槍、穂縦走(大キレットを前に、台風接近、無念の撤退)


- GPS
- 37:10
- 距離
- 48.9km
- 登り
- 3,554m
- 下り
- 3,772m
コースタイム
5:20上高地-6:15明神-7:15徳沢-8:30横尾-10:45槍沢ロッジ-11:40ババ平
2日目
5:20ババ平-6:00槍沢大曲-7:15水俣乗越-9:50ヒュッテ大槍-10:50槍ヶ岳山荘
3日目
8:40槍ヶ岳山荘-9:25大喰岳-10:35中岳-12:00天狗原分岐-12:20南岳-12:40
南岳小屋
4日目
5:40南岳小屋-9:30槍平小屋-11:20滝谷避難小屋-13:00白出小屋
14:20穂高平登山口
天候 | 1日目 曇り時々晴れ 2日目 雨のち晴れ 3日目 晴れのち雨(台風接近) 4日目 雨(暴風を伴う) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
予約できる山小屋 |
槍平小屋
|
ファイル |
(更新時刻:2011/02/24 22:34)
|
写真
感想
今回は自分が北アルプスに登り始めた頃からの目標だった、槍、穂縦走の大キレット
越えに挑戦して来ました。
しかし、またまた台風により撤退を余儀無くされました。
一日目
昨日から仕事がお盆休みになった為に、前日松本市内に一泊して沢渡駐車場に朝
3時に着いた。既に多くの車が駐車してあった。自分は市営の岩見平に停める事が
多い。ここは直ぐ前がバス停なので楽チンだからです。比較的車も空いてる事が
多いです。
まだ辺りは真っ暗なうちから準備を始めました。以前槍ヶ岳に行った時に朝モタモタ
してたら出発が少し遅くなり、ババ平のテント場に着いた時はもう一杯で、テントを
張るのに苦労した苦い経験があった為、今回は一番のバスで行こうと決めてました。
始発のバスで上高地に入り、身支度を整えて出発です。天気は曇り。今年は梅雨
明けからずっといい天気が続いてましたが、ここに来てどうも怪しい天気予報が。
しかし時折日差しも射す天気に。明神、徳沢、横尾と標準タイム通りに通過。
休憩もそこそこにして、先ずは槍沢ロッジを目指します。今日泊まるババ平は、槍沢
ロッジから45分歩いた先にあるため、受付はロッジに立ち寄って済ませます。もっと
大切なのが、今夜の飲み物です。そうなんです。ロッジでビールを買って行かないと
今夜は食事だけの寂しい夜になってしまいます。ロッジに到着してテント場の受付を
済ませて、大事なビールを購入して出発。毎回なんだけど、自分はここからの登りが
遠く感じてしまいます。既にビールを購入してるせいか、気分はもう着いたような
気になってしまってるのかも知れません。しかし今年はお昼前にテント場に着く事が
出来て、まだ場所も選びたい放題です。前の時は場所がなくて水場の近くで遅い時間
まで人が水をくみに来るから、足音が気になって眠れない状態でしたが、今回は
ババ平の高級一等地を確保。早速先程買ったビールを川に冷やしに行きました。
テント場の直ぐ前に雪渓からの川がある為に、ド冷たい水が流れてます。テントを
設営して暫し癒しの時間を過ごしました。
2日目
今日は、いよいよ槍ヶ岳まで登ります。事前の情報によると、槍ヶ岳のテント場も
数に限りがある為に、遅く到着すると張れるスペースがない為に下の殺生ヒュッテに
降りるか、山荘泊になってしまうらしいです。気合いを入れて2時半起床。テントの
中で朝食を済ませます。着替えもして4時半くらいからテントを畳もうとした時
テントを叩く嫌な音。そうです、雨です。えぇぇ〜〜そんなぁ〜。
仕方なく暫くテントを畳まずに待機です。5時くらいになって少し小雨になった為に
急いで外に出て、カッパを着込んでテントを撤収。5時半に出発です。しかし30分
遅れました。テント場を見るともう既に出発した人、片付けをしてる人、まだテント
からイビキが聞こえて来る人と様々です。しかし今回自分は前回槍ヶ岳に行った時に
見たテント場にどうしてもテントは張りたいこだわりがありました。
そして暫く歩くと、去年も悪天候で断念を余儀なくされた槍沢の大曲に到着です。
