【三百名山 高塚山&黒法師岳】寸又峡から時計回り周回


- GPS
- 28:07
- 距離
- 42.8km
- 登り
- 3,951m
- 下り
- 3,931m
コースタイム
- 山行
- 8:56
- 休憩
- 1:47
- 合計
- 10:43
- 山行
- 10:26
- 休憩
- 1:25
- 合計
- 11:51
天候 | ずっと晴れ! |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自宅 00:30発 茨城町東IC 00:52in(北関東道〜常磐道〜首都高〜新東名)静岡SAスマートIC 04:49out〜国道362号〜寸又峡温泉駐車場 06:10着 ※静岡SAで朝食&食料購入(新東名を下りてからは,コンビニはありません。また道幅が狭く,すれ違い困難な箇所があるので,要注意です。) なお,下山後は国道473号を利用して静岡方面に下ってみましたが,こちらは道幅が広く安心して走行できました。国道362号経由よりも距離があり,10分ほど走行時間が長くなるものの,クルマの運転は楽ですね。 ★駐車場&登山ルート 寸又峡温泉駐車場にクルマを駐車して,沢口山〜山犬段〜高塚山〜黒法師岳〜前黒法師岳と時計回りで周回縦走しました。 時計回りと反時計回りのどちらを選択するか迷いましたが,体をテント泊縦走に慣らすべく,1日目は距離が長いものの登山道が良く整備された安全なルートとなる時計回りを選択。2日目は三ツ合山〜バラ谷の頭〜黒法師岳という縦走ルートの核心部を登り基調で歩くので,危険なヤセ尾根は,まだ疲れていない早めの時間帯に通過できます。3日目は前黒法師岳に登り返すのみで午前中に下山できるプランです。 反時計回りの場合,1日目が前黒法師岳を越えてヘリポートまでとすると,2日目の核心部は南下するルートとなり,疲れの出る午後に危険なヤセ尾根を下り基調で通過するので,ちょっと嫌らしいかな。3日目も結構長い距離を歩くため,午前中の下山は難しいかもしれません。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
★1日目 沢口山登山口〜沢口山〜天水〜ホーキ薙〜山犬段〜蕎麦粒山〜三ツ合山〜高塚山 ・ 沢口山登山口をスタートして30分ほど急登を頑張ると,尾根に乗るので傾斜が緩みます。沢口山の山頂までは樹林帯の中を登って行きますが,シロヤシオやミツバツツジの花がきれいでした。また,イワカガミの群生地があって,花の開花時期は見応えがあるでしょうね。 ・ 登山口から2時間半ほど登ると,沢口山の山頂に到着。北東側の展望が開け,朝日岳が目の前に見えます。ベンチも整備されていて休憩に良い場所です。 ・ 沢口山からはいったん下りとなり,樹林帯の中の広い尾根を登り返すと,大展望の天水に到着。目の前に大きな前黒法師岳,その左奥に端正な三角錐の黒法師岳など,明日歩く山並みが一望できました。素晴らしい展望です。ベンチもあってのんびり休憩できます。 ・ その先,板取山の手前にはキレットの通過がありますが,転落防止のロープなどもあってそれほど緊張すること無く通過。広河原峠まで下って少し登り返すと突然道路に出て,目の前にホーキ薙の砂防工事現場が現れます。工事関係者の車両が4台駐まっていました。山犬段までの林道はクルマで通行できるようです。 ・ ここから山犬段休憩舎までは,車道歩き。まだ先が長いので,八丁段はパスして先を急ぎます。途中,静岡大の演習林宿舎の前を通過。クルマが一台駐車してあったので,誰か来ているのでしょう。さらに進むと,テーブルが置かれた広場の奥に小屋が見えました。山犬段休憩舎に到着です。内部は広々としていて快適そうでした。ここで宿泊するのも良さそうです。隣にトイレ棟が建っていて,手洗い用の水場があります。蛇口をひねると水が出てきたので,晩ご飯のレトルトカレーを湯煎するための水1リットルを採水。飲料水は2リットル+アクエリアス500mlを持参しており,気温の高くないこの時期なら,明日の分までこれで足ります。おかげで林道を500mほど下りたところにある水場まで行かずに済みました。 ・ 山犬段から先,蕎麦粒山の山頂までは,標高差約220mを40分ほどかけての登り返しです。山頂は広く,ベンチがあって休憩適地です。展望も良いので,風が強く無ければ幕営するのも良さそうでした。そこから先,五樽沢のコルまでは,標高差約180mほどの結構な下りとなり,そこからまた三ツ合山まで160mほどの登りです。なお,五樽沢のコルから林道へのルートは,林道が崩れているらしく,通行止めとなっています。 ・ 三ツ合山の山頂付近には,すでに一張りのテントが設営されていていました。地元静岡県磐田市から来られた私と同年代の男性でした。すでに高塚山まで往復してきたとのこと。今夜は強風が予想されるので,どこにテントを張れば良いか尋ねたところ,高塚山への中間点あたりに窪地があって,風を避けられそうとのことでしたので,ザックを背負ったまま行ってみることにしました。 ・ 幕営適地を探しながら,高塚山に向かう尾根を進むこと約20分。目指す幕営地に到着しました。かわいらしいハート型の水たまりがある窪地で,風を避けられるうえ,落ち葉でフカフカの快適なサイトです。ここならバッチリ。早速テントを設営し,荷物を中にデポ。 ・ そのあと,三百名山の高塚山へとピストンしました。山頂は木立に囲まれていて展望がありませんが,バイケイソウの群落があって良い雰囲気です。そこそこ広く平坦なので,ここでも幕営可能ですね。三角点にタッチし,証拠写真を自撮りしてから幕営地に戻ります。その晩は強風が吹きましたが,快適な寝床とバーボンの酔いのおかげで熟睡することができました。 ★2日目 三ツ合山〜千石平〜房小山〜バラ谷の頭〜黒法師岳〜二ツ山〜ヘリポート ・ この日は午前3時半にアラームで起床。起床時のテント内の気温は4度。テントに霜が降りていて外気温は零度以下に下がっていたと思いますが,マイナス5度対応のシュラフ(ナンガ・オーロラライト450DX)で快眠できました。 ・ お茶漬けとコーヒーで朝食を済ませ,荷物をパッキングして午前5時前に歩き始めました。三ツ合山まで来ると,昨日話をした方とは別のところに,もう一張りのテントがありました。昨晩は私を含めて3名の登山者がこのあたりで幕営したようです。その後は同じルートを歩いたので,何度か休憩ポイントでお二人と言葉を交わす機会を得ました。 ・ さて,三ツ合山から先は急なアップダウンを繰り返しながら徐々に高度を上げ,主峰黒法師岳山頂へと登るのですが,途中に何度か危険なヤセ尾根を通過するポイントが出てきます。最初のポイントはそれほどの高度感も無くクリアしたものの,その先は両側が切れ落ちた高度感のあるヤセ尾根の通過が続きます。テント泊装備の重いザックを背負っての登降で,バランスを崩して転落すればあの世行きです。慎重に歩いたため,時間がかかりました。鋸山の先のヤセ尾根を通過するまでは,気が抜けないですね。なお,途中の千石平周辺はササ原が広がり,穏やかな雰囲気ですが,西側斜面は崩落しているので,ここも転落に注意が必要です。 ・ 鋸山の先のヤセ尾根を通過すれば,その先は開放的なササの生い茂る斜面となり,ところどころ展望も広がって気分の良い登りを楽しめます。標高1,572mのコルまでいったん下り,そこから房小山まで標高差約300mを登り返しますが,実に気持ちの良いササの別天地が広がっていました。 ・ 房小山の山頂には,午前9時半頃に到着。三ツ合山から4時間少々かかりました。山頂からは,歩いてきたルートが俯瞰できて気持ちの良いところです。ここで水分補給とエネルギー補給のため休憩をしていると,昨日お会いした磐田市の登山者が到着。この山域の情報をいろいろと教えて頂くことができました。 ・ 房小山から先は,踏み跡が不明瞭となり時々迷いましたが,基本的に尾根を辿れば問題なしです。本邦最南端2,000m峰には11:25に到着。その少し先が大展望で人気のバラ谷の頭でした。テント4〜5張りがせいぜいといった小広場ですが,ここからの絶景は素晴らしかったです。目の前に堂々とした黒法師岳,そしてその左手に丸盆岳,不動岳が並びます。右奥には富士山,そして前黒法師岳の姿。大迫力です。いきなり目に飛び込んでくるので,驚きました。