐ近くでありながら遠い場所での出来事のように感じられる。
島の東側の海沿いを歩くと、長閑な島の静寂を破って橋から大きな音が聞こえてくる。道路の下を渡る列車の音のようだが、その大きさに改めて驚く。
笠島の集落に入ると景色は一変する。昔ながらの古い家の美しい街並みが忽然と現れ、まるでタイムスリップしたかのようだ。かつてはここに笠島城と呼ばれる城があり、城下町として発展し、塩飽の中心地であったらしい。
人が住んでいる気配の感じられない家もあるが、家々や通りは驚くほど綺麗に整備されているようだ。重要伝統的建築物保存地区として管理されているらしい。以前、この塩飽諸島の西に位置する高見島を訪れた時にも古い旧家が多く立ち並んでいたが、残念ながら高見島では家々は荒廃の一途を辿っているようだった。
古い街並みが続く坂の上には数本の桜が咲いている。専称寺の参道に立ち並ぶ桜の樹々であった。寺は無住のようであった。ここで引き返して街並みの中心に戻ると遠見山に向かう。
南に道を辿ると右手に広い神社がある。神社の入り口の広場にはかつては芝居小屋があったらしい。拝殿の左手に尾根に登る道がある。広々とした尾根には階段の整備された道が続いている。すぐにも遠見山の山頂にたどり着く。
山頂には小さな電波塔があるが山名標の類いは見当たらない。遠見山の山名に相応しく、東側に大きく展望が開けており、瀬戸大橋の眺望が広がる。ここはしま山100選にも選ばれているところではあるが、標高は107mとかなり低く、しま山の中ではかなり手軽なところだろう。
山頂からは南の尾根を下降すると南側の泊の展望が広がる。港には大きなフェリーが着岸している。丸亀航路の船だろう。
舗装路に出ると高無防山を目指す。ピークから東に伸びる尾根に至ると尾根の取付きには確かに道はあるのだが、笹薮が繁茂している。尾根を登り始めると道は次第に藪が濃くなりサルトリイバラと思われる茨も現れる。家内がこれ以上進みたくないというので、引き返すことにする。山に登る人がいなければ登山道も藪化してしまうのだろう。
地理院の地図には高無防山の山麓にも破線の道が記されているが、この道もすでに荒廃しているようだった。再び本島の学校の前に出て泊の集落から正覚院を目指す。寺までは舗装路が続いているようだが、途中から石段の続く趣きのある参道が右手に分岐する。立派な仁王門を潜って境内に入る。人がいる気配はかんじられなかったが、ここは1300年の歴史を誇る由緒のある山寺らしい。
正覚院はの裏手からわずかに上がると山桜の咲く尾根を歩いて、まもなく八ヶ峰の山頂に至る。
八ヶ峰からは尾根を南下すると、右手に展望が大きく開け、島の北側の大浦の展望が広がる。島の東側の展望と異なり、集落の数件の家の他には人工物がほとんど見えないので、途端に景色が鄙びた雰囲気に感じられる。南西の大きな山は小阪山と呼ばれる山らしく、この島の最高峰だ。とはいえ標高はわずかに200mを越えるばかりではあるが。
尾根上に続く道は本島ハイキング・コースと呼ばれるらしく、笹原の中を広く刈払いがされている。登山道沿いには数多くの蕨が生え出している。
下山すると海沿いには木烏(こがらす)神社があり、広い境内には江戸時代に建てられたという芝居小屋の千歳座が残っていた。あとは海岸を歩いて再び泊港に帰還する。
港の観光案内所の隣には臨時休業している本島スタンドがある。オープン・テラスで酒を呑みながら船を待つことが出来るようであり、営業していないのだが何とも残念であった。
ここは数々の古い建物が予想以上に鮮烈な印象を残すところで、これまでに訪れた瀬戸内海の島の中でも屈指の素晴らしい島であった。
えーっ 島にイノシシがいるんですか
それはいるでしょう。なにしろ、イノシシは海を泳いで渡ることが出来ますから。
登山道にも随所でイノシシに掘り返されたところがありました。
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