【2011年】奥秩父主脈を歩く(瑞牆山荘〜西沢渓谷)


- GPS
- 80:00
- 距離
- 29.1km
- 登り
- 2,837m
- 下り
- 3,245m
コースタイム
- 山行
- 2:40
- 休憩
- 1:15
- 合計
- 3:55
過去天気図(気象庁) | 2011年11月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
あとはJR中央本線からローカルバスへと乗り継いで現地入り 帰り⇒西沢渓谷からローカルバスで塩谷駅へ あとはJR中央本線から新幹線を乗り継いで新潟帰着 |
写真
感想
***仕事の関係で新潟に在住していた時の山行記録です***
奥秩父主脈を歩いてきました。4日間も山に居たわりには距離が稼げなかったけど、この時期としては暖かく連日天気も最高、周囲の山々の景色も素晴らしく・・先を急ぐ気も失せるほどキャンプ指定地も素敵で・・・まぁ、何もかも大成功の4日間でした。
Day1:瑞牆山荘〜富士見平〜瑞牆山〜富士見平(テント泊)
Day2:富士見平〜金峰山〜大弛峠(テント泊)
Day3:大弛峠〜国師ヶ岳〜甲武信ヶ岳〜甲武信小屋(テント泊)
Day4:甲武信小屋〜西沢渓谷
できれば一週間くらいかけて奥多摩まで縦走したいなぁ、というのが実感ですねぇ。
Day1:瑞牆山荘〜富士見平〜瑞牆山〜富士見平(テント泊)
1日目、曇り。
瑞牆山荘から歩くこと40分で富士見平に到着。バックパックをおろし、まだ昼前だがまずはテントを設営。富士見平小屋の周囲は疎林の中の静かなキャンプサイトとなっている。バーナーで湯を沸かし軽い食事をとってから、瑞牆山(2230.2m)へと向かう。奥秩父主脈からは外れた山なので寄り道登山といった感じ。必要な道具をサブパックにつめ山頂まで。荷物が軽いと足取りも軽い。山と高原地図(昭文社)では往復3時間30分のコースタイムだが、実際は2時間ちょいで下山してしまう。
瑞牆山は奇岩巨岩の山で、北杜市側の道路から見上げる山容はおどろおどろしささえ感じてしまった程だ。登山道も単に歩くというよりはアスレチック気分で手も足も使って登るので良いウォーミングアップになる。パラパラ落ちていた雨もいつの間にか上がり、山頂付近では青空も。
山頂からは、南アルプス、八ヶ岳、そして富士山とタレントぞろいの絶景が広がっている。これから何日間の間、この絶景と共に歩くかと想像しただけでワクワクする。
瑞牆山から下山するとテントサイトは賑わっていた。ふかふかの落葉に覆われた優しいキャンピンググラウンドだ。
さてと・・・明日はいよいよ奥秩父主脈を歩く。
Day2:富士見平〜金峰山〜大弛峠(テント泊)
2日目、快晴。
夕べはちょっと飲みすぎた。500mlの水筒に詰めて持ち込んだ3泊分のバーボンウィスキーが初日にして既に尽きかけている。ま、荷物が少し軽くなったよね、と嘯いてみるが二日酔い気味の身体にバックパックが重い。モタモタと出発時間は8時。さえない頭に晩秋の朝日が無性に眩しい。
林間を縫うように続くトレイル。登山道は全般に明瞭で、ちょっと迷いそうなポイントでは赤テープの道標が誘導してくれるので注意さえすればまず迷うことはないだろう。
大日岩では展望が開ける。遠く未踏の山である南アルプスへと想いが弾む。昨日登った瑞牆山もこちら側から眺めると、おとなし目の容貌で眼下に納まっている。ぐるっとパンして富士山に目が留まってしまうのは当然の事だろう。この日は本当に天気がよかった。ラッキーと言うしかない。この景色に二日酔いなんか一気に吹き飛んでしまった。眼下の紅葉は極彩色を期待していたがセピア色の落葉松林が渋い色合いで山麓に広がっている。
森林限界に出ると遮るものなし。地図上に砂払ノ頭とある場所を少し過ぎたところで湯を沸かして昼食を食べ、金峰山(2595m)の山頂を見上げる。風が強かったり、ガスがかかっていたらちょっと怖いと感じる岩場の稜線を小一時間程つめると金峰山の山頂広場に出る。景色を堪能しながら昼食をとる場所としては絶好。実際、たくさんのグループが思い思いにランチを楽しんでいた。
またもや串団子風の山頂標識がお出迎えだ。(見る度にみたらし団子が食いたくなるなぁ・・
金峰山からは今日の宿泊地である大弛峠を目指してトレイルを真東に進む。快調な足取りで、大弛小屋に到着。富士見平から約6時間半といったところ。到着時刻は14時20分。日の長い時期なら更に距離を稼ぐことも可能だろうが・・・ま、こんなもんでしょ。小屋でキャンプサイト利用の手続きとビール2本購入してからテント設営。
インディアン・サマーのご褒美に感謝し、午後の時間帯はスリーピングパックとアセダクのウェアを干すことに残りの日照を利用させてもらった。
やがて夜の帳が下りて上弦の月が煌々と木々を照らす。
ああ・・・月を肴に、今夜も酒がすすみそうだ。
Day3:大弛峠〜国師ヶ岳〜甲武信ヶ岳〜甲武信小屋(テント泊)
3日目。今日も晴れ。
朝。テントを撤収する時いつもと違うな、と感じたのがフライシートもキャノピーもフロアも全く結露していない、ということ。思えば昨日もそうだった。本州の太平洋側の山でキャンプをするのは今回始めてであり、つまりは空気のカラカラ具合が日本海側とは全く違うということなのだろうか?まぁ、あの面倒な結露の後始末が無いのは嬉しい限りだ。
