憧れの剱岳〜最高の休日の過ごし方〜


- GPS
- 32:00
- 距離
- 17.8km
- 登り
- 1,983m
- 下り
- 1,979m
コースタイム
31日>3:30剣沢キャンプ場-剣山荘-一服剱-4:50前剱(御来光)-6:00剱岳山頂-8:10剣山荘-8:30剣沢キャンプ場(テント撤収)-9:45別山乗越-11:00雷鳥平キャンプ場-11:40ミクリガ池-11:55室堂ターミナル
天候 | 30日:晴れ。稜線はガス後一時雨も、夜は満天の星。 31日:快晴!灼熱。 |
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過去天気図(気象庁) | 2012年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
復路:室堂よりトロリーバス、ロープウェイ、ケーブルカーを乗り継ぎ扇沢へ(立山黒部アルペンルート)扇沢よりさわやか信州号にて新宿へ。 http://www.alpen-route.com/access/timetable/index.html |
コース状況/ 危険箇所等 |
室堂ターミナル1,2階間の階段に登山ポストがありました。 室堂〜別山:特に注意個所無し。登山道に残雪も無し。ただし、この時期、学校登山(中高生)が盛んに行われているようです。邪魔をしないように。そして私のように道を外れないように。(いけません。反省) 剣沢キャンプ場〜剱岳:一服剣から前剣のガレ場のような浮石地帯に注意。上からの落石、また自分が落石させないように注意。(ヘルメット着用がマナーと感じた)前剣からカニのタテバイ、ヨコバイまで鎖場随所に。核心と言われるカニだが、私は想像以上にあっけなく感じてしまった。(穂高の一般ルートを経験していれば平気だと思う)浮石地帯の方が怖かった。ただ、高所の岩場が慣れていない人は必ずサポートできる人がいた方が良いと感じた。ガイド登山も盛んに行われているようだ。 別山乗越〜室堂:問題なし。 |
予約できる山小屋 |
|
写真
感想
「剱岳 点の記」という映画を4回は見た。(記憶にある限り)
その山の険しさとその山に登ろうとする人間の行為の間に何か美しさのようなものを見た。
新田次郎原作のこの物語は日本人と山の文化をシンプルに伝えてくれる。
単純に、画がきれい。山に登れない時期。(いろいろな理由で)慰めのようにこの映画を何度も見ていた。
いつか、行ってみたい。チャンスは突然きた。
当初は白馬に行ってみようとバスの予約を検索した。しかし、扇沢行きはすでに満席になっていた。
愕然としていたところ、少し下に室堂行きのバスがあり、検索すると空きがある。
問題は2日間の日程でできるのかどうか。問題はデッドラインだ。
2日目に登頂しても、扇沢から新宿行きのバスに乗るには13時には室堂に到着しなくてはならない。
速効で日が昇る前に登山を開始し、2時間半で山頂に登り、剣沢キャンプ場に下山、30分でテントを回収し、室堂に下山する。可能性はあるが、今回も楽な山行ではない。
こんなことばかりやっていればまた、ドMだと言われる。しかし。
チャンスがあれば迷う時間自体、無駄。迷っていること自体、もう、気持ちは決まっている。後は自分の意思の問題だ。
今回も夜勤明けで、登山の準備をし、新宿を23時に発つ。疲れなんて山に行けば、リセットされる。多分。
7時30分室堂着。快晴だった。初めての室堂のアルペン的景観に感激した。
上高地なら涸沢まで歩かなければ見れないような景観がバスから降りたらもう、そこにある。
観光客の方がもう、沢山歩いている。
他に中学生、高校生達の学校登山がはじまっていた。
このあたりには15,6歳の男子は立山(雄山)に登らなければ成人として認められないというしきたりがあったそうだ。
今は女子と楽しそうに登っているが。まあ、それも良いでしょう。
立山にはいろいろな人が、いろいろな思いで登山を楽しんでいた。
すれ違った中には身体に障害を持つ少年の姿もあった。特注の車いす(登山使用)に数本のロープを結んで、スタッフが数人で引っ張り上げている。おそらく周辺をトレッキングするのだろう。
改めて、登山は視覚のみで楽しむものではなく、五感で感じるスポーツだということをこの少年から教わった。
少年は本当に嬉しそうに笑っていた。
