比良岳〜森山岳〜白滝山☆葛川越古道から新緑の裏比良へ


- GPS
- 06:12
- 距離
- 12.2km
- 登り
- 1,203m
- 下り
- 1,189m
コースタイム
- 山行
- 5:52
- 休憩
- 0:19
- 合計
- 6:11
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
葛川越古道は数ヶ所、わかりにくい箇所あり (クルシ谷の上流は石楠花を鑑賞するために左岸の尾根を辿った以外はほぼ古道を忠実に辿っています) 比良岳の〜オトワ池までもバリエーション・ルートです |
写真
感想
そろそろ比良でも石楠花が見頃ではないかと思い、葛川越の古道を歩いて比良岳と森山岳に向かうことにした。白滝谷から葛川越に至る古道は新緑や紅葉の季節になると美しいところ。
R367を北上、先週、越前の丈競山に向かった時には権現山の山頂部はまだ新緑はまだ七合目のあたりまでだったが、山頂部に至るまで新緑が駆け上がってきたようだ。花折峠を越えると、葛川の谷間も新緑の美しいパッチワークを見せている。坊村の市民センター前の駐車場は休日にしては驚くほど空いている。おそらくは好天が期待される三日か四日を登山に選ぶ人が多かったのだろう。
明王谷に入るためには地主神社の横から林道を歩くのが一般的であるが、林道をショートカットするために比良山荘の南の小さな寺の裏手の植林の斜面に取り付く。ちなみにこの寺は法円寺という曹洞宗の寺で、明らかに無住ではあるが廃寺にはなっていないようだ。
植林の斜面を登り、明王谷林道に出ると途端に新緑の自然林となる。林道の法面から水が湧き出す覚照水のところに来ると、下山して来られるひと組の男女がおられる。覚照水で水を補給して先に進む。
林道終点から白滝谷の山道に入るといつも緑に包み込まれる感覚を味わうのだが、それは樹冠の新緑に加えて、林床に多くみられる苔むした岩のせいもあるのだろう。岩から立ち上がる欅の樹が頭上で繊細な若葉を開いていた。
道が滝に向かってなだらかに下降してゆくポイントが葛川越の古道の入口となる。国土地理院の地図では白滝谷右岸に破線が途中まで記されてはいるが、この入口から古道が水平に進むようになるまでの区間が非常にわかりにくい。急な斜面には不安定な石がゴロゴロとしているので浮石や落石にも注意する必要がある。左手の斜面をトラバース気味に登る薄い踏み跡を選び、ジグザグと斜面を登るとまもなく植林と自然林の間をほぼ水平に進む古道に乗ることが出来る。新緑を眺めながら緩やかに
古道沿いには次々と古い炭焼き窯の跡が現れる。そもそもこの古道は葛川越から琵琶湖側に炭を運び、帰りに米を運ぶための生活道であったようだ。標高が700mを越え、斜面にブナが目立つようになると新緑が一層鮮やかに感じられる。右手の白滝谷からは優しい涼風が吹いてくるお陰で汗もかかずに済む。新緑の中で色鮮やかな紅紫色の花を咲かせる雪国三葉躑躅は否応なく目を惹く。古道沿いでは山芍薬の花も咲いていた。
古道沿いに立ち並ぶ樅の大樹の傍を過ぎると自然林の緩斜面となり、すぐにクルシ谷に合流する。ここからは谷を奥に進むことになる、脆い花崗岩質のせいなのだろう、大きくU字状に抉れた谷は広々とした緑の空間となっている。谷の左岸には早速にも満開の花を咲かせた石楠花が尾根を彩っている。尾根に上がり、石楠花の花の間を進む。
昨年はこのまま尾根を進んだのだが、尾根の上部は藪が煩わしいので、尾根が谷に近づいたところで谷に下降して薄い踏み跡を辿る。まもなく谷の上部で蛙のような巨岩が現れる。左側から岩を巻くと最後は新緑の緩斜面を登りつめて葛川越に到着する。
葛川越からは東側に蒼い湖水を湛える琵琶湖の展望が広がり、奥島山と沖島を眺めることが出来る。わずかに登ると背後にはやはり新緑の烏谷山(からと山)を望む。葛川越から比良岳にかけては雪国三葉躑躅が多く咲くところではあるが、いずれもまだ蕾であった。
