抗生物質のリベンジ加入道山と大室山


- GPS
- 09:10
- 距離
- 15.9km
- 登り
- 1,458m
- 下り
- 1,443m
コースタイム
天候 | 晴れたり曇ったり |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
朝西丹沢自然教室で昨晩の雨は上の方では雪になったと聞かされた。4月半ばの丹沢なので雪備えは何もしてこなかった。何とかなるであろうと登ってみたが、雪備えは全く要らない状態である。途中鎖も2か所あるが、凍結していない限り使う必要もなさそうだ。コースも若干荒れているが特に通行を困難にする様な箇所は無い。犬越路から用木沢出合まではガレた所が多く歩き憎いが、そういう地形なので仕方が無い。西丹沢エリアは東海自然歩道の木製の道標はあったが、赤テープはこれまで余り見かけなかった様に記憶しているが、今回は赤テープが随所にあった。最近張ったのだろうか。 |
写真
感想
年度末といううことで独立事業者としては、山行の時間を得るのが精いっぱいで中々山行レポまでは手が回らなかったが、今回はレポを書く時間が取れた。レポを未だ載せていない山行に関しては時間を見ながら追々アップしたい。
実は去る3月18日に、今回と同じルートを逆回りに周回する予定で西丹沢を訪れている。
久しぶりに倅を帯同しての山行となったが、小生の体調が最悪で、犬越路と大室を結ぶルートの2/3の地点で撤退を決意した。その際は、登山前日に歯茎が腫れてしまい、友人の歯科医(彼は幼稚園の同級生であるので、半世紀を優に超える付き合いになる。)から抗生物質を処方してもらい、6時間おきに投与していた。
いざ山に取り付いてみると兎に角息が切れた。ヒマラヤを歩いているわけでもあるまいに、急登になると数歩歩いては肩で息をつく始末。これ以上進んでは危険と判断したのである。余りの息切れに東京に戻ってからインターネットで調べてみると、副作用の欄に動悸息切れと記してあった。こんな副作用がある薬を飲んだ状態で山に臨めば息切れが生じて当然である。
体調不良での撤退は、2006年の8月に、前日来の下痢が漸く治まったとして、男体山に挑んだ際に、脱水症状の危険が早くも四合目で顕れ、撤退したときまで遡る。
やはり登山は、体調に不安要因が有る時は、慎むべきであろう。
今回は万全の体調を整えて、前回とは逆コースを周回する予定で、西丹沢自然教室を出発した。
体調万全のせいか荷物もグッと軽く感じ、足取りも軽い。しかし、この軽さの中に落とし穴が有った。
長い林道を歩いている最中にザックの余りの軽さが心配になってきた。
小生は、普段は2.5Lのプラティパスを半凍りにしてオールウェザーブランケットで包んでザックに忍ばせ、タップリと氷を詰めた500のテルモスをショルダーベルトにぶら下げ、テルモスの水が無くなるとプラティパスから補充する様にしている。
しかし、今朝は家を出る前にプラティパスを触った記憶が無いのである。慌ててザックの中を掻き回してみると、軽い筈だ、水が無い。同じ丹沢でも表丹沢なら途中で水を買いながら歩くこともできるが、西丹沢では途中で水の補充はできない。ショルダーベルトにぶら下げた500ccの氷水だけではとても歩けるルートではない。
途中のキャンプ場まで引き返し、自販機でペットを4本購入しての仕切り直しとなった。無駄な時間を費やしたが、水が無くなってから引き返したのではとても登り返す気にはなれなかったであろう。尚、余談ではあるが、オールウェザーブランケットはかなり断熱性が高いので、幕営山行等の際には、凍らせたプラティパスと一緒に包んでいけば初日の夕食用ならば生肉を運搬することができる。ブランケット自体は銀マットの代わりに使用することは言うまでも無い。
白石峠までの道の前半部分は沢沿いの気持ちの良い道であった。白石滝も、中々見事で、一見の価値は十分にある。
白石滝を通過してから、些か気がかりなことが生じた。歩いている場所の地形が地形図上に示されるルートの地形と全く異なっている。小生は間違いなく登山道の上にいるし、道標を見落としているわけでもない。ガーミンの地図画面も周囲の地形と合致している。
国土地理院の2万5千図(昭文社の5万図も同様)によると、白石峠の直下では尾根上のルートを歩いていなければならないのに、実際にはすり鉢の中をよじ登っている。山では有りがちな事ではあるが、地図上のルートと実際のルートが此処まで違うと多少は不安になってくる。人命にかかわることであるので少しは地図を更新してもらいたい。
