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Yamareco

記録ID: 2321319
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
奥秩父

【2011年】奥秩父主脈を歩く(瑞牆山荘〜西沢渓谷)

2011年11月03日(木) 〜 2011年11月06日(日)
情報量の目安: S
都道府県 埼玉県 山梨県 長野県
 - 拍手
GPS
80:00
距離
29.1km
登り
2,837m
下り
3,245m

コースタイム

1日目
山行
2:40
休憩
1:15
合計
3:55
9:50
40
10:30
11:30
60
12:30
0
12:30
12:45
60
2日目
山行
6:15
休憩
0:05
合計
6:20
8:00
255
12:15
12:20
55
13:15
40
13:55
25
14:20
3日目
山行
6:10
休憩
0:05
合計
6:15
6:30
60
7:30
300
12:30
12:35
10
4日目
山行
3:45
休憩
0:00
合計
3:45
5:15
225
9:00
ゴール地点
過去天気図(気象庁) 2011年11月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
行き⇒新潟からは夜行バスで新宿へ
あとはJR中央本線からローカルバスへと乗り継いで現地入り
帰り⇒西沢渓谷からローカルバスで塩谷駅へ
あとはJR中央本線から新幹線を乗り継いで新潟帰着
【1日目】瑞牆山荘から山旅はスタートします
2011年11月03日 09:41撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/3 9:41
【1日目】瑞牆山荘から山旅はスタートします
林間から瑞牆山の山肌が見えてきました
2011年11月03日 10:13撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/3 10:13
林間から瑞牆山の山肌が見えてきました
しばらく歩いて質素な感じの富士見平小屋です
2011年11月03日 10:29撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/3 10:29
しばらく歩いて質素な感じの富士見平小屋です
周囲はキャンプサイトになっています
2011年11月03日 11:24撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/3 11:24
周囲はキャンプサイトになっています
まだ紅葉が残っていました
2011年11月03日 11:25撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/3 11:25
まだ紅葉が残っていました
テントを設営したら瑞牆山へ登ってみましょう
2011年11月03日 12:15撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/3 12:15
テントを設営したら瑞牆山へ登ってみましょう
アスレチックな登山道が続きます
2011年11月03日 12:29撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/3 12:29
アスレチックな登山道が続きます
この山は奇岩が引きも切りません
2011年11月03日 12:30撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/3 12:30
この山は奇岩が引きも切りません
で、瑞牆山さんちょ!
2011年11月03日 12:43撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/3 12:43
で、瑞牆山さんちょ!
山座同定盤もありますよ〜
2011年11月03日 12:39撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/3 12:39
山座同定盤もありますよ〜
どうやったらあんな形になるのだろう?
2011年11月03日 12:40撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
11/3 12:40
どうやったらあんな形になるのだろう?
富士山も近く見えますね〜
2011年11月03日 12:41撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
11/3 12:41
富士山も近く見えますね〜
八ヶ岳でしょうか?
2011年11月03日 12:44撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/3 12:44
八ヶ岳でしょうか?
富士見平に戻ってきました。テントの数も増えてきた様です
2011年11月03日 13:47撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/3 13:47
富士見平に戻ってきました。テントの数も増えてきた様です
寒いけど、やっぱりビール♪
2011年11月03日 14:03撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
11/3 14:03
寒いけど、やっぱりビール♪
枯葉を敷き詰めたグラウンドは快適そのもの。林間のキャンプサイトは落ち着くねぇ
2011年11月03日 14:58撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/3 14:58
枯葉を敷き詰めたグラウンドは快適そのもの。林間のキャンプサイトは落ち着くねぇ
【2日目】快晴の朝!パッキング完了!さっ、デッパツ!
2011年11月04日 07:53撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/4 7:53
【2日目】快晴の朝!パッキング完了!さっ、デッパツ!
秋らしい澄んだ空気のおかげで眺望はバッチリです
2011年11月04日 09:08撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/4 9:08
秋らしい澄んだ空気のおかげで眺望はバッチリです
やっぱり止まるのは富士山の秀麗さよ
2011年11月04日 10:23撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3
11/4 10:23
やっぱり止まるのは富士山の秀麗さよ
昨日登った瑞牆山も遠方に
2011年11月04日 10:27撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/4 10:27
昨日登った瑞牆山も遠方に
山麓ではカラマツが渋い感じの紅葉になっています
2011年11月04日 10:32撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/4 10:32
山麓ではカラマツが渋い感じの紅葉になっています
金峰山が近づいてくると岩場になります
