北ノ俣岳から黒部五郎は届かず @ビビー泊


- GPS
- 56:00
- 距離
- 27.2km
- 登り
- 1,966m
- 下り
- 1,966m
コースタイム
11:15林道-11:43飛越トンネル-18:25北ノ俣岳避難小屋 (ルートミスで1時間程度ロス)
<5月4日>
5:56北ノ俣岳避難小屋-9:35北ノ俣岳9:50-11:24撤退地点11:52-12:54北ノ俣岳-14:19北ノ俣岳避難小屋
<5月5日>
9:29北ノ俣岳斜面散策-10:47 → 主夫業
12:58北ノ俣岳避難小屋-17:19飛越トンネル-17:50林道
天候 | 5月3日:曇り→雨 5月4日:雨(稜線は吹雪) 5月5日:晴 → 曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
2キロほどの車道歩きがあります。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
滑落の危険箇所はないと思います。 (唯一避難小屋への入り口が危険) 1日目はアイゼンを使用しませんでした。 北ノ俣岳への登りではアイゼンを使用しましたが、つぼ足の方もいました。 もぐるのでワカンなどがあったほうがベターです。 北ノ俣岳避難小屋は8人程度が限界の小さな小屋です。 高床式になっているので床下に4名程度がさらに雨風をしのげるようです。 水はまだでていませんでした。 |
写真
感想
<プロローグ>
今や国民的アイドルとなったAKBですが、まだ無名だった昭和6年の1月に、
猪谷 → 薬師 → 黒部五郎 → 水晶 → 鳥帽子 → 大町 と厳冬期北ア横断の大偉業を成し遂げました。
AKBの「単独行」を愛読している私としては積雪期にそのトレースの一部をこの目で見たいと思い北ノ俣岳から黒部五郎岳への縦走を計画したわけです。
もちろん、自分の実力で黒部五郎まで行けるとは思っていないので、適当なところで引き返すつもりです。
(注) お気づきの方もいると思いますが、私にとってAKB=Ano Kato Buntaro(あの 加藤 文太郎)です
<本編>
有峰林道は冬季通行止めですので路肩に車を泊めて、飛越トンネルまで車道を歩きます。
いたるところでデブリが大木を押し倒し、道路に散乱しています。
デブリの森ですね。
厳冬期にはたった6.5キロの飛越トンネルまでの林道を進むのに3日もかかったという記録もあるくらいの豪雪地帯なだけあります。
積雪期は飛越トンネル右手から尾根に直接取り付くルートもあるようですが、トレースがなかったので、
左手の夏道から取り付きます。
するとこちらのトレースは夏道を外れて沢沿いの急斜面へ。
滑落したら痛いじゃすまない場所もあります。
痛いじゃすまないということは、そう泣いちゃうということですね(我慢強い人なら痛いですむかな)。
アイゼンを装着していない場合は夏道を行ったほうが良さそうです。
真新しいトレースがくっきりあり、出発が遅れ時間がなかったためトレースを追い下を見てもくもくと歩きますが、これが間違いのもとでした。
道はアップダウンを繰り返しながらも順調に高度を上げていきますが、ふと気がつくとトレースがくだりだします。
コンパスを見ると本来進むべき北東とは逆の南西を指しています。。。
そっ、そうか、おいらは今バカンスで南半球にきているんだったな、だからこっちは南西でも北東なんだ。
…ちゃうちゃう 。うっかり神岡新道のトレースを追っていたのです。
この時期に神岡新道から入る人がいるとは思っておらず、ひたすらトレースを追っていたためのミスですが、登り返しのおかげで時間をだいぶロスし、北ノ俣岳避難小屋に到着したのは日没直前となってしまいました(汗)
私を含めて7人で宿泊となり一杯でしたが、詰めていただきありがとうございました。
避難小屋は高床式となっており、階段の斜面は滑りやすく、滑落すると床下に叩きつけられ痛いじゃすみません。
痛いじゃすまないということは、そう泣いちゃうということですね(我慢強い人でも怪我をします)。
ここが今日一番の核心でした(笑)
翌朝、危ないのでピッケルと靴でステップを切っておきました。
4日目を覚ますと予報どおり雨&ガス。稜線上は吹雪いているでしょう。
今日は停滞にして予報が若干いい明日アタックすることも考えましたが、偵察もかねて行ってみることにしました。
北ノ俣岳への登りは広大な斜面でまるでスキー場のようです。山スキーヤーに人気なのもわかります。
上部は雪が深くつぼ足だと結構潜ってしまいます。
稜線ではあいにくのガスで展望はゼロでしたが、雷鳥さんがお出迎えをしてくれました。
北ノ俣岳へは南へ稜線をたどります。
先行のトレースは雪庇の近くについていますが、怖いのでできるだけ内側を歩きつつ、夏道
が見えたところで夏道に乗り、北ノ俣岳へ到着です。
このころから雨が吹雪に変わり横殴りになってきますが、夏道が露出をしていたので、
赤木岳への稜線を進みます。赤木岳の先の小ピークを下ったところで夏道はなくなり、ガスで稜線が見えないので
吹雪を避けてハイマツのかげで体育座りをしてガスが晴れるのを待ちます。
(防寒バッチリでしたので全く寒くありませんでした。)
30分ほど待つと、ガスが一瞬だけ晴れて大迫力の稜線が見えました〜!
