【越後駒】水無川 西不動沢右俣遡行・笹花沢下降・ブナツルネ沢遡行


- GPS
- 17:45
- 距離
- 16.5km
- 登り
- 2,463m
- 下り
- 2,457m
コースタイム
- 山行
- 8:52
- 休憩
- 1:03
- 合計
- 9:55
天候 | 1日目:高曇り一時小雨 2日目:曇り一時小雨→雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2025年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
以奥の砂防工事用道路は、走破性の高い小型車なら光岩砂防堰堤付近まで入れそうである。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
○西不動沢右俣:3級上(今回遡行) この沢最大の西不動滝は水線直登できないが、左の藪を登れるので高巻にはならない。訪渓時はぬめりが強く快適ではなかったが、タイミング次第かもしれない。水無川の核心部が一望でき景観が良い。詰めても登山道はないため、藪を登るか沢を下る必要があるのが難点。 ○笹花沢:3級(今回下降) 直登可能なナメ滝やスラブ滝が多いが、伏流がちなゴーロもそれなりに長い。下降の場合クライムダウンが難しい滝も多いので、遡行する方が快適。水量は少ないので増水時に行くのも良い。詰めても登山道はないため、藪を登るか沢を下る必要があるのが難点。 ○ブナツルネ沢[モチガハナ沢右俣]:4級下(今回遡行) 本谷を詰めれば1800mまで上がる沢だが、1000mを少し越えた所で多量の湧水があり、水が涸れる。詰めは急峻なガレが長く続き、面倒らしいため、水が涸れたら右岸尾根に上がり、下山する方が快適かもしれない。水涸れまでは滝が続き、登り応え/巻き応えもあって楽しめる。 |
その他周辺情報 | 【地名】 ○ブナツルネ沢[モチガハナ沢右俣] 登山大系や上信越の谷105ルートでは「モチガハナ沢右俣」だが、越後三山・只見集成図等に従い「ブナツルネ沢」とした。地理院地図では右俣の位置にブナツルネ沢と書かれており、一致している。最初の滝が、修験者が行をする「行場の滝」(中村,1969)。 ○駒の行場 文献によると、ガッカノ沢[モチガハナ沢左俣]とブナツルネ沢とノボリ沢が合流するところらしい。ノボリ沢の位置について、ブナツルネを下ってくると左にブナツルネ沢、正面にノボリ沢があるらしい(中村,1969)。候補となるのは五俣のうち一番右と右から2番目だが、一番右は水量がほとんどないため沢名がついているとは考えにくいので、右から2番目をノボリ沢と推定した。 ※参考文献 ・「上越国境 (日本山岳写真叢書)」塚本閤治 編 山と渓谷社, 1946 ・「ふるさとの山 : 上信越国境を歩む」中村謙, 富士波出版社,1969 ・「越後の山旅 下巻」藤島玄, 富士波出版社, 1979 【他の記録】 ○西不動沢右俣 西不動滝という顕著な滝があるが、記録は非常に少なく、WEB上にはない。文献記録は下記の2つを確認。 ・1959年7月 年報独標 第1号(1954-57)(独標登高会, 1959) 重南昌男ほか2名 初登と思われる記録だが、下部は左俣から巻いている。上部は雪渓下。登山大系の記述の原典もこの記録と思われる。 ・1979年8月 渓谷溯行資料10(引用元:暁山岳会6号) 達崎登ほか1名 雪渓はなく完全解明している。 ○笹花沢 遡行記録はいくつもあるが、下降記録は未見。初登は不明。 ○ブナツルネ沢[モチガハナ沢右俣] 記録は多いが、内容に問題のある記録が多いため、以下に確認できた全てを挙げておく。なお、水無川流域で中級レベルの沢とされることが多いようだが、実際には結構難しいので要注意。 ・山と渓谷293号(1963年7月号) 登山大系の記述の原典で、初登と思われる記録だが、読めていない。登山大系の記述に誤りはないが、概念図のみで遡行図はない。 ・1979年8月 渓谷溯行資料10(引用元:暁山岳会6号) 高間秀忠ほか1名 遡行図有 この記録は、その内容からブナツルネ沢ではなく、ノボリ沢を遡行していると思われる。なお、ノボリ沢の唯一の記録ではないかと思われる。 ・1995年9月 わらじ年報19 関根幸次ほか3名 遡行図有 この記録は正確であり、遡行図もある。 ・1998年9月 上信越の谷105ルート 豊野則夫ほか 遡行図有 実際には「4段60m滝」の下で水が涸れるはずだが、その上流で水が涸れると誤記されている。 ・2007年9月 ぶなの会の3名 遡行図無 http://field2007.la.coocan.jp/mountain/climb/070902m.html ・2008年9月 わらじ年報31 大津政雄ほか3名 遡行図無 この記録は、985m左岸支流を本流と勘違いした上で、支流だと思って本流を登ったが、1040mで右の涸棚を本流であると気付かずに右岸枝谷を遡行し、上部で長い藪漕ぎをしていると思われる。 ・2022年9月 東山(HG)(杉並労山)、鈴木(横浜蝸牛) 遡行図無 https://yokohamakatatumuri.com/katatumuri-ac/come/come220925-1.html |
写真
装備
備考 | ・ラバーソール使用。ぬめりはあるが巻きのためにラバーソールの方が良い。 ・メインロープは不使用、10m程度のお助け紐は使用。 |
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感想
【計画の経緯】
最近、東不動沢の記録は良く見るようになったが、西不動沢は不遇である。西不動滝という遠くからでも見える滝があるのに、殆ど遡行されていない沢なのが興味を引き、西不動沢右俣へ行くことにした。下降ルートは笹花沢とし、翌日は午後から雨予報であることを考慮し、登山道下山となる(予定であった)ブナツルネ沢とした。
【感想】
西不動沢はぬめりが強くて快適ではなかったが、西不動滝は立派で見応えがあり、ドローンで良い写真も撮れたので良かった。左の垂直に近い藪を登れば落ち口に出られるのも好印象。また、詰めは眺めの良いスラブで爽快だった。ここから見える水無川核心部の谷も滝沢、北沢、北沢右俣、真沢、御月山沢と、大体行ったところだというのも感慨深い。
笹花沢は、ロープを使わずに下れたものの、やはり登った方が楽しいだろう。
ブナツルネ沢は下部は登れない滝が多く、途中から面白くなってきたが、想定よりもかなり下で水涸れしてしまった。水無川流域にもこんな沢があるとは。これから雨が降る下り坂の天候の中、涸れ谷をわざわざ詰める気にもなれず、右岸尾根に上がって下山してしまったが、詰めは面倒らしいし、雨も車に着くころには本降りになってきたので、結果としてはこれで丁度良かった。
優れない天気の週末ではあったが、それにふさわしい天気の、凄く良い訳でもない沢を探検するという、ちょうど良い山行ができた気がしていて、満足している。
今季はほとんど南ア漬けだったが、久しぶりに越後の渓へ。
水無川流域を一望でき、その概念がよく分かる景観は色々と感慨深いものがある。山岳信仰や先人沢ヤの探検などで、錯綜しまくっている地名の整合推理が面白い山行となった。
ブナツルネ沢は想定よりかなり早い段階で水枯れする沢だったが、ある意味"水無川"らしい結果なのだろうか。
藪尾根下降が思ったよりイケたので、下降向きの沢が少ないこの山域でも今後のルート取りが広がりそうだ。
コメント
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