【南ア】大武川水系赤薙沢ミツクチ遡行~富士川水系石空川北沢下降

- GPS
- 32:00
- 距離
- 23.1km
- 登り
- 1,870m
- 下り
- 1,882m
| 天候 | ○10/12(日):晴れ ○10/13(月):晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2025年10月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
前泊の夜に、モグラくらい小さいクマが家の中を駆け廻って暴れる夢をみた。僕を含めて家の人は、なんとかそのモグラグマを捕まえようとしたけれども、モグラグマはとても素早くて苦労した。ようやく捕まえても、カカカカカッ!と、爪か牙かで捕えた容器を壊してすぐに出てくる。金属の容器で捕まえても出てきた。そうこうしているうちに、家を出るタイムリミットになってしまって、僕らは諦めて出発した。
目がさめてから思えば、モグラグマは僕らに危害を加えたかったのではなかったのかもしれない。家の中に迷い込んで怖くなってパニックになってただけかもしれない。それを僕らが捕まえようとして、余計に怖かったかもしれない。そうだとしたら、モグラグマにはとても悪い事をした。
ミツクチ沢には以前から興味があった。
モグラグマとは違って、僕らは自分たちの意思でミツクチ沢に入った訳だが、ヌメリとボロさに結構やられた。危険な遊びをしてるなあと、何度か思った。ただこの谷が他とは一味違う凄みがあることは確かで、特に2つの苦労した滝や略奪点の滝は印象深く思い出に残ると思う。
以前から行きたかった裏渓谷の1つ、南アルプスのミツクチ沢と北沢の下降もセットで行ってきた。記録も少ないので簡単な記録をアップする。
○1日目
篠沢キャンプ場近くの駐車場に車を停めて、明るくなりはじめと同時に出発。下山は石空川渓谷なので最後に10キロほどの歩きが待っているが、今はそれを忘れよう。大武川への入渓点までしばらくの林道歩き。思ったよりも長く、入渓に1時間ほどかかった。入渓地点に到着し、装備を整えているとH氏がアッセンダーと下降器を忘れていることに気づく。これも知らなかったことにしておこう。なんとかなるさ。入渓してすぐに滝が現れるが容易に右岸から巻ける。堰堤を越えると、赤薙沢の出合いとなる。すぐに赤薙の滝がお出迎え。登った記録もあるが難しそう(エイドは必須)。我々は右岸から巻いた。ここから連瀑帯が続くが相手にはせず、巻きを繰り返しながら黙々と進む。この辺から、滑りと脆さを少しずつ感じる。左岸に古道があるようだがそれに似たような明瞭な踏み跡がしばらく続いていた。ミツクチ沢出合いの手前の滝は左岸のルンゼから巻いたが、思ったよりもボロく、傾斜もあったのでロープを出した。3時間ほどでミツクチ沢出合いに到着。いよいよボロボロ沢へ突入だ。少し歩くと出てくる8m滝は滑りがひどく、右岸巻き。いよいよ側壁が立ってきた。4m滝も悪そうなので左岸から巻いた。すると前方に巨岩帯と15m滝が見えてくる。直登は難しいので引き続き、左岸巻き。上がりすぎないように滝の落ち口付近をトラバースしながら、最後に懸垂で帰還。いよいよ核心のCS20mの滝が行く出を阻む。右岸からの記録もあるが難しそう。記録の多い、左岸からロープを出した。ボロい泥壁を直登して、スラブをトラバース、最後は抜けの悪いワイドをA0でなんとか突破。抜けのワイドがかなり手強かった。まだ、ゴルジュ帯は続く。CS6mを右岸から巻いていると前方に2段40mの滝が。巻きは厳しそうなので滝を登ることに。1段目はフリーで登り、2段目からロープを出した。左岸は草付きスラブで悪そう。滝の左側を直登した。下部はボロい、ガバホールドが続く。掴んな岩がどんどん剥がれる。滝の落ち口あたりが悪く、A0で突破。精神的に痺れるピッチだ。滑りとボロさでお腹いっぱいだ。目標は離山のコルまでだったが、時間が微妙なため、15時ごろに三俣で幕営することに決めた。明日は長い1日になりそうだ。焚き火も水も豊富で快適な幕営地もあり、最高の夜を過ごせた。泊まりの沢はこうでなくちゃ。
○2日目
長い1日になりそうなので4時半に起き、明るくなり始めると同時に行動スタート。難所は過ぎたが、巨岩帯とボロい滝や壁でペースを稼げず、神経がどんどんすり減っていく。しばらく歩いていると美しい連瀑帯が現れる。その後に出てくる4m滝の左岸の巻きのトラバースが今回の1番の恐怖のトラバースとなった。6m滝付近から崩落地形へ。最上部の大滝を目印に左岸ルンゼを詰めて離山のコルに向かう。ここのルンゼもかなりボロく、左へトラバースしながら標高を上げていくとコルへ。荷物を置いて、隠れた名山の離山へ。記念撮影を済ませて、北沢下降へはいる。4時間ほどで下降できると思っていたが想像以上に大変だったが、ミツクチ沢とは違い脆さはなくなり、長閑な景色が楽しめる。
しかし、谷幅が広く、容易に降りられない滝が連続して、なかなかスピードが上がらない。懸垂と巻きを降りを繰り返す。30m滝は落ち口から懸垂でそのまま降りた。地形図状の50m滝は右岸巻きと懸垂を交えながら、下降。もうお腹はいっぱいだ。いよいよクライマックスの北精進ヶ滝の滝へ。登りでは左岸から容易に巻いているようだが、巻き降りは容易ではなく、際どいトラバースや懸垂でなんとなく降りられた。クライマックスに北精進ヶ滝が出てくるのは感動的だった。そこからは明瞭な道と遊歩道で石空川渓谷の駐車場へ。気づけば、時間も17時を回って至る。これで終わりと思いたいが忘れかけていた10キロ歩きが残っていた。ヘッデン下山でヘロヘロになりながらも、ようやく駐車場へ戻ってきた。ふと、空を見るとたくさんの星が心をふと癒してくれた。
○総括
評判通り、生きた心地のしない沢(ミツクチ沢)だった。常に気を抜けないとはこのことかもしれない。裏渓谷とは、実はボロさを基準に設定されていたりして‥。そのボロさを含めても、1度は行く価値がある沢だと感じた。ただし、2回目はごめんだ。
しかし、この感じだと数十年したらこの沢は崩落で埋まってしまうかもしれない。まあ、それも運命。この谷の生命エネルギーは他の沢とはちょっと違うものを感じた。北沢は滝が多く、下降にはあまり向いていない気がする。思ったよりも時間もかかり、お腹いっぱいだ。ただし、締めで北精進ヶ滝が出てくるのは大変乙である。
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hazuki2012r
takuya1004










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