北ア 称名川 雑穀谷ザクロ谷


- GPS
- 38:32
- 距離
- 21.1km
- 登り
- 1,250m
- 下り
- 1,255m
コースタイム
桂台ゲート(4:20)-ザクロ谷出合(7:00/7:30)-F4上(10:30)-F5上(13:00)-牛ノ首(15:30)
8/22 晴れ
牛ノ首(5:00)-早乙女沢出合(5:30)-ソーメン滝(9:10)-F34(11:30)-登山道(15:50)-牛ノ首デポ回収(16:45/17:20)-桂台ゲート(18:55)
天候 | 8/21 曇り時々雨 2/22 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2025年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
その他周辺情報 | 記録多数 Fナンバーは『日本百名谷』『北アルプスの沢』に倣う |
写真
感想
沢登りを始めた時から憧れだったザクロ谷。
かなり前から狙っていたものの、天候、パートナー、モチベーションがイマイチ揃わず、あれよあれよと時が過ぎて後回しになっていた。何となく今年行かなければ一生行かない気がしていて、Canyonマサと予定を合わせていた平日2日で急遽突撃することに決定。ついでに近所の中澤さんもその日は新しい冷蔵庫が届くから〜とか言っていたが、強制的に連行。
即席PTだが、記録たくさんあるしワンチャン日帰りで、悪くても翌日の昼には駐車場に帰れると余裕綽々で挑んだが、結果的に自分の想定よりも遥かに時間がかかり、またボルト欠損や地形変化により登攀内容もかなり渋かった。
■1日目
マサと立山のコンビニで集合してゲート前の駐車場へ。そこから黙々とアプローチ。
ここ数日風邪気味で体調がイマイチ優れず、アプローチの登りで気持ち悪くなる。導水管の階段は超急傾斜でかなりキツイ。その後のトンネルもコウモリが飛んできて怖い。マサを盾にして進む。
雑穀谷に降りてからは出合まで長くて平凡な沢を歩き、嫌気が差した頃にザクロ谷到着。側壁が高く聳え立ち、逃げ場のないとても威圧的な雰囲気。ようやくこの場所に来ることが出来て感無量。
完全武装していざ出発。F1は難なく突破。核心となるF2は一旦左の陸に集合。そこからKCリードで取り付く。ここは思いのほか簡単で秒殺。地形的に一段上がったところで荷揚げした方がスムーズな感じだったので、中澤さんに無線を飛ばすが、こちらの声は消えるようだが、向こう側の声にノイズが入って全く聞こえない。
イマイチ意思疎通出来ないのでF3下までロープを伸ばす。荷揚げに手間取るが無事に全員登り切る。
続くF3はマサリードでCS右側を登る。ショルダーでマサをあげて2ポイントのエイド。結構悪い。左壁ショルダーが正解か?
続くF4はザクロ谷で1番映える場所となっている。
ここは中澤さんリード。ここも華麗なステミングで瞬殺。ロープが釜の中でスタックしたり、荷揚げで苦労するが無事に登り切る。
もう核心終わった、ワンディで抜けて明日は週末の沢に向けてレストだな。なんて考えていたらここからが大変だった。
続くF5。ノーマークだったこの滝に2時間近く捕まる。
パッと見ショルダーかハンマー投げで簡単に登れそう。簡単そうな左側に取り付くも水圧が強すぎてふっ飛ばされる。ショルダーするにしてもバランス悪く、ハンマー投げもキマらない。終いにはマサが投げたアイスバイルが完全にスタックしてしまいロープの片方の末端が完全に回収不能となる。左側はハンマー投げがキマったとしても水圧が強すぎて登れなかった。
ロープもスタックして回収不能となったので、敗退か…?と不安になるが、まだ右側を試していない。
まずはマサをショルダーで上げるが無理。続いて免許皆伝のKCが残りの末端で渾身のハンマー投げ。これが見事にキマり、アブミとショルダーでマサを上げる。何とか登りきり、後続はユマール。いやーヘトヘト。
ここからは少し落ち着くが、ショルダー、ハンマー投げ、荷揚げを繰り返しまくり、もう何しに来ているのか分からなくなる。完全にゴルジュ作業員。これは沢登りなのか…?