今回は去年の続きをしたくて、多くの人はそのまま真っすぐ行くのですが、自分は
去年下って来た水俣乗越を目指します。その頃はもう雨も上がり、斜面に咲く
ニッコウキスゲに水滴が付いて、脚を止めて写真を写したくなる光景でした。思ってた
より早く乗越に到着。去年下った時はかなりの斜面に感じたのですが。乗越で休憩
してると、西岳から来る人と朝の挨拶を交わして交流です。もうその頃には雲も取れて
雨上がりって感じの天気に変わってました。
さて、ここからが去年の続きの東鎌尾根です。乗越から一段上がると稜線に出ます。
涼しい風が吹いて来ました。そして目には槍の姿が飛び込んで来ました。これぞ東
鎌尾根って景色が広がります。眼下には槍沢が見えます。歩いてる人の姿も。
以前、槍沢をツメた時にはグリーンバンドと呼ばれる急登を登りきらないと槍の姿は
見えなかったけど、東鎌尾根はずっと槍を見ながら登れます。疲れた時でも槍が
見えてると気分も違いますね。何か所かのハシゴも越えて行きます。風も思った
より冷たく、休憩していると汗冷してしまうので、立ち休憩くらいで先に進みます。
眼下の槍沢は沢山の人ですが、東鎌尾根はまばらな人数でした。そうこうしてるうちに
ヒュッテ大槍に到着です。思ってたより好タイムです。休憩もそこそこ。いよいよ
槍の下を抜けて行きます。しかしその頃からガズが出てしまい、肝心の槍の通過は
ガスの中でした。槍ヶ岳山荘のテント場に到着してテント場を確認したところ、まだ
張るスペースはありました。自分が前から張りたかった槍の穂先が見える場所も
空いてます。岩に書いてある番号を覚えて山荘の受付に行きました。かなりの人が
テントと山荘の宿泊受付に並んでました。人気の山だけに凄い人です。受付を
済ませてテント設営。今朝濡れたまま畳んだテントを干しながら設営完了。
天気はガスが出たり、時折穂先が見える程度。しかし凄い人が穂先に登ってます。
あの人の数を見たら登る気にはなれません。山荘前のテラスで生ビールを飲みながら
見学です。数人の人達と仲良くなり雑談です。山はこうした出合いがあるからまた
楽しいですね。夕方になると雲海も出始め、テント場からはブロッケンも見え、
写真タイムです。知り合いになった人達と、次の日は槍の穂先で御来光を見ようと
約束してテントに潜り込み就寝です。
3日目
今日はいよいよ槍、穂高の縦走の日です。しかしその前に一度やってみたかった
槍の穂先からの御来光です。朝2時半起床。身支度をして必要装備だけザックに
詰め込んで3時に出発です。空には満天の星。最高の御来光を予感させます。まだ
山荘の照明も暗く、本日槍一番乗りを予感しました。ヘッドライトを頼りにペンキ
マークを探しながら登ります。そして穂先に到着。昼間は渋滞する程の人ですが
まだこの時間は誰も居ません。知り合った仲間達と握手を交わして夜明けを待ちます。
持って来たポットのお湯でコーヒーを入れて贅沢な時間を過ごします。東の空が
紫色に染まる頃、山荘の電気も付き始めました。そしてパラパラ人も登って来ます。
御来光が始まる頃にはかなりの人が登って来ました。そして陽が昇ると山頂にいた
人達から拍手が上がります。思う存分景色を楽しんでテント場に戻ります。
そして食事を済ませてテントを撤収。そして出発と思って頃から、どんどん雲が
湧いてきて、あっという間に曇り空に。なんか嫌な予感。そうなんです。ラジオを
持ってたのに天気予報を聞いてませんでした。そして今回楽しみにしていた槍、穂の
縦走路も殆ど雲の中で景色が見えません。そして南岳小屋に着いて、このガスで
大キレットに入っても楽しくないと判断。今日は南岳小屋のテント場で泊まる事に
しました。テントを設営して中の片付けをしてる時から雨が落ち始め、アレヤアレヤ
といっているうちに次第に風雨も強くなって時折雷も。雨も次第に横殴り状態に。
テントを張った場所の下が、涸沢みたいな小石だった為に降った雨が溜らずに流れて
くれるから助かりました。しかし土の上に張った人達のテントは既に水浸し。止み間に
外に出てみるとみんな大騒ぎで水かき状態でした。山荘に情報を確認しに行って
みると、そこには台風の文字が。えっ??何で??
