失礼ながら国土地理院1/25000地形図では細かな地形が分からない
1/5000森林基本図では地形が詳しく図示されている
地図の場所は、五葉山(岩手県)の南面を流れる大沢です。
地形図では大沢本流は1本の青線で記載されていますが、実際に現地を歩くと複数の沢が並行して流れている箇所が多くあります。特に675m標高点付近(地形図以外には赤丸をつけました。)では、地形図から読み取れる沢の合流点は、本流に北東から支沢(焼鼻沢)が合流している地点だけですが、現地では他にも本流と並行して流れてきた沢との合流点などがあり、渡渉しながら歩いて行くと、本流の右岸にいるのか左岸なのかなど、地形図やGPS、コンパスで確認しても自位置がよく分からなくなってしまいます。
歩道や赤テープがあるため迷うことはないものの、それらが不明瞭になっていたら、相当不安になると思います。
その点、森林基本図では複数の沢筋が読みとれるので、自位置がよりはっきりわかります。私が歩いてみた印象(2018年に3回)では、森林基本図のこの部分は、実際の地形をよく表しているように思います。
また、地形図が「大沢」としている沢を森林基本図は「横沢」と表記していること、支沢にも「焼鼻沢」や「押出鼻沢」などの名称があること、「黒岩」(押出鼻沢が突き上げているピーク)には「葡萄形」という呼称があることも、興味深いところです(黒岩の頂上付近の巨岩はブドウの粒を敷き詰めたようにも見えます。)。
地形図では大沢本流は1本の青線で記載されていますが、実際に現地を歩くと複数の沢が並行して流れている箇所が多くあります。特に675m標高点付近(地形図以外には赤丸をつけました。)では、地形図から読み取れる沢の合流点は、本流に北東から支沢(焼鼻沢)が合流している地点だけですが、現地では他にも本流と並行して流れてきた沢との合流点などがあり、渡渉しながら歩いて行くと、本流の右岸にいるのか左岸なのかなど、地形図やGPS、コンパスで確認しても自位置がよく分からなくなってしまいます。
歩道や赤テープがあるため迷うことはないものの、それらが不明瞭になっていたら、相当不安になると思います。
その点、森林基本図では複数の沢筋が読みとれるので、自位置がよりはっきりわかります。私が歩いてみた印象(2018年に3回)では、森林基本図のこの部分は、実際の地形をよく表しているように思います。
また、地形図が「大沢」としている沢を森林基本図は「横沢」と表記していること、支沢にも「焼鼻沢」や「押出鼻沢」などの名称があること、「黒岩」(押出鼻沢が突き上げているピーク)には「葡萄形」という呼称があることも、興味深いところです(黒岩の頂上付近の巨岩はブドウの粒を敷き詰めたようにも見えます。)。
ただし失礼ながら森林基本図にもいろいろと難点がある
ただ、森林基本図の難点と思われる点は、個々の地図によって見やすさに相当の違いがあることや、作成の時期や方法がよく分からないものが多く精度が不明であることです(昭和三十年代の測図というものもあります。)。また、記載されている歩道は、現在では消失・ルート変更しているものも多くあると思われます。
このため、積極的な使用を推奨することはできませんが、森林基本図が役に立つ場合もあるということで、この場で紹介させていただきました。
実際に使っている方や、森林基本図について詳しい方のご意見やご指摘があればぜひご教示ください。また、他に安価で入手しやすい山岳地域の大縮尺地図をご存じの方はお知らせいただけますと幸いです。
このため、積極的な使用を推奨することはできませんが、森林基本図が役に立つ場合もあるということで、この場で紹介させていただきました。
実際に使っている方や、森林基本図について詳しい方のご意見やご指摘があればぜひご教示ください。また、他に安価で入手しやすい山岳地域の大縮尺地図をご存じの方はお知らせいただけますと幸いです。
【地図画像の出典】地形図は国土地理院発行2.5万分1地形図「五葉山」(平成27年4月1日発行)、国有林野施業実施計画図及び三陸中部森林計画図(基本図)は東北森林管理局Webサイトhttps://www.rinya.maff.go.jp/tohoku/keikaku/kokuyuurinzumen.html
です。
〔2020年11月23日 投稿〕
〔2020年11月24日 地形図の拡大画像を追加〕
です。
〔2020年11月23日 投稿〕
〔2020年11月24日 地形図の拡大画像を追加〕
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irazuyamaさん有用な情報を有難う御座いました。
自分の欲しい地域の地図を見つけるには、「林野庁各森林管理局が下記のWebサイト」から検索が出来ないでしょうか?
