【下田・川内】倉谷沢遡行~大川下降~光来出川東又沢遡行~割岩沢下降~広倉沢右俣左沢遡行


- GPS
- 38:44
- 距離
- 53.8km
- 登り
- 4,178m
- 下り
- 4,390m
コースタイム
- 山行
- 2:42
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 2:42
- 山行
- 8:48
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 8:48
- 山行
- 7:13
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 7:13
- 山行
- 7:57
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 7:57
天候 | 9/22 曇り 9/23 曇り 9/24 晴れ 9/25 雨 9/26 雨のち晴れ 9/27 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
雪渓ナシ。 |
写真
感想
海外沢登り前のトレーニングで放浪者A氏と下田川内でロングな遡下降を実施。
■1日目 倉谷沢遡行
忘れ物や買い足し、車回しなどでバタついていたらいつの間にか入渓が1030。微妙な時間なので予定だった山越えはせず適当に良い場所があったら泊まることにする。
倉谷沢は下降でよく使われる沢であまり期待していなかったが、普通に美渓。なんなら近くの駒形沢よりも綺麗な気がする。13時過ぎに良い幕営地があったので、2時間しか動いていないがこれ以上先に良い場所が無さそうなので行動終了。
■2日目 倉谷沢遡行〜大川下降
明るくなってから出発。いきなりゴルジュ地形になり、奥に面倒くさそうな滝。空身で登ってスリングで荷揚げ。それ以降は特に何もなく乗越すコル目がけて黙々と登る。さすがに1週間分の食料を積んでいるのでザックが重い。休み休み登ってコルに到着。そこから大川の本流である大ブナ沢に向けて下降して行く。
何とか巻き降りれそうな5mくらいの滝と魚止めの滝20mで懸垂した。
大川上部は平穏な流れが続く沢だが、上矢筈沢近辺から断続的にゴルジュ帯となり、流されたりしながら下る。途中ヤバイ水流があるゴルジュに突っ込んでA氏が溺れかけた。ここは巻いたほうが無難。音滝を見送ると大川は終わる。
光来出との出合でいい時間になったので行動終了。
なんとKCは両足の沢靴が崩壊。マジで帰ろうかと思ったが、気合で持ちこたえる。
■3日目 光来出川東又沢遡行
朝イチから泳ぎの連続。光来出川の下部は予想よりも凄いゴルジュで朝から泳ぎ疲れる。
A氏は泳ぎの最中にビレイ器、アブミ、捨て縄、ゴープロを紛失し、すっかり意気消沈。
敗退条件が揃ってきたので、日が当たるところで敗退会議を行う。
まぁ、とりあえず東又沢出合だけ覗いてみましょと言うことで出合に到着すると2人ともやる気が回復。
予定通り東又沢を進む。東又沢は50cm幅の激狭ゴルジュから始まり、その後もゴルジュチックな渓相が続く。青里沢に入るとゴーロとなったのも束の間、2段20m級のヤバそうな大滝が現れ、灼熱の中大高巻き。
沢に戻るとさらに登れない滝が続いていて、巻きに徹する。暑さと荷物の重さでクタクタ。
微妙な時間になったので、山越えせずに手前の二俣で無理矢理寝る。ラジオで天気予報を確認すると明日は雨予報らしい。割岩沢下降はどうなることやら…。
■4日目 光来出川東又沢遡行〜割岩沢西俣沢下降〜割岩沢下降