2011年11月04日 11:43撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
11/4 11:43
金峰山が近づいてくると岩場になります
シンボリックな岩頭が見えてきました
2011年11月04日 11:56撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/4 11:56
シンボリックな岩頭が見えてきました
スカッ!とした青い空の下・・
2011年11月04日 12:08撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/4 12:08
スカッ!とした青い空の下・・
金峰山、さんちょ!
2011年11月04日 12:14撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/4 12:14
金峰山、さんちょ!
振り返って五丈岩
2011年11月04日 12:18撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/4 12:18
振り返って五丈岩
壁のような奥の峰々は・・
きっと高名な山だと思います
2011年11月04日 12:18撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
11/4 12:18
壁のような奥の峰々は・・
きっと高名な山だと思います
これが縞枯れ現象ってやつでしょうか?
2011年11月04日 13:00撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/4 13:00
これが縞枯れ現象ってやつでしょうか?
これも、高名な山なんだと思います 笑
2011年11月04日 13:07撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/4 13:07
これも、高名な山なんだと思います 笑
稜線の山の一つ
2011年11月04日 13:18撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/4 13:18
稜線の山の一つ
最高に気持ちが良い稜線歩き〜
2011年11月04日 13:35撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
11/4 13:35
最高に気持ちが良い稜線歩き〜
峠もありますよ
2011年11月04日 13:54撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/4 13:54
峠もありますよ
大弛峠に到着。まだ日差しがいっぱい!
2011年11月04日 15:14撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/4 15:14
大弛峠に到着。まだ日差しがいっぱい!
大弛小屋でアルコール飲料をゲットします
2011年11月04日 15:15撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/4 15:15
大弛小屋でアルコール飲料をゲットします
月が明るい夜でした、今夜も酒が進みます
2011年11月04日 17:11撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/4 17:11
月が明るい夜でした、今夜も酒が進みます
【3日目】朝もやの山岳風景もいいですね
2011年11月05日 06:48撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/5 6:48
【3日目】朝もやの山岳風景もいいですね
何度も撮ってしまう富士山
2011年11月05日 07:23撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/5 7:23
何度も撮ってしまう富士山
国師ヶ岳から
2011年11月05日 07:27撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/5 7:27
国師ヶ岳から
富士山に、キーック!?
2011年11月05日 10:13撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/5 10:13
富士山に、キーック!?
甲武信ヶ岳と木賊山が見えてきましたぜ
2011年11月05日 11:30撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/5 11:30
甲武信ヶ岳と木賊山が見えてきましたぜ
気になっていた千曲川源流部。すなわち日本一の大河信濃川の源流でもあります
2011年11月05日 11:49撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/5 11:49
気になっていた千曲川源流部。すなわち日本一の大河信濃川の源流でもあります
ありがたく清水をいただきました〜
2011年11月05日 11:53撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/5 11:53
ありがたく清水をいただきました〜
甲武信ヶ岳、さんちょ!
2011年11月05日 12:29撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/5 12:29
甲武信ヶ岳、さんちょ!
今日は甲武信小屋のテン場に宿泊。連日、素晴らしいテントサイトで大満足しています
2011年11月05日 16:14撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
11/5 16:14
今日は甲武信小屋のテン場に宿泊。連日、素晴らしいテントサイトで大満足しています
【4日目】今朝は少し雨も覚悟しなくてはならないようです
2011年11月06日 05:55撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/6 5:55
【4日目】今朝は少し雨も覚悟しなくてはならないようです
西沢渓谷が近づいてくると鮮やかな紅葉がお出迎え
2011年11月06日 07:44撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
11/6 7:44
西沢渓谷が近づいてくると鮮やかな紅葉がお出迎え
田辺重治先生の文学碑で記念撮影
2011年11月06日 08:09撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/6 8:09
田辺重治先生の文学碑で記念撮影
この旅の終わりは次の旅の始まり、なのです
2011年11月06日 09:07撮影 by  uT6000,ST6000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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11/6 9:07
この旅の終わりは次の旅の始まり、なのです

