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Yamareco

記録ID: 29051
全員に公開
沢登り
大雪山

茅刈別川本流からニセイカウシュッペ山 ‌

2003年08月14日(木) 〜 2003年08月15日(金)
 - 拍手
GPS
32:00
距離
15.6km
登り
1,249m
下り
1,249m
過去天気図(気象庁) 2003年08月の天気図
アクセス
コース状況/
危険箇所等
ニセイカウシュペ山・茅刈別川本流 ‌

【年月日】2003 /8/14-15

【メンバ】齋藤清克(87年入部)、銭谷竜一(90年入部)

【行程】

8/14:茅刈別川本流左岸林道より入渓Co.750(10:30)→Co.1350(16:45)C1

8/15:出発(6:00)→ニセイカウシュッペ山(7:50-8:30)→上部屈曲点(10:50)→尾根乗越点より本流左岸林道(13:50)

【記 録】

(1日目)曇り

 盆休みの1週間前、台風10号がもたらした大雨によって、中部日高直登沢の計画は放棄せざるを得なくなってしまった。なので、大雨による影響が少なかった大雪山以北の地形図を引っ張り出し、にらめっこしながら、僕自身にとって未踏の函沢でもあり、現役若かりし時代にニセカウから下降にとった際、高捲きを繰り返しながら散々な目にあった茅刈別本流の完全遡行を思い立った。

 入山は整備の行き届いた林道を車でひた走り、茅刈別本流左岸の標高750m付近に車をデポした。途中のゲートにダイヤル式の錠がかけられていたが、多少いじったところで解錠に成功した。

 入渓してしばらくの間は所々岩床が出てくる程度で、やたら転石の多い沢である。沢水の冷たさに驚く。河床にはニセイカウシュッペ山の噴出した時の基盤、日高累層群の粘板岩あるいは砂岩がいたるところに顔を出している。火山体のボリュームは以外に小さいんだな、などと幾分アカデミックな会話を交わしながら、地質学教室(前田仁研究室)出身の先輩後輩ペアは単調な河原をひたすら歩いた。

 沢筋が北へ屈曲すると、クリイム色3mナメ滝、続いて2m幅広滝。いずれも簡単に越せる。暫く河原が続いた後、標高1040mに右岸からの支沢を確認すると、浅い釜を持った3m滝。左壁を直登する。さらに10mの直瀑。周囲がハングしており登れそうにないので、右岸にザイルを出す。1ピッチ目草付リッジ状から30m登り(ピトン2カ所)、2ピッチ目そのまま落ち口の右岸方向へトラバース。その先に続く2、3mの釜滝もまとめて捲いた。

 その先、3mナメ滝を越えると、函の中にナメと小段差が連続する。2〜3mの釜滝も3カ所ほど出てくるが、さほど苦労せずに抜ける。天候は次第にどんよりと曇ってきたが、明るい渓相なので心が和む。標高1120mで再び右岸からの支沢を確認すると、沢はゴーロ状となる。2段5mの釜滝を越えて再び明るいナメ。右岸に12mの直瀑を見てから、標高1140mの二股を確認する。

 その先、3m小滝を越えると、いよいよ沢はV字状の狭い函となる。普段は雪渓の下に隠されている未踏?の函である。両側はかなり高いところまで草付の急斜面が続いており、不安定な雪渓が残っていたら捲きの判断に苦しむところだ。函の岩質は積丹と同じ火山角礫岩より成るが、積丹のようなジメジメボロボロではなく、年代が古いせいか堅固でしっかりとしたものだ。函の側壁からの湧水は手がかじかむほどに冷たい。函の中ははじめ小さなナメ滝が連続するが、次第に狭くなり、1.5mの段差を左岸側からへつると、その後も1〜2mの段差が連続する。いずれも全身突っ張りで抜ける。トロも数カ所出てくるが、へつりを駆使して、泳いだのは1カ所のみ。1.5mのチョックストーン滝を越えて暫く行くと狭い函は終わり、急に沢がひらける。結局、この年の寡雪と大雨の影響によってであろうか、函の中に雪渓はほとんど残っていなかった。

 いったん沢はゴーロ状となるが、その先でまた函状となる。中に3m×3mの溶岩滝、ナメを挟み、8mのチョックストーン滝が連続する。チョックストーン滝は左のバンドから空身で取り付き、流心の左側をシャワークライムで抜ける(ピトン3枚)。続くトイ状2m滝を越えて、再び狭い函となるが、下部ほどのスケール感はない。狭い函の入口には釜を持った6mのペロンとした滝があり、ザイルを出して左壁を直上した。抜けたところに古い残置ピトンがあったが、先人が下降用に打ったものであろうか?続く函の中にも連続する2m程の段差があったがすべて直登する。標高1300m地点で左岸からの支沢を確認し、核心部が終了。

 その上部にも3mナメ滝や小規模な函が出てくるが、次第に両岸がひらけてくる。予定の天場である標高1330m二股を越え、少し進んだところ、針葉樹の混じった砂地にキャンプを決める。正面にニセカウと比麻良山間の岩峰が見え、さらにニセカウ北の肩の岩峰も望める極上の場所。焚火の横で恒例のゴロ寝。星がまたたいてきれいだ。

(2日目)晴れ。
 若干の雪渓を越えて、カール地形に似た気持ちの良い源頭部へ出る。急斜面のお花畑の中をクマのように悠然と這い進み、稜線につけられた夏道に出た。

 何度目かの三角点を踏んで、下りは茅刈別支流3の沢へ。この沢の源頭部は熊の臭いがぷんぷんする。標高1500m付近から溝状の中にチョックストーンが点々と詰まっており、その中で懸垂下降を1回。両手両足を突っ張りながら降りていく。溝状が終わると、滑り台のようなナメが延々と続く。標高1300m付近で再び函となり、中に小滝が連続する。胸までつかったり飛び込んだりしながら抜ける。本流に比べれば水量が少なく、スケールは小さい。標高1140m屈曲点の手前にも函。函の中に3、4mの釜滝が連続するが、いずれも容易。屈曲点を過ぎれば、河原歩きに終始する。途中にある滝はどれも容易に捲ける。標高900m付近から右岸側の斜面の藪を漕いで、芦ノ台から西に延びる緩やかな尾根の鞍部をのっこし、本流側の支沢へ抜ける。この支沢は乱伐の影響で荒れ放題。倒木だらけ。頭に血が上るくらい歩きにくかった。
(齋藤清克記)
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