朝イチから山越えで平凡な沢を詰めていく。コルからは青里岳の堂々とした姿が見えた。反対側の西俣沢を下降して行く。本流筋までは特に何もないが、ここから滝地獄だった。捨て縄たくさんあるし〜と余裕こいて懸垂連発していたら10m級の滝が出てくる出てくる。もうキリがないので途中からほぼほぼ巻いて沢には戻らず出合に着いた。
さて、次は割岩沢の下降だが、ここで雨が強くなる。通り雨っぽい感じで降ったり止んだりを繰り返している。周りのスラブ帯は滝になっていないので、とりあえず足早に下って行く。割岩沢は超美渓でこちらも下降の記録が多いが、遡行も楽しそう。魚影も濃い。
北俣沢を過ぎるとゴルジュが本気を出してきて、ついにジッピとご対面。何も情報がない状態で来たら小便漏らしそうなくらいエグい見た目をしている。
恐怖を消すように吠えながら暗闇に突っ込み流され、30秒くらいで終わった。
ジッピが終わった頃にいよいよ大雨となってきたので、良さげな河原を見つけたこともあり行動終了。
タープの下でゴロゴロしていると目の前が瞬く間に増水し濁流となる。早めに行動終了して正解だった。
雨のピークはもう終わっただろうと眠りについたら、深夜2時に大雨の音で起こされる。日中のやつよりも明らかに強い降りっぷりでしかも全然止む気配がない。
避難しましょう!というA氏に対し、KCは大丈夫っしょーと余裕をこいていたら、ふと外を見ると音もなく濁流が目の前に迫っていた。これはヤバイと高台に避難。タープを被ってお座りビバークをするが、地面が水路になっており、雨具の下に着ていた防寒着も全て濡れる。雨が止んだので元の河原に戻ってタープを張り直して再び寝る。乾いた服が一着も無くて全裸で寝袋にくるまった。
■5日目 停滞
朝から晴れると思っていたが、中々雨が止まない。沢も水は引いたが濁流のまま。仕方ないので今日は停滞とする。昼から晴れてきたので全ての衣類を完璧に乾かし、各々好きな時間を過ごし翌日に備える。
■6日目 割岩沢下降〜広倉沢右俣左沢遡行
昨日まったりした分、少し早めに出発。
平水で濁りの取れた割岩沢を下降して行く。断続的に泳ぎとなり体が震える。
今出から今年2回目となる本流を下降して広倉沢へ。
荷物が軽くなったのか2人ともかなりハイスピード。
もう1泊する予定だったが、今日中に帰れそう?
前回少し大きく巻いたオヒロ淵をコンパクトに巻き、敗退した区間へ。雪渓は無く滝も無い見せかけゴルジュを進む。二俣手前でかさね淵と呼ばれる2段の大きな釜を持った滝が現れる。2段目は煮えくり返っていたので、念の為ロープを出して突破。ここを越えると二俣となる。左俣はまた今度行く予定なので右俣に入る。
すぐに登れない12m滝。ここは左岸から高巻き、ゴルジュに戻るのも面倒なので何個か滝を越えたところで沢に降りた。ゴルジュ地形を進むと左沢/右沢の二俣。ここは左沢へ。いきなり小難しいCS滝が続き、アクロバティックなムーブで越える。ゴルジュ最後に絶望的なトイ状の滝が2つあったのでまとめて巻いた。
そこからは平凡な渓相となり、水の流れるゴーロをひたすら詰めてクタクタになりながら登山道に抜けた。
山頂で寝ようかなとも思ったが、町が見えてしまうとすっかり下界が恋しくなり、今日中に下ることにする。ここを歩いた人なら分かる、アップダウンの連続するデスロードをひたすら進み、最後はヒルまみれになってチャレンジランド杉川に降り立った。
管理人さんがWiFiを貸してくれて中澤さんにラインしてタクシーを手配してもらい、早出川ダムに帰還。中澤さんがいなかったらさらに10kmを歩くことになり、マジで死ぬところだった。とても助かった。
今回初の長期遡下降ということで
