米山《日本三百名山》
新潟県
山キチどん
その他1人 - GPS
- --:--
- 距離
- 21.8km
- 登り
- 1,103m
- 下り
- 1,103m
アクセスを調べる
標高グラフを拡大コースタイム
| 天候 | 曇り後晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2007年11月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車
下山口：JR信越本線柿崎駅 |
写真
拍手
感想
急行“きたぐには”日が変わった0:02に京都駅を出発する。自由席を利用することの多いこの列車だが今日は寝台車を張り込んだ。お陰で直江津までゆっくり眠ることができた。信越本線下り始発列車に乗り米山駅に降り立った。歩き出しの米山駅は海抜4mですぐホームの隣は日本海だ。駅から真っ直ぐ続く小道の奥には目指す米山が鎮座している。北陸自動車道の高架をくぐると農作業の小父さんが車で追抜きざま「米山に登るのか? この道じゃないよ。」と言った。確かに大平登山口に到る車道は一つ北のオガチ川の谷間を通る。しかし車道歩きでは面白くないので地形図にある点線道を選んで歩いて来た。心配してくれた小父さんに「余り人の通る道は面白くないから」と言い訳をして先に進んだ。車の通っていた道は耕作地が過ぎると草が茂りだし広い道幅はあるが微かな踏み跡も草に埋もれてきた。
また今回も藪漕ぎだ。小さな沢沿いに続く踏み跡を辿り高畔集落の奥で開けたところに一旦出た。この先の踏み跡は非常に不明瞭で獣の足跡に導かれ草深い谷筋に入ってしまった。このまま谷筋を登っても仕方が無いので左側の斜面を這い登り尾根に出た。出てきた所には大平集落下の田んぼで畦道から作業道に出るとカーブの先端部で工事の人たちに奇異な目で見られ、「人の通らない道を歩いてきたら道が無くなって・・・・」なんてまたしても言い訳をしながら通り過ぎた。
大平集落（標高237m）には登山道を示す看板や米山の由来を記した碑がある。それによると、昔、まだこの山が五輪山と呼ばれていたころ泰澄（たいちょう）と沙弥（しゃみ）という僧が住んでいた。沙弥は海を通る船に「一杯の米を恵んでくだされ」と鉢を投げた。ところが強欲な船主は知らんぷり、船主の心を見透かした沙弥が呪文を唱えると米俵が宙を飛び沙弥の居る山に吸い寄せられた。船主が驚いて詫びると米俵は船へ戻り、船主は心を入れ替えた。それ以来五輪山は「米山」と呼ばれるようになった・・・・とさ。
閑話休題、登山道を10分も歩くと再び林道に出た。林道の先にはゲートがあり一般車はここが終点となる。傍らに数台駐車できるスペースがあり長岡ナンバーの車が3台置かれていた。右側が登山口でいよいよ本格的な登山が始まった。結構急だが、木製の階段が整備され危険は全く無い。西に流れる尾根に乗っかったところは小広い広場で“二ノ字”と呼ばれている。目の前にはP711、左手には米山、いずれも紅葉して深まりゆく秋を実感できた。色は今一で赤が少なく黄色と茶色ぎみのくすんだ色が多いのが残念だった。
P711はあとひと登り、直下で巻き道が分岐しているが巻道に用事は無い。巻道は（ ）書きで「悪路」と書かれていたのでそれなりに面白いのかもしれない。分岐からP711には6分で達した。益々米山に近づいた。山頂付近は山毛欅の原生林で茶色の紅葉の正体は山毛欅のようだった。一旦下り真っ直ぐ東に進むと米山への最後の登りとなった。標高870m位で左から米山林道からの登山道が合流した。登山口でゲートの先に続いていた林道があったが、その終点から登山道がありここで合流するようだ。道は結構しっかりしている。そして登山道が少し左に振れて米山(993m)山頂に到着した。
山頂には立派な避難小屋と米山薬師のお堂、これらの建造物は遠くからでも良く見える。遠望は今一で、柏崎市街の向うに弥彦山が見えるが佐渡は判別できない。南東方向に黒姫山がある。標高は891mで信越国境の黒姫山、糸魚川の青海黒姫山とも違う山で柏崎市高柳町の山で米山、八石山(514m)と共に刈羽三山を形成している。米山山頂には1等三角点「米山」があり点標はお堂の一段下にある。そしてお堂の真ん前には三角点設置以前の遺跡「原三角測點」が鎮座していた。