さて、ルートもはっきりしましたし、行こうと思えば行けます。
でも帰れるかな?この程度の吹雪であれば問題ありませんが、さらにひどくなったらいやだな。
「帰れない」ということはないだろうけど、消耗するだろうな。
よく、「行けるところまで行く」という人がいますが、私は「元気に帰れるところまで行く」派です。
プロの登山家は「ギリギリ帰れるところまで行く」のでしょうが、私はチキン(ラーメンが好き、テヘッ )。
ここは、一旦避難小屋に戻り、明日5日に再アタックをすることにします。
帰りは何度か足が雪にはまって抜けなくなり、ピッケルで掘り出さねばなりませんでした(汗)
しかし、避難小屋はすでに8人が宿泊し満杯。「テント持っているの?」「はい」「じゃあ、テントね」
というわけで、持ってきたビビーでのビバーグが決定しました(笑)
ビビーですので食事も雨に打たれながら外ですませ、同時並行で雪から水を作ります。
夕方にはビビーにもぐりこみますが、ここで大きな失敗をしてしまいます。
狭いビビー内ではめんどくさかったため、寝袋にシュラフカバーをかけないまま就寝をしたのです。
18時過ぎからは雨が雪に変わり、ビビーにも積もりだします。
そして、ビビーの内部は結露でびしょびしょに。当然、寝袋もびしょぬれですが、時すでに遅しです
午前2時くらいには寝袋が内部までびしょびしょになり、体温を奪っていきます。
今更ながら、シュラフカバーを使わなかったことを後悔します。
寝袋はびしょびしょで使い物にならないので、シュラフカバーに包まりこれ以上の浸水を防ぎます。
幸い乾いた着替えをザックに入れて小屋の軒下にデポしたあるので、後4時間、6時になれば小屋が空くので、着替えたり暖かいものを食べられると思い我慢をします。
この間も常に低体温症の予兆である体の震えが万が一起きた場合には、速攻でビビーを脱出しようと思っていましたが、幸いにもそこまでにはいたらずでした。
結局3-4時間程度しか眠れませんでした
(低体温症は体の震えが予兆で、震えがなくなったり呂律が回らなくなるともはや自力での回復は厳しそうです。
体の震えがきた段階で適切に対処すれば大事にはいたらないと思います。)
朝、小屋が空いたところで、着替えをすませ、暖かい食事をとり、ペットボトル湯たんぽで体を温めほっと一息です。
実は私以外にも3名の方が小屋に入れずにビバークをしていて、2人はツェルト、もう1人はハイマツにもぐりこんで一夜を明かしたそうです。
気温はツェルト内でマイナス5℃まで下がったとのことですが、ハイマツにもぐりこんだ人は無事でよかった。
太陽が出てきたのでぬれた寝袋、マット、服などを干し、その間に北ノ俣岳の斜面を登ります。
晴れている斜面を登るのは本当に気持ちいい♪
稜線まで行き展望をという気持ちもありましたが、昨晩の新雪があり、スキーヤーがいることを考えれば
20-30cmは積もっているであろう上部では雪崩の可能性もあるなと思い、新雪が15センチくらいになった標高で引き返すことにしました。
(上部と中腹は斜面の向きが違うため、上部の雪崩が中腹を襲うことはありません)
本来はもう一泊して6日に下山する予定でした。
今なら、避難小屋も空いているので間違いなく避難小屋に宿泊ができます。
(「先着者が優先」という考え方ならばですが。)
でも、昨日のビバークで考え方を改め、緊急避難時以外は使っちゃ駄目だなと思い下山をすることにしました。
今回ツェルトでビバークをした2名は吹雪のため太郎平小屋にたどりつけずに、避難小屋に戻ってきたところ満杯でやむなくビバークをしたとのことでした。
この話を聞いて、私も避難小屋に入れなくて良かったと思いました。もし自分が避難小屋に入れていたら罪悪感を感じていたから。
緊急避難時にそれ以外の人が入っているがために利用できないのでは避難小屋の趣旨とは異なります。
もちろん昨晩利用された方が全員緊急避難時であったのであれば仕方がないことですが。
そして、1日目に避難小屋を計画的に利用した自分の行為を反省しました。
(これは山域・季節にもよると思います。キャパが大きい避難小屋であれば団体で使用しない限り問題ないでしょうし、
飯豊の避難小屋のように半営業小屋の形態であれば構わないでしょう)
下山時に振り返ると北ノ俣岳がどっしり構えています
本当に昨日あそこに登ったのかと思うと感動もひとしおです。
予報どおり天気にはめぐまれませんでしたが、最後の最後で絶景を拝むことができ、良い山行でした☆
コメント
この記録に関連する登山ルート
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AKBには感動!! (^^♪
判断難しいですよね。谷川岳の辺りも非難小屋はありますが テン場がないと云う理由から本来の緊急時用でなく山小屋替わりになってるような・・・ しかし、雪山でビビィでとは・・・・・・ 良く生きてましたね(*^_^*)
長靴さんっこにちわっ
いやはや・・・アタシも憧れのAKB様のトレースを追って行かれたとわっ
それもこの積雪期に・・・乙でした
「火曜。愛の雷鳥劇場
主夫業を完璧にこなされる長靴さんにゃ〜頭が下がります
避難小屋のもろもろ・・・色々ありますが。
デブリの森にも出会えて、ビビーに立派な池もこさえて
なにより無傷の御帰宅。ステキな山行になりましたね
はじめまして。
AKBネタ飲み会で使えるかなと思いましたが、一般人には待った受けないですね
山好きなら、受けると思いますが。
避難小屋は難しいですよね。
山域にもよると思います。
ま、緊急避難のかたが泊まれないということがないように使うべきなんでしょうね。
ビビーこんなに結露するとは思いませんでした〜
こんばんは。
AKBネタ今度飲み会で使ってみてください。
山好きがいれば爆笑間違いなし?