1−3日目くらいはマジで下界が恋しかったが、4日目くらいから山にいる方が心地よく感じてきた。沢靴と日数が確保出来ればもっと他の沢と繋げてみたかった。
今後は他の山域やさらに長期で沢に入ってみたい。
付き合ってくれたA氏、そして温かく時には厳しく?迎え入れてくれた下田・川内の山々に感謝。
○経緯
今シーズンの海外遡行のプレと位置付けて、長期での継続遡下降を行った。候補地には、白山、南アルプス、北アルプス、朝日、飯豊、川内と複数のプランを用意。今年は雨が少なく、雪渓が多く残っているため、候補は絞られていき、川内となった。
ある人が言うには一般登山者は川内では1泊で悲鳴をあげ、沢ヤは2日で根を上げるとか‥
そんな山域で1週間にも及ぶ沢旅が始まろうとしている。一度、入ると電波も通じず、街も見えず、文明の力からおさらばとなる。
・1日目
7時10分にセブンに集合。思っていたよりも寒い。早出川ダムで荷造りし、1台デポして、室谷川へ。どんつき手前には数台の釣り師らしい車が。いよいよ、秘境川塊の旅が始まる。1週間分の荷物は流石に重い。10時ごろに遡行開始。倉谷沢は前評判は平凡だったが、実際に遡行してみると変化に富んでいて良き。魚影も少し。数年前に下降に使ったが記憶はなし。初日に山越をしようか迷ったが初日から飛ばすとバテるのでやめた。遡行開始から2時間ほどで良さげなテンバを発見したので終了。薪も豊富で快適だった。道の駅で買った枝豆も旨し。明日からハードな1日になりそうだ。
・2日目
今日は長い1日になりそうだ。5時に起きて、ガス缶でお湯を沸かし、朝食を済まして、6時には出発。稜線への詰めは藪漕ぎも少なく問題なく、簡単に行けた。行動開始から2時間ほどで、稜線にでて、オオブナ沢の下降に入る。懸垂2回ほどした。大ブナ沢出合いからはしばらくは快適な河原歩きが続く。魚影も何度かみた。しばらくするとゴルジュ帯が始まり、そこからは怒涛のゴルジュ。基本流されながら進む。途中で反転流の釜があり、飲まれそうになり危なかった。水に使っている時間が長くて、体力が消耗が激しい。15時ごろに笠堀谷出合へ。良い河原を見つけたので終了。2日目にして、K氏さんのサワタビが両足とも壊れた。なんでこんな時に。とりあえず、気合いで乗り切るしかない。まぁ、なんとかするしかない。長い行動時間でとても疲れた。でも、その後に食べるカレーメシは最高。特にニンニク入りはおすすめ。今日は水に使っている時間が長かったのでザックの中がかなり浸水していた。防水バックにも水が入っている。長い泳ぎは危険だ。今日は星空はとても綺麗な夜だ。
・3日目
朝起きると風が吹いていて寒い。笠堀谷下部ゴルジュは思ったよりも泳ぎが多く、疲れる。水量も少し多め。途中で下降器とgoproを無くしたことに気づくが遅し。一気にやる気が失せた。東俣沢はやめて、光来出を詰めて、抜けるルート選択(日帰り~1泊)案も出たがなんとか気持ちを切り替えて、先へ進む。東俣沢もゴルジュ帯での泳ぎを何回か強いられた。そして、二俣の分岐を過ぎると、登れない滝が連続。しかも、両岸とも立ってくるので大高巻きを2度を強いられ、疲労困憊。荷物の重さがじわじわとくる。予定では山越して、西俣沢に行こうとしたが山越えで時間切れしそうなので、なんとか2人寝れる場所を見つけたので14時ごろに活動終了。また、ザック中が濡れていた。確認したところ、蓋の締めが甘いため、上から入ったようだ。明日からは濡れていいものは出して、蓋をしっかり閉めることにしよう。長期山行はいろいろと学びも多いが代償も大きい。
・4日目
