秋田駒ヶ岳・乳頭山・大白森縦走


- GPS
- 27:05
- 距離
- 27.9km
- 登り
- 1,327m
- 下り
- 1,990m
コースタイム
6/9(二日目) 4:40田代平山荘-6:10蟹場分岐点-7:05鶴の湯分岐点-7:25小白森山-7:55大白森山8:55-10:35鶴の湯
天候 | 6/8(sat):曇時々雨または晴れ 6/9(sun):晴れのち曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2013年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
・下山は乳頭温泉鶴の湯。乳頭温泉からアルパこまくさへはバスで移動 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【8合目〜阿弥陀池】 ・僅かに残雪があるが、ステップが切られている。 【男岳横岳鞍部〜横岳】 ・ムーミン谷はまだまだ雪の下。男岳横岳の鞍部からの下りの雪渓は急な傾斜。落石の危険もある。6本爪アイゼンを持っていたが、少々心もとなかったので、アイゼンを使わず雪渓が切れている箇所を慎重に下った。一日目の核心部。ちなみに登ってくる方の多くは五百羅漢方面に向かっていた。 【横岳〜焼森〜湯森山〜笊森山】 ・焼森を過ぎると景色が一変。とにかくなだらかな景色の中、何処までも道が続いているのが見える。今回のルートで自分的には最も好きな場所。人も少なめ。 【笊森山〜乳頭山〜田代平山荘】 ・笊森山頂上からは、目の前の乳頭山や裏岩手、八幡平のパノラマ風景。 ・乳頭山の山頂直下に雪渓あり。夏道から3m以上乗り上げますが、キックステップで直登可能。 ・山荘までには所々雪が残っているが、道を見失うほどではない。 【田代平山荘〜蟹場分岐点〜鶴の湯分岐点】 ・多分、今回のルートの中で最も人が少ない場所。 ・田代平は木道のコース、残雪あり。 ・田代平の湿原を過ぎると広葉樹の樹林帯となる。階段のある急登を下ると一気に残雪が多くなるが、赤布は僅か、人も少なく踏跡もほとんど期待できない。踏跡や道にも見える流水跡や小沢に注意。意外と赤布に惑わされる場合も。蟹場分岐点までが二日目の核心部。 ・鶴の湯分岐点の手前で、突如登山道を遮る高さ2m程の雪渓あり。乗り上げるのはちょっと一苦労するかも。 【鶴の湯分岐点〜大白森〜鶴の湯】 ・鶴の湯分岐点までに比べると、人が多くなる。特に分岐点から鶴の湯間は筍採りの人たちが沢山。 ・鶴の湯分岐点から小白森山の間も若干雪が残る。自分の踏み跡も戻るころには見えづらくなるような状態なので、こちらもちょっと注意。 ・小白森山と大白森の間、懸念された泥寧に悩まされる事はなかった。 【田代平山荘】 ・湿原とシラビソ林に囲まれた素敵なシチュエーション。吾妻の明月荘を思い出させるような小屋。 ・1階は土間。寝床は2階。静かで快適な小屋だった。きれいに使われていると感じたが、トイレはあまり期待しない方がいいかも。 ・水場(小屋裏手の踏み跡を辿る)は未確認。 ・小屋前の沼は雪で覆われていた。 ・この日、私たちのほかには単独の男性のみ。 【その他】 ・まだまだ残雪があったが、アイゼンは不使用。 ・コース上の水場は焼森湯森山の鞍部の沢のみ。山荘の水場は10分以上歩くとのこと。水の補給等は残雪利用も考えられたが、私たちは補給を当てにせず、2日分の水を持っていった。夏場などはさらに条件が厳しくなりそう。 ・風もあまりないのに、なぜか虫はほとんどいなかった。 |
