天城縦走

- GPS
- 05:09
- 距離
- 16.6km
- 登り
- 784m
- 下り
- 1,210m
コースタイム
- 山行
- 4:42
- 休憩
- 0:22
- 合計
- 5:04
| 過去天気図(気象庁) | 2025年07月の天気図 |
|---|---|
| アクセス |
写真
感想
天城山縦走
夜行バスで三島へ着いた後、熱海を経由して奇しくも最近話題となっている伊東で下車。伊東線の車窓から見える景色を楽しんでいたが、数十分の乗車が一瞬のように思えた。小さい頃から海とはあまり縁がなかったために、海沿いの街というのはどこか惹かれるものがある。伊東からは天城縦走登山口までシャトルバスに乗って移動した。
万次郎岳・万三郎岳までは伊豆半島特有の植生を眺めつつの山行であった。これらの植生は本州ではここ以外では見られないようで、南洋諸島の面影を感じた。万次郎岳・万三郎岳までは起伏が激しい部分もいくつかあったが、そこを抜けると天城峠に至るまでしばらく気持ちのいいハイキングが続く。登山を単なる百名山ハントではなくそれを通じて自然と文化に対する知見を磨くという観点からすれば、万次郎岳・万三郎岳を踏んで周回するよりも険しい地形や歴史を有する天城峠・天城トンネルまで縦走する方が得られるものは多いだろう。
さて、今回の天城山縦走の最大の目的は百名山の万三郎岳というよりもむしろ天城峠にあった。天城峠は古くから難所として知られており、近世以降は多くの文学作品の舞台としても有名である。しかし、私が天城峠と聞いて真っ先に思いつくのは、1957年の天城山心中である。彼ら(あるいは彼)の行いを過度に美化することは現代では許されないかもしれないが、悩みに悩んだ2人の覚悟がそれを実現せしめたことは確かであろう。関係者でも評論家でもない私はそれを事細かに評価する立場にあるわけではないが、後世に生きる人間としてせめて手を合わせて冥福を祈ることが彼らにとっては幸せではないかと思ったのである。残念ながら現場となった百日紅の木は見つけることができなかったが、向峠のあたりでしばし黙祷していると2頭の鹿が傍に現れた。こちらをジッと見つめた後ブナ林の中へ駆けていった2頭を、私はおよそ70年前にこの地で没した2人の姿に重ねずにはいられなかった。
shunning











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