感想

***仕事の関係で新潟に在住していた時の山行記録です***

奥秩父主脈を歩いてきました。4日間も山に居たわりには距離が稼げなかったけど、この時期としては暖かく連日天気も最高、周囲の山々の景色も素晴らしく・・先を急ぐ気も失せるほどキャンプ指定地も素敵で・・・まぁ、何もかも大成功の4日間でした。
Day1:瑞牆山荘〜富士見平〜瑞牆山〜富士見平(テント泊)
Day2:富士見平〜金峰山〜大弛峠(テント泊)
Day3:大弛峠〜国師ヶ岳〜甲武信ヶ岳〜甲武信小屋(テント泊)
Day4:甲武信小屋〜西沢渓谷
できれば一週間くらいかけて奥多摩まで縦走したいなぁ、というのが実感ですねぇ。

Day1:瑞牆山荘〜富士見平〜瑞牆山〜富士見平(テント泊)
1日目、曇り。
瑞牆山荘から歩くこと40分で富士見平に到着。バックパックをおろし、まだ昼前だがまずはテントを設営。富士見平小屋の周囲は疎林の中の静かなキャンプサイトとなっている。バーナーで湯を沸かし軽い食事をとってから、瑞牆山(2230.2m)へと向かう。奥秩父主脈からは外れた山なので寄り道登山といった感じ。必要な道具をサブパックにつめ山頂まで。荷物が軽いと足取りも軽い。山と高原地図(昭文社)では往復3時間30分のコースタイムだが、実際は2時間ちょいで下山してしまう。
瑞牆山は奇岩巨岩の山で、北杜市側の道路から見上げる山容はおどろおどろしささえ感じてしまった程だ。登山道も単に歩くというよりはアスレチック気分で手も足も使って登るので良いウォーミングアップになる。パラパラ落ちていた雨もいつの間にか上がり、山頂付近では青空も。
山頂からは、南アルプス、八ヶ岳、そして富士山とタレントぞろいの絶景が広がっている。これから何日間の間、この絶景と共に歩くかと想像しただけでワクワクする。
瑞牆山から下山するとテントサイトは賑わっていた。ふかふかの落葉に覆われた優しいキャンピンググラウンドだ。
さてと・・・明日はいよいよ奥秩父主脈を歩く。

