第2回岡山・兵庫県境トレイルラン


- GPS
- 04:28
- 距離
- 39.8km
- 登り
- 2,379m
- 下り
- 2,370m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
大会名もコースも大幅に変更され、前回の面影は無くなってしまっていましたが、前回王者として負ける訳にはいかないという強い思いで挑みました。
結果は、1分差の2位
残念ながら連覇はなりませんでしたが、持てる力を出し切ったので、悔いはありません。
・後山稜線からの最高の景色
・オレンジの風船で彩られた手作りのゴールゲート
・寒い山中でコース誘導して下さるスタッフ
・不慣れだが、温かみのあるエイド
・コースマークは白い布
アットホームでノンビリした雰囲気に癒されました。
■スタート前
満天の星空、辺りは真っ暗。駐車場への誘導スタッフが不在でしばし彷徨う。関係者駐車場にいたスタッフを車に乗せて、選手駐車場まで案内してもらう。レースが始まる前からアットホームな雰囲気を堪能する。真っ暗な中、スマホのライトを頼りに受付に向かい、検温、消毒を済ませてゼッケンを受け取る。時折突風が襲い、スタッフテントの中の書類が吹き飛んで大パニック。再びアットホームな雰囲気を味わう。
ゼッケンは17番。前回ロングの参加者が12名だったので、すでに昨年の参加者総数を越えていることになる。大会パンフレットを見ると、参加者は36名、ゼッケンは年齢順のようだ。
ようやく明るくなり始めた午前6時、選手コールが始まり、スタート地点に集合とのアナウンスが流れる。開会式は司会者の自己紹介から。まばらな拍手が起きる。まだスタートして無いのに、アットホームな大会を存分に味わっている。一通り挨拶も終わり、6:30のスタートを待つのみ。何もすることが無く、寒い中でスタートの号砲を待つことになる。
■スタート
10秒前カウントダウンからスタートの号砲。トレラン大会によくあるホーン音ではなく、運動会のピストル音が大会の雰囲気を盛り上げる。
スタートから飛び出したのは私を含めて3人。軽い登りをゆっくりとしたペースで駆け上がる。この2人について行って、最後に差し切れば優勝。などと、始まったばかりなのに順位を気にするあまり、終盤の妄想をしてしまう。3人がお互いに牽制しあった様子で、ペースは遅い。アドレナリンが出ているから遅く感じていただけかもしれない。最後に差し切るなんて都合の良い展開があるわけない。最初から全力でぶつかるのみ。思わず先頭に出て、レースを引っ張っていく。トレイルに入るまでの長いロード、自分では飛ばしている意識は無いが、思っていたより足を使っていたかもしれない。下りから上りに差し掛かるが、歩くことなく上りを駆け上がっていく。長い林道が終わり、トレイルに入った時に残っていたのは私ともう一人。実質優勝争いは、この2人に絞られただろうと考えていた。トレイルの下りに差し掛かった時、猛スピードで追い抜かれ、2位に。トレイルで抜かれるのは本意ではなかったが、まだ先は長い。とにかくロストをしないこと。と考えていたが、前回大会と違い、コースには、「これでもか」というくらいの誘導スタッフが配備され、コースマーキングもしっかりされている。おそらく先頭のロストも期待できないだろう。勝負は後山(うしろやま)上りの急登だと考えていたので、それまでは淡々と距離を重ねる。
■エイドから後山上り
とにかく誘導スタッフが多い。分岐らしきところには必ずスタッフが立っていて誘導しているので「ありがとうございます」と声を掛けながら通過する。スタッフも寒い山中で大変なのだろう。こちらが近づいているのに気づかず、油断して立ち〇ョンしているところを目撃した。遠くから大きな声で「ありがとうございまーす」と声をかけると、慌てて誘導ポジションに戻って来ていただいた。別のポジションがちゃんと戻っていたのか気になるところだ。
