百里ヶ岳☆黄昏の山毛欅の回廊へ


- GPS
- 04:22
- 距離
- 9.3km
- 登り
- 857m
- 下り
- 853m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
百里ヶ岳の東尾根はバリエーション・ルートではあるが頻繁にテープあり p805から東の尾根も同様 尾根の転回点がいずれも非常にわかりにくい(記録参照) 最後の南谷への下降はルートなし、ここを下降する場合は最後の渡渉も難易度は高いことを覚悟してください。 |
写真
感想
この日は午後は仕事が休みとなる。翌日の午後に業務のために受講が必要な講習会があり、そのための代休なのだが、一日中、快晴が約束される明日の午後が拘束されるというのは今から気分がブルーだ。この日は薄曇りで空の高いところは刷毛で掃いたような巻層雲が広がってはいるが、朝から晴天が続いている。時計の針が正午を回ったところで行先も決めずにとりあえず北に向かうことにする。
こういう日は出発しようとすると部下から急用の電話がかかってくるのがジンクスというものだ。フライイングして出発しなくてよかった。
当初は地蔵峠〜釣瓶岳のあたりを考えていたのだが、R367を北に向かうと大原から眺める権現山〜ホッケ山の南比良の稜線から雪がすっかり消えている。今週の月曜日の早朝に武奈ヶ岳に登った時には、先週末降った雪のせいで少しは積雪があったのだが、その雪もわずか数日ばかりの好天で、瞬く間に消えてしまったようだ。
山行先を百里ヶ岳に変更し、針畑川の上流の生杉を目指すことにする。車の運転を家内に代わってもらい、コースタイムを見積もるべく高島トレイルの地図を広げる。ふと車窓を見ると、生杉に向かうために渡らなければならない梅ノ木橋を通り過ぎて、既に朽木の村井まで来てしまっている。かくなる上は登山口を生杉から木地山に変更するのに躊躇はない。
朽木のから?川に沿って上流に向かっても相変わらず周囲には雪がない。木地山が近づいたところで漸く雪が現れる。集落の中は雪が多いと車を停める場所が難しいが、この日はその心配は無用だ。与助谷林道の入口に車数台の余地があるが、既に二台の車が停められている。一台は我々が車を停めるとすぐに出ていかれてた。既に下山された登山者だったようだ。
木地山の林道を入ると雪の上には真新しいいくつかの踏み跡がある。この百里ヶ岳の東尾根は中間の小ピークp723に至るまで、ほぼ平行に走る二本の尾根がある。北側の尾根は二年ほど前の早春の山行で辿ったことがあるので、今回は南側の尾根を選択する。この尾根は谷の出合からすぐに取り付くことになる。先程の林道から続く踏み跡の主たちもどうやらこの尾根を辿っているようだ。
尾根に取り付くとすぐにも上から熊鈴の音が聞こえ、上から初老の男女が降りてこられる。百里ヶ岳へのピストン往復らしい。
尾根を歩き始めて気がついたのは北側の尾根よりもはるかに明瞭な登山道が通じており、道の周囲の枝はしっかりと切り払われていることだ。なだらかな尾根雑木林の中には早速にもブナの樹が現れる。
やせ尾根を歩きp723への斜面に至ると、いよいよ急登がはじまる。先程、すれ違った方も「この登りが一番の難所やな」と仰っておられたところだ。確かに等高線は混雑してはいるが、それほど無理な登りでもない。
ふと見ると斜面にスキーの真新しいシュプールがある。シュプールは斜面の下のやせ尾根の手前で終わっている。このシュプールの主はおそらく我々が到着した時に出ていかれた方だろう。
斜面を登ると徐々に傾斜は緩やかになり、やがてブナの疎林が広がるなだらかな台地状の小ピークにでる。北側の尾根と合流するp723だ。北側の尾根にはトレースはないようだ。
ここからは急な登りはなく、まもなく尾根は南側に大きく開け、好展望が広がようになるる。まずは蛇谷ヶ峰、そして武奈ヶ岳から蓬莱山に至るまての比良の山々の展望が開ける。その手前にはシチグレ峠から地蔵谷峰に至る尾根が緩やかな起伏を描いている。
背後を振り返ると左手には三十三間山、武奈ヶ嶽、三重獄といった野坂の山々が大きく白い山容を広げている。やはり野坂の山々はまだ雪が多そうだ。
山頂の少し手前では尾根は大きく広がり、雪原にまばらに生える樹々が風景にリズミカルなアクセントをつける。すりガラスのような巻層雲から差し込む午後の柔らかな陽射しが、空を背景にすっきりとした孤樹のシルエットを浮かび上がらせてゆく。背後には金糞岳、伊吹山、霊仙山といった琵琶湖をとりまく山々が広がる。通りすぎてゆく樹々のシルエットと壮大な展望を心象に刻みながら、緩やかに尾根をあがる。
高度が上がれば積雪も深くなることを期待したが、雪はさほど深くならない。結局、山頂に到達するまでスノーシューの出番がないのだった。