リンクを一つづつ開いて、目的地を探すしかないでしょうか?
ご存じであればご教示くだされば幸いです。
graveltrek
graveltrek さん、拙いヤマノートをお読みいただきありがとうございます。
地図の検索については、森林管理局(市町村名の記載があれば参考にして)→施業実施計画図(林班番号を見て)→森林基本図の順に探す、という方法しか見当たりません。
森林管理局の管内地図上で目的地をクリックすればそこの森林基本図に行き着く・・といったような仕組みがあれば便利なのですが、主な利用者と考えられる林業行政関係者や事業者の方々には冗長で不要、ということなのかも知れませんね。
irazuyamaさん有難う御座いました。
「国有林の図面」の右端の枠の中の「施業実施計画図(2万分の1)」で大まかな地図を見て、自分が欲しい「基本図(5千分の1)」の見出し番号で探したら、その場所を見つける事が出来ました。
そこで更にお教えいただきたいのが、irazuyamaさんが行われた「河川線を青で上書きし、地形から読み取れる沢線に緑線を入れました。」という部分です。
沢筋と枯れ沢に、色を付けるだけで、凄く見やすく成りますので、私も色付けをしたいと思うのですが、方法が分かりません。
PDFファイルを開く「PDFエクスチェンジャー」というアプリケーションで、基本図を開いて見る所まで進んでいます、どうぞご教示ください。
graveltrek
graveltrek さん、こんばんは。
「PDFエクスチェンジャー」はこれまで使ったことが無いのですが、試してみますと、
ツールT→コメントとマークアップツールC→鉛筆ツールP→コメントのスタイルパッレトを表示→既定のスタイル(クリックして色、線種、透過率を設定)→線を引く、で色が付きました。消すときには、鉛筆ツールPの下にある「消しゴムツール」が使えます。
因みに、画像は、デジタルカメラで撮影したものに画像処理ソフトで線を入れただけのシロモノです。山へ行くときにはさらに杜撰で、紙にプリントしたものをルートが解りにくい箇所だけ持参しています
林野庁は国土地理院とは独自に航空写真から地図をつくっているのですね。まったく知りませんでした。ご紹介ありがとうございました。国土地理院の地図と重ねてくらべてみて地形表現力の違いに愕然としました。残念ながら関東地区は 1/5000の地図は未公開です。。早く公開してほしいものです。
mikan335さん、おはようございます。ヤマノートをご覧いただきありがとうございます。
森林管理のためには、国土地理院5万分1や2.5万分1地形図では不十分なため、より詳しい独自の地図が必要ということだと思います。同様に、都市計画のために、地方公共団体は1/2500都市計画図を作っています。
技術的なことはよくわからないのですが、今後、森林基本図を更新する際には、国土地理院電子地形図との重ね合わせができるようになれば便利だと思います。
Webでの公開は、北海道、関東、九州がまだのようですね。森林管理署に出向けばコピーをしてくれるはずですが、このご時世に登山のために、というのもナンですしね・・・。
それから、民有林についても森林基本図があり、都道府県庁でコピーが入手できるのですが、私有地の地図の登山利用については、自分の頭では妥当性が整理できなかったので、紹介は差し控えています。
今日みたら、関東森林管理局の 1/5000 が一挙公開されていました。すごい。今日は帰ったら いろいろチェックします。 irazuyamaさんありがとうございました!!
私もさっそく見ました。関東森林管理局だけで2459枚ありました。
これから谷川岳界隈(利根沼田署 120~123図)を眺めてみます。
あの大岩壁も国有林なんですね。
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