今回は、前回と違い、エイドが豊富だ。前回は給水ポイントが2か所しかなく、水切れで断念する選手も多かったと思うが、今回は山の中でもペットボトルを持ったスタッフから補給を受けることができる。そのエイドで先頭選手を捉えた。後山上りに備えて私も給水を考えたが、ここが勝負ポイント。できるだけ軽い状態で上りに挑みたかったのでエイドはスルーして後山急登にアタック。岩をよじ登るような急登で先頭選手と並走する。
私「今回はコースマークが多くて助かります」
先「この辺りは私がマーキングしました」
私「そうだったんですか、ありがとうございます」
先「前回はマークが少なくて迷ったと聞きました。実際、マーキングに来た時も迷ったんですよ。マーキングでロストするとは思わんかった(笑)」
おかげさまで、今日は迷うことはない。次のマーキングを目指して淡々とよじ登る。ロードで使いすぎてしまった足が悲鳴を上げ始め、足を上げると攣りそうになる。でも、負けられない。マグオンの粉末を流し込み、攣りそうな足にもう少しだけ頑張るように言い聞かせる。
気づけば先頭に立っていた。ここで手を(足を?)抜くわけにはいかない。必死でよじ登り、稜線に出た。
■後山稜線
まさに絶景。思わず見とれてしまう。カメラを構えるが、足は止めたくない。シャッターチャンスを探しているうちに後山山頂に到着した。遠くには雲海も見える。素晴らしい景色を見ていたいが、写真だけ撮って先を急ぐ。ロードと急登で足は使い果たした感がある。まだ残りは半分以上、このペースで持つのか不安になるが、とにかく全力を出し切ろうと、ペースは落とさない。稜線が終わり、ダルガ峰への分岐に差し掛かる。
■2位転落
スタッフの方が出迎えてくれて、「ドリンクありますよー」と声もかけてもらったが、止まりたくなかったので先を急ぐ。落ち葉で足元が見えない滑りやすいトレイルを少しでも早く通り抜けたいという気持ちとは裏腹に、滑って転倒するリスクを恐れて、ペースが上がらずリズムもつかめない。ジレンマを感じていたその時、後ろから猛烈な勢いの足音が聞こえてきた。明らかに勢いが違う。だめだ、追い抜かれる。後山登りで振り切ったハズの選手が再び復活し、抜き返されるのだと思い、振り向いた瞬間「いやー、参りました」と声を掛けようとしたとき、目が合ったのは先ほどと違う選手だった。序盤で競り合っていた3位の選手がものすごい勢いで抜き去っていった。後ろに着いていく隙もない。颯爽と駆け抜けていく後姿を見守るしかなかった。
■ふくらはぎ崩壊
まだチャンスはある。ロードレースでは実力勝負だが、トレイルレースは最後まで何が起こるか分からない。残り10kmちょっと。既に見えなくなった先頭選手をひたすら追う。ダルガ峰ループを折り返し、駒の尾登山口の駐車場エイドへ。スルーしようかとも考えたが、ここで一旦落ち着こうと思い、エイドに立ち寄る。スポーツドリンクを補給し、ぶどうを一ついただく。美味い!ほんの一粒だったがリフレッシュできたところで駒の尾山への上りに挑む。見上げると見事な階段トレイルだ。段差が低いところは出来るだけ走りたい。気持ちは前のめりだが、足がついてこない。ビキッビキッと、ふくらはぎが悲鳴を上げ始める。ロードで足を使いすぎたツケが回ってきたようだ。一定ではない段差の階段に苦戦し、ほとんど走れない。ゴール後に1位の選手に聞いたところ、この区間も7割くらい走って上ったそうだ。私は9割が歩き、ここが走れるかどうかが勝負の分かれ目だった。そういえば、1位の選手はHOKAの厚底を履いていたように思う。道具のせいにはしたくないが、コースに合わせたギアの選択は重要だと感じた。私のシューズは稜線の滑るトレイルを意識したinov-8のteraUltraだ。LAKEBIWA100も一緒に戦った信頼のできる相棒だったが、40kmの短距離ロード勝負ではソールが薄すぎて、足への負荷が大きすぎたかもしれない。階段を走れないもどかしさを感じながら、これを上り切ったらあとは下るだけだと言い聞かせ、最後の力を振り絞る。スタッフの声が聞こえる。山頂へ出た。見事な絶景が拡がる。スマホを取り出し絶景をカメラに収めた瞬間、膨張した風船が爆発するように両足のふくらはぎが攣った。