ここでも証拠写真を自撮りするなどして暫し休憩し,ドコモ電波を利用したメールの送受信も行えました。 ・ バラ谷の頭からは,標高差150mほどの急なササの斜面を下って鞍部に降り立ちますが,鞍部の直下に良質な水場があるので,念のためここで2リットルほど水を補給しました。豊富な水が東側の斜面から湧き出ており,冷たくて美味しい水でした。給水のあとは黒法師岳への急登にそなえ,エネルギー補給の休憩です。このところ,休憩ばかりでなかなか先に進みません。 ・ さて,休憩を終えると,いよいよ黒法師岳山頂に向けて,激登の開始です。深いササヤブの中の急登をササを掴んで体を持ち上げるように登って行きます。標高差は約160mほどで大したことは無いのですが,とにかく急角度。あえぎながらも,何とか登り切り,念願の山頂に立つことができました。 ・ 黒法師岳の山頂は樹林帯の中にあって,展望は無く地味なピークですが,その点は先ほどまで居たバラ谷の頭の大展望が補ってくれています。南ア深南部の名峰であり,周囲の山を従えたその姿は存在感がたっぷりです。まさに感無量でした。 ・ 黒法師岳からの下りもまた,深いササの急斜面です。しかもマークが少なく,迷いやすいです。そのうえ,途中に二ツ山という双耳峰を持つピークの登り返しまでありました。最初のピークを登り終えてもヤセ尾根を下って次のピークに登らねばならず,これは想定外。精神的にバテました。加えて,その先の広い尾根の下りも迷宮のような有様。ルートが分からず,何度も立ち止まって現在地確認をしながらの下りとなり,時間がかかりました。幕営地であるヘリポートに到着したのは,午後4時45分。黒法師岳から2時間40分もかかりました。 ・ でも,この日の幕営地であるヘリポートは,まさに別天地。広大な芝草の平坦地が広がり,テント設営にはもってこいの場所でした。しかも近くに水場があり,冷たくて豊富な水量の湧き水が斜面から湧き出していて,ビールも冷やせます。それでいて,この日のテント設営は6張。私を含めた時計回りのソロ3名と,宴会をしていた3人組だけの利用でした。ここでテント泊するためだけに,訪れるのもありですね。ただし,夏は虫が大量発生するので止めておいた方が良いということらしいです。利用するなら,まだヒルの活動前のこの時期か,秋以降がベストとのことでした。 ★3日目 ヘリポート〜前黒法師岳〜白ガレの頭〜前黒法師岳登山口〜寸又峡温泉駐車場 ・ 登山最終日のこの日は,前黒法師岳まで標高差約250mを登り返せば,あとは寸又峡まで下るだけなのでのんびり起床しました。朝食はアルファ米のチキンライスとオニオンスープ&ドリップコーヒー。テント装備をザックにパッキングした後はのんびり散歩を楽しみ,午前6時過ぎに歩き出しました。まずは林道を東に歩きますが,途中の尾根の取り付きポイントを過ぎてしまい,ヤマレコアプリがアラームでお知らせ。本当に便利な時代になりましたね。 ・ 尾根取り付きに戻り,そこからは前黒法師岳山頂への尾根の登りとなります。途中,一箇所だけ左側斜面が崩落したところを通過しますが,それ以外は特に危険箇所はありません。イワカガミの群生地や南アらしい美しい苔の森を楽しみながら登って行けば,1時間20分ほどで前黒法師岳山頂に到着。この山頂も樹林帯の中なので展望は良くないものの,わずかに南側のみ開いていて,2日前に歩いたホーキ薙の付近を望むことができました。 ・ 前黒法師岳山頂からは,登山口まで標高差約1,400m近い下りが続きます。大型連休の後半に入ったため,登ってくる登山者と何度も情報交換しました。朝4時過ぎにスタートした2人パーティはバラ谷の頭でテント泊するとのこと。パワーみなぎる元気な姿に,昔の自分を重ね合わせました。また若い男女のパーティは,できればバラ谷の頭でテント泊したいが,場合によってはヘリポート泊かも,と少し不安そう。ヘリポートは水場もありテント泊に最適なので,無理をしないようアドバイス。そのほかにも,単独行のテント泊縦走組や日帰り組など,数名の登山者と言葉を交わし,情報交換できたので,少しは役に立てたかもしれません。 ・ 登山道は急傾斜と緩斜面の下りが交互に現れ,なかなか標高を下げてくれませんでしたが,午前11時には前黒法師岳登山口に到着。その先は,磐田市からの登山者と山談義を楽しみながら林道や観光客で賑わう舗装道路を歩き,正午前に寸又峡温泉駐車場に戻りました。 |