雄山頂上に到着すると、せっかくだし、頂上で宮司さんにお祓いをしてもらった。標高3,000mの場所からのお祓いとお神酒。なんだか特別な体験だった。
ここから先は静かな縦走路となる。登山者の世界が始まる。
最近、一部、氷河に認定された雪渓も見える。この山の成り立ち、そして山岳信仰の文化にも触れる。
それだけでも、もう今回の山旅に満足し始める。
別山から剱岳は見えなかった。稜線の途中からガスに包まれてしまったのだ。
剣沢キャンプ場の急下降の途中では急に雨も降り始めた。剱岳はなかなか、簡単にはその姿を現さない。
テントを設営し、一段落したころ、空が再び明るくなってきた。雲が割け、正面に巨大な岩の要塞が姿を現した。
それにしてもでかい。
別山尾根を目で辿ったが途中でどう考えても岩壁となり、道が途絶えてしまう。
おそらくそこがカニのタテバイと言われる場所だろう。
緊張と不安よりも早くそこに行きたいと思いの方が強かった。
2時半に起床し、コーヒーを飲むために湯を沸かす。
朝食のサンドイッチを放り込み、ゆっくりと咀嚼すると次第にやる気がわいてくる。
3時半に準備し外へ出ると満天の星空が頭上に広がっていた。
半数以上のテントの灯りがすでに灯っていた。声も聞こえる。3時半の出発は決して早くなかったのだ。
剣山荘へ向かうと小屋から一服剣へ登ろうとされる登山者がもう7.8名いた。
御来光目当てなのか。自分ひとりだけのナイトハイクだと思っていたことが少し恥ずかしかった。
御来光はちょうど5時に前剱のピークで迎えた。
数名の登山者と一緒に貴重な時間を共有した。皆、素敵な人ばかりだった。
ここから山頂まで先頭を歩かせてもらった。というか誰も付いてきてくれなかった。鎖場は随所に出てくる。
何箇所か、足を滑らせて落ちたらやばいようなところもあった。もし恐怖で固まったら、事故が起きることが想像できる。
カニのタテバイは巨大な一枚岩だった。そこにボルトと鎖が数か所に渡って埋め込まれている。
人工物がなければ、登攀は不可能だと感じた。
そういう意味ではこの場所は登山道ではない。しかし、この険しさと難しさが人を惹きつけているのだろう。
気がつくと、山頂が見えてきた。テントから何時間も見上げていたあの頂きに、もう手がかかろうとしていた。
後ろには誰もいない。憧れていた山。その頂きに一人きりで立つ瞬間だった。そのとき。
「わあ!」
太陽を背に一人の男性が頂上の祠の後ろから現れた。麦わら帽子に木製の棒を手にしていた。仙人か。
いや、良く見ると一般の登山者だ。
男性も、この時間に別山尾根から上がって来る人が居てびっくりしたという。
途中でテントを張って上がってきたというから、早月尾根からの登山者だろう。
なんだか、おかしくてお互いに笑ってしまった。
そして、男性はすぐに降りてしまった。
5分間、頂上を独占させて頂いた。至福の時間。遠くには槍穂高連峰、笠ヶ岳、そして、富士山もその容姿を崩さず、そしてどの山よりもきれいに見えた。
富山県から見る富士の姿に感動した。
下山はあっという間だった。テントを回収し、別山乗越に登り返す。
今回は計画どうりに物事が進んだ。
前回の白根逆縦走は今回のための良いトレーニングだったのかもしれない。
自分の場合、ストックは使用しない方がバランスが良く歩けることも分かった。
帰路は黒部アルペンルートで観光気分。乗り物を乗り継ぎ黒部ダムを見学。
社会科見学のようになってしまったが、直にみれて良かった。
剱岳に挑んだ2日間は今までで最高の休日となった。
makasioさん、こんばんは。
夏の2日間、有意義で充実した山行されてますね。それもmakasioさんならではのスピードで。
剱岳ではこれ以上ないくらいの好天でしたね。
今年の夏のよいイベントになりましたね
私にはまだ無理ですが、いずれ行きたいとあらためて感じました
makasioさん、いつもすばらしいレコをありがとうございます。
凝縮感があって絵とコメントで空気もmakasioさんの心も感じる
ことができました。
>後は自分の意思の問題
>疲れなんて山に行けば、リセットされる
>登山は五感で感じるスポーツ
>皆、素敵な人ばかりだった
その言葉だけでなくそのつながりが次々と去来しました!
makasioさん こんばんは
二日目のお天気、最高ですね。
剣から富士山がクッキリなんて、日ごろの行いがよほど良いんでしょう。
羨ましい〜
雪渓の白と山の緑、空の青のコントラストが素晴らしい!