Day2:富士見平〜金峰山〜大弛峠(テント泊)
2日目、快晴。
夕べはちょっと飲みすぎた。500mlの水筒に詰めて持ち込んだ3泊分のバーボンウィスキーが初日にして既に尽きかけている。ま、荷物が少し軽くなったよね、と嘯いてみるが二日酔い気味の身体にバックパックが重い。モタモタと出発時間は8時。さえない頭に晩秋の朝日が無性に眩しい。
林間を縫うように続くトレイル。登山道は全般に明瞭で、ちょっと迷いそうなポイントでは赤テープの道標が誘導してくれるので注意さえすればまず迷うことはないだろう。
大日岩では展望が開ける。遠く未踏の山である南アルプスへと想いが弾む。昨日登った瑞牆山もこちら側から眺めると、おとなし目の容貌で眼下に納まっている。ぐるっとパンして富士山に目が留まってしまうのは当然の事だろう。この日は本当に天気がよかった。ラッキーと言うしかない。この景色に二日酔いなんか一気に吹き飛んでしまった。眼下の紅葉は極彩色を期待していたがセピア色の落葉松林が渋い色合いで山麓に広がっている。
森林限界に出ると遮るものなし。地図上に砂払ノ頭とある場所を少し過ぎたところで湯を沸かして昼食を食べ、金峰山(2595m)の山頂を見上げる。風が強かったり、ガスがかかっていたらちょっと怖いと感じる岩場の稜線を小一時間程つめると金峰山の山頂広場に出る。景色を堪能しながら昼食をとる場所としては絶好。実際、たくさんのグループが思い思いにランチを楽しんでいた。
またもや串団子風の山頂標識がお出迎えだ。(見る度にみたらし団子が食いたくなるなぁ・・
金峰山からは今日の宿泊地である大弛峠を目指してトレイルを真東に進む。快調な足取りで、大弛小屋に到着。富士見平から約6時間半といったところ。到着時刻は14時20分。日の長い時期なら更に距離を稼ぐことも可能だろうが・・・ま、こんなもんでしょ。小屋でキャンプサイト利用の手続きとビール2本購入してからテント設営。
インディアン・サマーのご褒美に感謝し、午後の時間帯はスリーピングパックとアセダクのウェアを干すことに残りの日照を利用させてもらった。
やがて夜の帳が下りて上弦の月が煌々と木々を照らす。
ああ・・・月を肴に、今夜も酒がすすみそうだ。

Day3:大弛峠〜国師ヶ岳〜甲武信ヶ岳〜甲武信小屋(テント泊)
3日目。今日も晴れ。
朝。テントを撤収する時いつもと違うな、と感じたのがフライシートもキャノピーもフロアも全く結露していない、ということ。思えば昨日もそうだった。本州の太平洋側の山でキャンプをするのは今回始めてであり、つまりは空気のカラカラ具合が日本海側とは全く違うということなのだろうか?まぁ、あの面倒な結露の後始末が無いのは嬉しい限りだ。
さて、大弛小屋のキャンプサイトを後にしたのは朝の6時半。しっかり朝食をとって出発するのも珍しいが、今回は時間をゆっくり過ごすことも目的の一つなのできちんと(?)インスタントラーメンでカロリーと水分と塩分を補給。ついでにサーモマグに行動中に味わうコーヒーなんかも淹れちゃったりして・・・あ〜、優雅だねぇ〜。
登山道はといえば、大弛峠からアップダウンを繰り返しながら徐々に高度を上げ、国師ヶ岳(2591.8m)へと森林帯を進む。奥秩父主脈はほとんどがシラビソやツガ、トウヒといった視界のない樹林の中を歩くコースで、それゆえピークでの展望がなおさら沁みるといった案配。
林間を縫うように歩くことは心がとても落ち着く。ふと足を止めて深く息を吸い込む・・・一瞬、鳥のさえずりも、風が木の葉を揺らす音もカットアウトされる。胸に去来するのは何かとてつもなく大きなものに包み込まれている感覚。肩の荷がスッと軽くなり心が自由に解き放たれる。その不思議な安堵感はほんとうの「森」だけが持つ生命力に起因しているのかも知れない。倒れ朽ちてゆく大木に根を張る新たな息吹、それを優しく包み込む名も無き地衣類・・・その存在は劇的な再生のドラマを垣間見ているような気にさせてくれるし、その輪廻の現場に少しでも立ち会うことができたことに対する感謝の気持ちが心の開放に導いてくれるのだ、と思う。
荒々しい岩場が剥き出しの北アルプスの稜線や、緑の草原にうねる尾根を持つ東北の山も良いが、こんな豊かな「森」を中心としたロングトレイルが現存すること自体、奇跡に思えてしまう。しかもこの道を歩き詰めれば日本の中心、東京都へと繋がっていると考えればなおさらのことだ。
さて、そうこうしているうちに、なんとなく歩いて近づいてきたのは今日のなんとなくの目的地である甲武信ヶ岳(2475m)。右手の山は木賊山(2468.6m)である(たぶん・・・)。
後は甲武信ヶ岳への稜線を詰めればおしまい、ではあるのだが、その前にやっておきたいことがある。それは、あの日本一の大河である信濃川の源流をこの目で確認し、ゴクリとその清水で喉を鳴らすこと。奥秩父主脈は日本海へと注ぐ千曲川・信濃川と太平洋に流れる荒川が袂を分かつ、いわゆる分水嶺でもあるのだ。
あのブランド米、魚沼コシヒカリだってこの源流の恩恵に預かっているのかと思うと感慨深い。今は新潟に住んでいる身としてはなおさら・・・。
信濃川源流水をペットボトルに汲んで満足した僕は、山頂もソコソコに足早に甲武信小屋のテン場に直行。午後まだ浅い時間だったので一番乗りだったが、しばらくするとキャンプサイトは賑わってきた。ワンゲル部風のガチンコダンロップテントや夏フェス上がり3回戦ボーイ風ニーモテントまで、バラエティなテント風景がなんとも面白かった。確実に山も若返っているんだな、とこれだけ実感したのも初の経験である。こんなところはさすがに首都圏から近い山域なんだな、なんて思ってたら、空から雨粒が落ちてきた。