その他周辺情報 | 下山後の入浴は駐車場近くの翠紅苑。食事もしたかったので,松花堂弁当+温泉入浴のセット2,500円(500円お得)を選択。温泉入浴のみならば600円(タオル無しで500円)。肌がヌルヌルする素晴らしい泉質です。 |
写真
感想
・ 南アルプス深南部に位置する日本三百名山の高塚山と黒法師岳を周回するルートを,寸又峡温泉から2泊3日で幕営縦走してきました。南アルプスは私のお気に入りの山域で,これまで何度もテント縦走してきており,登山地図上での一般ルートは,ほぼ踏破していましたが,この深南部エリアは2年前に歩いた大無間山〜大根沢山周回ルート以外は足を運んでおらず、以前から一度は歩いてみたいと願っていました。
・ 特にバラ谷の頭から望む黒法師岳の迫力ある景観は,以前から是非この目で見てみたいと思っていましたが,茨城からは距離があり,なかなか実行するチャンスに恵まれませんでした。でもそうこうするうちに,年齢を重ね,今年秋には65歳になってしまいます。この縦走はテント泊縦走以外に選択肢は無く,テントを担いで縦走できるうちに歩かなければ,生涯悔いを残してしまうという思いから,今回,意を決して大型連休の谷間に歩くことにしました。
・ 実際に歩いてみると,幸い素晴らしい天候に恵まれ,生涯の思い出に残るテント泊縦走となりました。登山者の少ない山域にもかかわらず,同じルートを歩く登山者と巡り会い,心強い思いで歩くことが出来ましたし,大自然の中での快適なテント泊も,これ以上に無いほどの素晴らしい経験でした。
・ 年齢的な不安はありましたが,日頃からスポーツジムで心肺機能や体幹のトレーニングに励んでいるためか,テント泊装備の重いザックでもそれほど苦労すること無く歩き通すことが出来ました。これから何年,テント泊縦走できるか分かりませんが,できる限り続けていきたいです。
・ それにしても,この素晴らしい南ア深南部エリアの周回縦走を,怪我や事故無く終えることができましたこと,山の神様に感謝しています。有り難うございました。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
このコース、私も昨年歩きましたが、正にザ深南部って感じで良いルートですよね。
さすがにGWとあって、そこそこ人も入っている様ですね。
実は,昨年のカエルさんのレコをお気に入りに登録し,事前にじっくり読ませていただいてから,縦走に臨みました。そのおかげで,山犬段やヘリポートの水場の状況,房小山周辺のササ原の雰囲気,バラ谷の頭からの絶景などの情報をインプットできていたので,比較的余裕を持って歩くことが出来ました。本当にお世話になりました。
このルート,南ア深南部を象徴するような素晴らしい縦走ルートですね。特に2日目に歩いた三ツ合山〜千石平〜房小山〜バラ谷の頭〜黒法師岳〜二ツ山〜ヘリポートの区間は,このルートの白眉でした。人を寄せ付けないような険しい痩せ尾根のアップダウンが連続するかと思えば,その後にはなんとも気持ちの良いササ原のたおやかな尾根歩き。そしてバラ谷の頭から望む圧倒的な迫力の黒法師岳の絶景に感動しつつも,その後に待ち構える深いササヤブの中の急登の手強いこと。しかも営業小屋は無く,自らの力のみで歩き通すことのできる者しかチャレンジできないルートでした。テント縦走登山のあらゆる要素が詰め込まれたような,南ア深南部ならではの縦走ルートをコンプリートできたことに,心より感動し満足しています。
それから登山者の数ですが,大型連休とは言え,このエリアはテント泊縦走経験者でかつ地図読みのできる登山者で無いとチャレンジできないので,比較的少なく,3日間で10組15名程度でした。それでも,私と同じ時計回りのソロ登山者が私のほかにお二人いらしたので,とても心強かったです。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する