尾根を登った展望地で琵琶湖を眺めながら行動食のおにぎりで軽いランチをとる。比良岳の山頂が近くなり、尾根の西側に向かうと石楠花の群生地がある。岩に登ると新緑の白滝谷の彼方に京都の北山の重畳たる山並みの景色が広がっていた。
比良岳にかけては広い尾根には丈の低い笹が繁茂している。山頂が近づくと山頂の一帯はブナの樹林となり、実に雰囲気の良いところだ。惜しむらくは風向きのせいか、隣のびわ湖バレイのあたりから盛んにDJの声が聞こえてくることだ。山頂のシンボリックなブナの樹に挨拶すると、
ボウダラ谷の源頭のブナの疎林が広がる広々とした緩斜面に入る。時折、雲の間から陽がさしては林の中を新緑の透過光で満たす。
緑の濃いバイケイソウが目立つ谷筋を緩やかに降って白滝谷に合流する。合流地点には石の標柱が建てられているが、なぜかクマアナ川と記されている。
対岸に渡渉するとシャガ谷の左岸尾根に取り付く。この尾根でも石楠花が満開だ。一般的には石楠花の藪は通過が困難なことが多いが、石楠花の樹の間をうまい具合にすり抜けるように薄い踏み跡が続いている。
無事、石楠花の藪を通過すると今度は一面のイワカガミの群落となる。左のシャガ谷から登ってくる送電線巡視路と合流すると始まった時と同様、唐突にイワカガミの群生は終わり、あとはブナやカエデの自然林の疎林の間を緩やかに登ってゆく。
森山岳の山頂の手前、北峰とも呼ばれる小ピークに飛び出すと、比良岳と武奈ヶ岳、コヤマノ岳の展望が広がり、抜群の好展望地となっている。ここでコーヒーを淹れ、シュークリームとクッキーで休憩をする。
森山岳から白滝山の間には多数の小さな丘陵が迷宮のような複雑な地形を織りなすところであり、その丘陵の襞の間には小さな池が点在する。この界隈の四季折々の表情の美しさにに惹かれ、足を運んだ回数は軽く10回を超えているだろう。
明瞭な登山道はないが、広い尾根の樹林の間を気ままに歩くことが出来る。そのような山歩きが愉しめる山は私が知らないだけかもしれないが、滅多にないものだ。記憶を頼りに小さな池を繋ぎながら長池を目指す。冬の降雪量が少なくなっているせいか、訪れるたびに池の水が少なくなっていくのが残念だ。
最大であったはずの長池は既に池の大半は湿地と化し、水面はごくわずかになっているのが残念だ。漆黒の水を湛えるオトワ池は神秘的なところだが、その水面が健在であることを確認すると安心する。
西の空の雲が暗くなり、風も冷たくなってきたので白滝山からは伊藤新道を下降する。この道は前半は植林の中の九十九折りの単調な下降が続くが、効率的に下ることが出来るので下山の時間が気になる時には都合がいい。
ワサビ谷に下降すると、すぐに天井滝の下に至る。頭上からポツリポツリと水滴が降ってくるのでいよいよ雨が始まったかと思いきや、どうやら天井滝の滝飛沫だったようだ。ワサビ大滝を過ぎるとあとは薄暗いワサビ谷の谷沿いを下降する。谷沿いでは随所で可愛らしい二輪草の白い花が目を愉しませてくれる。
気がつくと家内が後ろで足を滑らせて肘を打ったらしい。私はすっかり忘れていたが六年前、家内と長男と共に白滝山からこの伊藤新道を降った時にも長男が足を滑らせて腕に傷を負ったらしい。浮石が多く、足元には注意を要するのだろう。数年前の台風以降、倒木が非常に多くなったようにも思う。
以前の山行では明王谷には多くの登山者が歩いていた憶えがあるが、この日は坊村に戻るまで全く登山者には出遭わなかった。坊村に戻ると丁度、17時の時報のサイレンが安曇川沿いの谷間に鳴り響く。駐車場の車はほとんどなくなっていたが、わずかに駐車場に残っている車の主たちも続々と下山して来られる。
この日の山行では人知れず静かに咲いている山芍薬にも出遭うことが出来て、家内も満足のようだった。
コメント
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2~4日は熊野古道 えーっと思っていたのに5日に比良
すごい の一言です
この山行のせいで熊野古道の山行紀を書く時間が逼迫する羽目に陥りましたが😁
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