剣ヶ峰 浅間山に迫る静かな大展望台


- GPS
- 05:50
- 距離
- 8.6km
- 登り
- 935m
- 下り
- 938m
コースタイム
08:40一ノ鳥居8:50
09:30火山館09:40
10:40剣ヶ峰山頂11:10
13:40浅間山荘駐車場
歩行時間5時間
天候 | 晴れ後薄曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年05月の天気図 |
アクセス |
上信越道小諸ICを出て左折、 1km先の「小諸I北」信号を右折して浅間サンラインに入ります 「高津屋トンネル」を抜け、すぐ右折し T字路を右折して、高峰高原を目指します 約4km先右側に「浅間山登山口」の看板があります 道なりに砂利道を4kmで浅間山荘登山口です 浅間山荘真向かいは宿泊者専用駐車場、 その一段下に有料駐車場(500円) 更に一段下に無料駐車場があります(昼間のみ) 登山口の案内板の近くにトイレがあります |
コース状況/ 危険箇所等 |
駐車場から火山館までは浅間山(前掛山)への登山道を辿ります 火山館の前庭から神社を見て、 右側の踏み跡が牙山(ぎっぱやま)方面を目指しています 剣ヶ峰方面への標識はありません かなり藪がうるさくなっていますが踏み跡は明瞭です 「天狗の露地」と呼ばれる草地を二回通過すると 正面に大きな浅間山を見て、 右よりに石尊山に向かう緩やかな下りになります 下り始めて、右に剣ヶ峰への稜線が見えたら尾根に取りつきます 道標はありませんから、 木の枝に所々付けられたテープを確認しながら尾根を登ります 山頂直下の草付きの急坂は滑りやすく要注意です また北側は切れ落ちていますので近寄りすぎないように注意です 山頂から「ヒサシゴーロ尾根」と呼ばれるガレ地を下ります 視界のない日は避けた方が良いでしょう 踏み跡は不明瞭ですが、所々にテープがありますので 目印にしながらガレ地や小灌木帯を下降します テープに従って、尾根から樹林帯を急降下します 途中までは赤いテープに導かれて順調でしたが 見失ったのか、或いはテープがなかったのか わかりませんが、途中から藪漕ぎしました 踏み跡があちこちに薄くあり、急坂ですが、 予定通り登山道に出ました(正直、ほっとしました) |
写真
感想
子供の頃、前掛山だと思って書いた絵は、
実は「剣ヶ峰」から広がる「ヒサシゴーロ尾根」でした。
それを知ってから、「剣ヶ峰」に是非登りたいと思っていたのですが
登山道が不明瞭だとか、「ヒサシゴーロ尾根」が迷いやすいとのこと。
はやる気持ちを抑え、登山日和を待っておりました。
天気予報は下り坂、群馬県では夕方、雨の予報です。
群馬県境の浅間山付近は、当然雨の恐れがありますが、
出来るだけ早く下山すれば雨に会わずに済むでしょう。
浅間山荘駐車場に到着すると願ってもない晴天、待った甲斐がありました。
思えば12年前の今頃、浅間山に登ろうとして来た同じ場所に立っています。
舗装道路からの砂利道、道端に咲くヤマブキの花、少しも変わりません。
悲しい思い出のあるここに、ようやく来る気持ちになれました。
歳月は人の心を優しく癒します。
駐車場で仰いだ青空と、案内板から続く新緑の清々しい登山道に
気を引き立てられて、次第に心は華やいでいきます。
心の微妙に変化する様は不思議なものです。
この登山道に二度と足を踏み入れまいと思った訳では決してないのですが、
気持ちの中で、とてもとても遠い山になってしまい、
ずっと来ることができませんでした。
唐松の僅かな芽吹きの淡い緑、轟々と流れ落ちる滝、
あの時もこんなであったろうかと新鮮に感じます。
そして左右に、目を奪う断崖絶壁が見えて来ると
なぜか「懐かしい場所に戻ってきた」と思うのです。
心が過去の痛みと現在の安らぎとの間を行ったり来たりしています。
火山館は昔の面影を残しながら、洒落た感じの山荘になっていました。
今日は、ここで浅間山への道にお別れして
右側の草の茂る心細い枝道に入りますが、道標も見当たりません。
ですが、ここでもなぜかほっとしている自分に驚きます。
歳月も癒しえない悲しみは背負い続けるしかないのでしょう。
まるで八ヶ岳の原生樹林帯に迷い込んだ感じのする道です。
刈払いされずに、道を覆うように枝が伸びていて
掻き分けるように進みます。
「天狗の露地」に出ると、浅間山が登山者を威圧するように
覆いかぶさるように見えました。
二つ目の「天狗の露地」で、更に浅間山は巨大になり
ちっぽけな登山者を見下ろしています。
ここで道は右に進み、石尊山に緩やかに下りますが、
このルートも殆ど歩く人がいないのではないでしょうか?