写真
感想
初めて秋田駒ヶ岳を訪れたときに見た、焼森からずっと続く縦走路。2度目に訪れたときに男女岳から見えた、興味の惹かれる大白森の山容。
これまでずっと思い描いていた風景を、山に浸かりながらゆっくり歩いてみたいと思い、今年最初の小屋泊の山歩きをしてきました。
賑やかな雰囲気の秋田駒ヶ岳を抜け、横岳を過ぎるあたりからは、人が少なく、そしてどこまでも広がるような風景。
シラビソや湿原、灌木となだらかに続くトレイルは、ちょっと日本ではないようなそんな景色。これからここを歩くのかと思うと、本当に心が躍るような、心が落ち着くような、ひっそりとテンションがあがっていくような、そんな心地よい気分だった。
笊森山を越えると天気は回復。
八幡平や森吉山、そして今回最後の目的地大白森も望め、本当に良い一日の締めくくり。
田代平山荘では既に単独の男性が先着していたが、結局我々も含めた二組のみ。
静かな雰囲気のまま夜はあっという間に訪れ、いつにも増して早い眠りについてしまった。
二日目。
セットした目覚ましが鳴る前に早々に目が覚め、予定よりも早い出発。
山の朝はいつもシュラフから出難いのだが、明け方の空と澄んだ空気は本当に気持ちがいい。
湿原の池塘とそこに映り込む空の色も早朝だけの景色だと思う。
湿原を抜けると、残雪と新緑の樹林帯に道に入った。
既に6月なので、こんな景色を見られるとは思っていなかった。
期せずして素晴らしい深林を歩くことが出来た反面、ルートファインディングでは少々苦労した。
進行方向を変えるところでは道をロストし、直ぐに戻り慎重に地形と現在地を確認しながら進んでいく。
蟹場分岐点までは、こんな残雪箇所を幾つか過ぎていった。
小白森山と大白森の高層湿原は今回の最後の目的地。
大白森に着いた頃には秋田駒は雲の中。乳頭山も雲海にのまれそうになっていたが、大白森の広大な湿原は青空の下。他には誰もいない中、裏岩手、八幡平といった山並みや青空しか見えない風景は、違う世界にきてしまったような錯覚さえも感じる。雲が過ぎていくのか、時折薄い霧に包まれると尚更そんな思いがした。
今回歩いた秋田駒ヶ岳から大白森までのルートは、「あの向こうにはどんな景色が広がっているのだろう」という期待と、歩く程に移り変わっていく風景を楽しむことが出来た。そして、ずっと続いていく道が見えた時は本当に心が踊った。多分、人によってはそれほど長い距離ではないと思うが、山に泊まり、時々立ち止まりながら歩いた私達にとっては、ちょっとした旅にも感じられた、そんな歩きができたハイクであった。
※今回のルートは昨年kiyoshiさんとmokkedanoさんが歩いたルートをつなぎ、コース状況はtooleさんの記録を参考にさせてもらいました。ありがとうございました。
コメント
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秋田駒〜乳頭への縦走ルートそして大白森、乳頭温泉
歩いてみてこその美しい景色に出会えましたね
朝の湿原で目覚めていく様子はなかなかのものです。
残雪と新緑、大白森のヒナザクラ、チングルマ等
いろんな誘惑が待っていて私だったらなかなか先に進めないでしょう
まだまだこの山域はこれからですね
リピーターになりそうなルートです
この道、山登り1年生の私が秋田駒ヶ岳に登った時にみた憧れの縦走路だったのです。
当時は8合目からが精いっぱいの体力で、周りの山々の名前も???