去年の燕岳を想い出します。山荘の公衆電話から岐阜の気象台に電話してみました。
すると九州の南にあった熱帯低気圧が台風に変わって北上して来るとの事。明日の
天気も大きく変わらないと言っていた。風も非常に強くなっていた。この先の予定は
明日判断する事にした。山荘でビールと氷結を買って飲んでいたら、隣にいた千葉
から来たと言う人と話が盛り上がる。このヤマレコを紹介してくれた人です。
テントで来たらしいけど、この天気だから山荘泊にしたらしい。自分もこんな天気になるのが分かっていたら山荘泊が良かった。既にテントの中は湿りっぽくなって
夜も風と雨で熟睡出来ない。そして夜明けを迎えた。
4日目
もう一度山荘に天気図の確認に。やはり進展はない。ガスもひどくて視界も利かない。
こんな日に大キレットに入っても楽しくない。それに事故でもしたら取り返しが
つかない。今年春に雪崩を経験しているから神経質にもなっている。
下山を決めた。山はまた来ればいい。後ろ髪を引かれる思いでテントを畳んだ。
雨は止んでいた。エスケープルートに選んだのは南岳新道。昨夜一緒に飲んだkaz
さんに聞いていた。しかし南岳新道に降りるのが最短のルートだった。
幸運にも雨は止んでいた。しかし風は強くゴアを着込んでテント場を出発。初めは
それほどでもない登山道が、這松のナイフリッジの尾根を進む頃から急な下りに
変わり始めた。その時一瞬ガスが晴れて景色が見えた。いや、見えない方がよかった
かも。それは凄い道だった。これから降りて行く道が見えない程の急なこう配だった。
石も雨で濡れていた。湿ったテントの入ったザックも重みを増して、時折突風も
吹いて来る。慎重に下った。滑ったら怪我では済まない。しかし膝は元気だった。
これだけの斜面なら膝を痛める人も多いだろう。そうこうしてるうちに樹林帯に
入って風が抑えられた。ほっとする。そして槍平小屋に到着。もう雨なのか汗なのか
分からない状態の濡れ方だったけど、小屋で暖かい食事を済ませて休憩も取り、
そのまま新穂高温泉に向かった。濡れた身体での移動はいつも以上に長く感じた。
しかし頭の中では、来年のお盆にはまた同じコースでのリベンジを既に決めていた。
懲りない奴かも知れないけど、山にはそれだけの思いをしてでもリベンジしたく
なる魅力があるのですね。
コメント
この記録に関連する登山ルート

joeさんとずっと盛り上がった南岳小屋の自炊スペースの夜。なつかしいなあ。
南岳新道の写真、私が以前に下った時のヒヤヒヤを思い出しながら拝見しました。ハンパじゃない高度感、あのハイマツの痩せ尾根、思い出しただけでも「ゾッ」です。
キレット、今夏こそはリベンジ完遂を祈ってます!
(あのとき、私は雨とガスのキレットを渡りましたが、風景が見えなすぎて、何が何やら状態 いつか眺望のある時に私も再度渡りたいですね)
あの夜は雨も酷くてテントの中はビタビタでしたからね
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