登攀の内容は思っていたザクロとなんか違うが、作業の合間に見る渓相はやはり別格。美しい緑の回廊が続き、非の打ち所が一切ない。ショルダーとハンマー投げと荷揚げのしすぎで発狂しかけていたが、それを封じ込めるほどの圧倒的な美。たまらん。
結局3人ともクタクタになりながら牛の首に着いた。
ゴルジュアドレナリンが切れたのか体調が超絶悪くなり、マジで吐きそう。絶対に熱がありそうだが、誤魔化してささやかに焚き火をして早めに寝る。
■2日目
今日こそサクッと終わらせて朝日の沢に直行や!と意気込んで5時発。
いきなり可憐なてまり滝が現れ、思わずうっとり。
左から巻いてクライムダウンで沢に戻る。
早乙女沢との出合はポットホールのナメがあり、超綺麗。
少し行くと口無しの釜。ヒールフックで登るようだが、水が爆水となって流れており無理。マサが泳ぎながら倒木にスリングをかけて登り、後続も続く。
次の滝はKCがハンマー投げで一撃。その後も小難しい滝が続く。クタクタになったころにF25だったかの滝。
ペッカー2連打+ショルダーで中澤さんをあげて上部のスリングにクリップ。もう終わったなと思っていたが、そこからがプロテクション取れずヌメヌメで悪いらしく降りてきた。次はマサがチャレンジ。フラットソールに履き替えてトップロープ状態で最終支点へ。そこからアイスバイルで渾身のフッキング登攀。あれ?沢登りしに来てるんだよね…?と一瞬何しに来たか忘れかけるが、吠えながら越えていった。ヤバすぎ。
ユマーリングでホールドや残置をチェックするが、今年は雨があまり降らなかったせいか泥や藁でホールドが隠れている。加えて前まであったであろうボルトが所々飛んでいる感じだった。
微妙なトラバースをして沢に戻るとすぐにスダレ状のソーメン滝。ここはKCリードで左壁を登る。普通にフリーで登れずA1。岩もボロく悪い。
その後も高さはないが小悪い滝が続いてボディにジワジワ効いてくる。
そして最後の核心4mに到着。左壁からショルダーとチョンボ棒を駆使して登る。ここも無双状態のマサがリード。というか最初ロープも付けずに登り始めていたので、強制的につけさせた。リード誰やる?という会話すら起こらず自動的にリードを始めるので、KCと中澤さんはフォローに徹する。この滝は最後のボルトのリングが飛んで悪くなっていてヤバイ2mmスリングにアブミをかけてトラバースするところが核心。フォローの回収もかなり大変だった。
これにて核心は終了。穏やかになったザクロ谷を歩く。小又峡廊下の雰囲気と屋久島の沢の水を合体させたような完璧すぎる渓相に思わずうっとり。
しばらく進むとラストのF40。ハンマー投げするが中々かからないのと時間もおしているので巻く。
少し進むと登山道に合流し終わった。特に大きなトラブルなく割とスムーズに抜けたと思うが、想定よりも時間がかかった。週末の朝日の沢にも間に合いそうに無く、下山しながらラインで平謝り。ぽむちむ、モーリーさんマジですいません。
下山中、後ろから来た女性にザクロ谷ですか?すごーい!(棒読み)と声をかけられた。何者なんだ?もしかしてゴルシャー?謎が深まる。
牛の首に着いてからデポ荷物を回収しようと沢をみると、!?人がいる!?降りて話しかけてみると早稲田探検部の方と農工大の方だった。まさか人に会うとは…。やはり人気のゴルジュは違うね。
そこから地獄の登り返しをして爆速で下山。無事に念願だったザクロ谷を終えた。
難渓として名高いザクロ谷。ここ数年は入渓するPTも増え、ある程度登り方が確立されてきたので、サクッと終わるかなと思っていたが、普通に難しかった。ボルト頼りだった滝もどんどんボルトが飛んで自然の姿に還りつつある。今後は打ち足さないと登れない時代が来るかもしれない。
また滝の登攀よりも荷揚げやユマーリングなどに時間を割かれる。タクティクスはある程度練っておかないとスピーディーには抜けられないのかもしれない。
即席PTだったが、登攀隊長のマサ、ショルダー、ハンマー投げ係のKC、タクティクス係の中澤さんと中々連携の取れた良いメンバーだったと思う。
お二人ともありがとうございました!
8/21
出発直前にアクションカムが破損し動画を撮影できなくなる。仕方ないので一眼を持参して渓を記録することにした。長いアプローチをこなすと急に谷が狭まる。F4まではスムーズ。しかし、F5の突破に2時間以上かかる。水圧が強くフォローでも大変だった。以降はハマりはしなかったが、荷揚げやユマーリングで疲労困憊。天気は曇りでときどき小雨もパラつくが谷の景観は素晴らしい。
牛ノ首に着いたら、釣りに行く。今シーズン初のテンカラ。家のニワトリの羽で作った毛鉤で2匹釣れた。てまり滝の大きなイワナをバラしたのが心残り。焚き火をしたら、疲れすぎていたのですぐに寝た。
8/22
てまり滝を巻くと早乙女沢。ナメとポットホールが美しい。早乙女沢の源頭は早乙女岳ではなく、大日岳なのになぜこの名前なんだろうか。
ゴルジュ地形ではあるが初日より開けていて威圧感は少ない。F25の手前の緑の廊下は本当に美しいが時間が早くまだ光がさしていない。F25の右岸スラブは私がリードすることに。ショルダーからのペッカー2つにハーケンを打って残置まで行くが、上の乗越が悪く登れず。マサに選手交代して登ってもらう。クォークぶっ刺して吠えていて、やはり悪そうだった。この辺で光がさしてとても綺麗。ソーメン滝も取付きが悪くKCをショルダーであげて登ってもらった。以降はハマることなくF34まで。F34もマサが奮闘してくれた。フォローでのユマーリングもかなり疲れてきた。ロープの処理で少し手間取る。トラバースになるので回収が大変。KCを一度あげて、ビレイに切り替えてから最後のアブミを回収してもらった。
この先はナメも出てきたりして美しい。とにかく水がずっと綺麗なのと、初日のどんよりした天気と違い、光がさしているので谷が輝いている。F40を右岸から巻くと登山道はすぐそこだった。
大日平の景色もバカみたいに美しく、疲れた身体を癒してくれる。その向こう、弥陀ヶ原との間、称名川の切れ込みは凄まじかった。
牛ノ首でデポを回収して、オロロの猛攻を受けながら車へ戻った。暗くなっても襲ってくる。下田・川内や飯豊・朝日より攻撃性が高い。
ザクロ谷は記録が多く、近年は毎年SNSに写真が沢山あがるので見たことがある場所ではあったが、実際に自分の目で見て、身を置いて、その美しさを感じることができた。水も綺麗でやっぱり北アルプスの沢はいいなと感じた。
初登は昭和48年、情報も何もない50年前にボルトを打ちながらの遡行である。
普通に難しい沢だった。個々の登攀的な難易度よりも、小難しい滝が連続することや、荷揚げやユマーリングなどで身体が疲れていった。
一緒に行ってくれた2人に感謝。ありがとうございました。
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