山行3日目は、燕岳へ 雲間に現れた絶景


- GPS
- 07:51
- 距離
- 12.5km
- 登り
- 1,474m
- 下り
- 1,478m
コースタイム
- 山行
- 6:44
- 休憩
- 1:58
- 合計
- 8:42
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
予約できる山小屋 |
中房温泉登山口
|
写真
感想
北アルプスで予定していた2泊3日の縦走は、天候不良により断念せざるを得なかった。代替案として、前日までの2日間は、いつもの友人とともに仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳を登り、雨に濡れながらも充実した山行を楽しんだ。下山後、食事をとりながら天気予報を確認すると、翌日は曇りながらも雨の心配は少ないと判断。急遽、燕岳への登山を決めることにした。
濡れた装備はコインランドリーで乾かし、準備を整えた後、中房温泉の登山口にある駐車場へ移動して車中泊。翌朝は、日の出の約1時間前に行動を開始。空を見上げると、北斗七星がくっきりと輝いていた。登山口には団体バスが停まり、多くの登山者が降りてきたが、まだ薄暗いためか出発はしていないようだった。
登り始める頃には、ヘッドライトなしでも歩けるほどの明るさとなり、冷たい空気の中、静かに歩を進める。3日連続の山行は初めての経験だったが、筋肉の疲労や足の痛みはほとんど感じなかった。3年前と比べて、確実に山に慣れてきたという実感がある。
カッパのズボンを履いて登り始めたものの、すぐにオーバーヒートしてしまい、第一ベンチで脱ぐことに。ベンチがあるおかげで、着替えなどの作業も非常に楽に行えた。この日も、互いのペースを崩さないよう、黙々と歩き、ベンチで休憩するというスタイルを貫いた。よく整備された登山道と、ざらざらとした花崗岩の地面は靴のグリップが効きやすく、非常に歩きやすい。
第3ベンチでザックを下ろすと、水筒の水がこぼれていることに気づいた。パッキンが外れていたようで、そういえば第2ベンチで休憩していたとき、足元に白いリングが落ちていたのを思い出す。帰りに回収するのを忘れないよう心に留めた。
このあたりから、下山してくる登山者とすれ違うようになった。話を聞くと、山頂では雨は降っていないものの、風とガスで眺望はなかったとのこと。今回の登山はトレーニングのつもりで臨んでいたため、景色が見えなくても気持ちは揺るがなかった。
合戦小屋に到着すると、すでに営業が始まっていた。下ってきた登山者は「寒かった」と言いながら、暖かい飲み物を注文していた。その言葉で、上着を着ることにしたが、その後すくに熱くなり上着を抜くことになった。
合戦の頭まで登り、上を見上げても雲に覆われて燕山荘は見えなかった。ここからは急な坂が少なくなり、紅葉の中を友人と話しながら歩いた。時間が短く感じられるほど、心地よい道のりだった。
燕山荘のテント場から稜線に上がる瞬間の景色が好きなのだが、この日は雲に遮られて見えなかった。それでも、燕山荘から燕岳の稜線にある白い岩が雲の間から見えたため、テント方面へ歩きながら写真を撮った。
雲の切れ間を見つけた2人の女性が、「もう少しで見える!」と高揚した声を上げていた。その瞬間、ほんのわずかに燕岳の稜線が姿を現し、空の表情が変わり始めた。
山頂を目指し歩き始めるとすぐに、燕岳の山頂まで見渡せるようになった。まったく期待していなかっただけに、最高の景色が広がった瞬間は感動的だった。しばらく立ち止まり、写真を撮ったり景色を眺めたりして過ごす。振り返ると、大天井岳から燕山荘までの稜線がしっかりと見渡せた。
「このまま山頂でも絶景が見られるかも」と期待して歩き出すと、再びガスに包まれ、眺望は消えてしまった。しかし、上空には青空が広がっており、ガスが流れて景色が再び見えそうな気配があったため、期待を胸に山頂まで一気に登った。結局、山頂では真っ白な背景の中で写真を撮影。ここで友人は北燕岳を目指すことに。自分は先月登ったばかりだったので、もう少し燕の山頂を楽しんでから燕山荘に戻り、お湯を沸かしてゆっくり昼食をとることにした。
燕山荘でお湯を沸かしていると、雲の間から一瞬だけ槍ヶ岳の穂先が見えた。タイムラプス撮影を試みたが、途中でバッテリーが切れてしまい、記録には残せなかった。昼食を終えた後、友人と合流し、すぐに下山を開始。名残惜しい気持ちもあったが、この日も門限が決まっていたため、足早に下山した。
下山中はいつものように会話を楽しみながら歩いた。第2ベンチでは、登りでなくした水筒のパッキンを回収。ベンチに座っていた方の足元にまっすぐ近づいてしまい、不審に思われてしまったが、無事にパッキンを回収できて一安心。
ここからは、時計を見ながらペース上げて、登山口まで一気に戻る。達成感に浸る間もなく車に乗り込み、しゃくなげの湯で15分だけ入浴を済ませた。その後は、友人の荷物のパッキングやお土産の購入、自分は子どもの迎えと、それぞれの予定に合わせて慌ただしく行動。山の余韻を感じる間もなく、日常へと戻っていった。
2泊3日の縦走こそ叶わなかったものの、3日間にわたる山行を通じて体力への自信が深まり、雨の合間には思いがけない絶景にも出会えた。来年こそ縦走を実現するための、確かな一歩となる経験だった
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