朝起きると空は雲がどんより。6時ごろに出発。再び悪い滝が出ないかビビっていたが、特に難所はなく、稜線に2時間くらいに到着。いよいよ記録のない中俣沢の下降へ。沢までは簡単に降りられたがそこからが地獄の始まり。滝に次ぐ滝で懸垂数回と大高巻きを数回と3時間ほどかかってしまった。谷の中にいたのは30分だろうか。この谷は下降向きではなさそうだ。割悪沢に合流し、一息つく。ここからは長い河原と泳ぎの下降だ。今が1番川内の最奥地になるかな。途中のジッピは神秘的な空間で35mの泳ぎ。以降はイワナ天国。ちなみに10時ごろから雨が降ったり、止んだりの繰り返し。14時ごろによいテンパを見つけたので活動終了。しばらくすると雨がいきなり強まり、30分ほどの強い雨でテンバ手前まで水が増水。恐るべし川内の水量。地獄のビバークが頭をよぎる。ラジオによると今晩にかけて40~50%降るそうだ。無事、明日を迎えることができるのか。そして、広倉沢を越えられるのだろうか。緊急時の避難場所を確保して、眠りについた。
・5日目
運命というものはとても儚い。2時ごろに目が覚めると雨がパラパラ。増水はまだ大丈夫だろうと思っていたらあっという間にテンバ前まで広がってきた。やむなしで雨の中、脱出。一段上がった場所に緊急避難して、タープを被り、1時間ほど耐える。最悪のシナリオ通りに物事は進むのものだ。寒さで目が覚めるとK氏さんはタープの水が溜まった場所で寝ていて、服はびちょぬれ。睡眠は諦めて、元のテンバに戻るとかろうじて、浸水はしてなかった。再び、テンバを設置して、眠りについた。目が覚めると雨は止み、水量も平水に戻っていた。あれは夢だったのか。今日は増水も懸念して、停滞日とした。天気は晴れ、陽が出てきたので濡れた衣類や我々のやる気も戻ってきた。行くぞ、広倉沢!
・6日目
朝一は寒い。4時半の起床予定は気づけば5時に。
棒ラーメンをかき込み、いざ広倉沢へ。広倉沢出合までは2時間半ほどで到着。思ったよりも早くついてしまった。広倉沢出合いからすぐはひらけた景色でこれからゴルジュが始まるようには思えない。そんなこんなで歩いていると次第に両岸が立ってきて、ゴルジュ帯が始まる。ただ、難所はなく、ほとんど水線沿いに登れる。二俣手前の滝で一度だけロープを出した。二俣で右俣に入ると、すぐに滝が現れる。しかものぼれそうにない。その後も滝は続きそうで左岸から一気に巻くことに。開けたところに出るとゴルジュはまだ続きそうだ。再び、大高巻きを続け、懸垂なしでゴルジュ内へ。しばらく歩くと奥の二俣へ。計画では右沢を遡行して、中杉川を下降予定だったが、増水の停滞やサワタビの限界で変更ふることに。左沢を詰めて、稜線に出て、チャレンジランドへ下山するプランへ。今日はこの辺で幕営予定だったが、時計を見ると昼前。2人の中で本日下山の気持ちが高まる。左沢は入り口からCSゴルジュがお出迎え。その後も微妙に悪い滝が続き、屈曲箇所で3段20mの大滝が出てきて、終わりとなる。稜線手前の詰めの滝が苔マックで非常に悪かった。ヘロヘロになりながら、稜線へ。我々の継続遡下降は無事終えた。ここからながーい登山道歩きで最後の力を振り絞り、ヘッデン下山でチャレンジランド杉川についた。手前の林道で最後にヒルの洗礼を浴びながら。
○総括
終わってしまえば、あっという間。初めから最後までいろいろありながらも、粘り強く行動し、納得いける山行となった。9月だったので虫の猛攻は受けなかったが、もし受けていたら2日で根を上げていたことは間違いないだろう。長期山行を成功させるためには、どんなことが起きても、やり遂げると言う気持ちが不可欠なのかもしれない。
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