イテテテテ
一旦立ち止まろうかと思ったが、前からスタッフの方が私にカメラを向け、撮影してくれている。ここで立ち止まるわけにはいかない。颯爽と走っているポーズを決めなければ。
訳の分からない使命感に支配され、両膝が伸び切ったまま痛みに耐える表情で写真に収まってしまった。しまった、カッコ悪い、そんなことよりも、この状態で下りをどう乗り切るかが重要だ。伸びきった膝を徐々に曲げていくが痛みが走る。足を前に出す時に痛みをちらすように膝から下をぶん回しながら、
「この痛いの、どっか行け!」
と声に出して高度を下げていく。このルートは前回大会で上ってきた場所で、試走でも通ったのでコース感覚は覚えている。もうすぐ急坂が始まるはず。コースは分かっていても痛みの対処は分からない。復活の糸口をつかもうとマグオンを水で流し込み、効いてくれ!と念じる。足をぶん回し、痛いの飛んでけと叫び、サプリを補給し念じる。何が効いたのか分からないが痛みは治まった。トレイルが終わり、ロードが始まる。ここからはロードで下るだけ。もう上ることは無い。そう思いながらも、あとひと波乱はあるだろうと覚悟していた。案の定、試走の時に通ってきた下りのロードではなく、公園の方に誘導される。
■紅葉のトンネル
もう無理、この上りで足が終わったら歩こう。下を向き、持てる力をすべて振り、上りのロードを走る。足元がアスファルトではなくなり、真っ赤な落ち葉が見えた。まさかトレイル突入?もうひと山残っていたのか。
恐る恐る顔を上げると、目の前には、地面も空も真っ赤に染まる紅葉の絨毯が拡がっていた。「おおっ」晴天で照らされた見事な赤に思わず声が出る。「がんばってくださーい」公園でハイキングする家族やスタッフの方からの声援を受け、元気、やる気、モリワキが復活。
わずかな距離ではあったが、紅葉のトンネルを気持ちよく駆け抜け、再びロードへ。今度こそラストロードだ。もう歩かない。ここまで来て歩いたら、今まで頑張ってきた自分がかわいそうだ。ゴールテープを切るまで集中力を切らさず走り切り、栄光のゴールへ。もしかして1位の人がロストして自分がトップだったりして。わずかな期待を裏切るかのように、1位の選手が視界に飛び込んでくる。同時に、手作りのゴールゲートへ飛び込んだ。4時間27分26秒、長いようであっという間だった旅が終わった。
■連覇ならず
ゴール後、1位の選手から1分も差が無かったことを聞いたが、タイム差以上の力負けを感じた。完敗だ。でも、間違いなくこの大会をリードし、引っ張れたことと、両足が攣るまで出し切った達成感に満たされた。お風呂がオープンするまでの間、続々とゴールしてくる選手たちを観戦する。皆さん良い表情でゴールに飛び込んでくる。絶好のトレラン日和、巡ってきた山々を見上げながら、「やり切った、やり切った」と自分に言い聞かせるが、こうやって振り返ると、もっと行けたんじゃないかと考えてしまう。
やっぱり悔しい!
■ゴール後
温泉は12時から、混雑を避けるために入場制限されていた。入場制限システムはゆっくり入れるので、コロナ対策後も続けてほしいシステムだ。サウナ、水風呂、露天風呂の三大要素が詰まって600円。参加者やレストラン利用者は半額の300円。かなりお得。
食事は事前予習していた西粟倉駅近くの古民家カフェでタイ料理。ラストオーダー時刻が迫っていたが、電話予約に快く応じていただいた。古民家とは対照的に、かなり本格的なタイ料理店で、3種のあいがけカレーを注文。美味い!辛い!折角温泉で汗を流したのに、また汗だくになった。こんなに汗かけるんやったら、もっと追い込めたんちゃうか。悔しい。美味い!
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