臥牛山〜雲海に浮かぶ備中松山城

- GPS
- 02:00
- 距離
- 7.4km
- 登り
- 563m
- 下り
- 435m
コースタイム
| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2018年10月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
タクシー
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
展望台〜城見橋は一般登山道なし |
写真
感想
臥牛山という山名を聞いてこの山がどこにあるか、すぐに分かる方はほとんどおられないないだろう。そもそも、歩きながらも、どこにも臥牛山という道標は見当たらない。あるのは備中松山城への道標のみである。すなわち日本一高い山城という売り文句を有するこの重要文化財の城を戴く山と聞けばなるほどと思って頂けることだろう。
しかし、話はややこしいことにこの臥牛山という山は存在せず、備中高梁からみて左手から前山、小松山、天神丸、大松山と連なるこの四峰の総称であり、読んで字の如く、山全体を臥した牛に見立ててそう呼ばれるらしい。最高峰は天神丸、松山城の天守があるのは小松山なのだが、臥牛山が古くは松山と呼ばれたことに松山城の名は由来する。ちなみに地図で臥牛山と記載されている478mの三角点は実際には臥牛山ではなく、今津三角点と呼ばれる地点である。
この松山城、越前大野城と共に雲海に浮かび上がる姿が美しいことでも知られる。私が仕事の都合で岡山に泊まる日で雲海が生じるような晴天の日が来るのを待っていたのであった。勿論、高梁のホテルに空室があることが必要条件となる。前々日に電話をすると一部屋のみ喫煙の部屋が空いていた。この時期、ホテルは城を訪れる人で予約が埋まるらしい。
ホテルを出発したのは4時44分であった。道を歩き始めると外気は晴れ渡っており、近くの山もシルエットが明瞭に見えているようだ。残念、雲海は生じなかったか。城見橋へと上がってゆく道の左手に松山城へと遊歩道の案内標が目に入る。登山道ではなく登城道というらしい。しかし、登城道に入るとヘッドライトの光の先が薄くぼんやりと煙っているように見える。霧だ!鞴峠へと登るにつれてますます霧は濃くなっていく。これは相当な雲海が期待できそうだ。
城に到着すると、まずは立派な石垣がお出迎えである。登るにつれて石垣の上に聳える城郭が徐々に明るさを増してゆく黎明の空を背景に浮かび上がる。しかし、城の周りはすっかり霧に包まれている。展望台に登っても城が雲海の中に沈んでいたら意味がない。
城の天守閣の前まで来るとそこから先へ進む道が見当たらない。しばらく道を探して石垣の上を徘徊するが、石垣を一つ下がったところから先に伸びる山道を見つける。歩きやすい山道を辿ると大松山城址への分岐がある。ここを城址の方に辿りかけるが、今日の目的地である展望台は逆方向であることに気がつく。石垣で囲まれた大池を通り過ぎ、急峻な木の階段を下ると大吊橋に辿り着く。
目を凝らすと吊橋の向こう半分が見えない。それが吊橋の上を流れる濃い霧のせいだと理解するまで少し時間を要した。吊橋を通り過ぎて、三角点ピークにかけて伐採地の斜面を登ると途端に広大な雲海の展望が広がる。後ろを振り返ると、丁度大吊橋のあたりのみに谷に沿って雲が滝のように流れ落ちているのだった。
三角点ピークの東にたどり着くと林道が目に入る。林道を東に進むとすぐに舗装車道の転回点となる。舗装路を東に辿ると展望台への入り口が見える。ここで路駐している車のお多さに驚く。なんと20台ほどもあるではないか。展望台に近づくと、林立する三脚と多くの人がシルエットが目に飛び込んでくる。多くの人がダウンを着ている。おそらく相当前から場所取りをされていたのだろう。自分はフリースをリュックから取り出して羽織る。
肝心の松山城はというと、丁度、雲海の上に浮かび上がっている。しかし、ゆらゆらと揺れ動く雲海の波は一瞬下がったかと思うと、瞬く間に天守閣に覆いかぶさってゆく。空は徐々に明るさを増してゆく。日の出の時間は過ぎているのだが、太陽が雲海に浮かび上がる城を照らすにはもう少しの時間がかかることだろう。朝陽が城を照らす瞬間はどんなにか美しいかと思うが、下山を開始しなければならない時間が来る。タクシーを城見橋公園に待たせてある。ここから城見橋まで下る時間を20分と読んでいるのだが、それはまともな登山道があった場合の話だ。
国土地理院の地図には展望台と今津三角点の間の尾根から城見橋公園にかけて下る破線がついている。しかし、地図上の分岐のあたりを注意深く探すも林道の法面があるばかりで、尾根へと続くはない。仕方がない、手前の登れそうなあたりから林道の法面に登り、踏み跡のない林の中で早速ルート・ファインディングである。
尾根を探すと尾根筋にそって下ってゆく薄い踏み跡がすぐに見つかった。ところどころに赤やピンクの小さなテープもつけられている。踏み跡を辿ると斜面が急になっていくが、すぐに崩落した斜面に出る。崩落地の向こうに道の続きがみえている。崩落地を無理やり降ろうかと思ったところで崩落地の右手に踏み跡とテープを見つける。
途中からは尾根を左手に下って、沢沿いの道となる。沢道はそれなりに荒れているのだが、通過に難儀するような倒木の類はない。前のトレラン・シューズはヴァリエーション・ルートに踏み入ることが多いせいか、かなりボロボロになってしまい、この日は新調したトレラン・シューズを履いてきたのだった。真新しいシューズは瞬く間に泥だらけになってゆく。
城見橋の公園で待機してくれているタクシーに辿り着いたのは約束の6時45分丁度であった。ホテルに戻って、預けていた荷物をピックアップして、高梁駅に向かう。特急やくも号には余裕で間に合う時間に駅に到着出来たので、これで朝のカンファレンスに無事、間に合うことが出来る。
しかし岡山行きの特急やくも号に乗り込んでから宿泊した部屋にジャケットを忘れたことに気がつくのだった。
コメント
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山猫














素晴らしいです!
日本って美しいですねー。
それにしてもyamanekoさん、よく木に頭ぶつけるなーと思ってたんですけど、
忘れ物も多いですね(笑)
お茶目
有難うございます。朝陽がさすまで展望台にいることが出来ればよかったのですが。
ところで、意図して木に頭をぶつけたり、忘れ物をしている訳ではありませんので、お茶目ではありません。認知症だと思います。
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