焼肉竹の親父の山歩記 春日山原生林〜若草山(奈良県) 森の中に流れる静かな時間


- GPS
- 05:20
- 距離
- 12.4km
- 登り
- 451m
- 下り
- 445m
コースタイム
過去天気図(気象庁) | 2022年11月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
ただ一瞬に通り過ぎる、厚い雲の間隙を縫い、奇跡的な陽だまりの青春。
人は生き、病を得、老いては死んでいく。
いつ落ちるかも定かでない一瞬の線香花火の如し。
風に揺れ、過去もなく、未来もない。
あるのは今だけだと、空っぽの宇宙に自分の声だけが山彦となりこだまする。
春日山原始林。
永劫の時を此処に繋ぎ止め、永遠に続く今を物語る。
深い森の中、異次元に通じる扉を開き、4次元の時空を今ここの感覚で歩く。
踏みしめる落ち葉が、ほんの気持ちばかりの日差しに赤く色付く刹那、時のからくりを垣間見た気がした。
木を見て森を見ずというが、我即宇宙の原理と同じく、1本の木の中に森全体が包含されている。
大きな杉や巨大な山桜ばかりでなく、低く細い木々や雑草にさえ、何百、幾千万年の時空が凝縮している。
自然を観察するというより、それに比してあまりにも微弱な私たち人間を自然から見定められている感覚に陥った。
あちこちの岩に掘られた石仏に微笑は見られない。
お前はかつてのあの機微に富んでいた日本人か?
それとも魂を売り渡し、合理的な生き方を真似た偽西洋人か?
そう問われている気になった。
石仏に答える代わりに時折すれ違う人たちと挨拶と共に笑顔を交わす。
これを偶然と呼ぶのか、はたまた必然の流れ、天の思し召しと言って良いのか、この日、2つの好運を引き寄せた。
まず1つ目は、首切り地蔵の所で母娘とお見受けする娘さんの方に道を尋ねられた。
新池はどの辺かと言われても私も知らないから、即開いているYAMAPのマップ上で探し当てて指し示してあげた。
そんな立ち寄るほど素敵な池なのかと思い、私も触手を伸ばし、歩き始めていた母娘に声を掛けつつ追い越して池へと続く道を進んで行った。
まだ残る紅葉を水面に移した新池の周りでは、秋の日の陽だまりに弁当を広げ寛ぐ人たちの姿が見受けられた。
2つ目の良かったことは、鶯の滝を見終わった時のこと、来た道とは違う方向に伸びた赤い橋。
何やら誘われている気になるがどこに続くのかYAMAPを見てもわかり辛かったので迷っていると、ちょうどその道の方向から降りて来た男性に聞いてみると、ジグザグ道だが若草山に続く林道に出られるとのこと。
退屈なアスファルトの同じ道を戻るのではなく、紅葉も楽しめる山道でしかも結果的に近道できた幸運に恵まれることができた。
若草山ではやはり人が多く、鹿と戯れる老若男女の光景が夕陽のシルエットとして目に映った。
広い頂上付近を散策してから春日山遊歩道を利用して下山した。
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