剱は私はまだまだ先になりそうですが、いつか必ず行きますよ!
休み取れて剱に行けたんですね、良かった良かった!
随分とサックリ歩かれているようだけど makasioさんならではですね(けっしてMなんて言いません
まずまずのお天気で何よりでした、一度目で「つ・る・ぎ・様」を拝めたのはラッキーです。
プルコギも美味しそう!
でも、奥にチラリと見える生卵2個、何を作られたのかな?
翌朝のおかずだったのでしょうか?
きっと今頃は北八方面で台風の卵達相手に楽しまれているのでしょうね!?
北八は来週でしたね、失礼しました〜!
その分、今週末はきっとお仕事ですね?
私も来週があるのでこの週末は真面目に仕事に励もうと思ってます。
お疲れ様です!無事に帰ってきて何よりです
それにしても、やっぱりダイナミックやね〜〜!
剣はやっぱりカッコいいね!!
20代に富山に赴任していた事があるんで、あそこら辺の山はよく下界から見上げてました(笑)
あの頃から山に興味があれば良かったのに!って後悔しております(笑)
私もいつか行ってみよう!って強く思わずにはいられないナイスレコでした!
詳細なレコ、ありがとうです
「まだ、未踏の山がたくさんあることの幸せ」
これに一票。
よって私のお盆は、幸せであること間違いなし。
いやあー最高でした。
憧れていた剱岳。その雲ひとつない山頂に自分が立った瞬間。
本当にウルウるしてしまいました。
是非、ShuMaeさんも行かれてください。
心に残る山にきっとなりますよ。
今回は剱岳でした。
今回は本当に天気に恵まれました。いい画がたくさん撮れたので、余計な言葉(私の安い言葉)が邪魔になると思いました。
剱岳、いつか是非、奥様と挑戦してください。
mmgさんのコメント。なんか、ちょっと恥ずかしいけど、うれしいな。
剱沢でテントを張り、ビールを飲みながら何時間も羨望した剱岳。心に残る山になりました。
いつか、挑戦してみてください。
カニのタテバイ、ヨコバイ。岩場の経験があれば、思ったほど難しくないと感じるはずです。
きっとhouraikenさんも心に残る山になりますよ。
noboさんの剱岳のレコ見たせいですよ。
本気で行く気になったのは。
本当にありがとうございました。
卵、良く見てますねー。
あれは、朝、残ったご飯でカニ雑炊(味○素)を作って食べたんです。
料理人に憧れたこともあるんで、料理は大好きです。
北八、お天気、少し、心配ですが、妹の子供たちが楽しんでくれるといいなあ。
母が一番心配ですが。
富山に赴任していたこともあるんですね。
剱岳がよく見えたでしょう。
冬の剱、見たいなあ。
沢登りもやっていたacchiなら、カニのタテバイ。ヨコバイはさほど難しくないと思う。
是非、行かれてみてください。
名言、ありましたか?
ありがとうございます。
別山乗越から、後立山連峰を見たとき、
自然とその言葉が出たこと、
今も覚えています。
自分の目で見て、歩かなければ、
言葉って出てきません。
南ア大縦走、楽しんできてくださいね。
こんにちは!
コメ頂き、ありがとうございます。
おそらく、当日は前劔のあたりですれ違っていますね〜。
これ以上ない天気で、お互い最高の山行になりしたね。
晴れ男は……、僕の手柄では無いかな(笑)
しかし、テン泊装備でこのスピードは速いですね!
makasioさん、こんばんは。
立山・剣と、圧倒的なド迫力ですね。
makasioさんのタフさとともに、レコを読みながら「すげーなー」と呟いてしまいました
富山県からの富士山!鳥肌ものですね!
困難を乗り越えたものにしか味わえない光景と感動ですね。
休日にフル活動して、感動を得て、これでまた仕事を頑張れるって感じですかね
仕事と山、良いサイクルで回ってくれたら最高ですね
久しぶりに、あんな青空をみました。
かなり暑かったけど、最高でしたね。
剱岳、登って見て、降りて見て、
心に残る山ですね。
これからもお互い、良い山をやりましょう。
剱岳、素晴らしい山でした。
富山からみる富士。
確かに鳥肌でした。
>休日にフル活動して、感動を得て、これでまた仕事を頑張れるって感じですかね
本当にそうなんですよね。
休日を無駄に休んでいたら、俺、本当に疲れてしまう。
矛盾しているようだけど、どれだけ、休日に、
心の充電ができるか、身体の疲れは耐えられるけど、
心の疲れは耐えられないものね。
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