小三本川から浅草岳 雪渓キンキン冷え冷え沢登り


- GPS
- 08:37
- 距離
- 17.8km
- 登り
- 1,513m
- 下り
- 1,507m
コースタイム
天候 | 雨→微妙な晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
沼の平:トレースはしっかりとあったが、奥の方(安沢寄り)は早く沢に復帰したくてショートカットした。遡行中に明瞭な道と交差した記憶はない。 小三本川:基本は河原歩き系の初級沢だが、小滝の直登、大滝の巻きは多少の経験は要るか? 下山路:部分的に悪いという記録が多いが、そこまででもなかった。 |
写真
感想
今年の大雪はやはり随所で多量の残雪や雪渓を残しているらしく、雪国の大規模本流遡行など私の実力では到底望むべくもない。2年前に遡行した目附谷のゴルジュとかも今年は雪渓の底に眠っているのかもしれない。とはいえそろそろ沢登りもしたいので、雪渓ががっつり残っててもあんまり困らなさそうで面白そうなところ、ということで浅草岳の北東を流れる小三本(しょうさんぽう)川を登ってみることにした。
天気はイマイチの中2時間のドライブで入叶津登山口に到着。道中から雨が降っており登山口では車の屋根を叩く雨音がそれなりに大きくなってきていた。沢登りなので雨で濡れてもあんまり気にならないのだが、やはりやる気が出ないもので車内で逡巡しているうちに気づけばシートを倒して、いつの間にやらまどろみの……中に……
はっ!目覚めると7時40分くらいだった。雨はほぼ止まっており、登山口にはもう1台車が来たところだった。正直もうこのまま帰るに一票、という感じだったが、なんとか思いとどまり沢装備に身を包んで出発する。危うく登山口で寝坊するところだった、全くこの男はまるで成長していない……
出発から数分で雨露と泥濘と汗で全身べちゃべちゃになった。しかししばらく歩くと妙に歩き良い道となる、それもそのはずこの道は今なお不通の国道として有名なR289「八十里越」の初代古道らしい。分岐点の山神の杉を越えて小三本川に下る区間などは緩やかな地形に広がる自然林の中を進む非常に気持ちよい道であった。微妙に青空が見えてきているのも拍車をかける。
小三本川を渡る地点は過去の水害で大規模に崩れており、正しい道を進まないと数十メートルの崖ダイブを強いられてしまう仕様だった。2択を外して余計に歩いた後河床に降り立つ。崩落の影響もあり広々とした谷底を渡ると対岸にもピンテがあり特にルーファイも藪漕ぎも要らずで沼の平の台地に出ることができた。この空間は秋に来ると絶対綺麗だろうな……しかし、奥の方の池を探そうとしたりすると藪と同化すること間違いなし。
しばしの台地巡りを楽しんだ後小三本川に戻りいよいよ遡行開始。序盤はあくまでゴーロの河原歩きな沢であり、そこまで面白みはない。しかし久々の沢登りに心躍らせながら進んでいくと早くも崩壊した雪渓のブロックが出現。谷を塞いで乗り降りもできないような雪渓が出ないよう祈りつつ、ときどきナメとかプールとかオオスズメバチとかを繰り出してくる谷をしばらく進むと連瀑帯にさしかかる。入り口の6m級は右手壁から、ホールドはあるがやや細かい。次の3mは意外に手強いが流木を利用して中央からシャワーで突破。その先も微妙に深い釜を持つ小滝で泳がされたり、ツッパリで越える小滝があったりとなかなかに楽しませてくれる。もちろん両岸巻きは結構厳しく雪国の沢らしさがある。
連瀑帯を抜けると再びゴーロになる。やがて前方の木々の間に大滝の姿を確認、地形図にも記載のあるCo1100の滝である。2段の滝なようで直下から見上げると1段目しか見えないが、1段目も3つくらいに分かれており白い水のドレスを広げているような優雅な姿だった。
この大滝は右岸側のルンゼから巻きに入る。2段目は直登できるというのだけ予習していたが、藪が濃すぎて1段目と2段目の間に降り立つ道が見えないのでまとめて巻くことにする。雪国特有の下向きに生えた灌木と笹の混じり合った一番身動きの取りにくい藪で、朝方の雨によると思われる足下の泥濘が拍車をかける。30分の格闘ののちなんとか滝上に出て懸垂なしで沢に復帰できた。
ここから上はもう難所はないはずで詰めの段階、再び平凡な河原歩きになるが雪渓が現れる頻度が増えてくる。しばらくは雪渓に乗らずに粘っていたものの、ついに谷幅いっぱいを塞ぐ雪渓が出現。おっかなびっくりで上に乗るが一度乗ってしまえばもうあとは(踏み抜かないようにだけ気はつけつつ)絶対大丈夫そうなところで無駄にジャンプしてみたりと調子にも乗るようになってしまう。左右の尾根が徐々に疎林になってくるといよいよ源頭、しかし源頭に来ても水量が全然減らないしなんなら滝の下より水が遙かに冷たい。キンキンに冷えていて沢靴越しでも冷たさが伝わってくる。頭を浸すと思わずヒヤァっと変な声が出た。やがて完全に沢を埋めつくすようになった雪渓を進むと右手上方にさらに大きな雪渓が現れ、おそらく右手の雪渓と沢の雪渓がつながっていたであろう箇所に小滝が露出していた。その小滝を超えるとそこには登山道が横切っており、これにて脱渓。最後の最後で草原になり開放的な姿を見せてくれた。
時刻は1時半すぎと微妙な時間、しかしここまで来たら山頂まであと200mなので踏みに行くことにする。途中でザックをデポして空荷で14時過ぎに浅草岳、初登頂。雪山の守門岳から眺めたこの山があまりにくっきり白く浮かんでいたのですごく開放的な山頂を期待していたが、只見側以外はガスってあまり景色が見えずイメージと違った。
さて、もうあとは帰るだけ。「平石山」から山神の杉へ降りる区間は結構悪いという記録を見ていたので警戒しながら脚を踏み入れたが、(警戒していたおかげもあってか)そこまで大したことはなく無事帰還したのだった。
今回は久々に最初から最後まで(登山口にいた人たちを除いて)誰にも会わない静かなお山だった……やっぱりいいね。
☆小三本川じたいは雪国比では初級沢に入ると思う(もちろん小滝直登とか大滝の巻きとかに多少経験があること前提)。しかしなかなかどうして悪くない沢登りだった。雪渓でキンキンに冷やされた水をジャバジャバするのは初体験、まあ今回は気持ちよいの範囲だったがあれで泳ぎが必要となるとなかなか拷問に近いかも。
浅草岳は冬にもまた来たい。
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