金時山〜Tさんが眠る山へ〜


- GPS
- --:--
- 距離
- 3.7km
- 登り
- 390m
- 下り
- 390m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
[復路]林道終点P=足柄峠=Tさん宅=大井松田IC=[東名]=用賀IC=[環八]=四面道=[青梅街道]=東伏見自宅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
■コース状況 全く問題なし。 ■地蔵堂の集落を通って以前は足柄峠へと向かっていたが、今は地蔵堂の集落は通らずに足柄峠へと上がっている。トレイルランナーの方々が多く練習をしていた。 |
写真
感想
Tさんのお葬式に出られなかったのが気になっていた。
http://www.yamareco.com/modules/diary/7510-detail-56563
金時山の遭難現場をお参りし、そして彼の自宅に立ち寄ろうと思った。
久々の金時山---こんな形での再訪になるとは思わなかった。
林道終点にはたくさんのクルマが停まっている。
透き通るような青空。強い夏の陽射し。頬をなでる風。
たくさんの人が親しむ山、そう、これこそが金時山だ。
林道の両側からは梢がさしこみ、てきとうな木蔭を作ってくれている。
出かけたのが遅かったせいでで、三々五々下ってくる人たちに出会う。
黄色い声だったり、クマよけの鈴だったり。
この光景はまさしく平和そのもの。
Tさんの奥様からは、12個あるハシゴの下から4つ目のハシゴの上のベンチと聞いていた。
以前の金時にはこんなにハシゴがなかった。
安全な登山道をということでしつらえたのだろうが、たしかに久しぶりに登ってみて、こんなに急な山だったんだと感じた。
ハシゴは12個あり、下から十二支の子・丑・寅・兎・・・・の名前が付されている。
ウサギが終わったところにベンチはあった。
急斜面にしつらえられた小さな平地。
滑落したあとなのか、救助のときにつくられたのか痕跡が見える。
その先の下のほうの斜面に花束が見えた。
キリリと冷えたビールをひと缶置き、目を閉じ黙祷。
ちょうどベンチにはコンロで湯を沸かしている青年がいた。
ボクがお祈りを始めたら、一緒になってお祈りしてくれた。
ホントにありがとう。
以前、前黒法師岳で捜索隊をしり目に登る平和な自分たちとの複雑な心情をヤマレコしたことがある。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-237115.html
ここでもそうだ。
遭難してしまったT氏と、それを知らずにその場で平和に山を楽しんでいる人たちと。
どこかに透明な壁があってあの世とこの世が境を接している。
何かのきっかけで誰かが向こうに行く。
戻ってくることはない。
こちらの世界では、その壁がすぐそばにあることに気付かない。
透明だからこちらから、向こうは見えない。
むこうからこちらは見える。
次はあの人だねと向こう側の人たちは話をしている。
そんなことを考えたりした。
頂上はあいかわらずの混雑だ。
ガスに包まれ展望は全くない。
今日の自分はナニも見えない頂上がいい。
何することなくぼーっと15分ほどいた。
帰りは同じ道を戻った。
もう一度遭難現場を通ると、カメラを向けている女性がいた。
「ここで遭難された方がいると聞いて」と。
「実は今日、追悼登山なんです。」
しばし、会話を交わす。
駐車場でこれから登ろうとする人にもあった。
「遭難した方がいらっしゃるらしいですね」
新聞で読んだという。
足柄峠のあたりは自殺がけっこうあるらしい。
自分が発見者になったこともあったという。
「鉄道の人身事故もやたら多いし、世の中ちょっとおかしくなっていますね」
悩みや悔しさ、理不尽さを感じながらあの世に旅立っていく人は多い。
山の遭難を肯定するつもりはないけれどTさんは倖せだったと思いたい。
なぜならそんな悩みやくやしさなどは、持っていなかったと信じているから。
持っていたとしても、この世に置いていったと思うから。
帰りにご自宅に立ち寄った。
立派な祭壇と多くのお供えもの。
額ぶちの中で、ふくよかな顔が笑っていた。
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