時間は15時を少し回ったところ。眼下にみえる地蔵谷峰への尾根を辿って周回することを家内に提案する。遠目に見える尾根には雪がつながっているように見えるので、トレースのない雪の上を歩く愉しさを期待してのことでもあった。木地山に向かって伸びる尾根にはひときわ白く目立つ斜面がみえる。この好展望の斜面から眺める百里ヶ岳の姿も楽しみの一つだ。
まず百里ヶ岳の山頂でスノーシューを装着して南尾根を下降する。しかし、下り初めてまもなくその判断があまり適切でなかったことを思い知る。南尾根の急斜面はすぐに雪が切れ、地面が露出しているところが多かったのだ。早々にスノーシューを脱ぐことになる。尾根には数名のトレースがある。トレースの多くはおにゅう峠の方へと向かっていたが、一名のトレースのみがシチグレ峠を越えて百里新道へと向かっていた。
p805からは再びスノーシューを装着し、東に延びるなだらかな尾根を下降してゆく。初めのうちはそれなりに雪もあったのだがコルが近くなるとやはり雪が薄い。
大きく展望が開ける箇所はないのだが、樹々の間から夕陽を浴びてかすかに紅く染まった百里ヶ岳を眺めながら、尾根を先に進む。
P754は植林が南から上がってくるのだが、その先のピークca770mは山頂一帯が若いブナの目立つ自然林のピークだ。尾根を東進するとその先のca740mからは植林の尾根になる。ここで地蔵谷峰へと続く稜線から離れて、北東に延びる尾根に入る。ピークまで行くと尾根まで下降しにくいので、ピークの手前からトラバース気味に下降する。
次のピークを大きく左に曲がり、尾根を下降すると、すぐにも自然林のなだらかな尾根がはじまる。この鞍部には尾根の間の窪地に小さな水溜まりのような池があったのだが、今は雪の下だ。鞍部を過ぎると細い山毛欅の樹々の樹林が広がる。春はこのブナの樹々のあいだでタムシバが楚々として彩を添えていたことを思い出す。
なだらか尾根を先に進むと植林が始まるがすぐにも左手の広く切り開かれた好展望地に飛びだす。山の彼方で日が沈み、山の斜面に映える夕陽の輝きはないが、残照を帯びた空を背景に百里ヶ岳がすぐ目の前に大きく迫る。間違いなく、ここは百里ヶ岳を眺めるには随一の展望台だろう。右手には桜谷山もこじんまりとしたピークを覗かせている。
今回はここから南谷に向かって谷に下る。わずかな距離ではあるが、百里ヶ岳を仰ぎながら好展望の斜面を下降するダイナミックな感覚を味わうことが出来る。すぐに尾根は落葉した自然林の樹林となる。沢に下降すると堰堤の近くでは渡渉できそうな場所が見当たらない。少し上流に遡って飛び石の上を渡って対岸の林道にのる。
後は林道を歩くのみ・・・と思いきや、この林道が多数の倒木で荒れに荒れている。何本の倒木を跨いだり潜ったりしたことだろう。倒木の集中により林道が歩けず、山側に迂回する必要な個所もあった。木地山に帰りついたのは18時近くになってしまっていたが、なんとかヘッドライトを取り出すことなく帰還することが出来た。
朽木に向かうと急速に日が暮れてゆく。雪は少なかったが周回の愉しさを堪能する小さな山旅であった。
コメント
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yamaneko0922 さん 今日は
百里ケ岳を周回されたんですね。雪が十分有る予定で、13日に会の例会で同じル-ト(最後に南谷の林道にはおりませんが)を辿る予定です。今日、明日で少しは積もるかもしれませんが、ピストンの方が良いかもしれませんね。
shikakuraさん コメント有難うございます。
一週間ずれていたらまたshikakuraさんをはじめ皆さんにお会いできたかと思うと残念ですが、このルートを選択されるとはさすが榾火の例会ですね。健脚ぞろいの皆さんですから、ピストンは物足りないでしょう。最後の尾根の末端は左手の尾根を下降する方がやぶと倒木がマシだと思います。shikakuraさんは与助谷林道の入口の反対側に地図にない小さな橋があることはご存じですよね。
13日までにもう一度、この山域を訪れる機会があるかもしれませんので、その時にはご報告させて頂きます。
yamaneko0922 さん ご返事ありがとうございます。
駐車するのは与助谷山へ林道入口付近が適当かと思っていますので、橋が有れば助かります。橋が有るのは確認していましたが、最後の尾根はyamaneko0922さんのおっしゃる尾根か、もう一本東側の尾根が適当なのか分からなかったので助言有難うございます。爺・婆パーティーですのでどうなる事やら ?
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