明治開国の頃、伊能忠敬の「大図」と呼ばれる地図が最も精度の高い地図であったが、明治政府は日本列島の正確な地図を求め内務省に地理局を置き三角測量を開始した。その時に設置した標石がこの台形の「原三角測點」で全国に50点程度設置された。地図は防衛戦略上重要なもので、明治17年になると陸軍が内務省から強引にこの業務を奪い取った。陸地測量部という文官の部署ができ、まず1等三角点の設置が始まった。このときバッティングする「原三角測點」は次々に引っこ抜かれてしまったという。そして残ったのはここ米山と奥秩父雲取山、もう一つ上州白髪岩の僅か3箇所だけ。標石の側面には雲取山が明治15年12月、白髪岩は明治15年10月、米山は明治15年8月と刻まれており、米山のものが最古のものである。
風は無く、暑くもなく寒くもない穏やかさだが、雲はなかなか取れない。時刻は10時と早いが昼食タイムにして寛いだ。H中さんの手作りおにぎりやロイヤルミルクティーをご馳走になった。山頂には6組の登山者が前後して登頂し賑わってきた。柏崎、柿崎地区の信仰の山、あるいは気軽な登山の山として親しまれているようだ。下山は北西尾根の下牧コースを下った。大平コースとは違い階段はないが、抉れた登山道に深く落ち葉が積もり足元が滑る。ゆっくり下りないと危なくてしようがない。鞍部から登り返すと女人堂の避難小屋が現れた。その昔女性に許されたのは此処まで、女人堂から山頂を仰ぎ祈願したという。
山頂域をなだらかに進むとP805の“三俣”に達した。南に水野林道コースが分岐している。水野林道コースは最短距離の登山道なので登山者の多くはここを登って来るようだ（水野林道終点登山口約560m）。再び落ち葉の積もった道を下ると33体の石仏がある。ここの辺りにピーク性は少ないが駒ヶ岳と呼ばれている。麓から見ると尾根の張り出しがあたかもピークであるように見えるらしい。（標高約580m）
難路ははまだ続き、水野集落への下山路が左に分かれて行った。標高350mまで下りると漸く道は平坦になり、林道のように幅が広がった。傍らに半跏の姿のにこやかな観音像、H中さんは「何か考え中なのだろう」と“JTB添乗員”の説明は分かったな、分からないような?
やがて左手に屋根が見えてくるとそれは米山薬師仮堂の屋根だ。この石段下が下牧登山口（標高270m）ですぐ傍の下牧多目的センターには広い駐車スペースがある。実はこの施設、廃校になった黒岩小学校の跡で広い駐車スペースは校庭の跡だった。近くにバス停があり柿崎駅まで行けるが、それには見向きもせずに車道を歩いた。山から離れるにつけ米山の姿が優美に田畑の向うに佇んでいた。途中遊び心で本道を逸れ小道に入った。本道に合流する筈だったのに道が途切れまた藪を漕ぐ羽目に陥ってしまった。泥濘に足を突っ込んでしまい靴をどろんこにして散々な目にあってしまった。
そして登山はまだ終わらない。車道歩き10.3�劼慮紂∨摸ζ擦粒塑�ICのランプウェイに取り巻かれた真ん中に丘がある。ここは城崎山(きざきやま・17m)で歴とした4等三角点「城崎山」のある山だ。と地形図には「木崎山」と記されているが「城」の名前を採用した。この山の中腹に「柿崎城址」の大きな看板があり古城であったことが知れる。そう云えば海音寺潮五郎の「天と地」に上杉謙信の猛将に柿崎和泉守景家と云う人が活躍していた。尤も節操のない女好きの武将として描かれていたが・・・ 城には微かな踏み跡があるが、余り歩く人とて無いようで蔓草が絡み行く手を阻んでいる。アッという間に小広い山頂に到り三角点を探すが藪の中の何処に隠れているのだろうか、探し回ったが遂に見つけることはできなかった。
この辺りの三角点の状況を調べたところ、現在この地域一帯の三角点は今年7月の新潟県中越沖地震による成果異常で停止状態にあるようだ。米山山頂の1等三角点「米山」も然り。震源地に近いこの地では地殻変動が起き最大15�冂�ずれた所もあるという。
14時11分柿崎駅に到着したが何もない駅でH中さんは缶チューハイを求めてコンビニを探しに行った。北越6号、雷鳥42号を乗り継ぎ、飲んで食べて喋って、アッという間に京都に着いた。H中さんのザックはドラえもんのポケットのように色んな食べ物が出てきて楽しかった。
こっそり拍手
コメント
この記録に関連する登山ルート
この記録で登った山／行った場所
関連する山の用語
山行記録を公開しました
X
Facebook
リンク取得
メール
ブログパーツ
情報提供のお願い
山行記録を投稿して、ヤマレコのコミュニティに参加しよう！
この山行記録の写真
米山の最新記録
柿崎城跡の最新記録
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する