船上山 〜線は無くても道がある、線があっても道がない〜


- GPS
- 06:57
- 距離
- 9.2km
- 登り
- 902m
- 下り
- 903m
コースタイム
- 山行
- 4:45
- 休憩
- 2:11
- 合計
- 6:56
天候 | 曇/晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
後で振り返って見ると、少年自然の家駐車場に掲げられている「船上山のご案内」地図が、ほぼこの辺りの登山・ハイキングコースを網羅していることがわかりました。 雄滝橋手前から笹原の中を雄滝方向へ向かう「滝登りコース」は国土地理院地図にはありませんが笹を掻き分けていくと踏み跡が読めるようになってきて、ほぼ迷わずに進むことができました。 屏風岩の間の谷を上る「正面登山道」も国土地理院の地図にはありませんが、ガレの谷を気を付けて登れば、途中からロープも設置されていて問題なく登れました。 また、西坂コースの途中から森林鉄道跡を歩くコースも登山道としては良い道なのに、国土地理院の地図には載っていません。 一方で、国土地理院地図では、「千丈のぞき」から横手道へ道がつながっているように書かれていますが、ここには道はありません。一縷の望みを託して急な岩の斜面を下ってみましたが、結局標識もロープも踏み跡も見つからず、何とか滑落せずに下りることができましたが、運が良かっただけだと思います。大変危険です。千丈のぞきから下に降りるルートはありません。決して真似して下りようとしないでください。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
日よけ帽子
登山靴
サブザック(19L)
昼食(おむすび+ソーセージ)
行動食(飴)
非常食(シリアルバー)
飲料(麦茶600mL)
地図(コース図・地形図)
スマホ(GPS+ナビ)
iPad mini(GPS+ログ)
カメラ
ドローン(MavicMini)
サブバッテリー
スマートウオッチ
手拭い
ファストエイドセット
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感想
月末に県総体があり、大山を歩くので、今年まだ歩いていない大山山系を歩いてみたい、ついでに冬の間しばらく飛ばしていなかったドローンを飛ばして腕を慣らしておきたい。そんなことを考えて、大山の北の尾根を日本海に向かった先にある船上山を歩いてみることにした。この山は随分前に一度歩いたことがある(「船上山 ~屏風岩の上を経て千丈滝口へ~」 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3064092.html )ものの、そのときは屏風岩や滝の上を歩いたものだから、その雄大な断崖絶壁を見上げることができなかった。今度来る時には滝や絶壁の下の道を歩いてみようと思っていた。地図を見ていると,その屏風岩の隙間を通って崖の上から下に続く道がある。それがどんな道なのかも気になっていた。
なるべくなら往復ではなく周回コースを歩きたいので,国土地理院の地図には道が記してない山行記録のある所も歩いて8の字を描くコースを設定してみた。距離は10kmに少し足りないぐらい、標高差もそこそこで夏登山に向けて身体を慣らすには程よいコース設定だと思う。
出発は船上山少年自然の家。今回はピークハントが目的ではないし、そもそも船上山のピークは屏風岩の上の平たい台地のどこかで不明瞭なので、それよりも歩いたことの無い道を歩いて滝を眺めたり屏風岩の隙間を上がったり下りたりすることを楽しみたいと思っていた。少年自然の家のアクティビティとしてこの周辺を歩くコースの設定がされていて案内図も立っているが、一部それにも載っていないバリエーションルートも歩くことになった。
まずは船上滝登山口、舗装道路に架かっている橋、「雄滝橋」の手前のガードレールの隙間から笹の茂みの中に入って行く。最初はここがルートだとはわからず何度か行ったり来たりしてしまった。しかし、笹薮の中に入ってみると、誰かが掻き分けて笹の密度が低くなっている所がある。これが地図に載っていない登山道だとようやくわかった。その後、森の中に入ると踏み跡がわかりやすくなるので、特に標識はないが、そんなに心配せずに進むことができた。進んで行くと、いつの間にか横手道につながる滝めぐりコースに合流していた。更に進むと水の音がしてきて、雄滝の前に出た。2,3日前に少し雨が降ったのだが水量は少なく、滝壺の辺りは濡れた岩に雨が降っているようにしか見えなかった。ここでドローン飛行を試みたが、GPS衛星の電波をあまり拾うことができず、高度を上げることができなかった。
そこから山腹のなだらかな道を進むと次に現れたのは雌滝、こちらは大きな岩塊の表面を静かに水が流れているが、やはり水量は少ない。この断崖の下部には少し白っぽい基底礫岩の層が見えていて、その上に節理の入ったデイサイトの厚い岩盤が続いている。はるか昔にずいぶん大規模な火山活動があったことが伺える露頭となっている。