でもずーっと奥までどこまでも続く道の先にはどんな世界が広がっているのだろう。
いつか自分も行くことができるのだろうか。と思った思い出の道でした。
たった2日間でしたが、二人で長い旅をしたような気がします。
誰もいない目の前に広がる北欧の森を思わせる雄大な景色のせいなのか、めまぐるしく変わった天気のせいなのか、山の時間は私たちにいつも最高のサプライズをくれました。
meikenさんだったら…3日間くらいかけてじーっくり行ってみてください
ご指摘のとおり、帰りの車中でも「今度はこちらを…」と話がはずみました。
何度も訪れたい場所、また増えてしまいました
大白森は行ってみたいところベスト3に入る場所ですが、こういう歩き方もいいですねぇ
昨秋に8合目から乳頭山を縦走したとき田代山荘に寄りましたが、おすすめできないトイレのことを思い出しました
田代湿原も千沼ヶ原も散策したいな〜と思います
こんばんは。極上のトレイル、ご堪能なさいましたね
縦走路の雪、まだまだ残っていますね。トナカイはやっぱりまだのようで
キンバイで彩られた乳頭の山頂は、私にとって良い思いでです。
小白森を訪れたとき、そこでも十分大きな湿原だと思っていました。
しかし、大白森は…
あの感動というか驚きと言うか…。言葉になりませんでしたね。
kiyoshiさんと二人で「おお、すごいね」としか言えなかった記憶があります。
お二人は夏休みに八幡平や岩手山まで足跡を残すような気がします。何となくですが
3月末に歩いたとき、この雪壁に近づくにつれて、どうやって登ろうかと途方に暮れた記憶
まだまだ雪残っていますね。
最高のトレイルを泊まりで歩けるなんて…うらやましい限り
遠征ですが、ドライブもまた楽しい時間なのではありませんか
39番、keen2さん、帽子かぶってサングラスしないと
8合目からムーミン谷へ下りましたか。
山慣れしていないと難しいかなり贅沢なコース取りですね
さすがは健脚のお二人だと思いました
その後は、乳頭まで極上トレイルを楽しまれたようで
それと翌日の蟹場分岐の辺りの広いブナ平、あそこは難しい地形だと思いますが、これまた楽しまれたようでさすがです
ここまで来たら、お二人の裏岩手へ繋ぐ山行が見てみたいです
7月の秘密の花園、狙ってみてくださいね
大白森避難小屋も八瀬森山荘も大深山荘もいずれも素敵な小屋でしたよ
本当にこのコース、なだらかなので調子に乗ってしまいそうですが、ゆっくり歩くのがオススメかと。
これから雪はちょっと少なくなりますが、たくさんの花が咲くんでしょうね〜。
この山域はルート取りの選択肢が沢山あって、何処を歩こうかって考えるだけでも楽しい場所ですね。ロングもとれるし。近くだったらいつでも寝袋持っていけるんですけどね
大白森を先にもってこようかちょっと考えたのですが、天気予報を見て最後の目的地にしました。
あの特徴的な山容が歩くたびにだんだん近づいて来て、最後にあの景色、本当に良かったです。
田代平山荘、トイレでちょっと鼻をつまめば、あとは快適でしたよ〜
まさにそのとおりでした♪
昨年のmokkedanoさんとkiyoshiさんのレコを見て以来、ずっと頭にあった場所でしたからね〜
ただただ広い大白森は、本当に静かでちょっと現実離れしすぎかな〜なんて思う程。霧が出て来た時は黄泉の国かと・・・
車とバスと温泉付きで、八幡平と岩手山を繋ぐ旅もず〜っと頭から離れないテーマ。さすが、分かってますね
今の時期の残雪は却って涼しいクーラーがあって気持ちいいかな〜という程度ですが、kiyoshiさんが行かれたころの乳頭山の積雪はまさに壁ですね・・。
それにしても、kiyoshiさんご夫妻もいつも仲がよさそうに見えるのですが・・・
お泊まりの山行記録、楽しみにしてますね
本当はtooleさんオススメの水沢コースから入ろうとしたのですが、かみさんに却下されたのです
それならばとムーミン谷に下りたのですが、時折落石もあって実は結構ヒヤヒヤでした。