Day4:甲武信小屋〜西沢渓谷
4日目。曇り。
昨日の日没間際に降りだした雨は夜になって本降りになり、テントを叩く音に強弱をつけながら一晩中続いた。浅い睡眠の中、雨音が静かになったことをきっかけに身支度を整える。時に朝4時。意を決して寝袋から出たあと、汗のニオイにまみれ冷たく湿ったウェアに着替える。行動用のサポートタイツに足を通すと体温で暖められた生地の表面から立ち昇る蒸気。ヘッドランプに照射される白い湯気を見つつ、ああ、体温がもったいない。縦走中の数日間、行動時は同じウェアで過ごすことを余儀なくされる訳だが、ヌクヌクの寝袋から抜け出し氷のように冷たいウェアに袖を通す瞬間は正直、神さえも呪いたい気持ちになる。
出発は5時15分。当然、周囲は真っ暗。早立ちの理由は西沢渓谷発9時25分発の塩沢行バスに間に合わせるためだ。多分3時間程度の下山タイムと踏んではいるが、余裕を持った行動を心がけたい。ヘッドランプを頼りに木賊山へと向かう。コースが明瞭な登りなら夜道でも問題はない。それにあと一時間もすれば夜は明ける。
山の夜明け。天気が天気なので御来光とはいかなかったが、雨上がりの早朝の、重厚な雲海に浮かぶ峰々の、ぼんやりとしたその姿は、それはそれで神々しくもあり、何とも印象深く心に刻まれた。
下山コースとして選択したのは戸渡尾根。地図上に近丸新道〜徳ちゃん新道とある尾根道だ。急坂が続くが、ジグザグのコースをトレースすれば思ったより苦労はしない。それより、尾根の両サイドに広がる紅葉の素晴らしさといったら!この時期、標高1300m付近の紅葉が最盛期で、トレイルの両脇から急激に落ち込む地形に点在するモミジの赤、遠景には落葉松の少しくすんだ黄色、その立体的な紅葉が絶妙であった。
その後、雨で濡れた斜面に足を滑らせしりもちをつくこと何度か。いかんいかん、下山まで気を緩めてはいかん!と自分に言い聞かせ、ほぼ予定通りに西沢渓谷に下山。トイレで乾いたウェアに着替え、奥秩父の山に所縁の深い田辺重治の文学碑に一礼をした後、近いうちに奥多摩までの続きのトレイルを歩こうという思いを抱き最寄のバス停へと急いだ。

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