さて、大弛小屋のキャンプサイトを後にしたのは朝の6時半。しっかり朝食をとって出発するのも珍しいが、今回は時間をゆっくり過ごすことも目的の一つなのできちんと(?)インスタントラーメンでカロリーと水分と塩分を補給。ついでにサーモマグに行動中に味わうコーヒーなんかも淹れちゃったりして・・・あ〜、優雅だねぇ〜。
登山道はといえば、大弛峠からアップダウンを繰り返しながら徐々に高度を上げ、国師ヶ岳(2591.8m)へと森林帯を進む。奥秩父主脈はほとんどがシラビソやツガ、トウヒといった視界のない樹林の中を歩くコースで、それゆえピークでの展望がなおさら沁みるといった案配。
林間を縫うように歩くことは心がとても落ち着く。ふと足を止めて深く息を吸い込む・・・一瞬、鳥のさえずりも、風が木の葉を揺らす音もカットアウトされる。胸に去来するのは何かとてつもなく大きなものに包み込まれている感覚。肩の荷がスッと軽くなり心が自由に解き放たれる。その不思議な安堵感はほんとうの「森」だけが持つ生命力に起因しているのかも知れない。倒れ朽ちてゆく大木に根を張る新たな息吹、それを優しく包み込む名も無き地衣類・・・その存在は劇的な再生のドラマを垣間見ているような気にさせてくれるし、その輪廻の現場に少しでも立ち会うことができたことに対する感謝の気持ちが心の開放に導いてくれるのだ、と思う。
荒々しい岩場が剥き出しの北アルプスの稜線や、緑の草原にうねる尾根を持つ東北の山も良いが、こんな豊かな「森」を中心としたロングトレイルが現存すること自体、奇跡に思えてしまう。しかもこの道を歩き詰めれば日本の中心、東京都へと繋がっていると考えればなおさらのことだ。
さて、そうこうしているうちに、なんとなく歩いて近づいてきたのは今日のなんとなくの目的地である甲武信ヶ岳(2475m)。右手の山は木賊山(2468.6m)である(たぶん・・・)。
後は甲武信ヶ岳への稜線を詰めればおしまい、ではあるのだが、その前にやっておきたいことがある。それは、あの日本一の大河である信濃川の源流をこの目で確認し、ゴクリとその清水で喉を鳴らすこと。奥秩父主脈は日本海へと注ぐ千曲川・信濃川と太平洋に流れる荒川が袂を分かつ、いわゆる分水嶺でもあるのだ。
あのブランド米、魚沼コシヒカリだってこの源流の恩恵に預かっているのかと思うと感慨深い。今は新潟に住んでいる身としてはなおさら・・・。
信濃川源流水をペットボトルに汲んで満足した僕は、山頂もソコソコに足早に甲武信小屋のテン場に直行。午後まだ浅い時間だったので一番乗りだったが、しばらくするとキャンプサイトは賑わってきた。ワンゲル部風のガチンコダンロップテントや夏フェス上がり3回戦ボーイ風ニーモテントまで、バラエティなテント風景がなんとも面白かった。確実に山も若返っているんだな、とこれだけ実感したのも初の経験である。こんなところはさすがに首都圏から近い山域なんだな、なんて思ってたら、空から雨粒が落ちてきた。
Day4:甲武信小屋〜西沢渓谷
4日目。曇り。
昨日の日没間際に降りだした雨は夜になって本降りになり、テントを叩く音に強弱をつけながら一晩中続いた。浅い睡眠の中、雨音が静かになったことをきっかけに身支度を整える。時に朝4時。意を決して寝袋から出たあと、汗のニオイにまみれ冷たく湿ったウェアに着替える。行動用のサポートタイツに足を通すと体温で暖められた生地の表面から立ち昇る蒸気。ヘッドランプに照射される白い湯気を見つつ、ああ、体温がもったいない。縦走中の数日間、行動時は同じウェアで過ごすことを余儀なくされる訳だが、ヌクヌクの寝袋から抜け出し氷のように冷たいウェアに袖を通す瞬間は正直、神さえも呪いたい気持ちになる。
出発は5時15分。当然、周囲は真っ暗。早立ちの理由は西沢渓谷発9時25分発の塩沢行バスに間に合わせるためだ。多分3時間程度の下山タイムと踏んではいるが、余裕を持った行動を心がけたい。ヘッドランプを頼りに木賊山へと向かう。コースが明瞭な登りなら夜道でも問題はない。それにあと一時間もすれば夜は明ける。
山の夜明け。天気が天気なので御来光とはいかなかったが、雨上がりの早朝の、重厚な雲海に浮かぶ峰々の、ぼんやりとしたその姿は、それはそれで神々しくもあり、何とも印象深く心に刻まれた。
下山コースとして選択したのは戸渡尾根。地図上に近丸新道〜徳ちゃん新道とある尾根道だ。急坂が続くが、ジグザグのコースをトレースすれば思ったより苦労はしない。それより、尾根の両サイドに広がる紅葉の素晴らしさといったら!この時期、標高1300m付近の紅葉が最盛期で、トレイルの両脇から急激に落ち込む地形に点在するモミジの赤、遠景には落葉松の少しくすんだ黄色、その立体的な紅葉が絶妙であった。
その後、雨で濡れた斜面に足を滑らせしりもちをつくこと何度か。いかんいかん、下山まで気を緩めてはいかん!と自分に言い聞かせ、ほぼ予定通りに西沢渓谷に下山。トイレで乾いたウェアに着替え、奥秩父の山に所縁の深い田辺重治の文学碑に一礼をした後、近いうちに奥多摩までの続きのトレイルを歩こうという思いを抱き最寄のバス停へと急いだ。
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