蟹場分岐の付近もtooleさんのレコがあったので、落ち着いて歩けたのかも。
裏岩手と秋田駒を繋ぐエリア、次は是非歩いてみたいと思っていました。滝ノ上の質素な温泉も惹かれるところがあるのですが、やっぱり八瀬森経由ですかね〜、小屋も良さげだし。
また、お邪魔しますね〜
大白森、Springさんもかなり気になっていましたよね〜
あの平らでちょっと「はげ?」気味のところなんだろ?ってずっと思っていました。
(昨年のkiyoshiさんとmokkedanoさんのレコで謎は解けたのですが)
Springさんの歩かれた夏と秋の間の時期も美しいですね!田代平山荘も可愛い…と写真拝見して思いました。
このルートまさに「メルヘンな世界」。幻想的で、ロード・オブ・ザ・リングのエルフや黒衣の騎士が霧の向こうから現れても不思議はないくらいの風景の連続ですよね
トイレ、厳しいかな?と思ったのも最初だけで、風通し良くとても快適な小屋でした
Springさんのレコやコメント拝見していて、連想する本が同じだったり勝手に親近感を抱いていたのでコメントいただけて嬉しいです。
これからもよろしくお願いいたします
お二人のレコを見てからずっと憧れていた大白森への道、やっと行ってきました
(帰ってから、また昨年のレコを拝見。分かる分かる…とうなずきつつ再度堪能させていただきました)
トナカイ←二人で「これ??」…。残念ながら未だ冬眠中でした(トナカイ冬眠はしないけど
乳頭山手前で雨に降られ、その後一気に青空が広がった瞬間は残雪とキンバイ、シラネアオイ、頭上には太陽、私にとっても「夏山JOY」の思い出の山頂となりました。
そしてクライマックスの大白森、まさに「言葉にならない」ですね。
なぜこのような場所に、これほどの広大な湿原が…と。
黄泉の国って旦那が言ってましたが、ここにいたら亡くなった会いたい人に会えるんじゃないかなぁと思うような世界でした。
大人の夏休み、候補ありすぎて困っています。
ドラえもんの「時間貯金箱」と「もしもボックス」が欲しくなるお年頃だったりします
お二人が昨年見た景色が見たくて見たくて、行ってまいりました。
結果…想像以上の極上・楽園縦走路ですね
行く先が見えるだけに「遠いよ…」と度々心折れそうになりましたが(←私だけ)、振り返れば自分が歩いてきた道がずーっと見えて、幸福感に包まれる山歩きができました。
今でも雪がたっぷりなのに、kiyoshiさん達の3月の乳頭山頂直下かなりの斜度なんですが
その後の乳頭温泉に一泊は憧れ豪華山旅ですね
39番、風が強くて帽子はポケットへ、サングラスは「まぶし〜」と言いつつ着用しませんでしたが、横着したツケは下山後の体のあちこちの浮腫みにでてきてしまい反省です
*旦那に「気合不足!」と叱咤(激励←そう思いたい)される度、kiyoshiさんだったらこんな事言わないぞと思う私であります。
当初は旦那のコメントとおり水沢コースからの予定だったのですが、私の体調不良と体力不足により今回は涙をのんでもらいました
ムーミン谷、昨年よりずっと雪量多く、今回一番恐怖を感じた場所です。(おっしゃる通りその後は「極上」気分満喫コースでした
ブナ平、予想外の素晴らしい立ち姿美しい新緑と残雪の世界、ブナ好きの私たちとしては興奮してしまいましたが、目印ないだけに
今回私自信の地形読みの能力のなさと、体力不足(特に2日目)を実感した2日間でもありました。
秘密の花園、八瀬森山荘に宿泊された記録を拝見して、なんてドラマチックなんだろうと密かに憧れていました。
tooleさんのレコはいつも小説のようで自分も疑似体験した気分になり、読むと長い山旅がしたくなります。
歩かれている「いつか私も」ルート多々あるのですが、もれなく藪漕ぎついてますよね
実現にむけての道のりは険しそうですが頑張ります。また秋田お邪魔いたします
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