すり鉢状の地形を這いあがると、稜線上の馬の背の様な所に白石峠の道標が有った。南南西に目をやると150m程の所に小さなピークが有る。2万5千図でも白石峠は小ピークになっているので、あれが本当の白石峠ではないかと思い、ガーミンを片手に行ってみることにした。稜線の道は鹿囲いのフェンスで仕切られているが、最高点と思しき所では一部フェンスが無く東に向かう道らしきものが付いている。これが地形図上のルートかもしれない。行ってみたくも有ったが、時間も無いので又の機会に譲ることとして、多少のエネルギー補充をして加入道山に向かうこととした。白石峠と命名されているのであるから、この峠道は昔は生活道路だったのだろうか?。今は、生活とは全く関係なく歩く御仁のみだ。こんな所を生活道路として歩くとしたら、さぞやご不便であらせられたであろう。
稜線上を歩きだすと体調に異変が生じた。腹が鳴りだし猛烈な便意が襲来した。もう少し手前の沢道を歩いている時なら雉撃ち場は幾らでもあったものを、こんな尾根道では身を隠す場所も無い。加入道は初めての山であるが、山頂には避難小屋が有る。犬越路小屋と同じ造りならばトイレもあろうから、そこまでは我慢することにした。歩き続けると便意に襲われるので、その都度立ち止まっては腹が落ち着くのを待つ。呼吸を整えるための立ち休みは毎度のことだが、便意を戒めるために立ち休みを繰り返したことは余り覚えが無い。やっとの思いで加入道山に着くと立派な小屋があったが、求めていたものは無かった。
脂汗をかきながらコースに戻り、大室山と犬越路の分岐に辿り着いた。大室山頂はどうでもいい様な山頂だが、山頂をパスしたとしても犬越路まではとてももちそうもない。意を決して辺りを徘徊して、適当な茂みを発見した。後ろは崖であったが、小生の腹も崖っ淵で有った。漸く人心地を得て大室山頂に到着。立派な(普通の)山頂標が有る。
この山頂標はこの場所に偉大な意味を与えている。もしこの標識が無ければ、この場所は尾根上の単なる通過点でしかなく、此処が山頂だと認識する登山者は誰もいないであろう。大室山は少し離れた所から眺めると中々堂々たる山容の山であるが、登ってみると何処が山頂だか判らない山である。その点で大菩薩に似ているかも知れない。大菩薩も北側の黒川山から眺めると長い尾根を左手にのばした立派な山容をしているが、山頂に立ってみると此処が山頂とはとても思えない。むしろその脇にある雷岩の天辺の方が山頂と呼ぶに相応しい。
分岐まで戻り、人心地も着いたので、エネルギーを補充してから犬越路に向かう。眺めの良い尾根道だが写真に残そうとすると小枝が邪魔をする。又、この日は富士にはとうとう会えなかった。この山域で富士に会えないと、他がいくら晴れていても、晴れと記す気にはなれなくなる。
犬越路まで下ると檜洞の方から四人の若者が降りてきた。坊やと言った方が良いかも知れない。足元に目をやると、四人とも小生と同じような縫い底の靴を履いている。訊ねてみると、やはり山岳部だといい、大室に向かうという。檜洞の方から来たので「縦走かい?」と訊ねると、四人が揃ってキョトンとし、内の一人が一瞬の間をおいて、「ケイソウです。」と答えた。
今度はこっちがキョトンとする番である。「縦走」「ケイソウ」と頭の中で巡らせている内に、漸く合点がいった。彼らは、縦走を重装(備)と捉え、荷が少なかったので「軽装」と答えた様だ。縦走の意味を説明すると「勉強になりました。」と礼を言って小屋の中に入って行った。
当家の嫡男は女・女と続いた後に、忘れた頃にやってきたので、悪友どもには散々孫呼ばわりされたが、その嫡男も高三になった。しかし今の四人組は彼よりも大分幼く見える。一年生であろうか?今は四月だから、一年生であれば全くの素人ではないか。大室に向かうと言っていたが、どこに下山するのであろうか?西丹沢に下りるのなら良いが、山を読めない人間だけで日陰沢新道を下ろうものならえらいことになる。小屋に飛び込み説明をすると、見たことの無いひねた顔が有る。顧問の先生が小屋に先着していたらしい。顧問が付いているなら心配することも無いので犬越路を後にした。
用木沢出合に向かう沢沿いの道は、景色は素晴らしいのであるが、足元はガレていて歩き易いとは言えない。用木沢出合から自然教室までは林道歩きになるが、本日はこの林道は随分と歩かされた。車を246号線に向けて走らせると、小生より幾つか先輩と思われる二人連れが車道を歩いている。訊ねてみると駅まで歩くと言う。
恐れ入った、最寄りの駅までは16kmも有る。因みに小生の住む中野から東京駅まではカーナビ最短ルートで12kmである。二人を最寄駅まで乗せて東名中井Pで仮眠。目が覚めると、本道はとんでもないことになっていた。日曜の東名は普段から渋滞するが、今日は特別に混んでいる。前日に新東名が静岡県内で開通しているので、物見遊山を含めて、東名に繰り出した人間が多かったのであろう。
途中伊勢原市内で季節外れの花火大会が催されたらしい。花火の美しさは渋滞のいらつきを和ませてはくれたが、周りのドライバーは空を見ながら運転しているだろうと思うと、恐ろしくも有った。
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