日ノ岳稜・裏同心ルンゼ~大同心北西稜継続登攀

yutoof
その他2人 - GPS
- 23:38
- 距離
- 16.5km
- 登り
- 1,865m
- 下り
- 1,863m
コースタイム
- 山行
- 9:24
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 10:54
- 山行
- 7:52
- 休憩
- 2:11
- 合計
- 10:03
| 天候 | 2日間とも快晴 |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2025年11月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ガラガラでした。 |
| コース状況/ 危険箇所等 |
10数センチほど降雪があったようで、ところどころ軽いラッセルを交えた |
| その他周辺情報 | もみの湯 650円/人 夜ご飯はテンホウ |
写真
装備
| 個人装備 |
ダブルアックス
縦爪アイゼン
|
|---|---|
| 共同装備 |
ダブルロープ50m×2
|
感想
今シーズンのアイス初めに八ヶ岳へ行ってきました。とは言いつつ裏同心ルンゼから大同心北西陵の継続登攀に、日ノ岳稜登攀付きという欲張りセット。グレードも個人的にチャレンジングなルートでしたが、メンバーとコンディションに恵まれて、絶景と共に快適な登攀を楽しめました。
<日ノ岳稜>
赤岳鉱泉でサクッとテント設営を済ませ、初日は日ノ岳稜へ。アプローチは中山乗越へ登り始める前に沢筋へ逸脱し、柳川北沢右俣を詰める。2箇所ほど沢の分岐があったが全て右側へ。
顕著なスカイラインが中山尾根だとすぐ分かったので、その隣が日ノ岳稜だろうと特定して取り付く。中山尾根下部岸壁からのトラバースルートも見えた。
1P目 Ⅲ+
トポの取り付きよりも上に来ていたようなので、すぐ左にトラバースしてから右寄りに稜上を目指して登る。この時バンド状の段差を乗り越えるのに苦労した。草付きを登ると分かりやすい稜線が見えたのでそこまで伸ばして灌木で終了点をとった。
2P目
稜線上を上がっていくのでゴール方面はよく見えるが、岩のどこを登るかルーファイが難しそうだった。Oさんが試行錯誤しながら上手く弱点をついて終了点へ。
3P目
岩場を登ってすぐダケカンバ帯へ。適当に伸ばして灌木で終了点。ここからコンテでリッジ、ハイマツ帯を越えて上部岸壁へ。ラッセルだったが割と雪は締まっていて苦労しなかった。
4P目
ハイマツ帯が切れた、上部岸壁手前辺りからロープを伸ばす。ビレイヤーはハイマツで支点を取ってセルフビレイをとった。ここは綺麗なクラックもありカムが決められたようだ。
このあたりで隣の中山尾根から声が聞こえてきて、向こうのパーティと写真を取り合った。
5P目 Ⅲ+&Ⅳ-
上部岸壁直下に付くも凹角が見当たらず、岸壁に上がれそうな場所も見当たらない。日ノ岳ルンゼを登るかぁと思って右側へスタートするが、ちょっと登ってからすぐ左を見ると顕著な凹角が。上にピナクルも見えてここで間違いないと思い左上した。
ピナクルに着くと目の前にフェースが見えたが、ロープの流れも良かったのでそのまま繋げて登る。ボルトやハーケンなどの残置支点は豊富にあり、他で取れそうになかったのでありがたく使わせてもらった。
(後からOさんに聞くと0.5番くらいのカムが決められるようなクラックがいくつかあったらしい。反省)
個人的には登る方向が思い描いた通りで、ロープの流れを綺麗に纏められたと思う。セカンドで上がってきたOさんが拍手してくれてとても嬉しかった。後で振り返ってみるとトポの4P目と5P目を繋げて登攀してたようだが結果オーライということで。
6P目
簡単な岩場ありの雪稜を登っていく。
この辺りで中山尾根のパーティも最終ピッチへ着いたよう。
絶景をバックにピナクルで終了点を取ってセカンドビレイをする様はまさにアルパインクライマーと言った感じでとてもカッコ良かった。
7P目
あとは雪稜を登るだけ。頂上直下に灌木が見えたのでそこまで上がっていくが、足場があまりよくなさそうだったのでもう少し上がってハイマツから終了点をとった。ここでロープ解除して山頂へ。
下山は地蔵尾根と迷ったが、横岳を経由して大同心稜からの下降を選択。先々週に比べて大分雪が積もっており、むしろ歩きやすかった。
今回はベース型の山行なので夜は待ちに待った宴会。しかもOさんが数日前誕生日とのことで、お祝い仕様🍾以前教わった方法でケーキを作り、ささやかながらお祝いさせていただきました。美味しい料理を準備いただいたKさん、ありがとうございました。
Oさんお誕生日おめでとうございます。
楽しい時間はあっという間で、次の日も早いので早めに就寝。
<裏同心ルンゼ>