かなり藪になっていて廃道寸前ではないかと思います。
一昨年、石尊山に登った時、立ち入り禁止の看板があったように記憶しています。
道標はないとのことですから、
剣ヶ峰へ取りつく道はどこかと緊張しながら歩きます。
それらしきテープなども見つからず、
思い切って微かな踏み跡を頼りに右側の尾根を目指します。
幸運なことに途中でテープのついた踏み跡を発見、
以後山頂まで、テープに導かれて迷うことなく登れました。
急坂にさしかかり、草地になると浅間山がだんだん柔和に見えてきます。
高く登るにつれて、威圧感が薄れるのでしょうか?
足元は滑りやすく小灌木もまばらですから、滑落したらかなり危険!
引っかかり場所がありません。
なるべく下を見ないようにして木の根、木の枝を掴んで這い上がりますが
枯れている木があったりして、全体重をかけるのは要注意です。
山頂は大パノラマ、想像以上でした!
黒斑山からよりずっと間近に浅間山(前掛山)が望めます。
こんな景色の素晴らしい山が何故こんなに静かなのでしょうか?
静かなままであり続けてほしい気もしますが。
山頂を独占して景色を楽しみ、昼食を楽しみ、心を残しながら下山です。
心配した雲はまだまだ遠くにあるので、往路を戻らず
「ヒサシゴーロ尾根」を下る事にしました。
どんな道かちょっと不安ですが、歩いてみたいとの思いの方が強く
大胆にも歩き始めていました。
ガレ地、笹原、小灌木帯の入り混じる緩やかな尾根の右端を
ゆっくり下って行くと、遮るもののない大展望に言葉もありません。
ただ、テープを見失うと途端に不安に襲われます。
頭上は晴れていますが、周辺は少しずつ曇り始めています。
急ぐほどではありませんが、それでも早めに下山した方が良いでしょう。
ガレ地の尾根から樹林帯へは赤いテープが助けてくれ、
順調に下降していたのですが、途中でテープを見落としたのか
それとも、なくなったのかわかりませんが
気が付いたら藪の中におりました。
急斜面をこのまま下っていけば登山道に突き当たるだろうとは思うのですが、
やはり、不安がつのります。
登山道に出るまでの10分程をとても長く感じました。
いきなり、今朝通った登山道に飛び出した時には感動してしまいました。
喉元過ぎれば熱さを忘れとは言いますが、
今日の山行は正にその通りでした。
登山道に出るまでの幾多の恐怖や不安は
安全に下山出来た時、例えようもない面白さに置き換えられているのです。
未知の登山道へのわくわくする夢を、ひとつ実現しました。
私が登った時は、カチカチの雪がまだ残っている時期でした。
山頂標識(プレート)も無く、ウロウロ探し回りましたが
今はしっかりあるのですね。
ヒサシゴーロ、濃霧の時は危ない尾根です。
コンパス持ってても迷いますね・・・
歩く人もほとんどいないコースに、不安になりましたよ
kyom4さん、こんにちは!
目の前の現実の山を歩きながら、同時に遠い記憶の中の景色も広がっているような世界ですね。
記憶や経験がその人に見せる景色があって、同じ山や自然を前にしても隣の人とは違うものを受け取っているんだろうと思います。
時間を置くほどkyom4さんの感想から空想が広がって包み込まれるような不思議な印象です
danbeさんの剣ヶ峰のレコ拝見しました。初冬に行ってらっしゃるのですね。もっと人の気配のない時期ですね。
kyom4の行った日も火山館から先、人には会いませんでしたが。
やはり視界のない時はヒサシゴーロ尾根は怖いですね。
それと雪のある時は草地の急斜面、滑落の危険がありそうで、冬には登りたくないと思いながら登りました
時期が良く、晴れておりましたので尾根はまだケルンにも助けられながら下れましたが、樹林帯の急斜面のお終いの辺りは、半ば道迷い状態かと思う程でした
でも、変化に富んだ面白いコースだと思います。
こんな面白い山はまた行ってみたいと思いますし、シャクナゲが咲く頃はきっと素晴らしいでしょうね
コメント有難うございます。
夏休みの宿題で浅間山の絵を描きましたが、つい先ごろまで、その山が剣ヶ峰だとは知らずにおりました。
灯台元暗しです
浅間山は朝な夕なに見て育ち、故郷の山、様々な思い出の染みついた山ですので、山を目前にすると、過去と現在と未来が同時に進行していくような錯覚にとらわれます。
時が過ぎて癒えたような心の痛みも、未来に背負っていかねばばならないと、12年ぶりに同じ登山道を歩いている時点で過去と未来を明らかに結びつけて考えることがようやくできました。
本当の同じ山を見ていても、人それぞれに違う山を見、過去を思い、未来を想像しているものです。
kyom4にとって山に登る意味は過去・現在・未来の同時進行、そして果てしない空想を体験する楽しさかもしれません。
monsieurさんの文章を読んでいても時々、同じ境地なのではと思うことがよくあります。私の場合、なかなかうまく表現できなくて、もどかしいのですが…
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