滝の落ちている高さがほぼ屏風岩の高さなので、雌滝の下から水平に屏風岩の麓を進む横手道を少し歩く。屏風岩の下と言ってもダムの水面からは80m程度高い位置なのでダムの湖面や谷筋の道を眺めることができる。歩き易く展望の良いハイキング道だ。そんな道の途中、足下に「正面登山口」と書かれた標識が落ちて(置かれて)いた。どうも、ここが地図には記載のない、屏風岩の隙間を上って行くルートのようだ。確かにそこは屏風岩の断崖ではなく、崩れた礫の谷だ。石は不安定ですぐに崩れるので谷筋の樹林との間を気を付けながら登って行く。傾斜もかなり急だが礫が崩れずに持ち堪えられる程度の勾配なので、ゆっくり登ることで何とかクリアする。この尾根筋の先にある甲ヶ山に以前登った時にこんなガレ沢を上ったのを思い出した。上の方にはロープも掛けてあり、間違いなく登山ルートの一部だということが確かめられた。そこを登りきると、屏風岩上のなだらかな丘に出る。そこの避難小屋で一休みし昼食を食べてから西方向へ進んだ。
船上神社に参った後は北方向へ進み西坂方面へ向かう。緩い下りになっていて歩が進むものだから、勢い余って、右折地点を通り越してしまい、しばらく進んでから行き過ぎたことに気がついた。ここには地図に載っていない森林鉄道の跡がある。とはいっても、線路が残っているわけではないので、ほぼ山腹を走る林道のように見える。傾斜は非常に緩やかだが若干下っているようだ。地図にルートはないが道は明瞭で崩れたり薮になったりもしていない。何でこの道が地図に載っていないのかが不可解なほどだ。そのまま東に進むと、舗装道路の少し上を並行するようになる。地図からすると、舗装道路に合流するのかと思っていたが、結局一度も合流することなく、東坂の登山道に突き当たった。屏風岩を東側から眺められる場所だ。そこから上り坂に入り、屏風岩の裏側から屏風岩の上へ上がって行く。
再び避難小屋前を通って、屏風岩方向へ向かう先ほど登ってきた道と違う道筋を探した。「千丈のぞき」という欠けた標識を足下に見つけてそちらへ進んでみた。途中倒木があって道が不明瞭になっている所もあったが、そこを過ぎると踏み跡がはっきりしてきた。そして、茂みの向こうに突き出した岩と、空と、向かいの山が見えてきた。近付くと断崖絶壁の上に出た。岩はしっかりしているが狭く、三方が切り落ちていて目が眩みそうだ。平衡感覚が怪しい、ここで横に倒れたら命は無いだろう。慎重に、慎重に出られる最先端まで進んで周囲を見渡した。…絶景だ。息を飲むとはこのことか、左右に立つ岩壁、周囲の山々、麓の湖。下から見上げる屏風岩も迫力だが、その上から眺める景色は感動的だった。ここでドローンを飛ばしてみた。
ドローン映像(2分45秒)
ここから雄滝や雌滝も見通せるが、夕陽がそちらから差しているので逆光となってあまり明瞭には見えない。逆に滝方向に飛ばしたドローンからこちらを写すと、そそり立つ屏風岩の石柱が空の中にくっきりと浮かび上がる。次に来る時には是非,午前中に陽の当たる滝を見てみたい。
国土地理院の地図ではこの屏風岩から真っ直ぐ横手道に繋がる道が記されている(ように見える)。だが,ここは突き立った石柱の上、前進は不可能だ。少し戻って石柱左右の付け根の辺りをチェックしてみた。やはり道は無い。ただ、右側の脇の辺りが若い潅木があり、何とか足を掛ける場所もありそうで、少し降りれば谷筋に届きそうだったので下ってみることにした。ロープもハーネスも無く、同行者もいないこの状況で、しがみついている細い木が折れたら、わずかな岩の出っ張りに掛けている足が滑ったら、谷筋に落下して骨折するんだろうなぁ、と心細くなりながら次に手を掛ける場所,足を置く場所を探りながら少しずつ下った。ようやく谷筋へ降りてからも,落ち葉や枯れ枝が積もって滑りやすく下がどうなっているかわからない谷筋の脇を,足の置き場所を一歩ずつ確認しながら下った。やっと横手道へ下りてから本来のルートがどこかにあったんじゃ無いかと見回してみたが,道筋もロープも標識も見つからなかった。やはりここは登山ルートでは無いことを確信した。
横手道を少し進み屏風岩前の斜面を真っすぐに下る正面コースを下り、舗装道路を横切って樹林の中に入り、なだらかな道を歩いて出発地点の少年自然の家の駐車場へ着いた。
山へ行ってピークハントを目的としなかったのは最近無いパターンだったが、それでも滝を楽しんだり森林鉄道跡を辿ってみたり、断崖絶壁からの眺めを満喫したり、実に楽しい山行だった。知っていたら多分通らなかったであろう、道の無い崖を下って行ったのはちょっと無茶だったなと反省すべき点ではあるが、それも含めて通常の山歩きでは経験しない様々な体験ができた、なかなか充実した一日だった。これから本格的な登山シーズンになる。安全に気を付けながら、山のいろんな楽しみを見つけていきたい。
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