6時出発のつもりで4時に起きるが、思ったより準備が早く済んでしまい、5時半過ぎ位からスタート。裏同心ルンゼに入ってすぐ大同心が見えて、あそこまで一気に登り詰めるんだなぁと感慨深かった。
明るくなってきたあたりでF1に到着、ここはフリーで登った。F2も傾斜はそんなにないが、三段で40mと1番長く最後は立ってるのでロープを出した。三段目で1箇所スクリューで支点をとる。登り切ってすぐ目の前に岩があったのでスリングをかけて終了点にしたが、F3のすぐ手前にボルトの支点があったのでそこまで伸ばしても良かったかもしれない。F3はOさんがロープをつけたままフリーで登り、セカンドとサードはビレイしてもらう。ここからはコンテであがり、なめてめるF4はそのままコンテで通過。F5は確保したが、氷が薄い部分がありスクリューは注意が必要。ここも結局中間支点は一箇所のみ。登り切るとすぐ左側にボルトがありここを終了点とした。
ここからもコンテで上がり、氷化したガリーを越えたところでロープを解除。大同心北西陵の取り付きまで詰め上げた。
<大同心北西陵>
1P目 Ⅳ-
左上したところにクラックとピナクルが見えたのでそれを目指して登っていく。前半は草付き、後半はアックスをしまって岩場を登った。
2P目
トラバースしながら左に巻いていく。ロープいっぱい登ったあたりで良い感じのテラスがありピナクルで終了点をとった。ほぼ歩き。
3P目
草付きの岩場を登っていく。脆い場所が多くラクしやすかった。
4P目 Ⅲ+
次の凹角が見えたのでその取り付き目指して登っていく。岩はしっかりしていてカムで支点を取りやすかった。ボルトがあったが手前のピナクルで終了点をとった。
5P目 Ⅴ
傾斜のある顕著な凹角がかなり先まで続いているように見えた。最初は岩だけだったのでアックスを腰につけて登ったが、次第に草付きが多くなってきてアックスを再度出して登った。腰にしまうか首にかけとくかの判断が難しい...
ホールド自体は豊富で足を広く使いながら登り切った。
6P目 Ⅳ
前ピッチと同じような傾斜のある岩場を登ったあと、右手に回ってルンゼに入る。トポ上だとかなり右に回り込むようだが、どこも上がれそうで、終始正しいラインを登っているか不安だった。ルンゼを直上して雪稜に上がれたのでそのまま登り、灌木で終了点をとった。
雪稜は傾斜が緩くなったのでここからコンテで核心部の取り付きまで登った。
7P目 Ⅴ+
今回の最終ピッチにして核心部。正直ちゃんとリードできるか自信がなかったが、運に任せてOさんとジャンケンしたら勝ってしまい、ありがたくチャレンジさせてもらうことに。
やはり出だし目の前に見えていたワイドクラックが核心部。ボルトやハーケンは豊富にあったので、全て使いながら慎重に登る。クラックは手のホールドはあるが、足が全然なく前爪が中々決まらない。またワイドクラックに身体を捩じ込もうとするが腰につけたアックスが邪魔してこれまた上手くいかない。そうこうしてるうちに足が外れてテンションかかってしまった。さらに一個下の中間支点のカラビナがアックスにかかってしまうアクシデント。四苦八苦しながら外し、少し休んで再度トライ。今度はクラックに無理に身体を入れず、足をよく見て登り核心を突破。以降は足も豊富にあり無事登り切る。正直ボロボロで悔しかったが、なんとか上まで上がれて一安心だった。
事前情報どおり大同心の頭に出てしまうと何も無いので手前の岩にスリングを巻きつけて終了点とした。
大同心の頭まで出ると案外風が無くて快適。そして雲一つない絶景が出迎えてくれて少し気持ちが晴れた。最初にこの場所にきてから1年と少しが経つが、早くも5回目。それでもこの独特の岩稜は何度見ても素晴らしい景色だし、今回が一番コンディションが良い。ルートが自分にとって厳しかったのもあり、しばし感慨に耽った。
振り返ると上がってきた裏同心ルンゼ、さらにその奥のジョウゴ沢までよく見える。そして後続パーティも上がってくるのが見えた。
北西稜登攀開始から4時間が経って時刻は12時半。最後苦戦したが想定よりも良いペースで登攀できていたことに安心した。
本日も大同心稜を下降し、赤岳鉱泉でテントを撤収して帰路に着いた。
全体を通してルーファイやロープの流れの考慮はできるようになってきたなと感じたが、カムが決められる場所を見落としていたり反省点は多い。特にアックスに関しては登攀の邪魔になったりリーシュが絡んでしまったりと失敗は多かった。とはいえ実際に経験してみて学びは多かったと思う。これからも冬季登攀スキルを磨いて、裏同心~北西稜の継続登攀にはリベンジに来ようと、下降中の大同心・小同心を見ながら誓った。
改めてご一緒いただいたOさん、Kさん、ありがとうございました。
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