かなりの高確率ですべりますが
私、家にいるときより完璧に主夫業をこなしていましたヨ。
毎日これくらい働けば、自宅ももっときれいなんですけどねぇ。
ビビー泊の感想は、↓な感じです
古池や 長靴飛び込む 水の音
長靴さん
天候不住の中北アお疲れ様でした。
黒部五郎までの様でしたが無理は禁物ですね。
>雨(稜線は吹雪)
この時期このパターンが一番嫌ですね。
今回はスーパーテントをお持ちの様でしたので
心強かったですね(ハイマツの下よりは
雷鳥にも遭遇、最後に展望もあり、
今年の不安定なGWではこれで十分満足ですね
コメントありがとうございます。
天候不順は織り込み済みでしたが、想定よりはたいしたことがなかったです
雨で濡れて、吹雪でやられる。春山はこのパターンが多いですね
現代はゴアテックスである程度は防げますが。。。
天候を考えれば、北ノ俣岳の姿を拝めただけでも満足でした。
また次回リベンジをしたいと思います
nagagutuさん、こんばんは
雪の中、ビビーで良く一晩こせましたね
ハイマツの方も良くご無事で…サバイバル力、強しです!
一番の核心部に思わず
夫婦雷鳥
最後はオスが歩みより円満解決!思わず
このやきとり…じゃなかったやりとりを、私もいつかは生で見てみたいデス
こちらにもコメントありがとうございます。
ビビー、快適でしたよ。風にも強いですし。
ただ、シュラフカバーをしなかったのが失敗でした。
あと5℃気温が低かったら、結構ピンチだったかもしれません
pippi家はどうでしょう。
旦那さんが歩みよりますか?
失礼しました。いつも一緒に山に行くおしどり夫婦なので、けんかはないですよね〜
こんばんは。
ビショ濡れの寝袋!
よく我慢しましたね。
ハイマツの下でビバ−クするよりはマシでしょうか。
5月4日の北アは遭難が多発して大変な日でした。
やはり無理をしないことが大切ですね。
私も6日が悪天の予報でしたので槍をやめました。
早めの判断、決断が必要です。
コメントありがとうございます。
寝袋はカバーをかける手間を惜しんだばかりに大変なことになってしまいました
あと少し気温が下がっていたら、ピンチだったと思うので、いい勉強になりました。
4日は奥穂、白馬とたくさんの方が遭難されました。
幸い黒部五郎の稜線は軽い吹雪で、バラクラバやゴーグルすらいらない程度でした。
無理をしないことと、ウェアリングの判断(ザックにいれたままでは意味がない)が重要ですね。
ところで八全山今年も行かれますか?
我々は6月24日を予定しています
NAGAGUTUさん、ビビー雪に埋もれてましたね。
早朝、避難小屋が空いたときに温めたペットボトルで
体を温めておられましたね。覚えてます。
我々も、前日小屋にデポしておいた下着にまるごと着替えて体温保持ができて助かりましたよ。
ホワイトアウトで太郎平小屋は断念して退却・下山。
17時ごろ、避難小屋に到着してからは時間との闘い・・!
避難小屋は満杯で入れませーんの声が中から聞こえてきて
近くでビバーグポイントを探す・・・・・・・・・。
ググッググッと気温が下がってくるのを肌で感じながらの
ツエルトの設営でした。
設営後、即!即!頭から飛び込んだのを覚えてます
いつか薬師岳 リベンジ 機会あれば!!
おはようございます。
その節はコーヒーをご馳走になり、ありがとうございました。
あの日はホワイトアウトでかなりの熟練者じゃないと稜線上を進めない状況だったと思います。
あの状況から戻ってきて、ツェルト泊はかなりつらかったのではないかと想像します。
私は来年のGWにでもリベンジをしたいです。
山スキーを始めたので、今度は時間短縮ができるかなと思っています。
また、お会いできるといいですね
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